2022年5月28日の CO2濃度は、 推定438ppm。 この100年間で、地球大気中の二酸化炭素の濃度は1.4倍になった。 前史時代の二酸化炭素濃度は、280ppmでほぼ一定だった。 石炭 を使い始めた産業革命から指数的に増加を始めた。 石油を使い始めてからは指数項が加わった。
今、地球がヤバい。 脱炭素社会 には 再生可能エネルギー の活用が必須。そのためには、電気を 備蓄 する電池が必須なのだ。
米沢キャンパスだけで、 1500kWもの電気を使っています。 太陽光発電で賄えるのは、 昼間の日光があるときで、せいぜい30kW。再生可能エネルギーの太陽光だけでは、電気が全然足りません。
スマートグリッドでは、 センサーを使って電力を計測し、インターネットの通信を使って、発電量を制御します。気候に左右されやすい再生可能エネルギーでは、余剰電力を 電池 に蓄えます。
XMLでデータ交換することもできます。
光熱費というぐらいで、光と熱になったら、なかなか使い道がないのです。
電池 | 電池式 | 性質や特色 | |
---|---|---|---|
歴史的電池 |
ガルバノ電池 (ボルタ電堆) |
Zn|H2SO4aq|Cu | 銅は単なる集電体。正極活物質は酸素。 |
ダニエル電池 | Zn|Zn2+aq||Cu2+aq|Cu | 正極活物質と負極活物質が分離。集電体は反応系を兼用 | |
一次電池 | 乾電池 * | Zn|NH4Claq|MnO2,C|C | 負極活物質の 亜鉛は両性金属なので、アルカリに溶けてしまう。 |
1950 アルカリ乾電池 | Zn | KOHaq | MnO2,C | Ni | ||
1970 リチウム電池 | Li | LiClO4,PC | MnO2,C | SUS304 | ||
二次電池 | 1991 リチウムイオン電池 | ||
鉛電池 | 鉛は両性金属だが、硫酸には溶けない。 | ||
ニカド電池 * | Cd|Cd(OH)2|KOH aq|NiOOH | 亜鉛と違って カドミウムは両性金属でないのでアルカリに溶けない。 | |
ニッケル水素電池 | MH|KOH aq|NiOOH | 水素吸蔵合金はアルカリに溶けない。 |
ガルバーニ電池、 ボルタ電堆、 ダニエル電池と発展します。
ダニエル電池では、正極も負極もカタチが変形するのです。 しかも、カタチの変形が可逆でないのです。 可逆でないカタチの変形は、充電式電池(二次電池)にとって、致命的です。
リチウムイオン二次電池 では、 正極活物質も 負極活物質も、 固相反応にすることでカタチが変形を最小限にしています。 しかし、反応生成物の化学組成が違う以上、密度が変化するので、カタチの変形から逃れることはできません。 カタチの変形によって、固体と固体の 接触状態が変わるため、 電池の内部抵抗の増大の原因になります。
一例としてアルミニウムと銅に合材スラリーを塗布してぐるぐる巻きにした構造があります。リチウムイオン二次電池は、活物質、導電助材、バインダーなどさまざまな材料を使った部材からなります。
電池には電極があります。酸化が起きる極をアノード、還元が起きる極をカソードと呼びます。 以前はアノードを陽極、カソードを陰極と呼びましたが、正極と陽極がまぎらわしいのでアノードと呼びます。 アノードは電流が外部回路から流れ込む極です。カソードは電流が外部回路へ流れ出す極です。 アノード、カソードは電流の向きに注目した呼び方です。 それとは別に正極と負極という呼び方があります。 電位の高い極を正極、電位の低い方を負極と呼びます。 正極、負極は電位の高低に注目した呼び方です。
電解質は、電子絶縁体です。電池で、電子絶縁破壊が起きると、電気分解です。 コンデンサでは、電子絶縁体は、誘電体です。
電極の呼び名として電位の高低に注目した正極、負極と電流の向きに注目したアノード、カソードがあります。電解質ではイオンが動き、電解質は電子絶縁材料として働きます。
注目する量 | 電極の名称 | 説明 |
---|---|---|
電位に注目 | 正極 | 電位の高い電極、(+)プラス。 正極活物質 は、電池放電時に、酸化剤。 |
負極 | 電位の低い電極、(-)マイナス。 負極活物質 は、電池放電時に、還元剤。 | |
電流に注目 | アノード | 電流が流れ込む電極。酸化反応が起きる電極。 放電するときは負極。 充電式電池では、充電のときは正極。 |
カソード | 電流が流れ出る電極。還元反応が起きる電極。 放電するときは正極。 充電式電池では、充電のときは負極。 |
リチウムイオン電池は、 正極集電体に正極合材、負極集電体に負極合材があって、それぞれ、正極と負極となり、セパレータを介して電解液を挟みます。 活物質、導電助剤、バインダーなどを合材スラリーとして集電体上に、塗布し、乾燥して、電極とします。
正極では、 正極合剤は、正極集電体に塗布されている。 電池 の放電時は、正極活物質にチウムイオンと電子が吸収され(電荷移動過程)、それぞれ導電助剤と電解液を通る。
固体の分類 | 結晶 | 性質や特色 | 物質の例 |
---|---|---|---|
金属 | 金属( 導体 ) | 金属光沢がある。 金属伝導 | 鉄、 🜠 銅、亜鉛、 🜀 アルミニウム |
半金属 | ギャップ幅が狭く、価電子帯の頂上と伝導帯の底がフェルミ準位を横切って いる | 黒鉛 *、ビスマス、アンチモン | |
絶縁体 | 半導体 | ギャップが比較的狭い | ケイ素( 共有結合)、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、炭化ケイ素 |
絶縁体( 不導体 ) | ギャップが比較的広い | 酸化アルミニウム(イオン結合) ダイヤモンド(共有結合) |
分類 | 状態 | 性質や特色 | 物質の例 |
---|---|---|---|
気体 | プラズマ | 電離したイオンと電子が動く | 雷 |
液体 | 電解質溶液 | イオン結晶が、溶媒中で、電離し、 溶媒中を溶媒和したイオンが動く | 食塩水, KOH aq, LiPF6/EC+DEC |
溶融塩、イオン液体 | イオンが動く | LiCO3+KCO3 | |
固体 | ゲル電解質 | 溶媒で膨潤したマトリクス中をイオンが動く | PVDF |
固体電解質 | 固定された格子中をカチオンが動く | AgI LiF(SEI) ポリマー電解質 |
電気分解は、電解質(電子絶縁体)の絶縁破壊です。
計測可能 な 物理量 (セル) |
界面
の特性値 (面積) |
バルクの
物性値
(セル定数) |
---|---|---|
電気抵抗R=電圧÷電流 |
反応抵抗Rct〔Ωm-2〕=電圧÷
表面
電流密度
接触抵抗 * =電圧÷表面電流密度 |
抵抗率ρ=電場強度÷
断面
電流密度
抵抗率ρ〔Ωm〕=電気抵抗R〔Ω〕÷ セル定数 a〔1/m〕 抵抗率ρ=1÷導電率 |
コンダクタンスG=1÷電気抵抗R | 導電率 σ〔Sm-1〕 、電気伝導度 | |
静電容量 (キャパシタンス)C | 電気二重層容量Cd〔Fm-2〕 | 誘電率 ε |
インダクタンスL | 透磁率 μ |
電池の内部抵抗は、 バルク抵抗だけでなく、界面抵抗に左右されます。 溶液に金属を浸しただけのダニエル電池のような単純な電池では、バルク抵抗が支配的ですが、 合材電極や固体電解質を使うリチウムイオン電池のような複雑な電池では、界面抵抗が支配的です。 電池の内部抵抗の評価には、 交流評価と直流評価を組み合わせが必要です。
固体は、形状が決まっているので、接触界面に多様性がある。
固体 | 液体 | 気体(真空) | |
---|---|---|---|
固体 |
固固接触 面接触(例: pn接合) 線接触(三相界面)(例:正極合材) 点接触(三相界面)(例:固体電解質) |
固液界面 | 表面 |
液体 | 固液界面 (例:電極と電解液) | 液液界面 (例:水と油) | 気液界面 (表面) |
気体(真空) | 表面 | 気液界面 (表面) | (混合) |
固体粒子の接触は、点接触です。面積を見積もるのがとても大変です。界面の電流密度がわかりません。 接触抵抗は電流集中( 集中抵抗)を伴うので、圧縮などの影響を受けやすいのです。活物質や炭素材料、固体電解質などの取り扱いが難しいのはそのためです。
結合の種類 | 結晶 | 性質や特色 | 物質の例 |
---|---|---|---|
イオン結合 | イオン結晶 | 固体は 導電率が小さい(絶縁体)。水溶液や溶融塩は 導電率が大きい。 (キャリア:イオン)。 | 塩化ナトリウム、塩化銀、水酸化ナトリウム |
共有結合 | 分子結晶 | 分子式 で表す。融点や沸点は低い。 | 酸素、アンモニア、水※1、ドライアイス |
共有結合の結晶 | 黒鉛や導電性高分子は、例外的に電気を通す。 | ダイヤモンド、 黒鉛、 ケイ素、 水晶 、石英※2 | |
金属結合 | 金属の結晶 | 導電率 が大きい(キャリア:自由電子)。 | 銅、亜鉛、 🜀 アルミニウム リチウム |
※1.水分子は共有結合に分類されるが、液体の水はわずかに電離して電気を流す。 このイオン結合的な性質を、極性分子と表現する。
※2.ケイ酸塩のケイ酸はイオン結合に分類されるが、共有結合としての性質が強く、焼成などで成型することができる。
界面 | 電位差 | 界面 | 例 |
---|---|---|---|
オーミックコンタクト | 0 | 金属|金属 | 銅|アルミニウム |
金属|半金属 | アルミニウム|グラファイト | ||
金属| 電解液 | 白金|Fe2+,Fe3+/ aq | ||
ショットキーコンタクト | 界面電位差 (起電力) | 金属| 電解液 | 銅|銅イオン水溶液 |
半導体|半導体 | アルミニウム(酸化アルミニウム皮膜)|酸化マンガン(Ⅳ)、 | ||
金属| 固体電解質 | 金|ヨウ化銀 |
イオン化傾向の大きな物質と、小さな物質の組み合わせです。
電流の流れ方 | 特徴 | ||
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漏れ電流 | トンネル電流で、電流が漏れる | 圧力に敏感(炭素粉末など) | |
絶縁破壊 | ある電圧を超えると一気に電子が雪崩れ込む。 (活性化過電圧の存在) |
分解電圧を調べるときは、電圧を掃引して、電流を測定します。 これを LSV (リニアスイープボルタンメトリー)ということもあります。 電流電圧曲線から、溶液抵抗の傾きを外挿して、分解電圧を求めます。 理論分解電圧から分解電圧を引いて、 過電圧を求めます。 過電圧を電流密度の対数の関係をターフェルプロットと言います。
電池では、電流を掃引して、電圧を測定します。 求めた電流電圧曲線は、電池の放電の 内部抵抗 を求めるのに使われます。
電池の容量は、活物質の量に支配されます。ファラデーの電気分解の法則から理論容量が計算できます。容量に電圧をかけると電池から取り出せるエネルギーが計算できます。質量や体積で割るとエネルギー密度となります。 電池の寸法は規格で決まっているので、電池の容量を増やすにはいかに活物質を詰め込むかにかかっています。
電池の発熱は、電流の二乗×内部抵抗。 発熱は、無駄な発電負荷であり、二酸化炭素の排出。 電池の内部抵抗を下げることが、脱炭素社会への道。
電圧降下=活性化過電圧+濃度過電圧+抵抗過電圧(溶液抵抗+接触抵抗)
電池の発熱は、電流の二乗×内部抵抗。 発熱は、無駄な発電負荷であり、無駄な二酸化炭素の排出。 大型電池ほど、放熱が不利になり、熱暴走のリスクが高まります 電池の内部抵抗を下げることが、脱炭素社会への道。
電圧降下=活性化過電圧+濃度過電圧+抵抗過電圧(溶液抵抗+接触抵抗)
電圧 | 内容 | |||
---|---|---|---|---|
危険 | 5.00 | 安全弁解放 | ||
4.25 | 保護回路作動電圧 | |||
注意 | 4.20 | 使用上限電圧 | ||
適性 | 4.15 | カットオフ上限電圧 | ||
3.30 | カットオフ下限電圧 | |||
注意 | 3.00 | 使用下限電圧 | ||
危険 | 2.40 | 保護回路作動電圧 |
0.01V違うと、副反応のリスクが急激に増大します。 特に ADCの精度が低いと危険です。