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令和6年12月10日 (火)

リチウムイオン二次電池

機能界面設計工学特論 Web Class 📆 3-3308

山形大学  大学院  物質化学専攻  🔋 C1 📛 立花和宏
🔋 C1 3308

リチウム電池の構造 インピーダンス
  1. インピーダンスと電池の基礎
    1. 電池の起電力と内部抵抗
    2. 電池の構造とインピーダンス
    3. 材料物性値とインピーダンス
    4. ボーデプロットとコールコールプロット

電池の起電力と内部抵抗

10円玉と1円玉を手に持って電圧計で測れば、0.5Vぐらいの電圧が出てくる。これが 電池の起電力だ。

手に持った10円玉と1円玉で直列つなぎをしてみよう。 電圧は直列つなぎの代数和になる。 4~5人が直列になれば2Vぐらいの電圧になるだろう。

でも、手に持った10円玉と1円玉で直列つなぎでは、豆電球をつけることはできない。 豆電球をつないだ途端に電圧が下がってしまうからだ。 これは電池の物質がたくわえている化学エネルギーが電気エネルギーにかわるときにその大半が熱エネルギーとなってエネルギー損失してしまうためだ。

豆電球をつないだときにの電圧と電池の起電力の差を、電圧降下といい、流れた電流に対する電圧降下の割合を電池の 内部抵抗と言う。

この電圧降下によるエネルギー損失は、長距離送電で問題になった。 エジソンとテスラが直流か交流かで論争したのは有名だ。 テスラが変圧しやすい交流で高圧送電した。 ところが交流で送電すると、エネルギー損失していないのにモーターが思い通りに動かないことがあった。

この交流を使ったときの送電をじゃまするもの、という意味でインピーダンスという概念が生まれた。

しかしながら、電池は直流しか発生しないので、電池のインピーダンスが直接電池の性能にかかわるということはない。

電池のインピーダンスを測定することは、あくまで電池動作理解の補助的手段であり、まずは電池そのものの理解が欠かせない。


電池の内部抵抗と過電圧

  1 電池の内部抵抗と過電圧
©Copyright Kazuhiro Tachibana all rights reserved.
Vo Q = Ve.m.f. Q - η t Q Q t

この電流と電圧の関係を90度くるっと回したら電圧と電流の関係になります。逆関数ですね。 オームの法則は電流と電圧が比例するけど、実際に比例することはまずありません。 ただ比例と仮定しないと計算に手がつけられないので、局所的でも比例に近似できる、とするわけです。 平均値の定理ですね。

Fig オームの法則と分解電圧
©Copyright Fumimasa Homma all rights reserved.

リチウムイオン二次電池の正極(放電時カソード)の構造

正極活物質
  2 109
リチウムイオン二次電池の正極と内在する界面
© K.Tachibana * , C1 Lab.

正極では、 正極合剤は、 正極活物質導電助剤バインダーPVdF、NMP)を混錬したスラリーからなり、 正極集電体に塗布・ 乾燥されている。 電池 の放電時は、 正極活物質にチウムイオンと電子が吸収され(電荷移動過程)、それぞれ導電助剤と電解液を通る。

炭素導電助剤粒子間は、 固固接触 であり、 点接触です。

電池材料

電池材料

  1   電池材料 1 )
分類 材料 特徴
電極材料 正極材料 活物質 極性固体、 酸化物、 イオン結合絶縁体
負極材料 (活物質) 極性固体(金属やグラファイト)/非極性固体(酸化物)
導電材 非極性固体 炭素材料
分散剤 界面活性剤
バインダー 界面活性剤
CMC・増粘剤 極性材料
集電体 (金属) 非極性固体
電解質 電解液、添加剤*
セパレータ
その他 外包材・リードタブ

界面は、 極性どうし、あるいは非極性どうし、だとなじみがいい。 異なる界面では、なじみが悪いので、界面活性剤などを検討する。


プロジェクト
リチウム電池(LIB)の寸法例
RC並列回路 正極活物質 高速マンガン酸リチウム
導電率の測定原理
リチウム電池のナイキストプロット

参考文献


応用物理化学特論

野々村・立花・堀田・木俣

本講義では、界面・表面現象や光イメージングといった物理化学的な現象の工学分野における役割を学ぶ。そこでは、化粧品、医薬品および食品を開発する上で重要な、皮膚、毛髪および粘膜上で起こる界面現象から、電池やコンデンサなどのエネルギーデバイスを中心の機能を効率よく発現させるための界面設計、そして、粉体の分散・凝集に関する粉体表面の物性およびその測定法,さらに様々な表面処理方法等について論ずる。また、光学顕微鏡を用いた光イメージングについて、光学素子の役割、イメージの結像、光の回折限界と空間分解能などについて解説する。多重染色によりさまざまな物質を識別できる蛍光顕微鏡において重要となる蛍光色素および蛍光タンパク質などの蛍光プローブとその利用法について解説するとともに、レーザーマニピュレーション法や近年実用化されたナノメートルの空間分解能を持つ超解像蛍光顕微鏡等の応用例を紹介する。

化学計測・生体情報特論

伊藤(智)・遠藤・齊藤

本講義では、物質の有効活用の観点から、物質や生体が有する情報の取得・解析法に関する内容について解説する。そこでは、物質の分離法および機能発現に関するアプローチ他、呼吸,循環に関する生体情報の計測法や生体計測技術により運動中に得られた生体情報を応用生理学的解釈へ導くための解析法についても紹介する。また、工学分野で生産管理や品質管理で使用される分析機器について、ハードウェアおよびソフトウェア,AD変換などの計測技術について解説し、工場などで使われているライフサイクル管理システムにおける分析機器や分析化学の位置づけ,ラインモニタリング技術に対する理解を深める。小型・軽量化が進むセンサーやその周辺の電子回路,AD変換器,マイコン制御についても解説し,IoT(Internet of Things)やIoE(Internet of Everything)を目指した周辺技術など最近のトピックも紹介する。


  1. 高電場機構とアルミニウムのアノード酸化
  2. 不定比化合物半導体とノンストイキオメトリー
  3. 降伏現象と電子雪崩
  4. 電池活物質材料と電解液界面
  5. 集電体と電極合材との接触抵抗
  6. 導電助材と二次元電気伝導
  7. 導電性高分子と一次元電気伝導
  8. ショットキー障壁と電位プロファイル
  9. 電池反応場としての三相界面とコンタクトライン長さ
  10. 有機溶媒とオートプロトリシス
  11. 高電場による高分子の配向分極
  12. 電極界面形状と電場集中
  13. アルミ電解コンデンサ
  14. リチウムイオン二次電池
  15. エネルギーデバイスと機能界面

R03

17 機能界面設計工学特論 2 講義 1 〇 機能界面設計工学を応用する能力を身につける科目である。 機能界面設計工学に関する専門知識を身につけ、それを応用することができる。 〇 〇 教育課程の編成・実施方針(CP) 1物質化学工学に関する高度な専門職従事者としての知識と技能を体得するために体系的に構成されたカリキュラムを編成する。 2物質化学工学の応用力を養う授業科目を配置する。 〇3産業の現場、各種研究施設又は他専門分野の研究室において、工学に対する視野を広め、問題提起・解決能力を養う授業科目を配置する。 4専門的かつ多面的な考察を通して物質化学工学分野に関する論文を執筆できるべく、適切な助言・指導を行う。 学位授与方針(DP) 〇R1応用化学、化学工学及びバイオ工学に関わる幅広く深い知識とそれらを応用する能力を身に付けている。 〇R2科学技術に関する知識・情報を的確に把握する能力と記述力、発表と討論の能力及び国際的な情報収集能力を身に付けている。 3生涯にわたって自発的かつ継続的に学習できる能力を身に付けている。 4現在の社会状況を理解し、取り組むべき課題等の判断及び行動ができる。 5物質化学工学分野において、高度な専門知識を身に付け、自ら創造性を十分に発揮し、課題解決を先導できる能力を身に付けている。 6考察、検証及び議論を通して多元的に物質化学工学に関する研究を進め、工学の発展に寄与する学位論文を執筆できる。" 2018_H30

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2024年1月21日 松木健三名誉教授がご逝去されました。

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管理運用
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C1ラボラトリー ( 伊藤智博立花和宏 ) @ 米沢

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