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令和8年9月26日 (土)

◇ 電池活物質材料と電解液界面

◇ 機能界面設計工学特論 Web Class 📆 3-3308

山形大学  大学院  物質化学専攻  🔋 C1 📛 立花和宏
🔋 C1 3308

💯 課外報告書 Web Class

リチウム電池(LIB)のジェリーロール構造と寸法例

正極 負極
図   1 .  リチウム電池(LIB)のジェリーロール構造と寸法例
©2018 S.Ishikawa , C1 Lab.

電池は、 活物質を 容器に詰めたエネルギーデバイスです。効率よく電気が取り出せるよう、 正極 合材、負極合材を工夫して詰め込みます。

ジェリーロール構造は、スパイラル電極構造とか捲回型とも言われます。 円筒型電池には、出力重視のスパイラル電極構造のほかに容量重視のボビン電極構造もあります。 * さらに出力重視では、ラミネート型電池に使われる枚葉積層型があります。 * * 電極面積を大きくし、電極間距離を小さくして、電解液による溶液抵抗を減らし、 内部抵抗を小さくします。

リチウムイオン二次電池には、磁気テープで培われた、合材の塗布技術が応用されています。

✍ 233 燃料電池とリチウムイオン二次電池の設計コンセプトの違いについて議論しよう

表面積よりコンタクトラインの長さ

図   2 .  43 244
表面積よりコンタクトラインの長さ
© K.Tachibana

三相界面とコンタクトライン長さ


正極活物質と正極材料

表   1 .    ◇ 正極活物質 1 )
活物質/ 略号 理論容量 /mAh/g 実効容量 (可逆容量) /mAh/g 用途 特徴
酸素 燃料電池、ガルバノ電池(ボルタ電堆)、 11円電池 気体
銅イオン ダニエル電池 液体
🏞 二酸化マンガン 308.3 アルカリ乾電池
🏞 コバルト酸リチウム/ LCO 273.8 130~150 リチウムイオン電池 (スマホ) LiCoO2←Li++e-+CoO2
コバルト回収採算可
🏞 ニッケル酸リチウム /LNO 274.5 電位が高い 2 ) 3 )
NCM 277.9 160
リチウム過剰NCM 267.1 160
ハイニッケル NCM,LNCM523 180~200 ニッケル回収採算可。 インセンティブは補助金?
🏞 ハイニッケルNCA 180~200 ニッケル回収採算可 LiNi0.8Co0.15Al0.05O2←0.95Li++0.95e-+Li0.05Ni0.8Co0.15Al0.05O2
🏞 マンガン酸リチウム(スピネル) LMO * 148.2 110~120 密度4.1 * 導電率1×10-6S/cm。 合成が比較的容易 4 ) 。 高速動作 5 ) 。
🏞 LFP LiFePO4 リーズナブル。 バイポーラで、NCM置換可能。

正極活物質は、主に 電池 の 正極で使われる酸化剤です。 充電式電池(二次電池)では、充電前の電池材料 である正極材料も活物質と呼ばれることがあります。 負極には還元剤が使われます。 酸素、酸化物(二酸マンガン)やフッ化物、硫化物が使われます * 。

* F=96485.33212331 F/Fw*Z

負極活物質と負極材料

表   2 .    ◇ 負極活物質 負極材料 6 )
略号 理論容量 /mAh/g 実効容量 /mAh/g 用途 特徴
H 26,801.5 燃料電池
Zn 819.7 アルカリ乾電池 ダニエル電池
Li 3861.3
水素吸蔵合金
C 371.9 リチウムイオン電池 密度2.2 * アルミ電解アノード (スマホ)
⑨ エネルギー化学特論 04機能

負極活物質は、主に 電池 の 負極で使われる還元剤 (燃料) です。 充電式電池(二次電池)では、充電前の 電池材料 である負極材料も活物質と呼ばれることがあります。卑な 金属(亜鉛やリチウム)、水素、金属イオンを取り込める層状化合物(グラファイトなど)、水素吸蔵合金などが使われます * 。 正極には酸化剤が使われます。

活物質の理論容量は、電池反応と ファラデーの電気分解の法則 、活物質の式量から求めます。

F=96485.33212331

実用電池での活物質の組み合わせと起電力

" -3.5" " -3.0" " -2.5" " -2.0" " -1.5" " -1.0" " -0.5" " 0.0" " 0.5" " 1.0" " 1.5" " 2.0" 電位 E / V vs. NHE " Zn 中性 " Cu " ダニエル電池 " Ag|AgCl " Li " Al " Zn アルカリ性 " MnO2 " マンガン電池 " Zn " NiOOH " ニッケル亜鉛 " Pb " PbO2 " 鉛電池 " H2 " O2 " 燃料電池 " Li " LiCoO2 " LIB
図   3 .  実用電池 での電極の組み合わせと起電力
© K.Tachibana * , C1 Lab.
⑦ ⑬ 079 エネルギー化学 ⑬ 無機工業化学 応用物理化学特論 svg 現代の電気化学p.68 無機工業化学p.46 11円電池

イオン化傾向の大きな物質(還元体、燃料、負極)と、小さな物質の組み合わせ(酸化体、酸化剤、正極)です。

電池から電流を取り出すことを放電と言います。 充電できる電池を二次電池または蓄電池と言います。 7 )

エネルギーは、電圧×電気量で、電気量は電池に詰め込む物質量で決まるので、エネルギー密度を上げようと思ったら、 電池の起電力 を大きくするしかありません。

今日、実用電池と呼ばれるもののほとんどが、 正極活物質には金属酸化物を、 負極活物質 に亜鉛を用いていること、電解液には アルカリ溶液(KOH)を用いること、 電池の名称に正極活物質の金属名を利用していることなどがわかる。 8 )

鉛電池(Pb酸)はこれまで二次電池の主役を果たしてきた。その最大の理由は電池構成材料コストの低廉さにある。 9 )


界面の構造

03.エネルギー変換特論

接触界面

表   3 .   接触界面
固体 液体 気体(真空)
固体 面接触(例: pn接合)
線接触(三相界面 )(例:正極合材、 局部電池)
点接触(三相界面 ショットキー接触 )(例:固体電解質、 炭素導電助剤粒子 )
固液界面 (例:サスペンジョン) 表面 粉体
液体 固液界面 (例:電極と電解液) 液液界面 (例:エマルション) 気液界面 ( 表面 )
気体(真空) 粉体 表面 気液界面 ( 表面 ) (混合)
⑦ ⑭ エネルギー変換特論 ⑤ ⑪ エネルギー化学 ⑪ 無機工業化学 🖱 界面 ⑤ 機能特論 ST2023 1210 1224 0216

物質は、 様々な状態をとります。 界面や表面 は、ある材料の相と異なる材料の相が接するところです。

電池の内部抵抗は、バルクと界面との両方から生じます。 また電池の活物質は 三相界面 で反応が進行します。

固体は、形状が決まっているので、接触界面に多様性がある。 また、固体の表面は、バルクとちがって、さまざまな 欠陥があります。

接触抵抗 内部抵抗

pn接合は、ダイオードや トランジスタの基本です 10 ) 11 ) 。

不定比化合物 も 半導体になります。


反応抵抗 界面 電解質
図   4 .  典型的な電極界面の等価回路
③ ⑭ エネ特 等価回路 図 1217 1224 0216

等価回路は、抵抗、コンデンサ、コイル、CPEなどで、実際の電極を表現したモデルです。

CPEとはコンデンサの代わりに コールコールプロットの フィッティングに使うモデルで、現実の素子とは対応せず、物理的意味を与えることは困難です。 *


電極界面の 電位プロファイル (本田アンドレイ)

溶液抵抗と電位プロファイル

図   5 .  172 電極界面

- + - M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M M グイ・チャップマン層 ヘルムホルツ層
図   6 .  電気二重層( 金属 |電解液 界面)
③ エネルギー化学特論 ④ 機能界面 ⑤ 079 ⑦ エネルギー化学 1224

銅|銅イオン水溶液 12 )


配向分極(電気二重層)

図   7 .  351
配向分極(電気二重層)
©2017 K.Tachibana

イオン性界面活性剤は、配向分極します。交流インピーダンス法では、低周波側の容量成分として観察されます。


図 350
電気二重層
©K.Tachibana

空間電荷層を含みます。


界面

図   8 . 
界面
©K. Tachibana

ネルンストの式

E = E0 - RT nF ln K
ネルンストの式

* 13 )

例として、鉄イオンの、酸化体をFe3+、還元体(燃料) をFe2+としたときの、ネルンストの式は次のようになる。

E = E0 + RT nF ( ln [Fe3+] - ln [Fe2+] )

式を意味を考えずに丸暗記すると、 酸化体と還元体の活量が式の分子か分母かとか、濃度依存項の符号とか、混乱しやすい。酸化体をプラスに統一して、logの中身を分子分母ではなく、logの和で表現しておくと、意味も含めて覚えやすい。

対数プロットすると直線になります。


均一固相反応(S字)と二相(L字)反応

図   9 .  155
均一固相反応(S字)と二相(L字)反応
© K.Tachibana * , C1 Lab.

正極活物質の反応は、 大きく均一固相反応と二相反応に分類されます。 MnO2やLCOは、均一固相反応と言えます。NiOOHやLFOは二相反応と言えます。 均一固相反応の放電曲線はS字型を描き、二相反応の放電曲線はL字型を描きます。 放電深さにおける起電力はネルンストの式で議論でいます。 バッテリーマネジメント の立場から言うと、S字型の放電曲線は、電圧だけで 残量管理ができるメリットがあります。 しかし負荷からすれば電池の電圧が変動してしまうデメリットもあります。


図   10 .  Fe3+のLUMO軌道とFe2+のHOMO軌道のエネルギー計算結果

LUMOは、最低空分子オービタル。 HOMOは、最高被占分子オービタル。 基本的にHOMOが高いほど酸化されやすく(酸化還元電位が低い)、LUMOが低いほど還元されやすい(酸化還元電位が高い)。

LUMOのエネルギー準位と HOMOのエネルギー準位とのあいだに フェルミ準位があると思っていい。

Fe3+/Fe2+の半反応式は次式で表されている。この半反応式の標準 酸化還元電位は標準水素電極(NHE)に対し +0.771 Vである。鉄(Ⅱ)イオンと鉄(Ⅲ)イオンの活量が変化した場合の、酸化還元電位は、 ネルンストの式で表される。

Fe 2+ = Fe 3+ + e -
(反応式- 1)

学術情報基盤センターでは、 実習端末で 量子計算ソフトSCIGRESS(サイグレス)が利用できます。 SCIGRESSを使いたいときは、指導教員を通じて 学術情報基盤センター にお問い合わせください。

👨‍🏫 電極電位の濃度(活量)依存性-ネルンストの式と化学平衡- ✍ 184 量子化学計算ソフトを使って酸化還元電位を議論してみよう

電子軌道(オービタル)とエネルギー準位

表   4 .  電子軌道(オービタル)とエネルギー準位
電子軌道の種類 対象 軌道の数 フェルミ準位
原子軌道 (AO) s,p,d,f 原子に属する 電子の個数の半分程度
分子軌道 (MO) σ、π、δ 分子に属する 原子の電子の個数の半分程度 HOMO、LUMO
バンド 固体に属する原子の数(アボガドロ数)程度 価電子帯、導電帯

放電管に 水素をわずかに入れ(ガイスラー管程度、低真空=10−3 atm(100 Pa))放電すると、水素分子は、水素原子(プロトン)と電子に電離したプラズマとなり、 水素原子特有の光を発します。 これを分光器で分光すると、 赤と シアンの 線スペクトルが観察されます。 これは、水素原子の中の電子が、とびとびのエネルギーしか許されないことを表しています。 このとびとびをエネルギー準位と言い、それぞれのエネルギー準位で電子が存在しうる場所を、原子軌道(AO)と言います。

ふたつの水素原子が結合すると(共有結合)、水素分子となります。原子軌道とは、別の軌道が新たに生まれます。その軌道を分子軌道(MO)と言います。 たとえば、s軌道から生まれた分子軌道はσ軌道と言い、p軌道から生まれた分子軌道はπ軌道と言います。

たくさんのナトリウム原子が結合すると( 金属結合)、ナトリウム金属(固体結晶)となります。 原子軌道とは、別に生まれた軌道は、たくさんあり、それらを総称してバンド(帯)と呼びます。 固体全体につながっているバンドにも電子が存在し、それらを自由電子と言います。

たくさんのナトリウムイオンと塩素イオンが結合すると( イオン結合)、塩化ナトリウム(固体結晶)となります。 原子軌道とは、別に生まれた軌道は、たくさんあり、それらを総称してバンド(帯)と呼びます。 固体全体につながっているバンドには電子がは存在しません。 電子が存在するバンドと固体全体につながっているバンドのエネルギーの差をバンドギャップと言います。

✍ 234 共有結合の黒鉛が電気を流す理由を考えよう ✍ 184 量子化学計算ソフトを使って酸化還元電位を議論してみよう

◇ 参考文献


応用物理化学特論

野々村・立花・堀田・木俣

本講義では、界面・表面現象や光イメージングといった物理化学的な現象の工学分野における役割を学ぶ。そこでは、化粧品、医薬品および食品を開発する上で重要な、皮膚、毛髪および粘膜上で起こる界面現象から、電池やコンデンサなどのエネルギーデバイスを中心の機能を効率よく発現させるための界面設計、そして、粉体の分散・凝集に関する粉体表面の物性およびその測定法,さらに様々な表面処理方法等について論ずる。また、光学顕微鏡を用いた光イメージングについて、光学素子の役割、イメージの結像、光の回折限界と空間分解能などについて解説する。多重染色によりさまざまな物質を識別できる蛍光顕微鏡において重要となる蛍光色素および蛍光タンパク質などの蛍光プローブとその利用法について解説するとともに、レーザーマニピュレーション法や近年実用化されたナノメートルの空間分解能を持つ超解像蛍光顕微鏡等の応用例を紹介する。

化学計測・生体情報特論

伊藤(智)・遠藤・齊藤

本講義では、物質の有効活用の観点から、物質や生体が有する情報の取得・解析法に関する内容について解説する。そこでは、物質の分離法および機能発現に関するアプローチ他、呼吸,循環に関する生体情報の計測法や生体計測技術により運動中に得られた生体情報を応用生理学的解釈へ導くための解析法についても紹介する。また、工学分野で生産管理や品質管理で使用される分析機器について、ハードウェアおよびソフトウェア,AD変換などの計測技術について解説し、工場などで使われているライフサイクル管理システムにおける分析機器や分析化学の位置づけ,ラインモニタリング技術に対する理解を深める。小型・軽量化が進むセンサーやその周辺の電子回路,AD変換器,マイコン制御についても解説し,IoT(Internet of Things)やIoE(Internet of Everything)を目指した周辺技術など最近のトピックも紹介する。


  1. ◇ 高電場機構とアルミニウムのアノード酸化
  2. ◇ 不定比化合物半導体とノンストイキオメトリー
  3. ◇ 降伏現象と電子雪崩
  4. ◇ 電池活物質材料と電解液界面
  5. ◇ 集電体と電極合材との接触抵抗
  6. ◇ 導電助材と二次元電気伝導
  7. ◇ 導電性高分子と一次元電気伝導
  8. ショットキー障壁と電位プロファイル
  9. 電池反応場としての三相界面とコンタクトライン長さ
  10. 有機溶媒とオートプロトリシス
  11. 高電場による高分子の配向分極
  12. 電極界面形状と電場集中
  13. ◇ アルミ電解コンデンサ
  14. リチウムイオン二次電池
  15. エネルギーデバイスと機能界面

R03

17 機能界面設計工学特論 2 講義 1 〇 機能界面設計工学を応用する能力を身につける科目である。 機能界面設計工学に関する専門知識を身につけ、それを応用することができる。 〇 〇 教育課程の編成・実施方針(CP) 1物質化学工学に関する高度な専門職従事者としての知識と技能を体得するために体系的に構成されたカリキュラムを編成する。 2物質化学工学の応用力を養う授業科目を配置する。 〇3産業の現場、各種研究施設又は他専門分野の研究室において、工学に対する視野を広め、問題提起・解決能力を養う授業科目を配置する。 4専門的かつ多面的な考察を通して物質化学工学分野に関する論文を執筆できるべく、適切な助言・指導を行う。 学位授与方針(DP) 〇R1応用化学、化学工学及びバイオ工学に関わる幅広く深い知識とそれらを応用する能力を身に付けている。 〇R2科学技術に関する知識・情報を的確に把握する能力と記述力、発表と討論の能力及び国際的な情報収集能力を身に付けている。 3生涯にわたって自発的かつ継続的に学習できる能力を身に付けている。 4現在の社会状況を理解し、取り組むべき課題等の判断及び行動ができる。 5物質化学工学分野において、高度な専門知識を身に付け、自ら創造性を十分に発揮し、課題解決を先導できる能力を身に付けている。 6考察、検証及び議論を通して多元的に物質化学工学に関する研究を進め、工学の発展に寄与する学位論文を執筆できる。" 2018_H30

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🏫 学問の自由 は、心の自由。 大学では、精神は自由であらねばならない。(松木健三)
📆 20251028 明日からやろう!インピーダンス測定・解析
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山形大学 工学部 化学・バイオ工学科 応用化学・化学工学コース
C1ラボラトリー ( 伊藤智博 ・ 立花和宏 ) @ 米沢

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