HOME 教育状況公表 令和4年5月28日

01.高電場機構とアルミニウムのアノード酸化

機能界面設計工学特論 Web Class 📆 3-3308

山形大学  大学院  物質化学専攻  立花和宏


アルミニウムのpH電位図

  1 アルミニウムのpH電位図1)

こちらの図にアルミニウムのpH電位図を示します。

アルミニウムのpH電位図によると中性領域では、酸化アルミニウムが生成し、安定である。 そして、酸性領域ではAl3+が、塩基性領域ではAlO2-が発生します。

図の電極電位とpHに関する領域図は基準となる溶存イオン濃度10-6Mの時のものである.通常この領域は溶存イオン濃度によって変化する.

Pourbaix1)によれば中性領域の時にAlの表面に生成する被膜,腐食生成物は熱力学的に最も安定なのがHydrargillite(Al2O3·3H2O)と書かれているが,そのほかにもBayerite(Al2O3·3H2O),Bohmite(γ-Al2O3·H2O),Corundum(α-Al2O3),Amorphous hydroxide(Al(OH)3)が挙げられている.

参考文献

1)M. Pourbaix, Atlas of Electrochemical Equilibria, (Pergamon Press, 1966), 168-176.

田邉 悠

アルミニウムの酸化皮膜は半導体です。 金属以外は半導体と言えます。 金属は自由電子があるので電気を流します。 半導体は自由電子がないので電気を流しません。 でも、熱励起した電子が少しは電気を流すのです。 これを ホッピング伝導 と言います。

自由電子というのは、バルク全体に広がった波動関数に存在する電子です。 バルク全体ではたくさんの原子があります。 それに伴い、たくさんの電子があります。 パウリの排他律から、ひとつの波動関数に入れる電子は二つまでです。 ということは、バルク全体に広がった波動関数はたくさんあることになります。 この少しずつエネルギー順位の違った波動関数をまとめてバンドと呼びます。 電子が存在するバルク全体に広がったバンドをコンダクションバンドとか導電帯とか言います。 自由電子はコンダクションバンドに所属する電子のことなのですね。

金属とはコンダクションバンドに電子がいる状態で、半導体はコンダクションバンドに電子がいない状態です。

原子の近くだけにある波動関数もあります。 バレンスバンドとか価電子帯とか言います。 このバレンスバンドにいる電子を、熱エネルギーで、コンダクションバンドに移動させれば、電子はバルク全体のどこにでも移動できます。 これがホッピング伝導です。

では、電子のいないコンダクションバンドに外部から電子を注入したらどうなるでしょう?

電気が流れるようになりますね。 これを絶縁破壊と言います。 強い電界でコンダクションバンドに電子を注入すると、バルクは電気が流れるようになり、次はそれほど強い電界でなくても電子を注入できるようになります。 導電率は電子があればあるほど大きくなりますから、この現象は芋づる式に電子の流れがよくな方へと変化します。 これを電子雪崩と言います。

コンダクションバンドへ電子が注入されるときに、イオンが存在するとどうなるでしょうか?

このときは、注入されるべき電子がイオンに奪いとられてしまい、そのイオンが化学反応を起こして、生成物がくっついてしまいます。 そうすると、コンダクションバンドの連続的に電子が注入されるようなことはなく、生成物がどんどんと蓄積していくことになるわけです。

これが高電場機構によるアルミニウムのアノード酸化で、おおざっぱにいってその電流密度は印加された電場の強さの指数に比例します。 実験的にさいしょに報告したのがガンターシュルツさんなので、ガンターシュルツの式と呼ばれています。

j = A exp B e
ガンターシュルツの式
数式- 1

アノード酸化の電流密度と電位上昇速度

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アノード酸化の電流密度と電位上昇速度
© 2003 K.Tachibana

れっか
Fig アルミニウムのカソード分極
©Copyright Takaaki Shiraya all rights reserved.

  3 アノード酸化時に観察される火花放電
© Takaaki Shiraya, C1 Laboratory all rights reserved.

アルミニウム電解コンデンサの模式図

  4 アルミニウム電解コンデンサの模式図
©Copyright Shiraya Takaaki, C1 Laboratory all rights reserved.
©K.Tachibana
11.エネルギー化学 01.界面 13 pedot rekka 0517 1 )

参考文献

応用物理化学特論

野々村・立花・堀田・木俣

本講義では、界面・表面現象や光イメージングといった物理化学的な現象の工学分野における役割を学ぶ。そこでは、化粧品、医薬品および食品を開発する上で重要な、皮膚、毛髪および粘膜上で起こる界面現象から、電池やコンデンサなどのエネルギーデバイスを中心の機能を効率よく発現させるための界面設計、そして、粉体の分散・凝集に関する粉体表面の物性およびその測定法,さらに様々な表面処理方法等について論ずる。また、光学顕微鏡を用いた光イメージングについて、光学素子の役割、イメージの結像、光の回折限界と空間分解能などについて解説する。多重染色によりさまざまな物質を識別できる蛍光顕微鏡において重要となる蛍光色素および蛍光タンパク質などの蛍光プローブとその利用法について解説するとともに、レーザーマニピュレーション法や近年実用化されたナノメートルの空間分解能を持つ超解像蛍光顕微鏡等の応用例を紹介する。

化学計測・生体情報特論

伊藤(智)・遠藤・齊藤

本講義では、物質の有効活用の観点から、物質や生体が有する情報の取得・解析法に関する内容について解説する。そこでは、物質の分離法および機能発現に関するアプローチ他、呼吸,循環に関する生体情報の計測法や生体計測技術により運動中に得られた生体情報を応用生理学的解釈へ導くための解析法についても紹介する。また、工学分野で生産管理や品質管理で使用される分析機器について、ハードウェアおよびソフトウェア,AD変換などの計測技術について解説し、工場などで使われているライフサイクル管理システムにおける分析機器や分析化学の位置づけ,ラインモニタリング技術に対する理解を深める。小型・軽量化が進むセンサーやその周辺の電子回路,AD変換器,マイコン制御についても解説し,IoT(Internet of Things)やIoE(Internet of Everything)を目指した周辺技術など最近のトピックも紹介する。


  1. 高電場機構とアルミニウムのアノード酸化
  2. 不定比化合物半導体とノンストイキオメトリー
  3. 降伏現象と電子雪崩
  4. 電池活物質材料と電解液界面
  5. 集電体と電極合材との接触抵抗
  6. 導電助材と二次元電気伝導
  7. 導電性高分子と一次元電気伝導
  8. ショットキー障壁と電位プロファイル
  9. 電池反応場としての三相界面とコンタクトライン長さ
  10. 有機溶媒とオートプロトリシス
  11. 高電場による高分子の配向分極
  12. 電極界面形状と電場集中
  13. アルミ電解コンデンサ
  14. リチウムイオン二次電池
  15. エネルギーデバイスと機能界面

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17 機能界面設計工学特論 2 講義 1 〇 機能界面設計工学を応用する能力を身につける科目である。 機能界面設計工学に関する専門知識を身につけ、それを応用することができる。 〇 〇 教育課程の編成・実施方針(CP) 1物質化学工学に関する高度な専門職従事者としての知識と技能を体得するために体系的に構成されたカリキュラムを編成する。 2物質化学工学の応用力を養う授業科目を配置する。 〇3産業の現場、各種研究施設又は他専門分野の研究室において、工学に対する視野を広め、問題提起・解決能力を養う授業科目を配置する。 4専門的かつ多面的な考察を通して物質化学工学分野に関する論文を執筆できるべく、適切な助言・指導を行う。 学位授与方針(DP) 〇R1応用化学、化学工学及びバイオ工学に関わる幅広く深い知識とそれらを応用する能力を身に付けている。 〇R2科学技術に関する知識・情報を的確に把握する能力と記述力、発表と討論の能力及び国際的な情報収集能力を身に付けている。 3生涯にわたって自発的かつ継続的に学習できる能力を身に付けている。 4現在の社会状況を理解し、取り組むべき課題等の判断及び行動ができる。 5物質化学工学分野において、高度な専門知識を身に付け、自ら創造性を十分に発揮し、課題解決を先導できる能力を身に付けている。 6考察、検証及び議論を通して多元的に物質化学工学に関する研究を進め、工学の発展に寄与する学位論文を執筆できる。" 2018_H30

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