高温 で溶かす、劇薬で化学反応を起こす……、そんな工場のイメージはとても事故が多そうな感じがしますが、実はそうでもありません 3 ) 。
研究開発現場、製造現場、輸送時、 製品、 廃棄物、食……と安全は多岐にわたる 4 ) 。
各工場では、安全第一の標語をかかげ、生産能率より安全を優先させ、労働災害の防止につとめながら生産活動にあたたっている 5 ) 。
ヒヤリハット活動、KY活動、指さし呼称、やりきり厳守 6 )
分類 | 対象物 | |
---|---|---|
有害ゴミ | 蛍光管 水銀 を含む電池 など | |
実験廃棄物 | 放射性物質 PCB 石綿(アスベスト) 発火性、 引火性物質 アルカリ金属 爆発性物質 健康障害を引き起こす化学物質 | |
廃液 | (a)無機系廃液 (b)写真廃液(現像液、定着液) (c)有機系廃液 (d)難燃性有機廃液(含ハロゲン) (e)廃油(機械油、植物油など) (f)シリコンオイル | |
固形廃棄物 | 溶剤に溶けるものは、無機・有機廃液とする。 | |
産業廃棄物 | 試薬瓶・缶 廃プラスティック類 シリカゲル・アルミナ ガラス器具(一斗缶) 金属片・ワイヤー 電線 など 病原性徴生物による汚染物質 | ガラス器具は、一斗缶に入れる ほかは透明ビニールの袋で研究室を記名 4号館北東玄関脇、月末金曜日 |
大分類 | 小分類 | 説明 | 例 |
---|---|---|---|
認知ミス | 無知・無理解/誤認識 | 初心者に多い。 電磁気、放射能、ウイルス、二酸化炭素などのように、直接認知できないものは、 知識、感知スキル、想像力が要求されます。 |
事故例8(基本操作)
分液ロートを用いて抽出を行おうとしたが、ガス抜きをしなかったため、コックを開けたとたん内容物 が噴出し、近くにいた人にかかった。
pythonのライブラリよるstdevの意味の違いを取り違えた。
|
判断ミス | 未熟 | 初心者に多い | |
行動ミス | スリップ/故意/できない | ベテランにおおい。 マンネリ化 思い込み | 注目するべき成分だけに注目し、想定外の異物の混入に気づかなかった |
ヒューマンエラーは、 人的要因 です
無知・・・まさかこんなことになるなんて・・・
未熟・・・こんなつもりじゃなかったんだけど・・・
慣れ・・・いつも通りにやったのに・・・
無知と未知は違います。 組織に知っている人がいないときは未知です。 先生や先輩や上司が知っているとは限りません。 聞かれたときは、知ったかぶりをしないようにしましょう。 事故の原因のなかで、「知らなかった」「教わっていなかった」は、かなりの割合になります。
技術者の無知は倫理違反です。 もし医者が医学の知識なしに手術を行ったら、倫理違反に問われるだろう。 もし弁護士が法律の知識なしに裁判に立ち会ったら、倫理違反に問われるだろう。 同じように、技術者が工学の知識なしに技術を行使したら、倫理違反に問われるだろう。
11 )項目 | 説明 |
---|---|
整理 | 赤札作戦、 不要なものを廃棄する。 メールやファイルストレージなどの情報の削除も忘れずに。 |
整頓 | どこに何をいくつおくか?定位・定品・定量の 3定。そして看板による見える化。 ストライクゾーンに使用頻度の高いモノを置く。 カンバン方式 の看板は通路に対して直角に棚の左上から丁目表示、棚の上から番地表示。危険箇所にはトラマークの線引作戦。 あんどん方式のあんどんは、高い位置に。 |
清掃 | 点検。日常清掃、清掃点検。 ごみ、汚れの発生源を断つ。 問題点の共有。 ヒヤリハット報告。カイゼン報告。 |
清潔 | 維持と 管理。 清掃 保全 (メンテナンス)。 清掃チェックシートの作成。 |
躾 | 運用と徹底。 情報共有。 決められたルールの遵守。コンプライアンス。 訓練し、習慣化していますか? 清掃 チェックシートの運用 |
電池作りの授業で、机の上を散らかしていた女の子を、真っ赤になってこう叱った。
「あとで片づけるなんて言っちゃダメ。ものをつくるときも実験のときも、机の上はきれいにしておくのが絶対なの」
整理、整頓、清掃の3つで、3S活動と言う 14 ) 15 ) 16 ) 。
金属材料 | 非金属材料 | 複合材料 | ||
---|---|---|---|---|
鉄鋼材料 | 非鉄金属材料 |
セラミックス ガラス |
高分子 🏞 ゴム |
|
炭素鋼
合金鋼
鋳鉄
鋳鋼
|
金・銀
・
銅
マグネシウム
ニッケル
チタン
亜鉛
|
🏞
石材
|
繊維強化プラスチック
繊維強化金属
鉄筋コンクリート
金属強化セラミックス
|
材料は、その材質の違いにより金属材料と非金属材料に分類されます 19 ) 。
狭い意味で、材料といったとき、常温常圧で固体の 状態の 物質を指すことがあります。
純物質としての 金属は、柔らかすぎるので、混合物の合金が使われます。広い意味での混合物の固体材料を複合材料と呼ぶことがあります。
種類 | 略号 | 樹脂名 | 用途 |
---|---|---|---|
熱可塑性樹脂 | PE | ポリエチレン | 包装材、石油タンク、バケツ |
PP | ポリプロピレン | ||
PVC | ポリ塩化ビニル | 水道管 | |
PS | ポリスチレン | CDケース、食品 容器 | |
PET | ポリエチレンテレフタラート | ペットボトル | |
PVdC | ポリ塩化ビニリデン | ||
PVdF | ポリフッ化ビニリデン 20 ) | LIB 正極 バインダー | |
熱硬化性樹脂 | FF | フェノール樹脂 | プリント基板 |
MF | メラミン樹脂 | 食卓用品 |
プラスチック材料は、 非金属材料です。 非金属材料には、ガラスなどの無機高分子材料、やセルロースやたんぱく質など天然高分子材料があります。 エンジニアリングプラスチックとして、導電性高分子などもあります。
👨🏫 有機高分子化学―プラスチック、ゴム―略号 | ゴム名 | 用途 | |
---|---|---|---|
天然ゴム | |||
IR | イソプレンゴム | ||
BR | ブタジエンゴム | ||
SBR | スチレンブタジエンゴム | LIB 負極 バインダー | |
NBR | アクリロニトリル-ブタジエンゴム | O-リング |
中心線、外形線、かくれ線 の順に正確な線の太さで描く。寸法線、寸法補助線、引き出し線、参照線を描く。 寸法、寸法補助記号などを記入する。 輪郭線、中心マーク、部品欄、表題欄を描く。 23 ) 。
創作された設計図は、 図形の 著作物です * 。 工業上利用することができる工業製品の意匠は、意匠権として 知的財産権に含まれます。著作権は、著作物の成立で発生しますが、 意匠権は、特許権と同じく、特許庁に申請しなければ発生しません。
第三角法で描くのがいいでしょう。
方法 | 説明 | 例 |
---|---|---|
観察 | 天体のように規模が大きすぎる場合や、 人体のように倫理上の問題がある場合などは、積極的なアプローチを避け、あるがままを客観的にみて データとする。 | 目視、 顕微鏡、望遠鏡 |
定性観察 | 同じかどうかを判断する(同定)。 注目する尺度で序列をつけ、データとする。 | 比色分析、帯電序列、層別 |
定量観察 | 物理量と単位となる 基準を 数値で表現する(計測、測定)。 数値 データとする。 | ノギスで 長さを測定する。 天秤で質量を測定する。 |
巡検 | 現地に趣きあるがままを観察する。 地学、生物の分野で、対象を実験室に持ち込めないときに使う手法。 | 火山に赴き地層や地質を観察する。 山や野を歩き毒草の分布を調査する。 |
実験 | 主に実験室内で条件を設定して、現象を観察し、仮説を検証する。 物理、化学の分野で、対象を実験室内に構築して検証する手法。 | |
対照実験 | コントロール(ブランク、比較対象)を設定して、現象を観察し、効果の有無を判定する。 | |
数値 | 区分 | 細分 | 説明 |
---|---|---|---|
測定値 | 系統誤差 | 反復測定において、一定のままであるか、または予測可能な変化をする測定誤差の成分。 | |
機械的誤差 | ノギス、天秤、メスシリンダーなど測定器の精度や 精確さ( 確度) による誤差 | ||
個人的誤差 | 測定者のくせによる誤差 | ||
理論的誤差 | 理論の省略などによる誤差 | ||
偶然誤差
random error |
反復測定において、予測が不可能な変化をする測定誤差の成分。 誤差論(確率・統計)の対象 | ||
計算値 | 計算誤差 | AD変換 、 DA変換、丸め誤差や計算精度による誤差、 数値 データの格納方式による誤差。 | |
設計値 |
公差
tolerance |
製品の仕様図や設計図で、基準値から許容される値。 方向が指定されてより具体的なものは許容値と呼ばれる。 |
誤差(error)は、測定値から真値を引いた値です。特に、測定誤差と言うこともあります。 24 )
誤差が検査や測定にかかるのに対して、 公差は設計にかかります。 不適合を出さない設計をするには、研究開発段階から、公差の設計が大切です。
化学で使われる量・単位・記号 25 ) 誤差とノイズ 26 )