リチウム電池駆動用電解液中におけるアルミニウムの不働態化. , . 2001.
アルミニウムの酸化皮膜は半導体です。 金属以外は半導体と言えます。 金属は自由電子があるので電気を流します。 半導体は自由電子がないので電気を流しません。 でも、熱励起した電子が少しは電気を流すのです。 これをホッピング伝導と言います。
自由電子というのは、バルク全体に広がった波動関数に存在する電子です。 バルク全体ではたくさんの原子があります。 それに伴い、たくさんの電子があります。 パウリの排他律から、ひとつの波動関数に入れる電子は二つまでです。 ということは、バルク全体に広がった波動関数はたくさんあることになります。 この少しずつエネルギー順位の違った波動関数をまとめてバンドと呼びます。 電子が存在するバルク全体に広がったバンドをコンダクションバンドとか導電帯とか言います。 自由電子はコンダクションバンドに所属する電子のことなのですね。
金属とはコンダクションバンドに電子がいる状態で、半導体はコンダクションバンドに電子がいない状態です。
原子の近くだけにある波動関数もあります。 バレンスバンドとか価電子帯とか言います。 このバレンスバンドにいる電子を、熱エネルギーで、コンダクションバンドに移動させれば、電子はバルク全体のどこにでも移動できます。 これがホッピング伝導です。
では、電子のいないコンダクションバンドに外部から電子を注入したらどうなるでしょう?
電気が流れるようになりますね。 これを絶縁破壊と言います。 強い電界でコンダクションバンドに電子を注入すると、バルクは電気が流れるようになり、次はそれほど強い電界でなくても電子を注入できるようになります。 導電率は電子があればあるほど大きくなりますから、この現象は芋づる式に電子の流れがよくな方へと変化します。 これを電子雪崩と言います。
コンダクションバンドへ電子が注入されるときに、イオンが存在するとどうなるでしょうか?
このときは、注入されるべき電子がイオンに奪いとられてしまい、そのイオンが化学反応を起こして、生成物がくっついてしまいます。 そうすると、コンダクションバンドの連続的に電子が注入されるようなことはなく、生成物がどんどんと蓄積していくことになるわけです。
これが高電場機構によるアルミニウムのアノード酸化で、おおざっぱにいってその電流密度は印加された電場の強さの指数に比例します。 実験的にさいしょに報告したのがガンターシュルツさんなので、ガンターシュルツの式と呼ばれています。
リチウム電池駆動用電解液中におけるアルミニウムの不働態化. , . 2001.
アノード酸化皮膜に対する対象物接触による絶縁性の発現理論. 山形大学 物質化学工学科 , 修士論文 , 2018. https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/Academic/@Thesis.asp?nThesisID=417, (参照 ).