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🌡️ 📆 令和6年5月31日
機能界面設計工学特論

リチウムイオン二次電池電極内部での接着・接合技術

山形大学  理工学研究科(工学系)  化学・バイオ工学科  🔋 C1  立花和宏
🎈主催: 接着・接合技術コンソーシアム
📆 日時 2022年10月17日(月) 🕙10:05~🕦11:30
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  1 【音声テスト】 米沢高等工業学校校歌
  2 米沢高等工業学校校歌 にも謳われた 西吾妻と最上川源流の松川
吾妻 は聳えて 高きをさとし
松川流れて 遠きを示す
その 山その 水 仰ぎて俯して
朝夕無言の 教えにひたり

電池の歴史


乾電池の正極の固相反応化に伴う結着材の導入

  3 15 ダニエル電池の模式図
© K.Tachibana
電池式 アノード ( - ) Zn | Zn2+ || Cu2+ | Cu ( + ) カソード

セパレータが採用されています。 エジソンの蓄音機にも使われた歴史的な電池です。


  4 86
乾電池(ルクランシェ電池・屋井電池・ガスナー電池)の模式図
©K.Tachibana
電池式 アノード (-) Zn |KOH | MnO2, C| Ni (+) カソード
リチウム電池

戦後の石油化学の発達とリチウム電池

  5  電池の種類
電池 電池式 性質や特色
歴史的電池 1800 ガルバノ電池
ボルタ電堆
Zn|H2SO4aq|Cu 銅は単なる集電体。正極活物質は酸素。
ダニエル電池 Zn|Zn2+aq||Cu2+aq|Cu 正極活物質と負極活物質が分離。集電体は反応系を兼用
一次電池 1888 乾電池 1 ) Zn|NH4Claq|MnO2,C|C 正極活物質に酸化物(固体)とバインダーを採用。正極合材。 負極活物質亜鉛は両性金属なので、アルカリに溶けてしまう。
1950 アルカリ乾電池 Zn | KOHaq | MnO2,C | Ni
1970 リチウム電池 Li | LiClO4,PC | MnO2,C | SUS304 有機電解液 採用。
二次電池 1991 リチウムイオン電池 2 ) (-) Cu | C | LiPF6,EC+DEC | LiCoO2,C | Al (+)
鉛電池 鉛は両性金属だが、硫酸には溶けない。
ニカド電池 * Cd|Cd(OH)2|KOH aq|NiOOH 亜鉛と違って カドミウムは両性金属でないのでアルカリに溶けない。
ニッケル水素電池 MH|KOH aq|NiOOH 水素吸蔵合金はアルカリに溶けない。
https://www.baj.or.jp/battery/knowledge/structure.html 3 ) 4 ) 5 )

イタリアの解剖学者Lugi Galvani(1737-1798)は、蛙の解剖に端を発した二つの異種金属を接触させたときに流れる電流を動物電気と称した(1979)。 この現象は直ちに同国のAlessandoro Count Volta(1745-1827)により追試され、ボルタの電堆として実証された(1800年3月)。 Galvaniの業績をたたえてこの種の電池を ガルバニ電池と呼んでいる。

小沢昭弥ら、 現代の電気化学 6 )

1970年、ソニーラジカセ発売。 モーターを駆動するカセットテープで、アルカリマンガン電池が必須となった。 松木健三先生は、 アノードで固体が析出することに興味を持たれた。 佐藤誠先生のご指導のもと、松木健三先生、電解二酸化マンガンについて博士論文をまとめられた。

1975年には、ソニーが、ユニオンカーバイト電池部門と提携、アルカリマンガン乾電池の製造拠点として、山形県米沢市から遠くない福島県郡山市にソニーエバレディを設立した。 そして、1979年ウォークマンが発売された。


リチウム電池

  6 51 リチウム電池の模式図
©K.Tachibana Copyright all rights reserved.
電池式 アノード (-) Li |LiClO4/PC+DME |MnO2,C|C (+) カソード
乾電池

有機電解液の開発と、電気化学で金属リチウムが使えるようになりました。


インド・ボパール殺虫剤事故

  7 祈りの雨 (1984 ユニオンカーバイトボパール化学工場事故)

1985 鎌田仁先生(東京大学)→尾形健明先生(東北大学)→ 伊藤智博先生、 立花:光音響分析による深さ方向分析(卒業論文)

1986 事故で経営破綻に陥ったユニオンカーバイトから、株を買収、ソニーの完全子会社のソニー・エナジー・テックが誕生した。 松木研から多数の卒業生が就職し、のちにリチウムイオン電池を実用化することとなる。 1986 旭化成、吉野らリチウムイオン電池の基本特許を出願している。


なぜ乾電池や金属リチウム電池は充電できないか?

  8 もし ダニエル電池 を充電したら
K.Tachibana

金属の方が導電率が大きいので、デンドライドが形成されてしまいます。


充電可能化と負極の固相反応化

51 リチウム電池の模式図
©K.Tachibana Copyright all rights reserved.
電池式 アノード (-)Cu| C6Lix | LiPF6/EC+DEC | Li1-xCoO2, C | Al (+) カソード
※充電式電池では、充電時にカソードとアノードが入れ替わります。

リチウムイオン二次電池 では、 正極活物質負極活物質も、 固相反応にすることでカタチが変形を最小限にしています。 しかし、反応生成物の化学組成が違う以上、密度が変化するので、カタチの変形から逃れることはできません。 カタチの変形によって、固体と固体の 接触状態が変わるため、 電池の内部抵抗の増大の原因になります。

1991 ソニー・エナジー・テック、リチウムイオン二次電池発売

1992 バブル崩壊の危機を危ぶんでいた立花が松木先生からオファーを受けて母校山形大学へ戻った。 ユニオンカーバイトを退職されていた 小澤昭弥先生に出会い、電池を教わった。 7 )

2003 内田先生(東北大学)立花博士論文リチウムイオン二次電池集電体 アルミニウムについて」を提出。

2006 旭化成の特許特許権消滅

2019 吉野先生ノーベル賞


【ブレインストーミング:―これから生き残る電池の特徴とは?-】


電極の構造と導電パス


リチウム電池(LIB)のジェリーロール構造と寸法例

正極 負極
  9 リチウム電池(LIB)のジェリーロール構造と寸法例
©Copyright Satoshi Ishikawa all rights reserved.

ジェリーロール構造は、スパイラル電極構造とか捲回型とも言われます。 円筒型電池には、出力重視のスパイラル電極構造のほかに容量重視のボビン電極構造もあります。 * さらに出力重視では、ラミネート型電池に使われる枚葉積層型があります。 * * 電極面積を大きくし、電極間距離を小さくして、電解液による溶液抵抗を減らし、 内部抵抗を小さくします。


リチウム電池(LIB)の構造

  10 354
リチウムイオン二次電池の構造と電極
©K.Tachibana
電池式 アノード (-)Cu| C6Lix | LiPF6/EC+DEC | Li1-xCoO2, C | Al (+) カソード
※充電式電池では、充電時にカソードとアノードが入れ替わります。

リチウムイオン電池は、 正極集電体に正極合材、負極集電体に負極合材があって、それぞれ、 正極負極となります。 セパレータを介して電解液を挟みます。 活物質、導電助剤、バインダーなどを合材スラリーとして集電体上に、塗布し、乾燥して、電極とします。


リチウムイオン二次電池の正極(放電時カソード)の構造

正極活物質
  11 109
リチウムイオン二次電池の正極と内在する界面
© K.Tachibana

正極では、 正極合剤は、 正極活物質、 導電助剤、バインダー(PVdF、NMP)を混錬したスラリーからなり、 正極集電体に塗布・乾燥されている。 電池 の放電時は、 正極活物質にチウムイオンと電子が吸収され(電荷移動過程)、それぞれ導電助剤と電解液を通る。

電池材料

リチウムイオン二次電池の負極(放電時アノード)の構造

負極活物質
  12 108
リチウムイオン二次電池の負極の構造と内在する界面
© K.Tachibana

負極では、 負極合剤は、 負極活物質、 導電助剤、バインダー(SBR、CMC、水)を混錬したスラリーからなり、 負極集電体 に塗布・乾燥されている。 電池 の放電時は、負極活物質からリチウムイオンと電子が放出され、それぞれ導電助剤と電解液を通る。


接着剤と結着材の違い

362
接着と結着
©K.Tachibana

接着の様式、点接着と面接着

  13 379
接着の様式、点接着と面接着
©2007 K.Tachibana

繊維が絡まるような、接着によらない粒子同士の結着もあります。


接着の様式と破断の種類

380
接着の様式と破断の種類
©K.Tachibana

364
集電体と電池材料の付着
©M.Morita 8 )

369
溶媒による集電体からの活物質の剥離
©H.Takeda

  14 226
アノード分極による剥離
©M.Morita, C1

極性固体と非極性固体

  15 PVDF
©赤間未行

9 )


SBR

  16 PVDF
(©黒澤大輝

バインダーの種類

  17 374 バインダーの種類
© K.Tachibana
溶剤系バインダーと水分散系バインダー

配向分極(電気二重層)

  18 351
配向分極(電気二重層)
©2017 K.Tachibana

  19 238
バインダー樹脂の種類と電解液の分解電位
© 2010 F. Sato

三相界面とコンタクトライン

42
活物質表面での電子パスとリチウムイオンパス
©

  20 43 244
表面積よりコンタクトラインの長さ
© K.Tachibana

固固接触は点接触、固体電解質の難しさ

  21 175 粒界界面の存在
©K.Tachibana

結着材の柔軟性による体積膨張収縮緩和

  22 378
バインダーのスプリングバック
©K.Tachibana

結着材の膨潤性による物質移動パス

  23 373
樹脂で被覆しない、電子伝導の阻害
©M.Yaginuma, C1

【ブレインストーミング:―電池の中で、何をどうつなぐべきか?-】


電池の長寿命化に向けて


電池の内部抵抗とバッテリーの放熱の関係


  24 電池の起電力と内部抵抗
©K.Tachibana
Vo Q = Ve.m.f. Q - rI
Vo Q = Ve.m.f. Q - η t Q Q t

電池の起電力は、正極と負極の単極電位の差です。 単極電位は、おおむね ネルンストの式に従います。 ネルンストの式によれば、電位は、活量に依存します。 このことは電池反応の進行とともに、電位が変化することを意味します。 逆に言えば、端子電圧から、電池の起電力を推定し、 電池の残量SOC)を推定することができます。

電池の端子電圧は、流れる電流が増えると小さくなります。この電流増加に対する電圧降下の割合を電池の内部抵抗と言います。


モノポーラとバイポーラ

  1 電池・電解槽の種類
分類 種類 備考
セル(単電池) 二極式 フルセル 実用電池(コインセル、円筒型電池)、メッキ試験(ハルセル)、電解槽など。 アノード カソードのみ
三極式 ハーフセル 作用極 、対極、 参照極
バッテリー(組電池)
電解槽
単極式(モノポーラ)
複極式(バイポーラ) 液を通しての短絡電流を防ぐなどの工夫が必要となる。 トヨタ 古河電池

  25 電極の接続様式

バイポーラ接続では、ブスバーなどの重量を低減できるため、 バッテリーだけでなく、 水電解の電解槽などでも、応用が考えられるが 液絡のリスクを減らすのが課題です。 10 )


バッテリー、セル、電極

158 バッテリー、セル、電極
©K.Tachibana

電源装置としての電池はバッテリーと言います。

ストリングの接続には、モノポーラとバイポーラがあります。

有機電解液は導電率が小さいため内部抵抗の増大の課題がありますが、 起電力の大きなリチウム電池では、同じ電圧を得るのに直列につなぐセルの数が少ないため、バッテリーとしては内部抵抗を下げるのに有利です。


367
電池の大型化と外皮面積
©K.Tachibana

電池の内部抵抗の増加とサイクル特性の関係

  26 198 🖱 電池の内部抵抗とSOC- OCV曲線
©K.Tachibana

電池の内部抵抗 が大きくなると、カットオフ電圧に到達する時間が短くなり、電池の容量が小さくなります。 電池の内部抵抗 は、溶液抵抗( 抵抗過電圧)と接触抵抗からなります。 接触抵抗は、オーミックコンタクトでは、固体間接触の集中抵抗からなり、 またショットキーコンタクトでは、反応抵抗( 活性化過電圧)や皮膜抵抗となります。 SOCの推定に使われます。


接触材料の極性による空間電荷層の形成と内部抵抗

  27
界面
©K. Tachibana

  28 空間電荷層と接触抵抗
©K.Tachibana

接触抵抗Rc 接触容量Cc 粒子間抵抗Rp 粒子間容量Cp 粒界抵抗Ri バルク抵抗Rb
  29 接触抵抗Rc * +粒子間抵抗Rp+粒界抵抗Ri+バルク抵抗Rb

Rb+Ri+Rpは、15kΩ以下と推定された。 等価回路

©2020 K.Tachibana
  30 接触抵抗Rc * +粒子間抵抗Rp+粒界抵抗Ri+バルク抵抗Rb
©2020 K.Tachibana

電池 の劣化に伴う 内部抵抗の増大は、 形状変化に伴う 接触抵抗 の増大によるところが大きい


剥離による導電パスの切断とサイクル劣化

366
充電操作による劣化
©K.Tachibana

バッテリマネジメントとサイクル劣化

  2  BMSの機能
項目 説明
セルの過充電、過放電を防ぐ機能 電位検出
セルの過電流を防ぐ機能 短絡検出、発熱検出、過電流保護、過電圧保護
セルの温度管理を行う機能( BTMS 発熱検出、加熱、冷却
電池残量(SOC)・充電状態を算出する機能 積算電気量、電位
健康状態(SOH)を算出する機能 サイクルごとの内部抵抗
セル電圧の均等化(セルバランス)を行う機能

リチウムイオン電池には、過充電および過放電を防止する保護回路が必要である。24 V系の電源では、リチウムイオン電池を7 セル直列に接続して、各セルの電圧を監視し、正常な電圧範囲を逸脱した場合、回路を遮断する保護装置が必要である 11 )

*

* 経済産業省、蓄電池産業の競争力強化に向けて

バッテリーインスペクションと劣化診断

太陽エネルギー 二酸化炭素 蓄電池 ソーラーパネル 電気自動車
  31 低炭素住宅V2H

V2Hとは、 電気自動車の電池を、 住宅の電池(ESS)にリユース することです。 電気自動車電池容量は、 40kWh程度とすれば、住宅の電池10kWhの4世帯分に相当します。

しかし安全リユース するには、バッテリーのインスペクションが欠かせません。


【ブレインストーミング:―AIにとって扱いやすい電池とは?-】


参考文献


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