電流と電圧と電気抵抗の関係

🖱 103 電流電圧との関係

下記の制御スライダーをドラッグして電気抵抗と電池の特性の違いをみてみましょう。

制御と結果
理想の電気抵抗::理想の電池(非直線)
電流 -I / A 0
電圧 V / V 0
電気抵抗 R / Ω 0

電流と電圧と電気抵抗の関係

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🖱 電流と電圧と電気抵抗の関係
© K.Tachibana * , C1 Lab.

電池から電流を取り出すと 過電圧による電圧降下が生じます。 電流に比例する電圧降下を、電池の内部抵抗と言います。


電気抵抗
  2 電気抵抗のみの 等価回路

理想的な電気抵抗では電流と電圧は比例しますが、理想的な電池ではどれだけ電流を取り出しても電圧は一定。 電圧があるのに内部抵抗が0ということになります。 このような特性は電流と電圧が比例しない非直線関係にあることを示します。

電気抵抗は電流変化に対する電圧変化の割合です。グラフの接線の傾きです。直線抵抗の場合は、割り算でいいのですが、 非直線抵抗の場合は、微分係数になります。しかも、電流あるいは電圧の関数になります。


  3 電池の起電力と内部抵抗
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Vo Q = Ve.m.f. Q - rI
Vo Q = Ve.m.f. Q - η t Q Q t

電池の起電力は、正極と負極の単極電位の差です。 単極電位は、おおむね ネルンストの式に従います。 ネルンストの式によれば、電位は、活量に依存します。 このことは電池反応の進行とともに、電位が変化することを意味します。 逆に言えば、端子電圧から、電池の起電力を推定し、 電池の残量SOC)を推定することができます。 1 )

電池の端子電圧は、流れる電流が増えると小さくなります。この電流増加に対する電圧降下の割合を電池の内部抵抗と言います。


  1  電池の内部抵抗の原因
サイト 抵抗の種類 細分 原因
バルク 溶液抵抗 溶液の導電率 ( 抵抗過電圧
合材層の電子抵抗 導電助剤の炭素粒子同士の抵抗は、接触抵抗であるが、 不均一多孔質の合材層を、ひとつのバルクとみなしたときは、 合材層の電子抵抗ということになる。
拡散抵抗 拡散過電圧(濃度過電圧) イオン移動
集電体 の抵抗 金属の抵抗率 (抵抗過電圧)
界面 接触抵抗 集中抵抗 オーミック界面 点接触による電流の集中
皮膜抵抗 ショットキー界面 トンネル電流
反応抵抗 ショットキー界面 反応過電圧 (活性化過電圧)

電池 の劣化は、形状変化による 接触抵抗の増大です。

電池の発熱は、電流の二乗×内部抵抗。 発熱は、無駄な発電負荷であり、無駄な二酸化炭素の排出。 大型電池ほど、放熱が不利になり、熱暴走のリスクが高まります 電池の内部抵抗を下げることが、脱炭素社会への道。

Vo Q = Ve.m.f. Q - η t Q Q t

過電圧(電圧降下)=活性化過電圧+濃度過電圧+抵抗過電圧(溶液抵抗+接触抵抗

η = η a + η con + η IR

  2   電解や電池の過電圧
過電圧 場所 内容 特徴
活性化過電圧・反応過電圧 界面

深度に依存する、可逆な 内部抵抗水素過電圧酸素過電圧、など。 特別な条件下では、 ターフェルの式で知られます。

η a = a - b log j

界面 の交換電流密度J0が大きいほど、活性化過電圧は小さい。

η a = RT αnF log J J 0
非線形・定常
拡散過電圧・濃度過電圧 界面

界面 の濃度が時間とともに変化するので、濃度過電圧も時間とともに変化する。

η con = η con t

界面 の濃度が大きいほど、濃度過電圧は小さい。 物質輸送がまにあわず、界面の濃度が低下すると濃度過電圧は大きくなる。

η con = - RT αnF log C t C 0
j j 0 = exp α+nF RT η con - exp - α+nF RT η con f t

f(t)の中身は、誤差関数や、拡散係数などが入った込み入った関数です。

定常状態で、電極界面の近傍の物質移動( イオン移動泳動 )律速。

非線形・非定常
抵抗過電圧 バルク

溶液抵抗(導電率セル定数に依存)、接触抵抗、 充電式電池では、サイクルごとに増える不可逆な 内部抵抗

η IR = ρ J l
線形・定常
界面 接触抵抗など。 線形・定常
η = η a + η con + η IR

過電圧が線形なら、 電池の内部抵抗は、過電圧を電流で割ったものです。

r = η I

  3 回路計で測れる物理量
物理量 単位 備考
電圧 V V 乾電池開回路電圧1.65V。 乾電池 の公称電圧は1.5Vダニエル電池起電力は、1.1V 水の理論分解電圧は1.23V。
電流 I A 豆電球の電流は 0.5A。 ぽちっと光ったLEDの電流は1mA。 電流密度=電流÷電極面積
I= Q t
時間 t s
電気量 Q C Q = I t
🖱 電気エネルギー 電気量×電圧
電気抵抗 R Ω
R = V I , V = R I
静電容量 C F ( ファラッド )
C = Q V , V = 1 C I t
インダクタンス L H ( ヘンリー )
L = V I t , V = L I t

回路計は、電圧、電流、電気抵抗などを測定できます 2 )

電気抵抗、静電容量、インダクタンスを実現する電子部品( 回路素子)として 抵抗器、コンデンサ(キャパシタ)、コイルがあります 3 )

数式 電気にまつわる量

電気抵抗があるということは発熱による損失があるということ。 グラフの囲まれた面積は、単位時間あたりに熱として損失するエネルギーになります。

電気抵抗のボルタモグラム
エネルギーと生活-動力と電力-

電池の内部抵抗とSOC- OCV曲線

  4 198 🖱 電池の内部抵抗とSOC- OCV曲線

電池の内部抵抗 が大きくなると、カットオフ電圧に到達する時間が短くなり、電池の容量が小さくなります。 電池の内部抵抗 は、溶液抵抗( 抵抗過電圧)と接触抵抗からなります。 接触抵抗は、オーミックコンタクトでは、固体間接触の集中抵抗からなり、 またショットキーコンタクトでは、反応抵抗( 活性化過電圧)や皮膜抵抗となります。 SOCの推定に使われます。


100 電気量と電圧との関係
電池とエネルギー
  5 電池の内部抵抗と過電圧
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Vo Q = Ve.m.f. Q - η t Q Q t
電池の内部抵抗と過電圧 電池のインピーダンスと材料物性


197
電池の充放電曲線
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https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/52255/_13/ChargeDischarge.asp

  4 主な電気化学測定法
名称 概略 制御 測定 装置
クロノポテンショメトリー (CP 電圧電気量曲線 電池充放電曲線 過渡応答 など 電流 電圧 ( 電位 )、時刻 🚂 ガルバノスタット、データロガー
クロノアンペロメトリー 電流絞り込み曲線など 電圧 電流、時刻 🚂 ポテンショスタット 4 ) データロガー
リニアスイープボルタンメトリー (LSV) 分解電圧の測定など 電圧、掃引速度 電流 🚂 ファンクションジェネレータ、 🚂 ポテンショスタット、データロガー
サイクリックボルタンメトリー ( CV) 5 ) 電圧、掃引速度 電流 反応種の特定など
電圧電流曲線 電流 電圧 電池の内部抵抗
コンダクトメトリー 導電率 誘電率 の測定など 電圧 電流 🚂 ファンクションジェネレータ 6 ) 🚂 ポテンショスタット、データロガー
交流インピーダンス法 導電率 の測定など 電圧 周波数 電流 ファンクションジェネレータ、ポテンショスタット、データロガーオシロスコープLCRメータ * *

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