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令和7年4月26日 (土)
卒業研究 54299 Files C1

実験方法

卒業研究 📖 目次 💬 Web Class Syllabus 54299 🕛 時間割 Files 2025研究計画 通年・金曜日 👀 テーマ 3-3301へ入室
山形大学  工学部  化学・バイオ工学科  🔋 C1 伊藤 智博 📛 立花和宏

実験方法

実験方法 は、主題とする モノを準備することと、そのモノを 評価することからなります。


……能動的な作業によって データを作り出していく方法論と言えるでしょう。 自然科学や社会科学的分野、さらに人文科学でも 社会学・社会心理学・文化人類学・民俗学・考古学などの分野で盛んに用いられる手法です。 これらはかなり厳密な手順をふんでいかなければならいので……

  • 実験
  • フィールドワーク(野外調査・巡検)
  • アンケート
  • インタビュー・聞き書き
山形大学基盤教育院,なせば成る!,山形大学出版会 1 )

  1 科学の方法
方法 説明
観察 天体のように規模が大きすぎる場合や、 人体のように倫理上の問題がある場合などは、積極的なアプローチを避け、あるがままを客観的にみて データとする。 目視、 顕微鏡望遠鏡
定性観察 同じかどうかを判断する(同定)。 注目する 尺度で序列をつけ、データとする。 比色分析、帯電序列、層別
定量観察 物理量と単位となる 基準数値で表現する(計測、測定)。 数値 データとする。 ノギスで 長さを測定する。 天秤で質量を測定する。
巡検 現地に趣きあるがままを観察する。 地学、生物の分野で、対象を実験室に持ち込めないときに使う手法。 火山に赴き地層や地質を観察する。 山や野を歩き毒草の分布を調査する。
実験 主に実験室内で条件を設定して、現象を観察し、仮説を検証する。 物理、化学の分野で、対象を実験室内に構築して検証する手法。
対照実験 コントロール(ブランク、比較対象)を設定して、現象を観察し、効果の有無を判定 ( 有意差検定) する。

  2 対照実験 ( コントロール実験 )
対象 効果の有無 誤るリスク
コントロール 効果がある 効果があるのにない誤るリスク
コントロール 効果がない 効果がないのにあると誤るリスク
卒業研究 実験 06 化学バイオ工学実験 165 品質管理 123 無機工業化学

科学の方法において、 目的とする仮説の検証をするとき、 比較の対照となる基準を、コントロールとかブランクとか言います。

コントロール群(対照群)と「処理(治療)群」で効果の有意差を検定するときは、 独立変数をコントロールし、未知の要因は ランダム化 します。

薬理効果の場合は、プラセボ効果も ランダム化 します。 また、二重盲検によって実験者もランダム化します。


実験は、Experimentalが普通で、methodは、使いません。

Experimentalは、「したこと」なので、過去形で書きます。methodは、「すること」なので現在形で書きます。 論文の章立ての実験方法は、「したこと」なので、過去形で書きますね。

粘土分散液として,スチーブンサイト/2wt%水分散液を使用した.粘土分散液に,硫酸を滴下し,pHが7付近に調製し,中性粘土分散液(7.4 mS/cm)とした.導電率を同じにした0.8wt%アジピン酸アンモニウム水溶液(0.8wt%AA水溶液,7.4 mS/cm)を調製した.作用極には,4Nのアルミニウム箔を旗形に切り出した電極面積1 cm2(片面10×5 mm)の旗形電極を使用した.対極に,SUS容器(コヒーミルクピッチャー,内径30 mm)を用いて,1 mA/cm²の電流密度で,10 Vまで化成処理をした.電流を印加した後に,クロノポテンショグラムを作成し,低圧用化成箔の静電容量試験法に従って,静電容量Cを測定した3).その後,15wt%AA水溶液中で,電圧上昇速度dV/dtを求めた.再度,化成処理をして,電圧上昇速度dV/dtと化成開始電圧を求めた.低圧用化成箔の皮膜耐電圧試験法に従って,皮膜耐電圧Vfを測定し,試験中の気体の発生や火花の様子を観察した3). SFJ2021A_03_abst_draft.asp

方法と結果の係り受け

誤った係り受け

実験方法

電流密度 1mA/cm2でアノード酸化をおこなった。

結果と考察

電位上昇速度は,粘土分散液中では0.1V/s,0.8wt%AA中では,0.3V/sであった.

これは、係り受けができていません。

正しい係り受け1

実験方法

電流密度 1mA/cm2でアノード電流を通電し、時間とともに電位を記録し、 電位変化を電流変化で割って、電位上昇速度を求めた

結果と考察

電位上昇速度は,粘土分散液中では0.1V/s,0.8wt%AA中では,0.3V/sであった.

正しい係り受け2

実験方法

電流密度 1mA/cm2でアノード酸化をおこなった

結果と考察

アルミニウムの表面が白っぽくなり、酸化皮膜が生成していることが見て取れた。

と書いて係り受けが完成です。


足らずの記述

原文

セルの通電にはガルバノスタット(HA151,北斗電工製)を使った.3.1.2クロノポテンショグラムと顕微鏡観察結果の電流制御は最初電流密度 +100µA/cm2でアノード電流を通電した.330秒経過後,カソード反転し,電流密度-100µA/cm2でカソード電流を通電した.さらに240秒経過後,再アノード反転し,電流密度+100µA/cm2で再びアノード電流を通電した.

その後のクロノポテンショメトリーの電流制御は統一し以下の条件で実験を行った.最初電流密度+100µA/cm2 でアノード電流を通電した.300秒経過後,カソード反転し,電流密度-100µA/cm2 でカソード電流を通電した.さらに300秒経過後,再アノード反転し,電流密度+100µA/cm2 で再びアノード電流を通電した.

はるか、修士論文2022 2 )

クロノポテンショメトリーと書いておきながら、時間と電位の測定方法が書いていません。 また予備実験と研究論文の実験方法がごっちゃになっています。 精度や繰り返し回数についても言及されていません。

修正を試みた文

セルの通電はガルバノスタット(HA151,北斗電工製)で制御し、参照極に対する作用極の電位を測定した。時間は、ストップウォッチ?(型番?、メーカー?)で測定した。 作用極近傍の液温を、___で測定した。 通電開始時を時刻0とし、アノード通電から開始し、300秒ごとに作用極をアノードとカソードに切り替えた。見かけの電流密度が100µA/cm2となるように、__Aの電流を通電した。セルは_個準備し、平均?のクロノポテンショグラムを求めた。


分率と濃度

  3 分率と濃度
物理量 単位 応用例
物質量 mol
質量分率 重量分率 重量百分率 質量% 、wt%、mass%、ppm 食塩相当量などは、重量百分率のほうがわかりやすいと思う。
体積分率 体積百分率 体積% 、vol%、ppm 気体では、 体積分率 モル分率 分圧 は同じ。 二酸化炭素濃度など。
モル分率 (濃度百分率) 相対湿度とか。
質量体積分率 (重量体積分率) 化学的酸素要求量 生物化学酸素要求量
体積モル濃度 mol/m3 mol/L 滴定とか。
重量モル濃度 mol/kg
質量/体積濃度 mol/kg
また,質量百分率(質量パーセント),体積百分率,物質量百分率のような用語は用いる べきではない(後述の計量法は例外) 3 )
溶媒蒸気圧は、ラウールの法則に従い、 ガスの溶解量はヘンリーの法則に従う。 このよう溶液の溶媒または、溶質の化学ポテンシャル μ( ミュー ) は、濃度表示法に対応して、各々次式で表される ただし、x,m,Cは、注目成分のモル分率、重量モル分率、容量モル分率を各々示す。 4 )

温度圧力流量液位 ( 液面)、 組成 (成分、濃度) は、プロセス変量(プロセス変数)と呼ばれます 5 ) 。 プロセス変量を計測したり、目標値を設定して、 制御したりします。 PID制御などが使われます。


ラミネートセルの組み立て

  1 ラミネートセルの組み立て
© R.Okamura, C1

図にラミネートセルの外観 写真を示す。 6 ) slide


インピーダンスメーター

  2 インピーダンスメーター
© K.Tachibana * , C1 Lab.
装置 ケミカルインピーダンスアナライザー

インピーダンスが測定できます。

交流 を印加して応答を調べます。

アナログ回路のブロック図

ポテンショガルバノスタット

  3 ポテンショスタット

電流規制する装置をガルバノスタット、電位規制する装置をポテンショスタットと言います。 たいていは両方の機能が備わっているのでポテンショスタット/ガルバノスタットのように言います。

ポテンショスタットでは、ファンクションジェネレータで三角波を発生させ、電流応答をXYレコーダで記録することで、 サイクリックボルタンメトリーを行えます。

ポテンショスタット・ガルバノスタットの動作原理と使用にあたり知っておきたいこと

エネルギーの種類と機器分析

  4 エネルギー の種類と分析法
エネルギー 分析法
💪力学 MS、ICP-MS、粘弾性測定
⚡電気 CV (電気化学分析) 、EIS、ポーラログラフィ、 SEM、TEM、EDS(EDX)
🌟光 FT-IR、AAS、UV-VIS、ICP-AES(ICP-OES) XPS(ESCA)、 NMR、ESR,XRD、X線CT、蛍光X線 オージェ分光、ラマン分光
🔥熱 TG/DTA、DSC
🧪化学 滴定、重量分析、LC、GC、GC-MS

機器分析: 情報エネルギー物質

化学分析: 情報物質物質

山形大学実験機器共同利用 山形県工業技術センター 宮城県産業技術センター 福島県ハイテクプラザ 👨‍🏫 機器分析と化学分析

卒業研究
題目 ( Title) *
著者 ( Author )
要旨 (Abstract)
抄録
キーワード
目次
  1. 緒言 ( Introduction )
    1. 背景 ( Background )
    2. 目的(Aim)
  2. 実験方法 (Experimental)
    1. 準備(Preparation)
    2. 👨‍🏫 評価 (Evaluation)
  3. 結果と考察 (Result and Discussion)
  4. 結論(Conclusion)
  5. 資料(図表 数式
  6. Nomenclature
  7. 参考文献 (References) 7 ) 8 )
  4 論文講演の構成

木構造 といいます。

章、節、項、目……

修士論文審査基準

  • (1) 論文題目が適切であること。
  • (2)研究の 背景が記述され, 研究目的が明確であること。
  • (3)研究方法が記述されており,目的に沿った方法であること。
  • (4) 結果図表等を用いて適切に示されていること。
  • (5)考察が 結果に基づいて適切に導き出されていること。
  • (6)目的に対応して 結論が適切に導き出されていること。
  • (7)引用文献 が適切に用いられていること。
大学院理工学研究科(工学系)学位論文審査基準博士前期課程

参考文献


QRコード
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/54299/Common/Paper/Experimental/Experimental.asp
名称: 教育用公開ウェブサービス
URL: 🔗 https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/
管理運用 山形大学 学術情報基盤センター

🏫 学問の自由 は、心の自由。 大学では、精神は自由であらねばならない。(松木健三)
名称:C1ラボラトリー
URL:🔗 https://c1.yz.yamagata-u.ac.jp/
管理運用
山形大学 工学部 化学・バイオ工学科 応用化学・化学工学コース
C1ラボラトリー ( 伊藤智博立花和宏 ) @ 米沢

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