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交流インピーダンス法による電池やキャパシタの評価

山形大学  理工学研究科(工学系)  物質化学工学専攻  仁科辰夫・立花和宏

エネルギー化学特論 Web Class syllabus 56339 4-211 C1

まあ、音楽でも聴きましょう。

盗賊の唄 カタロニ ア民謡 石田 忠 クラシックギター

途中出てくる、ぴーんとぱーんとかいう音ね、ハーモニクスといいます。 ハーモニクスは倍音のことです。 振動数は弦の長さで決まりますが、倍音が聞けるんですね。


ギターのハーモニクスチューニング

ハーモニクスは弦に触れて強制的に基音の振動を止めることで、倍音だけを残して響かせます。

あ、振動数と周波数は英語にするとフリケンシイで同じ意味です。 日本語だと音響や電気では周波数、エネルギーだと振動数っていうことが多いです。 ここでは周波数で統一していきます。


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交流の大きさと周波数(正弦波の振幅)
©K. Tachibana
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/56307/_14/Amplitude.asp

音は時間とともに圧力が変化する波です。縦軸に耳に入った圧力、横軸に時間をとるとこんなかんじです。 山から山までの時間を周期といいます。周期の逆数を周波数と言います。

正弦波(サイン波)

実際の音を聞いてみましょう。

正弦波(サイン波)
正弦波(サイン波)(440Hz)
正弦波(サイン波)(440Hz)
正弦波(サイン波)倍音(880Hz)
正弦波(サイン波)倍音(880Hz)
正弦波(サイン波)3倍音(1320Hz)
正弦波(サイン波)3倍音(1320Hz)
正弦波(サイン波)4倍音(1760Hz)
正弦波(サイン波)4倍音(1760Hz)
ピカッとさいえんす フォトリソグラフィー

 接触界面
固体 液体 気体(真空)
固体 固固接触 (面接触/線接触(三相界面)/点接触(三相界面)) 固液界面 表面
液体 固液界面 液液界面 (例:水と油) 気液界面 (表面)
気体(真空) 表面 気液界面 (表面) (混合)

理想的な電池と理想的なキャパシタを較べてみましょう。 理想的な電池は、起電力があり、内部抵抗0で、活物質の物質量に対応した電気が取り出せます。 電池の容量と言った場合、電圧に関係なく取り出せる電気量です。 理想的なキャパシタは、電圧に応じた電気をためることができます。 キャパシタの容量と言った場合、電圧と取り出せる電気量の比です。


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リサージュ-RC並列+R直列-
©K.Tachibana
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/56307/_14/RCp_R/Lissajous_RCp_R.asp
コールコールプロット&ボードプロット

インピーダンスは複素数なので、実部と虚部があります。 実部をリアクタンスと言い、虚部をレジスタンスと言います。 各周波数でのインピーダンスを複素平面上にプロットしたものを コールコールプロットあるいはナイキストプロットと言います。

ランドルス型等価回路

等価回路の仮定は、インピーダンスの解釈に便利である。


インピーダンスの測定法


インピーダンスの解釈

ボードプロットとコールコールプロット(ナイキストプロット)

インピーダンスとフーリエ変換

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フーリエ変換-時間領域(左)と周波数領域(右)-
©K.Tachibana
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/56307/_14/Fouriertransform.asp
インピーダンスの数式

エジソンとテスラが電力を送電の大論争をやらかした。 直流か交流か? 交流ならトランスで簡単に電圧を変換できる。 高圧で送電すれば電気抵抗に伴う発熱を最小限にできる。 送電に伴う発熱を抑えた交流送電に軍配があがった。

http://bizgate.nikkei.co.jp/smartcity/technology/000689.html

立花 和宏, 技術情報協会, (2009). インピーダンスの測定ノウハウとデータ解析の進め方

時間情報を保持したインピーダンス測定法の各種材料解析への適用方法についての最新動向 星芳直、四反田功、板垣昌幸, Electrochemistry,84,892(2016).

インピーダンス測定 藤嶋昭, 相澤益男, 井上徹著, 電気化学測定法, 技報堂出版, , (1984).

板垣 昌幸 電気化学インピーダンス法目次 丸善出版

しかし交流で送るときに電気抵抗 RΩ〕のほかにも送電を邪魔する何かがあった。 この邪魔する何かを「 インピーダンス ZΩ〕 」と呼ぶ。

交流が直流と違うところは、時間とともに電流 IA〕の向きや大きさを変えるところだ。 電気のストップアンドゴーに伴って、電気の抵抗だけなく、電気の渋滞や、電気の重たさが、送電の邪魔になる。 電気の渋滞に対応する何か「キャパシタンス」と呼び、電気の重たさに対応する何かを「インダクタンス」と呼ぶ。 時間的にちぐはぐさせるキャパシタンスとインダクタンスで引き起こされる邪魔になる何かを「リアクタンス」と呼ぶ。

だから送電の邪魔になる何かはエネルギーロスを伴う電気抵抗と、そうでないリアクタンス XΩ〕の総和になる。

インピーダンスは数式1で示されます。

Z =R+ j X
数式-1)

複素平面にプロットしたインピーダンスの周波数による軌跡を コールコールプロットまたは ナイキストプロットと呼びます。

そしてリアクタンスの正体は

X=1/wC-wL

電池では電気を運ぶ担い手は電子ばかりではない。 電池のショートさせないために電子以外の担い手を選ぶ必要があるからだ。 電解液。 電解液の中の電気の担い手はイオンと呼ばれる荷電粒子だ。 イオンの重さは一番軽い 水素イオン でも 電子の重さ の1800倍。 この重さの違いはゾウとモルモットの体重差に匹敵する。 だから、電池から電流を取り出せているとき、電気の重たさは気にせずともよい。

X=1/wC

でよい。

電池は化学エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスだ。 中には還元剤と酸化剤とが仕込んである。 ガソリンと酸素が仕込んであるようなものだ。 引火すれば大爆発だ。

そこで還元剤と酸化剤が触れ合わないよう、仕切りがある。 その電子的な仕切りの役目を果たしているのが電解液。 電解液は液体だから、物理的に仕切ることはできない。 そこで仕切りに物理的な強度を与えるがセパレータだ。

こうして電池の内部では、還元剤と酸化剤が電解液で仕切られている。 還元剤はいつも電子に飢えていて、酸化剤はいつも電子を持て余している。 この電子に対する姿勢の違いが電位差となって界面に現れる。

そしてその界面には動物園の檻にへばりついてエサをねだる動物のように イオンが群がっている。このイオンの群がりが電気二重層容量と呼ばれるものだ。

交流インピーダンス法を使った工業製品

体脂肪率を測定する 体脂肪計 や、 導電率 を測定する 塩分計 などがあります。

塩分計 の例 (出典: タニタ
体組成計の測定原理の例 (出典: タニタ
体組成計の原理

直流と交流

一定の周期で大きさと向きが変わる電流が交流です。 電気回路 交流の大きさは振幅で表します。

交流を発生する発振器 ファンクションジェネレータ 、交流の波形を観察するオシロスコープなどを使います。 電池に交流インピーダンス法を適用する上で、非直線抵抗の取り扱い、界面の面積の取り扱い、反応に伴う系の変化の取り扱い、 を考慮します。

オシロスコープ は振幅を読み取ったり、位相角を測定したりします。

オシロスコープ の例
出典:テクトロニクス


電気化学 電気と化学―電池と豆電球のつなぎ方と電流・電圧の測り方―

インピーダンスをお手軽に測定するなら LCRメーターで測定するのが便利です。 しかし、電池をLCRメーターで測定するとなるとDC成分をキャンセルしなければならないなど、少々工夫が必要です。


出典:
  インピーダンスに出てくる諸元
物理量 数式 備考
周期 Ts 山のてっぺんからてっぺんまでの時間です。
周波数 fHz f = 1/T 周波数と振幅で交流を表現します。
角周波数 ω ω=2πf
電圧振幅Ep0 交流の大きさの表現には、振幅のほかにピークトゥピークや実効値があります ()。
電流振幅Ip0
インピーダンス Z〔Ω〕 Z = R + j X *
絶対値 |Z| Z = R 2 + X 2
位相角 φ tan(φ)=X/R
アドミタンス Y〔S〕 Y = G + j B *
インダクタンス L L= V I t
静電容量C C= Q V
電気抵抗 R R= V I インピーダンス Z の実部
リアクタンス X インピーダンス Z の虚部、 X=ωL-1/ωC
コンダクタンスG
サセプタンス B
インピーダンスと物性との関係
測定可能な 物理量 界面の特性値 物性値
電気抵抗R=電圧÷電流 反応抵抗Rct〔Ωm-2〕=電圧÷ 電流密度 抵抗率ρ=電場強度÷ 電流密度
抵抗率ρ〔Ωm〕=電気抵抗R〔Ω〕÷ セル定数 a〔1/m〕
抵抗率ρ=1÷導電率
コンダクタンスG=1÷電気抵抗R 導電率 σ〔Sm-1〕 、電気伝導度
静電容量 (キャパシタンス)C 電気二重層容量Cd〔Fm-2 誘電率 ε
インダクタンスL 透磁率 μ
エネルギー化学05 電気化学特論05 電気化学特論14

オシロスコープによる波形の確認

リサージュ

ボーデプロットとコールコールプロット

横軸に周波数の対数、縦軸にゲインと 位相角 φ のプロットしたものがボーデプロットです。 フランス語読みしてボードプロットとも言います。 下記のデータをボーデプロットしてみましょう。


コールコールプロット(ナイキストプロット)

コールコールプロットの実例

横軸に インピーダンス Z の実部、 縦軸に インピーダンス Z の虚部をプロットしたものをコールコールプロットまたはナイキストプロットと言います。 極座標表示なので、横軸と縦軸の比を変えてはいけません。 インピーダンスは複素数なので、複素平面上にインピーダンスをプロットしたことになりますね。 正しくプロットされていれば、動径が インピーダンス の絶対値|Z|、偏角が 位相角 φ を表すことになります。 パラメトリック表示なので、解析しやすいように周波数を書き込んでおきましょう。


電気抵抗と導電率

電気抵抗R〔F〕は電圧Vと電流Iの比例定数。


導電率の測定原理

リチウム電池のナイキストプロット

Fig 3DCADを使った電気抵抗の概念図
©Copyright Miyuki Akama, C1 Laboratory all rights reserved.

抵抗率 (©赤間未行

抵抗率
電気化学 電気と化学―電池と豆電球のつなぎ方と電流・電圧の測り方―

静電容量と誘電率、二重層容量

静電容量C〔F〕は電圧と電気量の比例定数。 電気量は電流の積分。誘電率は電界電界の強さE〔V/m〕と電荷密度の比例定数。 誘電率はベクトル。 等方性物質ではすべてのベクトルは等しいが、異方性物質では誘電異方性を持ちます。 バルクの分極には静電誘導と誘電分極、界面の分極には二重層容量と配向分極があります。静電誘導は金属、誘電分極は主にイオン化合物、二重層容量は電極と主に電解液中のイオン、配向分極は主に界面での極性分子によって起こります。

電気抵抗とコンデンサの並列接続の概念図 (©赤間未行
電気抵抗とコンデンサの並列接続のコールコールプロット
等価回路
http://www.science-t.com/st/cont/id/24425
http://www.science-t.com/st/cont/id/25775

蓄電・蓄エネをインフラに頼らない自エネ組。エネルギーマネジメントも自分たちで。

02. データ通信技術からスマートグリッドまで~ライフラインとしてのインターネット~

セミナー ディープラーニング ディープラーニング ディープラーニング ディープラーニング ディープラーニング ディープラーニング
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エネルギー化学特論 電気化学特論
  1. エネルギーの種類と物質
  2. 電解工業と電気化学
  3. 電池の起電力と分解電圧
  4. 電気エネルギーと物質~電池の系譜~
  5. 電池の内部抵抗と過電圧
  6. 二次電池とキャパシタ
  7. リチウムイオン二次電池の構造
  8. セラミックス材料~正極活物質と導電助材の働き~
  9. 金属材料~負極活物質と集電体の働き~
  10. 有機材料~リチウム電池の電解液~
  11. 高分子材料~リチウム電池のバインダーやセパレータの働き~
  12. 化学工学とリチウム電池~分散・スラリーの作成と塗布乾燥~
  13. サイクリックボルタンメトリーによる電池やキャパシタの評価
  14. 交流インピーダンス法による電池やキャパシタの評価
  15. 電池やキャパシタのマネジメント~BMSやスマートグリッド~


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