構造からみたリチウム電池電極材料. 菅野了次, GS Yuasa Technical Report 2006 年 7 月 第 3 巻 第 1 号.
酸化剤として使える固体は、酸化物が多い。必然的にセラミックスを使うことになる。 金属を使った電極は、充電時に形状を元に戻すことが極めて困難。
スラリーを使った成形結合の種類 | 結晶 | 性質や特色 | 物質の例 |
---|---|---|---|
イオン結合 | イオン結晶 | 固体 は 導電率が小さい(絶縁体)。水溶液や溶融塩は 導電率が大きい。 (キャリア:イオン)。 | 塩化ナトリウム、塩化銀、水酸化ナトリウム |
共有結合 | 分子結晶 | 分子式 で表す。融点や沸点は低い。 | 酸素、アンモニア、水※1、ドライアイス |
共有結合の結晶 | 黒鉛や導電性高分子は、例外的に電気を通す。 | ダイヤモンド、 黒鉛、 ケイ素、 水晶 、石英※2 | |
金属結合 | 金属の結晶 | 導電率 が大きい(キャリア:自由電子)。 | 銅、亜鉛、 🜀 アルミニウム リチウム |
※1.水分子は共有結合に分類されるが、液体の水はわずかに電離して電気を流す。 このイオン結合的な性質を、極性分子と表現する。
※2.ケイ酸塩のケイ酸はイオン結合に分類されるが、共有結合としての性質が強く、焼成などで成型することができる。
誘電率は、簡単に言えば電荷密度と電場強度金属の比です。
金属は、 金属結合 なので、分極されると、電荷が表面に集まります。このような分極を静電誘導と言います。
活物質は、 イオン結合 なので、分極されると、イオンの位置がずれて電気がたまります。このような分極を誘電分極と言います。
電池には電極があります。
酸化が起きる極をアノード、還元が起きる極をカソードと呼びます。 以前はアノードを陽極、カソードを陰極と呼びましたが、正極と陽極がまぎらわしいのでアノードと呼びます。 アノードは電流が外部回路から流れ込む極です。カソードは電流が外部回路へ流れ出す極です。 アノード、カソードは電流の向きに注目した呼び方です。 それとは別に正極と負極という呼び方があります。 電位の高い極を正極、電位の低い方を負極と呼びます。 正極、負極は電位の高低に注目した呼び方です。
ダニエル電池を放電するときは、負極の亜鉛が酸化して亜鉛イオンになります。 つまり負極がアノードです。 乾電池の負極も亜鉛です。 乾電池に豆電球をつないで点灯させているときも亜鉛が亜鉛イオンとなって溶け出していることになります。
例 |
ヘルマン・モーガン記号 (Hermann-Mauguin) |
シェーンフリース記号 (Schoenflies) |
説明 | |
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H2O | C2v | |||
CH4 | Td | |||
LiCoO2 | 便宜的に 六方晶系 |
集合に定められた演算について、結合律が成り立つとき、その集合は半群です。 さらに交換律が成り立つとき、その集合は可換半群です。 単位元をもつ半群のすべての元が逆元を持つとき、その半群は群といいます 2 ) 。
物質の誘電率について 出典:山本電機工業
正極合材は、正極活物質、導電助材、結着材を正極集電体に塗布乾燥して正極とする。
コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン鉄酸リチウムリン酸鉄リチウム1)、EMD二酸化マンガン(IC21)、ニッケル酸リチウム、酸化銀、酸化銅など。
リチウムイオン二次電池の活物質は、数ミクロンから数10ミクロンの粒径を持つものが実用化に適している。粒径が大きいとリチウムイオンの拡散が間に合わなくなり、粒径が小さいと比表面積が大きくなって導電助材やバインダーの量が増えて、電池容量が小さくなってしまうからである。
活物質/ 略号 | 理論容量 /mAh/g | 実効容量 (可逆容量) /mAh/g | 用途 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
酸素 | 燃料電池、ガルバノ電池(ボルタ電堆)、 11円電池 | 気体 | ||
銅イオン | ダニエル電池 | 液体 | ||
二酸化マンガン | 308.3 | アルカリ乾電池 | ||
コバルト酸リチウム/ LCO | 273.8 | 130~150 | リチウムイオン電池 (スマホ) |
LiCoO2←Li++e-+CoO2
コバルト回収採算可 |
ニッケル酸リチウム | 274.5 | |||
NCM | 277.9 | 160 | ||
リチウム過剰NCM | 267.1 | 160 | ||
ハイニッケル NCM,LNCM523 | 180~200 | ニッケル回収採算可。 インセンティブは補助金? | ||
ハイニッケル NCA | 180~200 | ニッケル回収採算可 | ||
◇ マンガン酸リチウム(スピネル) LMO * | 148.2 | 110~120 | 密度4.1* 導電率1×10-6S/cm | |
◇ LFP LiFePO4 | リーズナブル。 バイポーラで、NCM置換可能。 |
正極活物質は、主に 電池 の 正極で使われる酸化剤です。 充電式電池(二次電池)では、充電前の電池材料 である正極材料も活物質と呼ばれることがあります。 負極には還元剤が使われます。 酸素、酸化物(二酸マンガン)やフッ化物、硫化物が使われます * 。
* F=96485.33212331 F/Fw*Z電池活物質が100%反応したときの電気量を理論容量と言います。
理論容量 :電池活物質が100%反応したときの電気量これはファラデー定数を式量で割れば求めることができます。 慣例的に電池の電気量は、〔mAh〕で表現されます。 ファラデー定数は、慣例的に〔C/mol〕で表現されますが、 ここでは、〔mAh/mol〕で表現した方が、計算に便利です。
ファラデー定数は、 エネルギー密度や理論容量の計算にも使います。
でも二酸化マンガンは、MnO2-xのように 非量論化合物なので、厳密に式量は定義できない。 電池で使う活物質は、非量論化合物が多い。
電池活物質の式量Fw/g/molリチウムイオン電池の 7 ) の正極として使われる コバルト酸リチウムの式量は、97.873である。 よって、理論容量は、273.9mAh/gとなる。 でもコバルト酸リチウムは、厳密には、酸化してはじめて正極活物質となる。 その場合式量としてリチウムが抜けた状態の量を使って282.6mAh/gとなる。 実際には100%リチウムを抜くことはできない。 そこで慣例的に、コバルト酸リチウムを正極活物質として計算することが多いようである。*
Rb+Ri+Rpは、15kΩ以下と推定された。 等価回路
©2020 K.Tachibana界面 | 電位差 | 界面 | 例 |
---|---|---|---|
オーミックコンタクト | 0 | 金属|金属 | 銅|アルミニウム |
金属|半金属 | アルミニウム|グラファイト | ||
金属| 電解液 | 白金|Fe2+,Fe3+/ aq | ||
ショットキーコンタクト | 界面電位差 (起電力) | 金属| 電解液 | 銅|銅イオン水溶液 |
半導体|半導体 | アルミニウム(酸化アルミニウム皮膜)|酸化マンガン(Ⅳ)、 | ||
金属| 固体電解質 | 金|ヨウ化銀 |
ハードカーボン、ソフトカーボン、ダイヤモンド、DLC、活性炭、人造グラファイト(黒鉛)、炭素繊維、カーボンナノチューブ(CNT) 籾殻燻炭
炭素材料は、 導電性があるので、 電池 の導電助剤として使われます。
電池の内部抵抗は、過渡応答や 交流インピーダンス法で、評価されます。
負極活物質としての炭素材料は炭素への層間化合物として使われます。 グラファイト系の炭素材料です。 ソフトカーボン、 ハードカーボン
炭素材料の表面は炭素ではありません。 表面の極性は電池性能に大きく影響を及ぼします 9 ) 。
構造からみたリチウム電池電極材料. 菅野了次, GS Yuasa Technical Report 2006 年 7 月 第 3 巻 第 1 号.
「椅子を高く持ち上げたときに消費するエネルギーは、椅子の位置エネルギーに時間をかけて求めることができる」はほんとうか?? 問
銅の電解精錬に使う電力は何のためか?それを節電するにはどうしたらいいか?注意すべき点は何か?? 問