電池のモニタリングにおけるインピーダンスの応用. 山形大学, 機能界面設計工学特論 講義ノート, 2020. https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/@Lecture.asp?nLectureID=4954 , (参照 ).
電池とは何ですか?バッテリーシステムですか?バッテリーですか?セルですか?
何をモニタリングしたいですか?電流ですか?電圧ですか?劣化程度ですか?劣化って何ですか?
項目 | 説明 | 例 | |
---|---|---|---|
残量(SOC 1 ) 2 ) ) | バッテリーの貯蓄率(%)として 読み取り可能。 | 満充電時から測定した放電容量ではなく、 公称容量[Ah]を使用する場合があります。 またSOC- OCV曲線から推定することもあります。容量維持率とも。 | |
満充電までに必要な時間 | 秒単位で 読み取り可能=電池の 内部抵抗と充電電圧から計算 | ||
枯渇するまでの残り時間 | 秒単位で 読み取り可能= 残り容量/(消費電力/公称電圧) | ||
劣化率(SOH 3 ) ) | 現在、未対応 状態監視保全のために必要。 | ||
電圧 | 現在、未対応 | 公称電圧より大幅に下がった場合、 緊急保全が必要。 内部短絡などの恐れも。 | |
内部抵抗 | 現在、未対応 | ||
温度 | 現在、未対応、過熱時のアラート発生に必要。 | ||
湿度 | 現在、未対応 | ||
結露 | 現在、未対応、水没時の短絡などアラート発生に必要。 |
PCや スマホの電池の状態は、ブラウザからアクセスできます。いずれ、自動車や 住宅の電池の状態もブラウザからアクセスできるようになるでしょう。 バッテリの状態はjavaとhtml5で読み取ります。 バッテリーでユーザー追跡可能になります。 この電池は誰が作ったのか、逆追跡も可能になるでしょう。
インピーダンス測定装置の例
電池のモニタリングにおけるインピーダンスの応用. 山形大学, 機能界面設計工学特論 講義ノート, 2020. .
電圧、電流を測るとはどういうことでしょうか? コンピュータで計算できるようにするには、それらを情報にしなければいけません。 それがセンサーです。
直流 | 交流 | |||
---|---|---|---|---|
主な対象 | 界面 | バルク | ||
主な評価項目 | 直流抵抗( DCR) | イオン導電率 | ||
主な評価方法 | 短絡試験、定負荷試験、定電流試験 | 交流インピーダンス法 、 過渡応答試験 |
交流インピーダンス法 で測定した、 コールコールプロット の切片は、バルク抵抗(溶液抵抗など)です。 複雑な 電池の内部抵抗 は、 バルク抵抗より界面抵抗に支配されます。 周波数が高いと、界面抵抗と 並列の容量が比較的小さくても(皮膜、 空間電荷層) リアクタンスが小さくなってしまうため、 内部抵抗の推定は、直流抵抗の評価が大切です。
名称 | 概略 | 制御 | 測定 | 装置 | |
---|---|---|---|---|---|
クロノポテンショメトリー (CP) | 電圧電気量曲線 電池 の 充放電曲線 過渡応答 など | 電流 | 電圧 ( 電位 )、時刻 | 🚂 ガルバノスタット、データロガー | |
クロノアンペロメトリー | 電流絞り込み曲線など | 電圧 | 電流、時刻 | 🚂 ポテンショスタット 4 ) 、データロガー | |
リニアスイープボルタンメトリー (LSV) | 分解電圧の測定など | 電圧、掃引速度 | 電流 | 🚂 ファンクションジェネレータ、 🚂 ポテンショスタット、データロガー | |
サイクリックボルタンメトリー ( CV) 5 ) | 電圧、掃引速度 | 電流 | 反応種の特定など | ||
電圧電流曲線 | 電流 | 電圧 | 電池の内部抵抗 | ||
コンダクトメトリー | 導電率 誘電率 の測定など | 電圧 | 電流 | 🚂 ファンクションジェネレータ 6 ) 、 🚂 ポテンショスタット、データロガー | |
交流インピーダンス法 | 導電率 の測定など | 電圧 周波数 | 電流 | ファンクションジェネレータ、ポテンショスタット、データロガー、 オシロスコープ、 LCRメータ * * |
デジタル
(電子・磁気) |
アナログ ( 紙・ペン) |
電気化学測定法 | ||
---|---|---|---|---|
直流 | 電圧-時間 | データロガー Webデータロガー | ペンレコーダ― |
クロノポテンショメトリー(充放電曲線) クロノアンペロメトリー |
電流-電圧 | データロガー | XYレコーダ― | サイクリックボルタンメトリー | |
交流 | 電圧-時間 | デジタルオシロスコープ | 交流インピーダンス法 タイムトランジェント | |
電流-電圧 | デジタルオシロスコープ | 交流インピーダンス法 リサージュ |
※1秒以下の電圧変化を、直接紙とペンで記録するのは、困難です。 電子記録や磁気記録などのコンピュータによるデジタル記録を使うことで、容易に交流インピーダンス法が実現できます。
電池のモニタリングにしろ、インピーダンスの測定にしろ、電圧、電流、時間を記録しなければなりません。 測定をいうのは、量を量に対応させたり、量を数字にしたりすることです。
エネルギー | 物理量 | デジタル | アナログ | 原理 |
---|---|---|---|---|
💪力学 | 時間 |
デジタルタイマー |
時計 ストップウォッチ |
振り子 |
質量 | 体重計 | 天秤 | ||
流量 | 流量計 | |||
⚡電気 | 電圧 | デジタル回路計 | 電圧計 | オームの法則 (抵抗率) |
電位 | デジタル回路計 | 電位差計 | ||
電流 |
デジタル回路計 電流センサー * |
電流計 | フレミング左手の法則 | |
電気量 | 電量計(クーロメーター) | ファラデー電気分解の法則 | ||
🔥熱 | 温度 |
デジタル温度計 温度センサー |
温度計 | 熱膨張率 |
熱量 | 熱量計 | |||
🌟光 | 形状 | ものさし | 顕微鏡 | 長さ |
照度 |
デジタル照度計 |
|||
🧪化学 | pH |
pH計 |
ネルンストの式 |
量を量に変換する素子や機器をトランスデューサーといい、 特に物理量を電気信号に変換する素子や機器をセンサーと言います。 電気信号の多くは電圧を表すので、センサーは物理量を電圧に変換すると言っていいでしょう。
電流も物理量ですから、電流を電圧に変換するセンサーがあるのです。 もっとも単純な電流センサーは電気抵抗です。オームの法則で、電流に比例した電圧にすることができます。
ところが、電気抵抗は回路に直列にいれなければなりません。 大きな電流を取り出す電池の回路に直列に電気抵抗を入れるには、高精度の小さい電気抵抗が必要です。
電流センサー自体がインピーダンスを持つことは忘れないようにしましょう。
https://www.akm.com/jp/ja/solutions/current-sensing/types-characteristics/インピーダンスの測定装置では、電流センサーの方式などを調べる必要があります。
電源装置としての電池はバッテリーと言います。
ストリングの接続には、モノポーラとバイポーラがあります。
有機電解液は導電率が小さいため内部抵抗の増大の課題がありますが、 起電力の大きなリチウム電池では、同じ電圧を得るのに直列につなぐセルの数が少ないため、バッテリーとしては内部抵抗を下げるのに有利です。
キルヒホップの法則により、 全体の電流は、各ストリングの電流の和です。 ストリングのそれぞれに流れる電流は同じです。
ストリングに流れる電流が異なるのは、ストリングの内部抵抗が違うか、ストリングの電圧が違っているかです。 ストリングの電圧が違っている場合、あるストリングから別のストリングへ電流が流入している可能性があり、要注意です。
電池のモニタリングにおけるインピーダンスの応用. 山形大学, 機能界面設計工学特論 講義ノート, 2020. https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/@Lecture.asp?nLectureID=4954 , (参照 ).
キルヒホップの法則により、 全体の 電圧は、各ストリングの電圧と同じです。ストリングの電圧はそれぞれのセルの電圧の和です。
ストリングの中のそれぞれのセルの電圧が異なるのは、セルの内部抵抗が違っているからです。セルの発熱が集中している可能性があり、要注意です。
ライブコンサートをライブ配信で楽しむことを考えてみましょう。
ライブの音声は、もともとは空気の圧力変化です。 この圧力の変化量をマイクを使って電圧の変化量に変えます。 このように量から量への変換をアナログ処理と言ったりします。 次に、電圧の変化量を数字にします。電圧と時間を数字にします。 この量を数字にする変換をアナログデジタル変換(AD変換)と言います。
この数字を通信回線を使って送ります。
今度は数字を、電圧の変化量にします。数字を電圧と時間にします。 この数字を量にする変換をデジタルアナログ変換(DA変換)と言います。 そしてその電圧でスピーカーを駆動し、空気の圧力変化にします。 これで、視聴者がライブを聞けるわけです。
ここでマイクなどをセンサー、スピーカーなどをアクチュエータと言います。
13.情報処理概論 12.無機工業化学 8.工業概論
項目 | デジタル | アナログ |
---|---|---|
表現 |
22:06
|
|
装置例 |
デジタル時計 データロガー ファンクションジェネレータ |
アナログ時計 ペンレコーダ 発振器 |
特徴 |
数字(文字)
測定数値を正確に表現 |
量(
角度・長さ)
連続的で微妙な変化を一目で直感的に表現 |
精度 | 有限(桁数) | 無限 |
時間遅れ※1 | あり | なし |
媒体 間のコピー | 容易・高速 | |
順序※2 | あり | なし |
約束事 | あり | なし |
曖昧さ | なし | あり |
感覚 | 論理的 | 直感的 |
画像 | ||
音声 |
※1. 地上デジタル放送になって、テレビから時報が消えました。 それはデジタル情報には、時間遅れが必ず生じるからです。
※2. デジタルを送るには順序が必要です。エンディアンやバイトオーダーなどと言われます。 シリアライズと同等の概念です。 本質的には言語の線条化と同じ概念です。
アナログ式のインピーダンスの測定装置と言えば、インピーダンスブリッジで原理的にはこれに勝るものはありません。 ただコンピュータの力を借りるとなると、ディジタル式の方が何かとメリットが出てきます。
AD変換は、アナログディジタル変換の略で、電圧を数字にする装置です。ディジタルアナログ変換の略でDA変換は数字を電圧にする装置です。
電圧 | 内容 | |||
---|---|---|---|---|
危険 | 5.00 | 安全弁解放 | ||
4.25 | 保護回路作動電圧 | |||
注意 | 4.20 | 使用上限電圧 | ||
適性 | 4.15 | カットオフ上限電圧 | ||
3.30 | カットオフ下限電圧 | |||
注意 | 3.00 | 使用下限電圧 | ||
危険 | 2.40 | 保護回路作動電圧 |
充電や放電での電池管理(BMS)では、 カットオフ電圧の検知が大切です。 カットオフ電圧が0.01V違うと、副反応のリスクが急激に増大します。 特に ADCの精度が低いと危険です。 電池の内部抵抗は、 正極、負極、電解質の 過電圧によります。
充放電の管理には十分な精度のAD変換、DA変換が必要です。
交流インピーダンス法では、そこそこの周波数を必要とするため、 変換速度の高いADCを選ぶ必要があります。 アナログドメインの設定を最適にして、ノイズに埋もれないようにしましょう。
連続的な 量の大きさをいくつかの区間に区分し、各区間内を同一の値とみなすことを量子化と言う。 ・・・ 量子化誤差 が生じる。 量子化誤差は、実際の アナログ信号と変換時に丸められた近似的デジタル信号との差のことである。
9 )
第三次産業革命は、 デジタルコンピュータとAD変換といっていいでしょう。 量を 測定し、 デジタルコンピュータで 記録可能なデータにするには、AD変換が必須です。AD変換の分解能は確度を支配します。
センサー で電圧に変換した光や音を、デジタル情報に変換します。 たとえばマイクで電圧に変換し、 AD変換で、デジタル情報にすれば、音声を CDやフラッシュメモリにデジタル 記録 できます。
交流インピーダンス法では、そこそこの周波数を必要とするため、 変換速度の高いDACを選ぶ必要があります。
方式 | 特徴 | 製品例 |
---|---|---|
デコード | 消費電力が小さい | |
ラダー | 線形性がよい | |
スイッチング | 消費電力が少ない | スイッチングレギュレータ デジタルアンプ ( D級アンプ) |
概念 | 種類 | 例 | |
---|---|---|---|
数 | 自然数 | 1,2 | |
有理数 | -1(整数、負数),0.5(小数),1/3(分数) | ||
無理数 | √2(無理数)は、根号と数字で表現されます。 π(円周率)、e(ネーピアの底)は数を表現する文字ですが、数字ではありません。 | ||
数字 | 算用数字 | 1234567890 | アラビア数字、インド数字と呼び名には歴史的経緯があります。 0という数字の発明により * 、数値に桁(デジット)の概念が導入され、計算が著しく早くなりました。 |
漢数字 | 一二三壱弐参 | ||
ローマ数字 | ⅠⅡⅢⅣⅤ | 11世紀 商人が計算に便利な算用数字を使おうとしていたところ、 ギルドが公文書でその使用を禁止しました * 。 | |
数値 | 数量を数字で表現 (デジタル表示) |
3.14,6.02×1023 | 量を数にするには、 単位 が必要です。 ただし、 単位 は、人が決めたものなので、物理の範疇にはありません *。 数値は、数式に代入することができます。 量と量との関係を表現した物理の関係式は、人が決めた 単位 に依存しないので、 単位 を書くべきではありません。 |
数を数字で表現する方法として、アラビア数字による位取り記数法があります。(新 情報技術基礎p.26) コンピュータの内部では、符号付き整数、 倍精度浮動小数点数型(FP64-64bit)、などとして表現されます。
数字と数は違います。数を文字で表したのが数字です。 たとえば円周率πは数ですが、数字で表すことができません。 近似値としてなら3.14とか3.14159265のようにあらわすことができます。 ディジットとは桁を意味します。何桁で表現するかで近似の精度が変わります。 二進数の1桁をビットといいます。 AD変換やDA変換を何ビットでやるかは精度と信頼性に影響を与えます。
電池を放電しているときは、ユーザーの都合で負荷が変動しますから、変動を利用してインピーダンスの測定ができます。 電池を充電しているときは、ユーザーの都合を考慮しなくてよいのでより能動的に制御できます。
接続すべきところの間に邪魔ものが入る、とそれだけです。
たとえば、気泡はもっとも抵抗が大きなもの。ガス発生によって、回路が寸断されれば内部抵抗が大きくなります。
たとえば、応力や腐食で隙間が生じて、オーミックコンタクトすべきところに、そこに電解液が流れ込めば、内部抵抗が大きくなります。
たとえば、化学反応で導電率の小さなものに置換してしまえば、内部抵抗が大きくなります。
電池のモニタリングにインピーダンスの応用するときは、目的をしっかり定めましょう。 その上で、方法や精度を決めてゆきます。