🏠 🔋C1 Laboratory
令和8年10月7日 (水)

◇ 集電体と電極合材との接触抵抗

◇ 機能界面設計工学特論 Web Class 📆 3-3308

山形大学  大学院  物質化学専攻  🔋 C1 📛 立花和宏
🔋 C1 3308

伝導性のある金属

表   1 .  導電率 の大きな 金属 材料
金属 元素 導電率 /108S/m 抵抗率 /10-8Ω・m
⚛ 🜛 銀 Ag [5s1] 0.63 1.59
⚛ 🜠 銅 Cu[4s1] 0.60 1.68
⚛ 🜚 金 Au [6s1] 0.41 2.44
⚛ 🜀 アルミニウム Al[3p1] 0.38 2.65
⚛ 亜鉛 Zn [4s2] 0.17 6.02
真鍮 (黄銅) Cu,Zn 0.14 7.00
炭素粉末 (AB) C 0.00 210000

抵抗率は、 バルクの 物性値なので寸法に依存しません。

電線ばかりでなく、 電池の集電体 (電池材料)にも使われます。 リチウムイオン電池の 集電体には、銅とアルミニウムが使われます。

金属は、 電解液 に較べると8桁ほど 導電率が大きいです。

炭素材料は、金属ではないが、 黒鉛は電気をよく通します。

数式- 8
https://www.hata-cu.com/blog/post-309/

接触抵抗=集中抵抗+被膜抵抗で求められる 1 ) 。


集電体と電解液の組みわせを変えたときのマンガン酸リチウムの充放電曲線

図   1 .  集電体と電解液の組みわせを変えたときのマンガン酸リチウムの充放電曲線
© 1997 E.Katakura , K.Tachibana * , C1 Lab.
1997_H09 ⑤ 機能界面 20260901 20130621 充放電曲線

劣化した電極から、合材をはがして再びセルに組み立てて充放電させることで次のことがわかります。

アルミニウムと過塩素酸リチウムを組み合わせると、過塩素酸リチウム溶液中のわずかな水分によって塩化物イオンが生じ、アルミニウムが腐食、溶解して、アルミニウムイオンとなり、 マンガン酸リチウム(正極活物質)と反応して、充放電できなくなります。

ステンレスと六フッ化リン酸リチウムを組み合わせると、ステンレス表面で電解液の電気分解が起こり、分解析出物が炭素導電助剤表面に蓄積し、 正極が充放電できなくなります。

片倉英至,立花和宏,松木健三, 第38回電池討論会講演要旨集 (1997) 2 ) 3 )

接触界面

表   2 .   接触界面
固体 液体 気体(真空)
固体 面接触(例: pn接合)
線接触(三相界面 )(例:正極合材、 局部電池)
点接触(三相界面 ショットキー接触 )(例:固体電解質、 炭素導電助剤粒子 )
固液界面 (例:サスペンジョン) 表面 粉体
液体 固液界面 (例:電極と電解液) 液液界面 (例:エマルション) 気液界面 ( 表面 )
気体(真空) 粉体 表面 気液界面 ( 表面 ) (混合)
⑦ ⑭ エネルギー変換特論 ⑤ ⑪ エネルギー化学 ⑪ 無機工業化学 🖱 界面 ⑤ 機能特論 ST2023 1210 1224 0216

物質は、 様々な状態をとります。 界面や表面 は、ある材料の相と異なる材料の相が接するところです。

電池の内部抵抗は、バルクと界面との両方から生じます。 また電池の活物質は 三相界面 で反応が進行します。

固体は、形状が決まっているので、接触界面に多様性がある。 また、固体の表面は、バルクとちがって、さまざまな 欠陥があります。

接触抵抗 内部抵抗

pn接合は、ダイオードや トランジスタの基本です 4 ) 5 ) 。

不定比化合物 も 半導体になります。


接触抵抗Rc 接触容量Cc 粒子間抵抗Rp 粒子間容量Cp 粒界抵抗Ri バルク抵抗Rb
図   2 .  接触抵抗Rc * +粒子間抵抗Rp+粒界抵抗Ri+バルク抵抗Rb

Rb+Ri+Rpは、15kΩ以下と推定された。 等価回路

©2020 K.Tachibana
図   3 .  接触抵抗Rc * +粒子間抵抗Rp+粒界抵抗Ri+バルク抵抗Rb
©2020 K.Tachibana

電池 の劣化に伴う 内部抵抗の増大は、 形状変化に伴う 接触抵抗 の増大によるところが大きい

のぶらは、マンガン酸リチウムの接触抵抗が大きい理由は、界面の電位障壁ではなく、皮膜抵抗であると述べている。 6 ) 。

高速LMO
In this paper, an evaluation method for measuring contact resistance of aluminum current collector surfaces in energy storage systems was established. Contact resistance was calculated by a combination of chronopotentiometry and AC impedance method. Also, we found that contact resistance is dependent on current density.

導電助剤と集電体との接触界面

図   4 .  導電助剤と集電体との接触界面
© K.Tachibana * , C1 Lab.

リチウムイオン二次電池の正極集電体アルミニウムと正極合材の電子伝達は、導電助剤である炭素材料が担います。 固体固体界面のため、 点接触であると考えられます。

正極集電体アルミニウムの 不働態皮膜は、数nm程度と考えられ、 よく使われる炭素材料のアセチレンブラックの粒径がサブミクロンであることを考えると、接触点に電流集中して、接触抵抗になると考えられます。

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導電助剤と集電体との接触界面での電子の状態

図   5 .  導電助剤と集電体との接触界面での電子の状態
© K.Tachibana * , C1 Lab.

導電助剤と集電体との接触 界面は、電池の内部抵抗を左右します。 界面は点接触であり、そこを通じて合材への電子パスが形成されます。

アルミニウム不働態皮膜は イオン結合であり、炭素の表面官能基は共有結合であり、いずれも非局在化した電子は存在せず、その結合は、トンネル電流によると考えられます。 実際、アルミニウムと炭素材料の接触抵抗は、非直線抵抗であり、圧力に敏感であることからも想像できます。

不働態皮膜の皮膜の厚みは、せいぜい数nm。その表面に形成される 空間電荷層は、サブnmと推定されます。 つまり、原子数個分の厚み。炭素の表面官能基の方も、たかだか原子数個分の厚み。そのサブナノの世界で、 電池の性能が左右されます。


◇ 参考文献

応用物理化学特論

野々村・立花・堀田・木俣

本講義では、界面・表面現象や光イメージングといった物理化学的な現象の工学分野における役割を学ぶ。そこでは、化粧品、医薬品および食品を開発する上で重要な、皮膚、毛髪および粘膜上で起こる界面現象から、電池やコンデンサなどのエネルギーデバイスを中心の機能を効率よく発現させるための界面設計、そして、粉体の分散・凝集に関する粉体表面の物性およびその測定法,さらに様々な表面処理方法等について論ずる。また、光学顕微鏡を用いた光イメージングについて、光学素子の役割、イメージの結像、光の回折限界と空間分解能などについて解説する。多重染色によりさまざまな物質を識別できる蛍光顕微鏡において重要となる蛍光色素および蛍光タンパク質などの蛍光プローブとその利用法について解説するとともに、レーザーマニピュレーション法や近年実用化されたナノメートルの空間分解能を持つ超解像蛍光顕微鏡等の応用例を紹介する。

化学計測・生体情報特論

伊藤(智)・遠藤・齊藤

本講義では、物質の有効活用の観点から、物質や生体が有する情報の取得・解析法に関する内容について解説する。そこでは、物質の分離法および機能発現に関するアプローチ他、呼吸,循環に関する生体情報の計測法や生体計測技術により運動中に得られた生体情報を応用生理学的解釈へ導くための解析法についても紹介する。また、工学分野で生産管理や品質管理で使用される分析機器について、ハードウェアおよびソフトウェア,AD変換などの計測技術について解説し、工場などで使われているライフサイクル管理システムにおける分析機器や分析化学の位置づけ,ラインモニタリング技術に対する理解を深める。小型・軽量化が進むセンサーやその周辺の電子回路,AD変換器,マイコン制御についても解説し,IoT(Internet of Things)やIoE(Internet of Everything)を目指した周辺技術など最近のトピックも紹介する。


  1. ◇ 高電場機構とアルミニウムのアノード酸化
  2. ◇ 不定比化合物半導体とノンストイキオメトリー
  3. ◇ 降伏現象と電子雪崩
  4. ◇ 電池活物質材料と電解液界面
  5. ◇ 集電体と電極合材との接触抵抗
  6. ◇ 導電助材と二次元電気伝導
  7. ◇ 導電性高分子と一次元電気伝導
  8. ショットキー障壁と電位プロファイル
  9. 電池反応場としての三相界面とコンタクトライン長さ
  10. 有機溶媒とオートプロトリシス
  11. 高電場による高分子の配向分極
  12. 電極界面形状と電場集中
  13. ◇ アルミ電解コンデンサ
  14. リチウムイオン二次電池
  15. エネルギーデバイスと機能界面

R03

17 機能界面設計工学特論 2 講義 1 〇 機能界面設計工学を応用する能力を身につける科目である。 機能界面設計工学に関する専門知識を身につけ、それを応用することができる。 〇 〇 教育課程の編成・実施方針(CP) 1物質化学工学に関する高度な専門職従事者としての知識と技能を体得するために体系的に構成されたカリキュラムを編成する。 2物質化学工学の応用力を養う授業科目を配置する。 〇3産業の現場、各種研究施設又は他専門分野の研究室において、工学に対する視野を広め、問題提起・解決能力を養う授業科目を配置する。 4専門的かつ多面的な考察を通して物質化学工学分野に関する論文を執筆できるべく、適切な助言・指導を行う。 学位授与方針(DP) 〇R1応用化学、化学工学及びバイオ工学に関わる幅広く深い知識とそれらを応用する能力を身に付けている。 〇R2科学技術に関する知識・情報を的確に把握する能力と記述力、発表と討論の能力及び国際的な情報収集能力を身に付けている。 3生涯にわたって自発的かつ継続的に学習できる能力を身に付けている。 4現在の社会状況を理解し、取り組むべき課題等の判断及び行動ができる。 5物質化学工学分野において、高度な専門知識を身に付け、自ら創造性を十分に発揮し、課題解決を先導できる能力を身に付けている。 6考察、検証及び議論を通して多元的に物質化学工学に関する研究を進め、工学の発展に寄与する学位論文を執筆できる。" 2018_H30

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