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🌡️ 📆 令和6年4月21日

05. 電池の内部抵抗と過電圧

山形大学  理工学研究科(工学系)  物質化学工学専攻  🔋 C1 立花和宏


  1 電池の起電力と内部抵抗
©K.Tachibana
Vo Q = Ve.m.f. Q - rI
Vo Q = Ve.m.f. Q - η t Q Q t

電池の起電力は、正極と負極の単極電位の差です。 単極電位は、おおむね ネルンストの式に従います。 ネルンストの式によれば、電位は、活量に依存します。 このことは電池反応の進行とともに、電位が変化することを意味します。 逆に言えば、端子電圧から、電池の起電力を推定し、 電池の残量SOC)を推定することができます。

電池の端子電圧は、流れる電流が増えると小さくなります。この電流増加に対する電圧降下の割合を電池の内部抵抗と言います。


  2 電池と 内部抵抗 と 等価回路
©K.Tachibana
r Q = η t Q Q t I

電池は、化学エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスです。 その変換効率は高いほど良いです。 変換損失は熱エネルギーとなって放出されます。 この発熱は変換効率を悪化させるだけでなく、電池の温度を上昇させ、電池の安全な動作を妨げます。 電池の発熱は、内部抵抗rという 等価回路で表現されます。 電池の端子間電圧Vは、電池の起電力Ve.m.f.より電圧降下Irを差し引いた電圧です。


電流と電圧と電気抵抗の関係

  3 103
🖱 電流と電圧と電気抵抗の関係
©K.Tachibana

電池から電流を取り出すと 過電圧による電圧降下が生じます。 電流に比例する電圧降下を、電池の内部抵抗と言います。


電流は電気の流れ。電気は何かが担う。その何かには電子やイオンがある。電子はそれ以上分割できない電荷の最小単位。

電池から電流を取り出すと、電圧が下がります。この電圧降下と電流の比を電池の内部抵抗と言います。 横軸に電流、縦軸に電圧をとったグラフは次のようです。

  4 電池の内部抵抗と過電圧
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Vo Q = Ve.m.f. Q - η t Q Q t

電池、界面特性、物性値

  1 インピーダンス と物性との 関係
計測可能 物理量
セル
界面 の特性値
面積
バルク 物性値
セル定数
電気抵抗 R[Ω]
=電圧÷電流
R = V I , V = R I
反応抵抗(面積抵抗率) Rct〔Ωm-2
=電圧÷ 表面 電流密度
接触抵抗 (界面抵抗) * =電圧÷表面電流密度
抵抗率(体積抵抗率)ρ
=電場強度e÷ 断面 電流密度
抵抗率ρ〔Ωm〕=電気抵抗R〔Ω〕÷ セル定数 a〔1/m〕
抵抗率ρ=1÷導電率
ρ = e j
コンダクタンスG[S]
=1÷電気抵抗R
導電率 σκ(カッパ))〔Sm-1〕 、電気伝導度
静電容量 (キャパシタンス)C
C = Q V , V = 1 C I t
電気二重層容量Cd〔Fm-2 誘電率 ε( イプシロン)
=電荷密度÷ 電場強度e
インダクタンスL
L = V I t , V = L I t
透磁率 μ
©2020 K.Tachibana

電池の内部抵抗は、 バルク抵抗だけでなく、界面抵抗に左右されます。 溶液に金属を浸しただけの ダニエル電池 のような単純な電池では、バルク抵抗が支配的ですが、 合材電極や固体電解質を使う リチウムイオン電池 のような複雑な電池では、界面抵抗が支配的です。 電池の内部抵抗の評価には、 交流評価と直流評価を組み合わせが必要です。


電位プロファイルと導電率

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電位プロファイルと導電率
©K.Tachibana

導電率は、 物性値です。 ベクトル量なので、導電異方性があれば、方向依存性があります。

導電率は、電流密度を電界の強さの比です。 電界の強さは電位勾配であり、電位勾配を見るには位置に対して電位を示した電位プロファイルが便利です。

また 導電率は、 移動度 と電荷密度の積です。 移動度は粘度に反比例し、 電荷密度は、イオンの濃度に比例します。

内部抵抗はバルクの導電率で決まり、過電圧は界面の特性で決まります。

内部抵抗が大きくなる様子を動画で見てみましょう。 内部抵抗が大きくなると直線的になり、溶液抵抗や接触抵抗が支配的になることがわかります。 デバイスとしての電池はできるだけ内部抵抗が小さくなるように工夫されているので、 現実的な内部抵抗を評価するには大きな電流を流して電圧降下を調べます。 短絡試験で流れる電流を測るのもひとつの方法と言えます。


  2  電池の内部抵抗の原因
サイト 抵抗の種類 細分 原因
バルク 溶液抵抗 溶液の導電率 ( 抵抗過電圧
合材層の電子抵抗 導電助剤の炭素粒子同士の抵抗は、接触抵抗であるが、 不均一多孔質の合材層を、ひとつのバルクとみなしたときは、 合材層の電子抵抗ということになる。
拡散抵抗 拡散過電圧(濃度過電圧) イオン移動
集電体 の抵抗 金属の抵抗率 (抵抗過電圧)
界面 接触抵抗 集中抵抗 オーミック界面 点接触による電流の集中
皮膜抵抗 ショットキー界面 トンネル電流
反応抵抗 ショットキー界面 反応過電圧 (活性化過電圧)

電池 の劣化は、形状変化による 接触抵抗の増大です。

電池の発熱は、電流の二乗×内部抵抗。 発熱は、無駄な発電負荷であり、無駄な二酸化炭素の排出。 大型電池ほど、放熱が不利になり、熱暴走のリスクが高まります 電池の内部抵抗を下げることが、脱炭素社会への道。

Vo Q = Ve.m.f. Q - η t Q Q t

過電圧(電圧降下)=活性化過電圧+濃度過電圧+抵抗過電圧(溶液抵抗+接触抵抗

η = η a + η con + η IR

電池の内部抵抗と電圧降下

RC並列+R直列(ランドルス)回路の定電流過渡応答

  6 🖱 RC並列+R直列(ランドルス)回路の定電流過渡応答

  7 74 電位プロファイル―正極と負極-
©K. Tachibana

横軸に距離、縦軸に電位をとったグラフを 電位プロファイルなどと言います。 グラフの傾きは、 電界の強さを表します。

電池は化学エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスですが、電池の内部抵抗は変換の際に損失する熱エネルギーと言えます。 熱エネルギーは内部抵抗と電流の二乗に比例します。

平衡電位からのずれを過電圧といいます。 電池には正極と負極がありますから、それぞれの反応過電圧、拡散過電圧と、電解液による抵抗過電圧があります。

電池から取り出す電流が大きいときの内部抵抗の原因が抵抗過電圧です。 電解液の抵抗を下げる努力がされます。 具体的には導電率を上げる、電極面積を増やす、電極間距離を減らす、などの工夫がされます。

電解液の導電率はイオン濃度が大きいほど、粘性がちいさいほど大きくなります。 イオン濃度はイオン半径が大きいほど溶解度が大きくなる傾向がありますが、 粘性はイオンイオン半径が大きいほど大きくなる傾向があり、真逆ですね。


電池の電圧降下と分解電圧の電流電位曲線

溶液抵抗と分解電圧曲線

平衡電位から電位をずらす(分極)すると、活性化過電圧のみの場合は、ある電位から指数関数的に電流が増加します。電流は反応速度を表します。 実際には溶液抵抗が存在するので、電流はあるところから直線的に増加するようになります。 分解電圧は、その直線を外挿して求めます。


  8 電池を動物に例えるなら
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  3 電池を動物に例えるなら
ダニエル電池 乾電池
動物 ブラナリア 脊椎動物
呼吸 体表呼吸 肺呼吸
集電体 なし 分離
循環系 なし 閉鎖血管系
電極 電極表面 複合電極
排出器 体表 腎臓
等価回路 単純 分布定数回路
05.エネルギー変換特論 1210

170
動物にたとえた等価回路(右:ダニエル電池、左:複合電極)
©K.Tachibana

前回

電気エネルギーと物質~電池の系譜~

真空の導電率を再考。


仮に真空の導電率をキャリア濃度×移動度とした場合、 移動度が無限大だとすれば導電率は無限大となる。 逆にキャリア濃度が0だとすれば導電率はどう考えればいいか?

過電圧

  4   電解や電池の過電圧
過電圧 場所 内容 特徴
活性化過電圧・反応過電圧 界面

深度に依存する、可逆な 内部抵抗水素過電圧酸素過電圧、など。 特別な条件下では、 ターフェルの式で知られます。

η a = a - b log j

界面 の交換電流密度J0が大きいほど、活性化過電圧は小さい。

η a = RT αnF log J J 0
非線形・定常
拡散過電圧・濃度過電圧 界面

界面 の濃度が時間とともに変化するので、濃度過電圧も時間とともに変化する。

η con = η con t

界面 の濃度が大きいほど、濃度過電圧は小さい。 物質輸送がまにあわず、界面の濃度が低下すると濃度過電圧は大きくなる。

η con = - RT αnF log C t C 0
j j 0 = exp α+nF RT η con - exp - α+nF RT η con f t

f(t)の中身は、誤差関数や、拡散係数などが入った込み入った関数です。

定常状態で、電極界面の近傍の物質移動( イオン移動泳動 )律速。

非線形・非定常
抵抗過電圧 バルク

溶液抵抗(導電率セル定数に依存)、接触抵抗、 充電式電池では、サイクルごとに増える不可逆な 内部抵抗

η IR = ρ J l
線形・定常
界面 接触抵抗など。 線形・定常
η = η a + η con + η IR

過電圧が線形なら、 電池の内部抵抗は、過電圧を電流で割ったものです。

r = η I

過電圧の種類。 反応過電圧、拡散過電圧、抵抗過電圧。 理論分解電圧と実際の分解電圧の差は過電圧です。 分解電圧


放電時の電位プロファイル

誘電体の電位プロファイル (©赤間未行

書きかけです

κ = μ ρ
導電率
数式- 1
移動度 μ 〔m2/V・s〕=ドリフト速さ v 〔m/s〕÷電界の強さ E 〔V/m〕
移動度 μ 〔m2/V・s〕=電気量 Q 〔C〕÷(6×円周率×流体力学的半径 a 〔m〕×粘度 η 〔Pa・s〕)

書きかけです

次回

リチウムイオン二次電池の構造
http://c1.yz.yamagata-u.ac.jp/Education/Energy.html
エネルギー化学特論
✍ 平常演習
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