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令和6年12月10日 (火)
明日からやろう!インピーダンス測定・解析

3. インピーダンス測定から解析まで

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3.1 評価セルの設計-材料評価、構造評価、システム評価-

電圧規制か電流規制かを決めましたか? 印加振幅を決めましたか? バイアス(オフセット)を決めましたか? 周波数範囲を決めましたか?

交流の大きさと周波数(正弦波の振幅)

  1 84 交流の大きさと周波数(正弦波の振幅)
©K. Tachibana
🖱 交流の大きさと周波数

3.2 周波数応答解析と過渡現象-LCRメーター、FRA、フーリエ変換-

インピーダンスブリッジ オシロスコープのみ! LCRメーター FRA or FFT ロックインアンプ
142
交流ブリッジ(インピーダンスブリッジ)
©
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/54299/c1/Extra_Syllabus/2020_R02/20200915/20200915_03.asp

LCRメーター

  1 LCRメーター *
14.エネルギー変換特論 1210 1217 1224

133
RC直列回路の過渡応答
©K.Tachibana
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/56307/_14/TimeTransientRCs.asp

時間領域と周波数領域

  2 🖱 時間領域(左)と周波数領域(右)

横軸が周波数のグラフを、 スペクトルと言います。 フーリエ変換は、横軸を時間から、周波数に変換する方法です。 デジタルコンピュータの発展で、さまざまな応用ができるようになりました。


3.3 電池の直流成分の取り扱いとインピーダンス-セルの接続と測定条件-

ずっと言っているように電池には、起電力があります。 これが、ふつうのインピーダンス測定との違いです。 繰り返すようですが、電池の起電力、つまり界面電位差につきあえれば電池とインピーダンスの距離はだいぶ近くなります。

電流規制で測れる機械なら何ら問題ないですね。

電圧規制で測るときは、直流成分をカットするフィルターをプローブに取り付けるか、電池の起電力と同じバイアス電圧を機械から出力しなければなりません。LCRメーターなんかだと最近はその機能がついていて、しかもリチウム電池を意識してか5Vぐらいのバイアス電圧が出力できるものもあるようです。

安価なLCRメーターで電池を測るときは、同じ電池を二つ用意して逆向きに直列つなぎにしてインピーダンスを測って、あとでインピーダンスを半分にすればいいですね。キルヒホフの法則に感謝!です。


電池の直流評価と交流評価

  2   電池の 🖱 直流評価🖱 交流評価
直流 交流
主な対象 界面 バルク
主な評価項目 直流抵抗( DCR イオン導電率
主な評価方法 短絡試験、定負荷試験、定電流試験 交流インピーダンス法 過渡応答試験

交流インピーダンス法 で測定した、 コールコールプロット の切片は、バルク抵抗(溶液抵抗など)です。 複雑な 電池の内部抵抗 は、 バルク抵抗より界面抵抗に支配されます。 周波数が高いと、界面抵抗と 並列の容量が比較的小さくても(皮膜、 空間電荷層リアクタンスが小さくなってしまうため、 内部抵抗の推定は、直流抵抗の評価が大切です。


3.4 デジタルノイズとインピーダンス-AD・DA変換とサンプリング精度-


AD・DA変換の精度


量子化によるノイズ(ビット深度と分解能)

  3 127 量子化によるノイズ(ビット深度と分解能)
©K. Tachibana
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/56307/_14/Quantization.asp

  3 AD変換 DA変換 ビット深度分解能
フルスケール例/V ビット深度 ステップ 分解能/mV コメント
0-5V 8 256 19 初期のデジタルビデオ
0-10V 12 4096 2 初期のアナログ計測
0-20V 16 65536 0.3 CDオーディオ
0-20V 24 16777216 0.0011 スマホ、PCサウンド

アナログ信号をどのくらいの細かさでデジタル表現できるかを示す指標を分解能と言います 1 )


ビット深度と解像度

  4 347 ビット深度と解像度

ビット深度が低いと 数が少なくなります。 ヒメシャラの花の は、背景の色と区別がつかなくなります。 解像度(画素数)が低いと矩形(ブロック)になります。 ブロックノイズ は、解像度(画素数)の 量子化ノイズです。 ビット深度が低く、解像度(画素数)が低いほど、情報量も小さくなります。


3.5 サイクリックボルタンメトリーとインピーダンス-電位制御-

主な電気化学測定法

  4 主な電気化学測定法
名称 概略 制御 測定 装置
クロノポテンショメトリー (CP 電圧電気量曲線 電池充放電曲線 過渡応答 など 電流 電圧 ( 電位 )、時刻 🚂 ガルバノスタット、データロガー
クロノアンペロメトリー 電流絞り込み曲線など 電圧 電流、時刻 🚂 ポテンショスタット 2 ) データロガー
リニアスイープボルタンメトリー (LSV) 分解電圧の測定など 電圧、掃引速度 電流 🚂 ファンクションジェネレータ、 🚂 ポテンショスタット、データロガー
サイクリックボルタンメトリー ( CV) 3 ) 電圧、掃引速度 電流 反応種の特定など
電圧電流曲線 電流 電圧 電池の内部抵抗
コンダクトメトリー 導電率 誘電率 の測定など 電圧 電流 🚂 ファンクションジェネレータ 4 ) 🚂 ポテンショスタット、データロガー
交流インピーダンス法 導電率 の測定など 電圧 周波数 電流 ファンクションジェネレータ、ポテンショスタット、データロガーオシロスコープLCRメータ * *

電位制御の代表的な測定法がサイクリックボルタンメトリーです。サイクリックボルタンメンメトリーは電位を三角波に制御して、電位と電流の関係を見ます。リサージュ図形のサイン波を三角波にするようなものです。


3.6 充放電試験とインピーダンス-電流制御-

主な電気化学測定法

  5 主な電気化学測定法
名称 概略 制御 測定 装置
クロノポテンショメトリー (CP 電圧電気量曲線 電池充放電曲線 過渡応答 など 電流 電圧 ( 電位 )、時刻 🚂 ガルバノスタット、データロガー
クロノアンペロメトリー 電流絞り込み曲線など 電圧 電流、時刻 🚂 ポテンショスタット 5 ) データロガー
リニアスイープボルタンメトリー (LSV) 分解電圧の測定など 電圧、掃引速度 電流 🚂 ファンクションジェネレータ、 🚂 ポテンショスタット、データロガー
サイクリックボルタンメトリー ( CV) 6 ) 電圧、掃引速度 電流 反応種の特定など
電圧電流曲線 電流 電圧 電池の内部抵抗
コンダクトメトリー 導電率 誘電率 の測定など 電圧 電流 🚂 ファンクションジェネレータ 7 ) 🚂 ポテンショスタット、データロガー
交流インピーダンス法 導電率 の測定など 電圧 周波数 電流 ファンクションジェネレータ、ポテンショスタット、データロガーオシロスコープLCRメータ * *

電流制御の代表的な測定法が充放電試験です。充放電は一般的に電流を流して、その時の電位の時間応答を見ます。矩形波の過渡応答を見ているのです。


3.7 ボードプロットとコールコールプロット


コールコールプロットとボードプロット

  5 83
コールコールプロット(ナイキストプロット)とボードプロット
© K.Tachibana * , C1 Lab.

交流の電流と電圧の比を インピーダンスと言います。

インピーダンス は複素数なので、実部と虚部があります。 実部をリアクタンスと言い、虚部をレジスタンスと言います 8 ) 。 各周波数での インピーダンスの軌跡を複素平面上にプロットしたものを コールコールプロットあるいはナイキストプロットと言います。

*

3.8 周波数特性と等価回路-ガルバニック過程の取り扱い-

等価回路

  6   等価回路
等価回路
並列抵抗 並列容量
RC並列
直列容量 直列抵抗
RC直列
並列抵抗 並列容量 直列抵抗
  8 RC並列+R直列
並列抵抗 並列抵抗 並列容量 並列容量 直列抵抗
🖱 RC並列+RC並列+R直列
分布定数回路
14 エネルギー変換特論 ST2023 ST2021

コールコールプロット(RC並列+RC並列+R直列)

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コールコールプロット(RC並列+RC並列+R直列)
©K.Tachibana

電極内部の界面の数

159
電極内部の界面の数
©K.Tachibana

接触界面

  7  接触界面
固体 液体 気体(真空)
固体 面接触(例: pn接合
線接触(三相界面)(例:正極合材、 局部電池)
点接触(三相界面 ショットキー接触 )(例:固体電解質、 炭素導電助剤粒子
固液界面 (例:サスペンジョン 表面
液体 固液界面 (例:電極と電解液 液液界面 (例:エマルション 気液界面 ( 表面
気体(真空) 表面 気液界面 ( 表面 (混合)
エネルギー変換特論 エネルギー化学 🖱 界面 機能特論 ST2023 1210 1224 0216

物質は、 様々な状態をとります。 界面や表面 は、ある材料の相と異なる材料の相が接するところです。

電池の内部抵抗は、バルクと界面との両方から生じます。


明日からやろう!インピーダンス測定・解析