HOME 教育状況公表 令和3年9月29日

11.表面処理とアノード酸化―アルマイトと不動態-―アルマイトと不動態―

山形大学  工学部  化学・バイオ工学科  仁科辰夫

エネルギー化学 Web Class syllabus 53209 10:30-12:00 仮想教室中示範B C1 English korea 簡体 繁体

Alアノード酸化皮膜は、耐食性・耐候性のみにとどまらず、幅広く応用できます。


銀塩化銀電極をアノード酸化で作る

平常演習 Web Class

表面処理とアノード酸化

表6.1  表面処理法とその目的、用途
表面処理法 目的 用途(具体例)
電気めっき (イ)装飾 (ロ)耐食 (ハ)耐摩耗 (二)機能
  • (イ)装飾品(金ボタン、時計側)
  • (イ)+(ロ)耐食性装飾品(自動車用マーク)
  • (ハ)耐摩耗品(エンジンシリンダー)
  • (二)合金めっき(ワイヤメモリ、磁気ヘッド)
  • 無電解めっき (イ)装飾 (二)機能
  • (イ)下地めっき(自動車用マーク)
  • (二)磁性めっき(磁性めっき)
  • 気相めっき (ロ)耐食 (ハ)耐摩耗 (ハ)機能
  • (ロ)+(ハ)耐食・耐摩耗品(切削工具)
  • (二)酸化物超伝導体(電子デバイス)
  • エッチング (二)機能
  • (二)砂目立て(PS版)
  • (二)回路形成(プリント基板)
  • (二)表面積増大(電解コンデンサー)
  • アノード酸化 化成 (イ)装飾 (ロ)耐食 (ハ)耐摩耗 (二)機能
  • (イ)+(ロ)+(ハ)アルマイト処理(アルミサッシ)
  • (二)Alの酸化膜(電解コンデンサー)
  • (ロ)+(ハ)+(二)Alの酸化膜(PS版)
  • 電解研磨 (イ)装飾 (ロ)耐食 (二)機能
  • (イ)+(ロ)耐食装飾品(ステンレス鋼)
  • (二)超精密研磨(超精密部品)
  • 塗装
  • 電着塗装
  • (イ)装飾 (ロ)耐食
  • (イ)装飾 (ロ)耐食
  • (イ)+(ロ)耐食装飾品(カラーステンレス、バンパー)
  • (イ)+(ロ)耐食装飾品(自動車ボデー)
  • 化学処理 (イ)装飾 (イ)装飾品(カラーステンレス)
    泳動電着 (イ)装飾 (ロ)耐食 (二)機能
  • (イ)+(ロ)耐食装飾品(自動車ボデー)
  • (二)酸化物超伝導体(磁気シールド)
  • 表面硬化
  • 浸炭、窒化、浸透
  • (ロ)耐食 (ハ)耐摩耗 (ロ)+(ハ)耐食・耐摩耗品(工具)
    化学修飾 (二)電極の機能化(電池用電極、センサー)
    電鋳 (イ)装飾 (二)機能
  • (イ)装飾品(精巧な美術品)
  • (二)複雑形状金属(精密機器部品、電子部品)
  • アルマイト加工

    【製品】メタリックなネームプレート 40wt%塩化第二鉄FeCl3水溶液を10mL調整し、さらに濃塩酸HClを1mL加えて腐食液とする。 Cu-PET、Fe-PET、Al-PETフィルムを適当な大きさに切り、紙やすりで研磨し清浄な面を露出させ、ビニールテープを貼ってマスキングする。 また染色したAl-PETではそのままビニールテープでマスキングする。マスキングを自分の好きな形(自分のイニシャルなど)を残して切り取る。 着色していない場合はPET面から字が読み取れるように左右反転してマスキングすると美しく仕上がる。マスキングされていない金属部分を腐食液で腐食溶解する。 腐食液を水洗いし、マスキングを剥がして水洗いし、乾燥する。黒ラシャ紙を台紙にしてメタリックネームプレートを作成する。突然激しい溶解が起きることがあるので、操作はドラフト内で行う。 またPETフィルムは弾力があり、溶液を弾き飛ばすことがあるので保護眼鏡などを着用して実験する。 ( 小林一也, 工業技術基礎 , 実教出版 , プリント配線の基礎知識 , p.101, (2002).)


    活性態と不働態

    金属 を酸化すると酸化物ができます。 この酸化物が表面を覆うとその金属は溶けなくなります。 この状態を不働態といいます。 ステンレスやアルマイトはその性質を利用した材料です。 (現代の電気化学p.105)

    アルマイトは特に電気化学的に酸化して作る材料です。 金属のアルミニウム アノードとして電解液の中につけて、通電して表面処理します。 アノード酸化を利用した表面処理技術は アルミサッシ アルミニウム電解コンデンサ、PS版 などに応用されています。

    着色アルマイトの応用例 (出典: YKKデュアルカラーファスナー

    着色アルマイトはアノード酸化して、その穴に染料をつめて作ります。


    アノード酸化の工業的応用を調査してみよう。


    アルミニウムのアノード酸化(アルマイト加工)

    Al| Al2O3 | NH4OOC(CH2)4COONH4 aq

    美しく着色された アルマイト は、アルミニウムをアノード酸化し、表面に無数の穴を作成して、そこに染料をつめこんだのちに封孔処理して作られます。 工場ではロールをアノード、電解槽をカソードとして連続生産しますが、学生実験ではビーカーセルで表面処理します。 現代の電気化学,p149

    【製品】美しく着色されたアルミニウム 試料極にアルミニウムワイヤを用いる。アルミニウムは測定直前に研磨後、0.1M NaOHでアルカリ前処理を行い、水で十分に洗浄する。電解液に0.1M H2SO4を用い、対極にアルミニウムワイヤを用いて一定電流10mA/cm2を通電し、電位時間曲線(クロノポテンショグラム)を測定する。電流値を監視し、常に一定になるように抵抗尺を操作する。カレントフォロアと電流分割器を使うか、後述設問のガルバノスタットを使うことを推奨する。そのときの電位をエレクトロメータで読み取る。アノード酸化が終ったら、加温したコンゴーレッド(50mg/10mL)、アニリンブルー溶液(50mg/10mL)に浸漬し、酸化していないアルミニウムワイヤと着色状態を比較する。またAl-PETフィルムを紙やすりで磨き清浄な面を露出させ、同様に染色加工し、メタリックピンクおよびメタリックブルーのフィルムを作成する。 Al/H2SO4/Al

    化学実験Ⅰで着色した アルマイト


    電流値を一定にする操作を自動的に行うにはどのような回路を使えば良いか?
    硫酸の替わりにアジピン酸アンモニウムやホウ酸を用いた場合にはどんな工業製品に応用できるか?

    現代の電気化学 6.3.2 陽極処理

    アルミニウムをアノード酸化してアルマイトを作成するときの手順について調べ、説明しなさい。また表面処理としてのアノード酸化について工業的応用について説明しなさい


    アノード析出の応用(電解コンデンサ)

    コンデンサは、電気をためる電子部品です。 電圧を上げるインバータなど使われます。

    アルミニウム電解コンデンサの模式図
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    97 アノード酸化

    PS版

    印刷
    項目オフセットグラビアスクリーン活版
    平版 凹版 孔版 凸版
    刷版 PS版 エッチング、彫刻 活字組版
    工程 ロール ロール 枚葉 枚葉
    対象 フィルム
    用途 新聞・雑誌・ 書籍 ・広告、朝日新聞、暮しの手帖ニュートン、フォーカス カレンダー・パッケージ スマホ 書籍・図書、世界の名作全集など
    歴史 昭和高度成長期 明治期
    11.無機工業化学 エネルギー化学
    6.3

    アノード析出の応用(電解二酸化マンガン)

    固体電解質との違い。

    空孔。 クレーガー=ビンクの表記法。

    混合伝導が電流効率に及ぼす影響。

    電気抵抗が電圧効率に及ぼす影響。

    寸法安定化電極。

    電解二酸化マンガンを合成するときアノードでどういう工夫がされているか説明しなさい。


    鉄の不働態化

    濃硫酸を運ぶ鉄の貨車

    鉄の不働態化についてボルタモグラムの挙動から説明しなさい。

    鉄の酸化被膜

    ステンレス

    ステンレスの工業的応用について述べなさい。

    ステンレスは文字通り錆びない鉄合金です。ステンレスといえども塩化物イオンが濃縮されると孔食という腐食が進行することがあります。

    次回

    次回の 電気化学工業製品への応用2―乾電池・ディスプレイ―を勉強しましょう。

    ©2021 Kazuhiro Tachibana

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    エネルギー化学
    1. 量と単位-自然界を測るものさし-
    2. エネルギーと生活-動力と電力-
    3. 材料と電気-化学結合の種類-
    4. 電気と化学―電池と豆電球のつなぎ方と電流・電圧の測り方―
    5. セルの組立―電池式の書き方と電極の呼び方―
    6. 電気分解とファラデーの法則―銅クーロメーターと電気めっき―
    7. 電池の起電力―銀塩化銀電極とネルンストの式―
    8. 分解電圧―電力効率とターフェルの式―
    9. 測定法-ボルタンメトリーと交流インピーダンス法-
    10. センサーと情報変換-pH電極、参照電極-
    11. 表面処理とアノード酸化―アルマイトと不動態-
    12. 印刷とフォトリソグラフィー―エッチングと腐食―
    13. エネルギー変換と化学―一次電池と二次電池ー-
    14. 自然との共生―バイオと光-
    15. エネルギーと情報-ディスプレイとエレクトロニクス―


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