エネルギー化学

電気化学測定法を調べよう

下記の表を参考に、電気化学測定法からひとつ選んで、どのような場面で使われるのか調べてみましょう。 また、測定するのにどんな装置が使われ、どんな役割があるのか調べ、そのことについて議論してみましょう。

  1 主な電気化学測定法
名称 概略 制御 測定 装置
クロノポテンショメトリー (CP 電圧電気量曲線 電池充放電曲線 過渡応答 など 電流 電圧 ( 電位 )、時刻 🚂 ガルバノスタット、データロガー
クロノアンペロメトリー 電流絞り込み曲線など 電圧 電流、時刻 🚂 ポテンショスタット 1 ) データロガー
リニアスイープボルタンメトリー (LSV) 分解電圧の測定など 電圧、掃引速度 電流 🚂 ファンクションジェネレータ、 🚂 ポテンショスタット、データロガー
サイクリックボルタンメトリー ( CV) 2 ) 電圧、掃引速度 電流 反応種の特定など
電圧電流曲線 電流 電圧 電池の内部抵抗
コンダクトメトリー 導電率 誘電率 の測定など 電圧 電流 🚂 ファンクションジェネレータ 3 ) 🚂 ポテンショスタット、データロガー
交流インピーダンス法 導電率 の測定など 電圧 周波数 電流 ファンクションジェネレータ、ポテンショスタット、データロガー、 オシロスコープ、LCRメータ * *

現代の電気化学や最新工業化学から、ボルタモグラム、電流電位曲線、電流電圧曲線、ターフェルプロット、コールコールプロットなど、実際の測定結果の具体例のグラフをひとつ選び、説明してみましょう。


例1

電流電位曲線(LSV、CV)を選んだ。

電流電位曲線は、電位を制御して、そのときの電流の変化を測定する。 分解電圧の測定や腐食の評価に使われる。

測定には、ポテンショスタットと電流計が使われる。ポテンショスタットには電流を制御する役割があり、電流計は、電流を測定する役割がある。

具体例のグラフとしては、現代の電気化学p.109の図4.13がある。


電流電圧曲線(分解電圧と過電圧)

-0.50.00.51.01.52.02.52.52.01.51.00.50.0-0.5 電圧 V /V 電流 I /A
  1 電流電圧曲線(分解電圧と過電圧)

分解電圧を調べるときは、電圧を掃引して、電流を測定します。 これを LSVリニアスイープボルタンメトリー)ということもあります。 電流電圧曲線から、溶液抵抗の傾きを外挿して、分解電圧を求めます。 理論分解電圧から分解電圧を引いて、 過電圧を求めます。 過電圧を電流密度の対数の関係をターフェルプロットと言います。

電池では、電流を掃引して、電圧を測定します。 求めた電流電圧曲線は、電池の放電の 内部抵抗 を求めるのに使われます。


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分解電圧
©K.Tachibana

例2

電圧電流曲線を選んだ。

電圧電流曲線は、電流を制御して、そのときの電圧の変化を測定する。 電池の出力特性や内部抵抗を評価するのに使われる。

測定には、ガルバノスタットと電圧計が使われる。ガルバノスタットには電流を制御する役割があり、電圧計は、電圧を測定する役割がある。

具体例のグラフとしては、最新工業化学p.60の図3.24がある 4 ) 。電流に対する電圧の降下の傾きから、電池の内部抵抗を求めることができる。


電池の内部抵抗と過電圧

  3 電池の内部抵抗と過電圧
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Vo Q = Ve.m.f. Q - η t Q Q t

例3

交流インピーダンス法を選んだ。

具体例のグラフとしては、現代の電気化学p.98の図4.9がある 5 ) 。複素平面上の半円の直径から、腐食速度を見積もることができる。


  4 コールコールプロット(ナイキストプロット)
©K. Tachibana

python では、複素数が使えるので、短いプログラムでコールコールプロットのシミュレーションができます。

# ■■■ コールコールプロット
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
import matplotlib.patches as patches
import cmath
import math
from google.colab import files

R= 2000
C = 0.1e-6
Rs = 500

t = np.arange(start = 0, stop = 5, step = 0.05)
f = [pow(10,p) for p in t]
z = [1/(1/R+1j*2*np.pi*p*C) + Rs for p in f]
x = [ p.conjugate().real for p in z]
y = [ p.conjugate().imag for p in z]
r = [ abs(p.conjugate()) for p in z]
ph = [ cmath.phase(p.conjugate())/math.pi*180 for p in z]
#ph = [ math.atan2(p.imag, p.real) for p in z]

ax = plt.subplot2grid((2, 2), (0, 0), rowspan=2)
ax.set_aspect('equal')
ax.set_xlabel("$Z^{\prime}$ / $\Omega$")
ax.set_ylabel("$-Z^{\prime \prime}$ / $\Omega$")
plt.scatter(x, y,alpha=0)
x_min, x_max = ax.get_xlim()
y_min, y_max = ax.get_ylim()
ax.set_xlim(0, x_max)
ax.set_ylim(0, y_max)

for t in np.arange(start = 500, stop = 2000, step = 500):
  ax.add_patch(patches.Circle(xy=(0, 0), radius=t, fc='none', ec='#B0FFFF'))

for t in np.arange(start = 1, stop = 12, step = 1):
  ax.axline((0, 0), slope=math.tan(math.pi*t/24), color='#B0FFFF')

plt.plot(x, y)

ax = plt.subplot2grid((2, 2), (0, 1))
ax.set_xlabel("$f$ / Hz")
ax.set_ylabel("$|Z|$ / $\Omega$")
plt.xscale('log')
plt.plot(f, r)

ax=plt.subplot2grid((2, 2), (1, 1))
ax.set_xlabel("$f$ / Hz")
ax.set_ylabel("$\u03b8$ / deg") # \theta では表示できない
plt.xscale('log')
plt.plot(f, ph)

plt.savefig('fig_cole_cole_python.SVG');files.download("fig_cole_cole_python.SVG")
plt.savefig('fig_cole_cole_python.PNG');files.download("fig_cole_cole_python.PNG")

# ■■■ コールコールプロット

ワークショップについて

ワークショップを楽しみましょう 6 ) 。 グループ人数は、5〜6名とします。 7名を超えないようにしてください。

初対面の場合は、自己紹介をしましょう。 雑談をして、アイスブレイクしましょう。

リーダー(司会進行)を決めてください。 そのほかのメンバーの 役割(記録係、資料作成係、プレゼンター( 登壇者))を決めてください。

グループ名を決めてください。

記録係は、試験答案用紙表面の最上部に、授業科目名、グループ名を記入してください。 メンバーは、記録係に従い、学籍番号、氏名、役割を直筆署名してください。 その際、 筆頭著者を登壇者の氏名の前に〇をつけてください。

討論を開始したら、記録係は討論の内容を裏面に記録してください。

討論がまとまったら、資料作成係は、試験答案用紙表面グラフィカルアブストラクト に表現してください。

グラフィカルアブストラクトを撮影し、WebClassにアップロードしておくと復習に便利です。

登壇者は、プレゼンテーションのイメージをしましょう 7 )

グループ名が指名された後で、じゃんけんなどで登壇者を決めるのは、授業進行の妨げとなりますので、 必ず、討論前に 登壇者を決めてください。

記名だけして、討論に参加しない場合、不正行為として扱うことがありますので、必ず討論に参加してください。 自分から参加できなそうな人には、積極的に声がけをお願いします。 期末の成績評価申請時に、グループ名やメンバー、討論の内容を思い出せるよう、答案用紙を撮影することを推奨します。

ランダムにグループを指名し、壇上で、 プレゼンテーションしてもらいます 8 ) 。 質疑応答の際も、グループを指名しますので、指名されたグループのプレゼンターが質問、コメント、アドバイスをしてください。 ディベートとしての反対意見は、大歓迎です。

資料作成係は、討論の内容をポスターとして、試験答案用紙の裏面にまとめてください。 資料作成係に従って、他のメンバーが代筆してもかまいません。

*

✍ 平常演習

平常演習の配点と取り扱いについて

平常演習の配点は、授業1回ごとに、一律加点です。 平常演習には、ワークショップ、意見交換、発表、質疑応答など授業時間内の学習活動を含みます。 そのほかに授業時間外の0.5時間の学習活動を含みます。 平常点は、期末にWebClassの成績評価申請書に申告していただき集計します。

授業時間外の活動の一助としてWebClassへの提出を推奨します。〆切は講義後1週間です。 ただし平常点の加点は、授業時間内の学習活動も含みますので、 WebClassへの提出のみでの、平常点の申告はご遠慮ください。

WebClassへの平常演習提出は、推奨しますが、必須ではありません。 提出されていなくとも、成績評価申請書に、各回の授業時間以外の0.5時間の取り組みが申告されれば十分です。未提出だからと心配することはありません。

成績評価申請書では、それぞれの授業で何を学び身につけたかを申告してもらいます。 WebClassに提出したかどうかより、身につけることを優先してください。 授業で取り上げたトピックや、グループワークの意見交換の内容は、期末までノート 9 ) などに記録しておくことを推奨します。 逆に授業に参加していないのに、WebClassの出席や提出だけの場合は不正行為として扱うことがあります。 平常の取り組みだけで、「到達目標を最低限達成している。成績区分:C」となります。 評点が60点に満たない場合は、不合格となります。 欠席した場合、課外報告書へ取り組むことで挽回してください。 出席が60%に満たない場合、課外報告書を提出しても、単位認定できません。


参考文献