2021年2月5日(金)
バッテリーマネジメントのためリチウムイオン電池のインピーダンス測定の考え方
山形大学  学術研究院  物質化学専攻  仁科・立花・伊藤(智)研究室  立花和宏

1. インピーダンスと電池の基礎

石炭 石油 " 産業革命 " 太平洋戦争 " 現在 165017001750180018501900195020002050600500400300200 年代 y / year 二酸化炭素濃度 C / ppm
二酸化炭素濃度

電池の電圧は電流に比例せず、線形システムではありません。 一方、インピーダンスはシステムの線形性を仮定します。 まずは、電池の起電力や内部抵抗など基本的なところをおさらいして、 インピーダンス測定とどう折り合いをつけるかみてみましょう。

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1.1 電池の起電力と内部抵抗

電池は電気を流さなくても電圧があります。これを電池の起電力といいます。このときの内部抵抗は無限大とみなせます。電池から電流を取り出すと電圧が下がります。この見かけの抵抗を内部抵抗と呼びます。

電流と電圧と電気抵抗の関係

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電流と電圧と電気抵抗の関係
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https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/52255/_02/VoltageCurrent.asp

電気量と電圧と静電容量の関係

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電気量と電圧と静電容量の関係
©K.Tachibana
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/52255/_02/VoltageElectricity.asp

回路計で測れる物理量

回路計で測れる物理量
物理量 単位 備考
電圧 V V 乾電池の開回路電圧は1.65V。 乾電池の公称電圧は1.5V。 水の理論分解電圧は1.23V。
電流 I A 豆電球の電流は 0.5A。 ぽちっと光ったLEDの電流は1mA。
時間 t s
電気量 Q C Q = I t
電気抵抗 R Ω R = V I , V = R I
静電容量 C F C = Q V , V = 1 C I t
インダクタンス L H L = V I t , V = L I t
立花和宏、仁科辰夫. 電気と化学―電池と豆電球のつなぎ方と電流・電圧の測り方― . 山形大学, エネルギー化学 講義ノート, 2017.
数式

電位プロファイル

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電位プロファイル
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均一固相反応(S字)と二相(L字)反応

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均一固相反応(S字)と二相(L字)反応
©

1.2 電池の構造とインピーダンス


EVのバッテリーシステム

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EVのバッテリー
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バッテリー、セル、電極

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バッテリー、セル、電極
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セルとセル定数

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セルとセル定数
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コイン電池(人間電池)

Fig コイン電池(人間電池)
©Copyright Kazuhiro Tachibana all rights reserved.

電池の表記と特性(電池式)

Fig 電池の表記と特性(電池式)
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電池と電池式

電池と電池式
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ダニエル電池の模式図

ダニエル電池の模式図
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ダニエル電池の動作

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ダニエル電池
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乾電池の模式図

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乾電池の模式図
©
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/Lecture/@LectureView.asp?nLectureID=4012

リチウム電池の模式図

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リチウム電池の模式図
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リチウムイオン二次電池

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リチウムイオン二次電池
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リチウムイオン電池の正極と負極

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リチウムイオン電池の正極と負極
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電池を動物に例えるなら

Fig 電池を動物に例えるなら
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リチウムイオン二次電池の正極

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リチウムイオン二次電池の正極
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https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/56307/56307_07.asp

リチウムイオン二次電池の負極

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リチウムイオン二次電池の負極
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https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/56307/56307_07.asp

1.3 材料物性値とインピーダンス


インピーダンスから物性値へ(バッテリー、セル、界面とバルク)

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インピーダンスから物性値へ
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電池、界面特性、物性値

インピーダンスと物性との関係
測定可能な 物理量 界面の特性値 物性値
電気抵抗R=電圧÷電流 反応抵抗Rct〔Ωm-2〕=電圧÷ 電流密度 抵抗率ρ=電場強度÷ 電流密度
抵抗率ρ〔Ωm〕=電気抵抗R〔Ω〕÷ セル定数 a〔1/m〕
抵抗率ρ=1÷導電率
コンダクタンスG=1÷電気抵抗R 導電率 σ〔Sm-1〕 、電気伝導度
静電容量 (キャパシタンス)C 電気二重層容量Cd〔Fm-2 誘電率 ε
インダクタンスL 透磁率 μ
エネルギー化学05 電気化学特論05 電気化学特論14

界面とバルク―等価回路―

界面を表す特性とバルクを表す物性があります。等価回路ではときどき不明瞭なものがありますので、単位で確認しましょう。

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バルクと界面
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https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/54299/c1/Extra_Syllabus/2020_R02/20200915/20200915_02.asp
電池のモデル

界面の特性

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内部抵抗と電圧降下
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電解液の溶液抵抗

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電解液の溶液抵抗
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粒界界面の存在

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粒界界面の存在
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粒子界面(点接触)の存在

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粒子界面(点接触)の存在
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固体粒子の接触は、点接触です。面積を見積もるのがとても大変です。界面の電流密度がわかりません。 接触抵抗は電流集中を伴うので、圧縮などの影響を受けやすいのです。活物質や炭素材料、固体電解質などの取り扱いが難しいのはそのためです。


電極内部の界面の数

実用電池のほとんどは電極内部に複雑な構造を持ち、多種の材料からなる。 たとえば活物質、導電助剤、バインダー、電解液、集電体としただけで その界面の組み合わせは5C2=20通りに達するのである。 このような電極に単純な等価回路を当てはめて議論するのは無理があり、 かといって等価回路を複雑にしたところで意味がない。

回路
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電極内部の界面の数
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バルクの物性値-導電率、誘電率-

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電位プロファイルと導電率
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https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/52255/_03/Conductivity.asp

1.4 ボーデプロットとコールコールプロット

コールコールプロット(ナイキストプロット)とボードプロットはインピーダンス測定結果の主要な表現です。とボードプロットにはしばしば両対数プロットが使われます。

コールコールプロットとナイキストプロット
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コールコールプロット(ナイキストプロット)とボードプロット
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https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/56307/_14/BodeNyquist.asp

インピーダンスに出てくる諸元

インピーダンスは数式1で示されます。

Z =R+ j X
数式-1)
  インピーダンスに出てくる諸元
物理量 数式 備考
周期 Ts 山のてっぺんからてっぺんまでの時間です。
周波数 fHz f = 1/T 周波数と振幅で交流を表現します。
角周波数 ω ω=2πf
電圧振幅Ep0 交流の大きさの表現には、振幅のほかにピークトゥピークや実効値があります ()。
電流振幅Ip0
インピーダンス Z〔Ω〕 Z = R + j X *
絶対値 |Z| Z = R 2 + X 2
位相角 φ tan(φ)=X/R
アドミタンス Y〔S〕 Y = G + j B *
インダクタンス L L= V I t
静電容量C C= Q V
電気抵抗 R R= V I インピーダンス Z の実部
リアクタンス X インピーダンス Z の虚部、 X=ωL-1/ωC
コンダクタンスG
サセプタンス B
交流インピーダンス法による電池やキャパシタの評価

複素平面にプロットしたインピーダンスZの周波数fによる軌跡を コールコールプロットまたは ナイキストプロットと呼びます。


jpg形式をimgタグ参照した場合 (ナイキストプロット,©Suzuki)



山形大学 米沢キャンパスに設置された インターネット百葉箱 ®