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セルの組立―電池式の書き方と電極の呼び方―

山形大学  工学部  化学・バイオ工学科  仁科辰夫・立花和宏

エネルギー化学 WebClass syllabus 53209 C1 エネルギー化学

前回

電気と化学―電池と豆電球のつなぎ方と電流・電圧の測り方― コインの電位序列を回路計で実測し、数直線に記入しましょう。 数直線の描画

電解槽・電気化学セル・電池

一対の電極を備え電解質を支える一組をセルと言います。 工業電解では電解槽、エネルギーデバイスでは電池、研究用では電気化学セルなどと言います。 電気エネルギーを取り出す目的でセルを複数つないで構成したものはバッテリーと言います。

電池式の書き方

化合物を表すのに化学式を使います。化学式には組成式やイオン式などがあります。 同様にセルの構成を表すのに電池式を使います。

*  化学式
化学種 式の種類 凡例
分子式 H2O
水素 元素記号 H
水素分子 分子式(化学式) H2
硫酸アルミニウム 組成式(化学式) 3Al2(SO4)3
炭酸イオン イオン式(化学式) CO32-
ダニエル電池 電池式 Zn | Zn2+ || Cu2+ | Cu

化合物を化学式で表すように、電解槽・電気化学セル・電池を表すには電池式があります。電池式はアノードを左側に書くのが慣例です。 電池式の縦棒(|)は相と相との界面を表しています。たとえばダニエル電池の電池式は下記のようになります。 電池の起電力の測定では、電池式からダニエル電池を組み立てることになります。

ダニエル電池の模式図
実際にセルを組み立てたところ

Zn | Zn2+ || Cu2+ | Cu     ( * )

電池式を作り方 (現代の電気化学p.64, 電池の表記

界面の厚みはないものとみなします。

電池には電極があります。酸化が起きる極をアノード、還元が起きる極をカソードと呼びます。 以前はアノードを陽極、カソードを陰極と呼びましたが、正極と陽極がまぎらわしいのでアノードと呼びます。 アノードは電流が外部回路から流れ込む極です。カソードは電流が外部回路へ流れ出す極です。 アノード、カソードは電流の向きに注目した呼び方です。 それとは別に正極と負極という呼び方があります。 電位の高い極を正極、電位の低い方を負極と呼びます。 正極、負極は電位の高低に注目した呼び方です。

ダニエル電池を放電するときは、負極の亜鉛が酸化して亜鉛イオンになります。 つまり負極がアノードです。 乾電池の負極も亜鉛です。 乾電池に豆電球をつないで点灯させているときも亜鉛が亜鉛イオンとなって溶け出していることになります。

無機工業化学・電気化学に記載されている電池をひとつ選び、その電池式を書きなさい。電池式の上に、その電池が放電しているときの回路図を書き、回路図に電極の呼び名も記入しなさいその図面を撮影してアップロードしなさい。

豆電球のスペックをみたところ、2.5Vの0.5Aでした。 このとき亜鉛が溶け出す反応速度をmol/sで求めてみましょう。

エネルギー変換化学特論電気エネルギーと物質~電池の系譜~

2極式セルと3極式セル-作用極、対極、参照電極-

電極がアノードとカソードのふたつだけの電気化学セルを2極式セルと言います。 2極式セルは電解液やセルの寸法の影響を受けやすいので、 特定の反応だけ見る場合は、3極式セルを使います。 3極式では、電位が予めわかっている参照電極を使います。

特定の反応が起きている電極を参照電極を使って平衡電位を調べるとき、その電極を単極と言い、半電池と言います。電解液がまざらないよう塩橋でつなぎます。これを液絡と言います。

参照電極の例として銀塩化銀電極について調べ、銀塩化銀電極を参照電極として亜鉛亜鉛イオン電極と半電池を組み立てたときの電池式を書き、電位を測定するための実態配線図を書きなさい。

電気力線とセル定数

電気回路は電池の中で途切れているわけではありません。 電池の中で電流はイオンとしてアノードからカソードへ流れます。 電解液の中のイオンは 電界 E 〔V/m〕 によって F 〔N〕 を受けるからです。 このようにイオンが力を受けて移動する道筋を電気力線といいます。 電気力線は途中で途切れることもなければ交わることもありません。

同じ電解液であれば、抵抗は電極間距離に比例し、断面積に反比例します。 このときの電極間距離と断面積の比をセル定数aと言います。

a = d / S     ( * )

表 セルの組み立てに関わる物理量
物理量 単位 凡例
電極間距離 d mメートル 電界の強さ=電圧÷電極間距離
電極面積 A へいほうメートル 実験室でよく使う旗型電極の電極面積は 1cm²
電流密度 j =電流÷電極面積
セル定数 a 1/mまいメートル セル定数=電極間距離d÷電極面積A
コンダクタンス G 導電率 ÷セル定数
電気抵抗=抵抗率ρ×セル定数a

セル定数

次回

電気分解とファラデーの法則

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山形大学 准教授

伊藤智博

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