HOME 教育状況公表 令和3年9月29日

05. 電池の内部抵抗と過電圧

山形大学  理工学研究科(工学系)  物質化学工学専攻  仁科辰夫・立花和宏

エネルギー化学特論 Web Class syllabus 56339 4-211 C1

電流は電気の流れ。電気は何かが担う。その何かには電子やイオンがある。電子はそれ以上分割できない電荷の最小単位。

電池から電流を取り出すと、電圧が下がります。この電圧降下と電流の比を電池の内部抵抗と言います。 横軸に電流、縦軸に電圧をとったグラフは次のようです。

Fig 電池の内部抵抗と過電圧
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電池、界面特性、物性値

インピーダンスと物性との関係
測定可能な 物理量 界面の特性値 物性値
電気抵抗R=電圧÷電流 反応抵抗Rct〔Ωm-2〕=電圧÷ 電流密度 抵抗率ρ=電場強度÷ 電流密度
抵抗率ρ〔Ωm〕=電気抵抗R〔Ω〕÷ セル定数 a〔1/m〕
抵抗率ρ=1÷導電率
コンダクタンスG=1÷電気抵抗R 導電率 σ〔Sm-1〕 、電気伝導度
静電容量 (キャパシタンス)C 電気二重層容量Cd〔Fm-2 誘電率 ε
インダクタンスL 透磁率 μ
エネルギー化学05 電気化学特論05 電気化学特論14

内部抵抗はバルクの導電率で決まり、過電圧は界面の特性で決まります。

内部抵抗が大きくなる様子を動画で見てみましょう。 内部抵抗が大きくなると直線的になり、溶液抵抗や接触抵抗が支配的になることがわかります。 デバイスとしての電池はできるだけ内部抵抗が小さくなるように工夫されているので、 現実的な内部抵抗を評価するには大きな電流を流して電圧降下を調べます。 短絡試験で流れる電流を測るのもひとつの方法と言えます。


 電池の内部抵抗の原因
サイト 抵抗の種類 細分 原因
バルク 溶液抵抗 溶液の導電率
集電体の抵抗 金属の抵抗率
拡散抵抗 拡散過電圧(濃度過電圧)
界面 接触抵抗 集中抵抗 オーミック界面 点接触による電流の集中
皮膜抵抗 ショットキー界面 トンネル電流
反応抵抗 ショットキー界面 反応過電圧(活性化過電圧)

電池の内部抵抗と電圧降下

電位プロファイル

電池は化学エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスですが、電池の内部抵抗は変換の際に損失する熱エネルギーと言えます。 熱エネルギーは内部抵抗と電流の二乗に比例します。

平衡電位からのずれを過電圧といいます。 電池には正極と負極がありますから、それぞれの反応過電圧、拡散過電圧と、電解液による抵抗過電圧があります。

電池から取り出す電流が大きいときの内部抵抗の原因が抵抗過電圧です。 電解液の抵抗を下げる努力がされます。 具体的には導電率を上げる、電極面積を増やす、電極間距離を減らす、などの工夫がされます。

電解液の導電率はイオン濃度が大きいほど、粘性がちいさいほど大きくなります。 イオン濃度はイオン半径が大きいほど溶解度が大きくなる傾向がありますが、 粘性はイオンイオン半径が大きいほど大きくなる傾向があり、真逆ですね。


電池の電圧降下と分解電圧の電流電位曲線

溶液抵抗と分解電圧曲線

平衡電位から電位をずらす(分極)すると、活性化過電圧のみの場合は、ある電位から指数関数的に電流が増加します。電流は反応速度を表します。 実際には溶液抵抗が存在するので、電流はあるところから直線的に増加するようになります。 分解電圧は、その直線を外挿して求めます。

前回

電気エネルギーと物質~電池の系譜~

真空の導電率を再考。


仮に真空の導電率をキャリア濃度×移動度とした場合、 移動度が無限大だとすれば導電率は無限大となる。 逆にキャリア濃度が0だとすれば導電率はどう考えればいいか?

過電圧の種類。 反応過電圧、拡散過電圧、抵抗過電圧。 理論分解電圧と実際の分解電圧の差は過電圧です。 分解電圧


放電時の電位プロファイル

誘電体の電位プロファイル (©赤間未行

書きかけです

κ = μ ρ
導電率
数式- 1
移動度 μ 〔m2/V・s〕=ドリフト速さ v 〔m/s〕÷電界の強さ E 〔V/m〕
移動度 μ 〔m2/V・s〕=電気量 Q 〔C〕÷(6×円周率×流体力学的半径 a 〔m〕×粘度 η 〔Pa・s〕)

書きかけです

次回

リチウムイオン二次電池の構造
http://c1.yz.yamagata-u.ac.jp/Education/Energy.html
エネルギー化学特論
  1. エネルギーの種類と物質
  2. 電解工業と電気化学
  3. 電池の起電力と分解電圧
  4. 電気エネルギーと物質~電池の系譜~
  5. 電池の内部抵抗と過電圧
  6. 二次電池とキャパシタ
  7. リチウムイオン二次電池の構造
  8. セラミックス材料~正極活物質と導電助材の働き~
  9. 金属材料~負極活物質と集電体の働き~
  10. 有機材料~リチウム電池の電解液~
  11. 高分子材料~リチウム電池のバインダーやセパレータの働き~
  12. 化学工学とリチウム電池~分散・スラリーの作成と塗布乾燥~
  13. サイクリックボルタンメトリーによる電池やキャパシタの評価
  14. 交流インピーダンス法による電池やキャパシタの評価
  15. 電池やキャパシタのマネジメント~BMSやスマートグリッド~