物質に電気を流すには、 電極を少なくともふたつ取り付けなくてはいけません。 電極ふたつがついた一組を、セルと呼びます。 電解槽、電気化学セル、電池などセルと言います。 セルは電気エネルギーを使った反応器です。
セルには細胞という意味もあります。
ひとつあるいは複数のセルを直列につないで電気と取り出すひとかたまりとした場合の電池は、バッテリーと呼びます。
セルには寸法があります。 セルの寸法でうち大切なふたつは、電極面積と電極間距離です。 電極面積と電極間距離の比をセル定数と言いますが、実際のセルでは複雑なカタチをしているので、セル定数を実験的に定めることが多いです。 また電極面積も、電極表面に微細な凹凸があったりすると、真の電極面積とみかけの電極面積が異なります。 真の電極面積とみかけの電極面積の比を、拡面倍率と呼んだりします。
導電率 などを測定するセルでは、白金黒(こく)などで電極表面で加工して、拡面倍率を大きくして、電極表面インピーダンスを小さくして、導電率測定の精度を向上させます。
平行平板電極であれば、
セル定数a=電極間距離d÷セル断面積S
です。
一般的には、導電率既知のKCl溶液などを使って、セル定数を較正します。
コンダクタンス=導電率
電気抵抗=抵抗率×長さ÷電極面積
固体電解質の粒界をインピーダンスで調べようとすると、誘電分極ではなう電子分極させなければならないため、かなり高い周波数が必要です。 もっとも、そうやって調べる粒界抵抗は、電子抵抗であって、電子の2000倍もの質量をもつイオンが、粒界を通過できる保証はありません。結局、テストセルを作って、直流分極するしかありません。