電池評価のための交流インピーダンス測定の基礎と応用

3.交流インピーダンス法と材料評価


3.1 電池の特性から材料物性へ

電池(セル)、界面特性、物性値

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インピーダンスから物性値へ
©K.Tachibana
05.エネルギー化学 1217 1224

  1 インピーダンス と物性との 関係
計測可能 物理量 セル 界面 の特性値
面積
バルクの物性値
セル定数
電気抵抗R=電圧÷電流 反応抵抗Rct〔Ωm-2〕=電圧÷ 表面 電流密度
接触抵抗 * =電圧÷表面電流密度
抵抗率ρ=電場強度÷ 断面 電流密度
抵抗率ρ〔Ωm〕=電気抵抗R〔Ω〕÷ セル定数 a〔1/m〕
抵抗率ρ=1÷導電率
コンダクタンスG=1÷電気抵抗R 導電率 σ〔Sm-1〕 、電気伝導度
静電容量 (キャパシタンス)C 電気二重層容量Cd〔Fm-2 誘電率 ε
インダクタンスL 透磁率 μ
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電池の内部抵抗は、 バルク抵抗だけでなく、界面抵抗に左右されます。 溶液に金属を浸しただけのダニエル電池のような単純な電池では、バルク抵抗が支配的ですが、 合材電極や固体電解質を使うリチウムイオン電池のような複雑な電池では、界面抵抗が支配的です。 電池の内部抵抗の評価には、 交流評価と直流評価を組み合わせが必要です。


インピーダンスに出てくる諸元

  2   インピーダンスに出てくる諸元
物理量 数式 備考
周期 Ts 🖱山のてっぺんからてっぺんまでの時間です。
周波数 fHz f = 1/T 周波数と振幅で交流を表現します。
角周波数 ω ω=2πf
電圧 振幅Ep0 交流の大きさの表現には、振幅のほかにピークトゥピークや実効値があります ()。
電流 振幅Ip0 I= Q t
インピーダンス Z〔Ω〕 Z = R + j X *
絶対値 |Z| Z = R 2 + X 2
位相角 φ tan(φ)=X/R
アドミタンス Y〔S〕 Y = G + j B *
インダクタンス L L= V I t
静電容量C C= Q V
電気抵抗 R R= V I インピーダンス Z の実部
リアクタンス X インピーダンス Z の虚部、 X=ωL-1/ωC
コンダクタンスG アドミタンス Y の実部
サセプタンス B アドミタンス Y の虚部
09.エネルギー化学 14.エネルギー変換化学特論 1210 1217

3.2 直流と交流―時間と周波数―

交流の大きさと周波数(正弦波の振幅)

  1 84 交流の大きさと周波数(正弦波の振幅)
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https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/56307/_14/Amplitude.asp

時間領域と周波数領域

  2 🖱 時間領域(左)と周波数領域(右)

横軸が周波数のグラフを、スペクトルと言います。 フーリエ変換は、横軸を時間から、周波数に変換する方法です。 デジタルコンピュータの発展で、さまざまな応用ができるようになりました。


3.3 等価回路の要素―電気抵抗と静電容量―

電気抵抗の等価回路

電気抵抗
電気抵抗のみの 等価回路

静電容量の等価回路


LCRメーターで等価回路を解析

  3 LCRメーター *
14.エネルギー変換特論 1210 1217 1224

動物にたとえた等価回路

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動物にたとえた等価回路(右:ダニエル電池、左:複合電極)
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電極の中だけでも大変なのに、電池、バッテリー、バッテリーシステムに等価回路を設定するのは至難の業です。 コンピュータにお任せしてAIを使いましょう。


3.4 ボーデプロットとコールコールプロットの読み解き方


  4 リサージュ図形

ランドルス型等価回路

反応抵抗 界面 電解質
  5 典型的な電極界面の等価回路
14.エネ特 03.エネ特 1217 1224

3.5 デジタルフーリエ変換の落とし穴―AD/DA変換―

  4 AD変換 DA変換 ビット深度分解能
範囲例/V ビット深度 ステップ 分解能/mV コメント
0-5V 8 256 19 初期のデジタルビデオ
0-10V 12 4096 2 初期のアナログ計測
0-20V 16 65536 0.3 CDオーディオ
0-20V 24 16777216 0.0011 スマホ、PCサウンド
13.情報処理概論 1217 1210

デジタルフーリエ変換 では、AD変換の精度で、十分な情報が得られないことがあります。 組電池のようにインピーダンスが低い系では、 電流遮断法などの、 過渡応答解析 の方が実用的かもしれません。


量子化によるノイズ(ビット深度と分解能)

  6 127 量子化によるノイズ(ビット深度と分解能)
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https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/56307/_14/Quantization.asp

RC並列+R直列(ランドルス)回路の定電流過渡応答

  7 🖱 RC並列+R直列(ランドルス)回路の定電流過渡応答

電流遮断法による過渡応答解析です。


  5   リチウムイオン電池 充放電の上限電圧と下限電圧の例
電圧 内容
危険 5.00 安全弁解放
4.25 保護回路作動電圧
注意 4.20 使用上限電圧
適性 4.15 カットオフ上限電圧
3.30 カットオフ下限電圧
注意 3.00 使用下限電圧
危険 2.40 保護回路作動電圧
🖱 電池の内部抵抗と充放電曲線

0.01V違うと、副反応のリスクが急激に増大します。 特に ADCの精度が低いと危険です。


3.6 電池とバッテリー-組電池―

バッテリー、セル、電極

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バッテリー、セル、電極
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ストリングの接続には、モノポーラとバイポーラがあります。

15. エネルギー変換化学特論 1019 1217 1224

バッテリー、ストリング、セルに流れる電流

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バッテリー、ストリング、セルに流れる電流
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15. エネルギー変換化学特論 1019 1217

バッテリー、ストリング、セルの電圧

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バッテリー、ストリング、セルの電圧
©K.Tachibana
15. エネルギー変換化学特論 1019 1217

3.7 バッテリマネジメントシステム(BMS)


バッテリの管理はマイコンで

ルネサスよりRAJ240090のスペック

そうした中でルネサスは、「産業向けリチウムイオン電池管理ICとして業界初」というマイコン(RL78 CPUコア)を内蔵し、ソフトウェアで柔軟に多様な電池システム仕様に対応できる電池管理ICを実現した。電池残量の計測や、過電圧、過電流などの安全監視機能(アナログフロントエンド部)とマイコンが1パッケージ化されたため、電池制御の電圧測定に必要な高精度A-Dコンバーターとマイコンとのマッチングを事前に調整した上で提供するため、キャリブレーション作業が大幅に削減できるとする。その他、新製品は、電源、FETドライバー、リアルタイムクロックなどを搭載し、電池管理システム部分のトータルコストを従来品よりも「30%削減可能」(同社)とした。
シリアル通信 C ラズベリーパイ・エッジ

  6  電池の状態
項目
残量
電圧
内部抵抗
温度

3.8 データベースとビッグデータ―AI時代へ向けて―

フーリエ変換(FFT)と機械学習(AI)に共通するのは行列演算

  8 171 フーリエ変換(FFT)と機械学習(AI)に共通するのは行列演算
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11.情報処理概論 1224 1217 1210 0205

人工知能(AI)はいろいろなジャンルがあるが、 今言われているのは、機械学習とディープラーニングと言われるもの。 ビッグデータの存在が前提となる。 ビッグデータを扱うのに配列(行列)の演算をやらないとならない。

数式 例えば数学の知識が必要となるのは、ゲーム開発や人工知能、統計学などで、とても限られています。そのため、文系でもプログラミング習得を諦める必要は全くありません。

tensorflow.org 文系
電池評価のための交流インピーダンス測定の基礎と応用
  • 1. 電気化学と電池の基本 🔁 (10:30~12:00)
    • 1.1 モノに電気が流れる仕組み―電子とイオン―
    • 1.2 電気でモノを作る―水電解―
    • 1.3 モノから電気エネルギ-を取り出す―電池の放電―
    • 1.4 電池のリユース―充電式電池の課題―
    • 1.5 モノとモノとが触れ合うところ―界面―
    • 1.6 固体接触は点接触―全固体電池の課題―
    • 1.7 電池のカタチ―形状と性能―
    • 1.8 二酸化炭素はどこで出る?―効率と劣化―
  • 2. 電気化学測定の基本 🔁 (13:00~14:30)
    • 2.1 コイン電池の落とし穴―フルセルとハーフセル―
    • 2.2 はじめに測定すること―電池の起電力と内部抵抗―
    • 2.3 過電圧と電流密度―LSV―
    • 2.4 反応電位と反応の可逆性―CV―
    • 2.5 充電曲線と放電曲線―CP-
    • 2.6 実用的な充電―CCCV-
    • 2.7 初期充電の異常を見逃すな―サイクル試験―
  • 3. 交流インピーダンス法と材料評価 🔁 (14:40~16:10)
    • 3.1 電池の特性から材料物性へ
    • 3.2 直流と交流―時間と周波数―
    • 3.3 等価回路の要素―電気抵抗と静電容量―
    • 3.4 ボーデプロットとコールコールプロットの読み解き方
    • 3.5 デジタルフーリエ変換の落とし穴―AD/DA変換―
    • 3.6 電池とバッテリー-組電池―
    • 3.7 バッテリマネジメントシステム(BMS)
    • 3.8 データベースとビッグデータ―AI時代へ向けて―

表紙
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/54299/c1/Extra_Syllabus/2021_R03/20211217.asp
1.電気化学と電池の基本
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/54299/c1/Extra_Syllabus/2021_R03/20211217/20211217_01.asp
2.電気化学測定の基本
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/54299/c1/Extra_Syllabus/2021_R03/20211217/20211217_02.asp
3.交流インピーダンス法と材料評価
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/54299/c1/Extra_Syllabus/2021_R03/20211217/20211217_03.asp