まあ、音楽でも聴きましょう。
途中出てくる、ぴーんとぱーんとかいう音ね、ハーモニクスといいます。 ハーモニクスは倍音のことです。 振動数は弦の長さで決まりますが、倍音が聞けるんですね。
ハーモニクスは弦に触れて強制的に基音の振動を止めることで、倍音だけを残して響かせます。
あ、振動数と周波数は英語にするとフリケンシイで同じ意味です。 日本語だと音響や電気では周波数、エネルギーだと振動数っていうことが多いです。 ここでは周波数で統一していきます。
直流 | 交流 | |||
---|---|---|---|---|
主な対象 | 界面 | バルク | ||
主な評価項目 | 直流抵抗( DCR) | イオン導電率 | ||
主な評価方法 | 短絡試験、定負荷試験、定電流試験 | 交流インピーダンス法 、 過渡応答試験 |
交流インピーダンス法 で測定した、 コールコールプロット の切片は、バルク抵抗(溶液抵抗など)です。 複雑な 電池の内部抵抗 は、 バルク抵抗より界面抵抗に支配されます。 周波数が高いと、界面抵抗と 並列の容量が比較的小さくても(皮膜、 空間電荷層) リアクタンスが小さくなってしまうため、 内部抵抗の推定は、直流抵抗の評価が大切です。
名称 | 概略 | 制御 | 測定 | 装置 | |
---|---|---|---|---|---|
クロノポテンショメトリー (CP) | 電圧電気量曲線 電池 の 充放電曲線 過渡応答 など | 電流 | 電圧 ( 電位 )、時刻 | 🚂 ガルバノスタット、データロガー | |
クロノアンペロメトリー | 電流絞り込み曲線など | 電圧 | 電流、時刻 | 🚂 ポテンショスタット 4 ) 、データロガー | |
リニアスイープボルタンメトリー (LSV) | 分解電圧の測定など | 電圧、掃引速度 | 電流 | 🚂 ファンクションジェネレータ、 🚂 ポテンショスタット、データロガー | |
サイクリックボルタンメトリー ( CV) 5 ) | 電圧、掃引速度 | 電流 | 反応種の特定など | ||
電圧電流曲線 | 電流 | 電圧 | 電池の内部抵抗 | ||
コンダクトメトリー | 導電率 誘電率 の測定など | 電圧 | 電流 | 🚂 ファンクションジェネレータ 6 ) 、 🚂 ポテンショスタット、データロガー | |
交流インピーダンス法 | 導電率 の測定など | 電圧 周波数 | 電流 | ファンクションジェネレータ、ポテンショスタット、データロガー、 オシロスコープ、 LCRメータ * * |
音は時間とともに圧力が変化する波です。縦軸に耳に入った圧力、横軸に時間をとるとこんなかんじです。 山から山までの時間を周期といいます。周期の逆数を周波数と言います。
実際の音を聞いてみましょう。
横軸が周波数のグラフを、 スペクトルと言います。 フーリエ変換は、横軸を時間から、周波数に変換する方法です。 デジタルコンピュータの発展で、さまざまな応用ができるようになりました。
固体 | 液体 | 気体(真空) | |
---|---|---|---|
固体 |
面接触(例:
pn接合) 線接触(三相界面)(例:正極合材、 局部電池) 点接触(三相界面 ショットキー接触 )(例:固体電解質、 炭素導電助剤粒子 ) |
固液界面 (例:サスペンジョン) | 表面 |
液体 | 固液界面 (例:電極と電解液) | 液液界面 (例:エマルション) | 気液界面 ( 表面 ) |
気体(真空) | 表面 | 気液界面 ( 表面 ) | (混合) |
物質は、 様々な状態をとります。 界面や表面 は、ある材料の相と異なる材料の相が接するところです。
電池の内部抵抗は、バルクと界面との両方から生じます。
理想的な電池と理想的なキャパシタを較べてみましょう。 理想的な電池は、起電力があり、内部抵抗0で、活物質の物質量に対応した電気が取り出せます。 電池の容量と言った場合、電圧に関係なく取り出せる電気量です。 理想的なキャパシタは、電圧に応じた電気をためることができます。 キャパシタの容量と言った場合、電圧と取り出せる電気量の比です。
交流ブリッジ | インピーダンスメーター | |
---|---|---|
名称 | インピーダンスブリッジ |
ベクトルインピーダンスメーター LCRメーター インピーダンスアナライザー |
周波数 範囲 | ||
測定の出力 | ||
アナログ | アナログ/デジタル |
抵抗器 、コンデンサー、コイルなどの回路部品のインピーダンスや、誘電体の誘電率や溶液の導電率、および 界面容量などの評価のためにインピーダンス測定を行います。 9 )
ノイズやリサージュの確認には、 オシロスコープが役に立ちます。
デジタル
(電子・磁気) |
アナログ ( 紙・ペン) |
電気化学測定法 | ||
---|---|---|---|---|
直流 | 電圧-時間 | データロガー Webデータロガー | ペンレコーダ― |
クロノポテンショメトリー(充放電曲線) クロノアンペロメトリー |
電流-電圧 | データロガー | XYレコーダ― | サイクリックボルタンメトリー | |
交流 | 電圧-時間 | デジタルオシロスコープ | 交流インピーダンス法 タイムトランジェント | |
電流-電圧 | デジタルオシロスコープ | 交流インピーダンス法 リサージュ |
※1秒以下の電圧変化を、直接紙とペンで記録するのは、困難です。 電子記録や磁気記録などのコンピュータによるデジタル記録を使うことで、容易に交流インピーダンス法が実現できます。
エネルギー | 物理量 | デジタル | アナログ | 原理 |
---|---|---|---|---|
💪力学 | 時間 |
デジタルタイマー |
時計 ストップウォッチ |
振り子 |
質量 | 体重計 | 天秤 | ||
流量 | 流量計 | |||
⚡電気 | 電圧 | デジタル回路計 | 電圧計 | オームの法則 (抵抗率) |
電位 | デジタル回路計 | 電位差計 | ||
電流 |
デジタル回路計 電流センサー * |
電流計 | フレミング左手の法則 | |
電気量 | 電量計(クーロメーター) | ファラデー電気分解の法則 | ||
🔥熱 | 温度 |
デジタル温度計 温度センサー |
温度計 | 熱膨張率 |
熱量 | 熱量計 | |||
🌟光 | 形状 | ものさし | 顕微鏡 | 長さ |
照度 |
デジタル照度計 |
|||
🧪化学 | pH |
pH計 |
ネルンストの式 |
python では、複素数が使えるので、短いプログラムでコールコールプロットのシミュレーションができます。
# ■■■ コールコールプロット import numpy as np import matplotlib.pyplot as plt import matplotlib.patches as patches import cmath import math from google.colab import files R= 2000 C = 0.1e-6 Rs = 500 t = np.arange(start = 0, stop = 5, step = 0.05) f = [pow(10,p) for p in t] z = [1/(1/R+1j*2*np.pi*p*C) + Rs for p in f] x = [ p.conjugate().real for p in z] y = [ p.conjugate().imag for p in z] r = [ abs(p.conjugate()) for p in z] ph = [ cmath.phase(p.conjugate())/math.pi*180 for p in z] #ph = [ math.atan2(p.imag, p.real) for p in z] ax = plt.subplot2grid((2, 2), (0, 0), rowspan=2) ax.set_aspect('equal') ax.set_xlabel("$Z^{\prime}$ / $\Omega$") ax.set_ylabel("$-Z^{\prime \prime}$ / $\Omega$") plt.scatter(x, y,alpha=0) x_min, x_max = ax.get_xlim() y_min, y_max = ax.get_ylim() ax.set_xlim(0, x_max) ax.set_ylim(0, y_max) for t in np.arange(start = 500, stop = 2000, step = 500): ax.add_patch(patches.Circle(xy=(0, 0), radius=t, fc='none', ec='#B0FFFF')) for t in np.arange(start = 1, stop = 12, step = 1): ax.axline((0, 0), slope=math.tan(math.pi*t/24), color='#B0FFFF') plt.plot(x, y) ax = plt.subplot2grid((2, 2), (0, 1)) ax.set_xlabel("$f$ / Hz") ax.set_ylabel("$|Z|$ / $\Omega$") plt.xscale('log') plt.plot(f, r) ax=plt.subplot2grid((2, 2), (1, 1)) ax.set_xlabel("$f$ / Hz") ax.set_ylabel("$\u03b8$ / deg") # \theta では表示できない plt.xscale('log') plt.plot(f, ph) plt.savefig('fig_cole_cole_python.SVG');files.download("fig_cole_cole_python.SVG") plt.savefig('fig_cole_cole_python.PNG');files.download("fig_cole_cole_python.PNG") # ■■■ コールコールプロット
等価回路の仮定は、インピーダンスの解釈に便利である。
ボードプロットとコールコールプロット(ナイキストプロット)
エジソンとテスラが電力を送電の大論争をやらかした。 直流か交流か? 交流ならトランスで簡単に電圧を変換できる。 高圧で送電すれば電気抵抗に伴う発熱を最小限にできる。 送電に伴う発熱を抑えた交流送電に軍配があがった。
http://bizgate.nikkei.co.jp/smartcity/technology/000689.html
立花 和宏, 技術情報協会, (2009). インピーダンスの測定ノウハウとデータ解析の進め方
時間情報を保持したインピーダンス測定法の各種材料解析への適用方法についての最新動向 星芳直、四反田功、板垣昌幸, Electrochemistry,84,892(2016).
インピーダンス測定 藤嶋昭, 相澤益男, 井上徹著, 電気化学測定法, 技報堂出版, , (1984).
板垣 昌幸 電気化学インピーダンス法目次 丸善出版
しかし交流で送るときに電気抵抗 R〔Ω〕のほかにも送電を邪魔する何かがあった。 この邪魔する何かを「 インピーダンス Z〔Ω〕 」と呼ぶ。
交流が直流と違うところは、時間とともに電流 I〔A〕の向きや大きさを変えるところだ。 電気のストップアンドゴーに伴って、電気の抵抗だけなく、電気の渋滞や、電気の重たさが、送電の邪魔になる。 電気の渋滞に対応する何か「キャパシタンス」と呼び、電気の重たさに対応する何かを「インダクタンス」と呼ぶ。 時間的にちぐはぐさせるキャパシタンスとインダクタンスで引き起こされる邪魔になる何かを「リアクタンス」と呼ぶ。
だから送電の邪魔になる何かはエネルギーロスを伴う電気抵抗と、そうでないリアクタンス X〔Ω〕の総和になる。
インピーダンスは数式1で示されます。
複素平面にプロットしたインピーダンスの周波数による軌跡を コールコールプロットまたは ナイキストプロットと呼びます。
そしてリアクタンスの正体は
X=1/wC-wL
電池では電気を運ぶ担い手は電子ばかりではない。 電池のショートさせないために電子以外の担い手を選ぶ必要があるからだ。 電解液。 電解液の中の電気の担い手はイオンと呼ばれる荷電粒子だ。 イオンの重さは一番軽い 水素イオン でも 電子の重さ の1800倍。 この重さの違いはゾウとモルモットの体重差に匹敵する。 だから、電池から電流を取り出せているとき、電気の重たさは気にせずともよい。
X=1/wC
でよい。
電池は化学エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスだ。 中には還元剤と酸化剤とが仕込んである。 ガソリンと酸素が仕込んであるようなものだ。 引火すれば大爆発だ。
そこで還元剤と酸化剤が触れ合わないよう、仕切りがある。 その電子的な仕切りの役目を果たしているのが電解液。 電解液は液体だから、物理的に仕切ることはできない。 そこで仕切りに物理的な強度を与えるがセパレータだ。
こうして電池の内部では、還元剤と酸化剤が電解液で仕切られている。 還元剤はいつも電子に飢えていて、酸化剤はいつも電子を持て余している。 この電子に対する姿勢の違いが電位差となって界面に現れる。
そしてその界面には動物園の檻にへばりついてエサをねだる動物のように イオンが群がっている。このイオンの群がりが電気二重層容量と呼ばれるものだ。
体脂肪率を測定する 体脂肪計 や、 導電率 を測定する 塩分計 などがあります。
体組成計の原理一定の周期で大きさと向きが変わる電流が交流です。 電気回路 交流の大きさは振幅で表します。
交流を発生する発振器 ファンクションジェネレータ 、交流の波形を観察するオシロスコープなどを使います。 電池に交流インピーダンス法を適用する上で、非直線抵抗の取り扱い、界面の面積の取り扱い、反応に伴う系の変化の取り扱い、 を考慮します。
オシロスコープ は振幅を読み取ったり、位相角を測定したりします。
電気化学
電気と化学―電池と豆電球のつなぎ方と電流・電圧の測り方―
インピーダンスをお手軽に測定するなら LCRメーターで測定するのが便利です。 しかし、電池をLCRメーターで測定するとなるとDC成分をキャンセルしなければならないなど、少々工夫が必要です。
物理量 | 数式 | 備考 | |
---|---|---|---|
周期 T〔s〕 | 🖱山のてっぺんからてっぺんまでの時間です。 | ||
周波数 f〔Hz〕 | f = 1/T | 周波数と振幅で交流を表現します。 | |
角周波数
|
ω=2πf | ||
電圧 振幅Ep0 | 交流の大きさの表現には、振幅のほかにピークトゥピークや実効値があります (※)。 | ||
電流 振幅Ip0 | |||
インピーダンス Z〔Ω〕 | * | ||
絶対値 |Z| | |||
位相角
|
|||
アドミタンス Y〔S〕 | * | ||
インダクタンス L | |||
静電容量C | |||
電気抵抗 R | インピーダンス Z の実部 | ||
リアクタンス X | インピーダンス Z の虚部、 X=ωL-1/ωC | ||
コンダクタンスG | アドミタンス Y の実部 | ||
サセプタンス B | アドミタンス Y の虚部 |
インピーダンスブリッジや インピーダンスブリッジメーターで 測定します。
計測可能
な
物理量
(セル) |
界面
の特性値 (面積) |
バルクの
物性値
(セル定数) |
---|---|---|
電気抵抗
R[Ω]
=電圧÷電流
,
|
反応抵抗(面積抵抗率)
Rct〔Ωm-2〕
=電圧÷ 表面 電流密度 接触抵抗 (界面抵抗) * =電圧÷表面電流密度 |
抵抗率(体積抵抗率)ρ
=電場強度e÷ 断面 電流密度 抵抗率ρ〔Ωm〕=電気抵抗R〔Ω〕÷ セル定数 a〔1/m〕 電気抵抗R=抵抗率ρ×長さl/面積S 12 ) 抵抗率ρ=1÷導電率 |
コンダクタンスG[S]
=1÷電気抵抗R |
導電率
σ(
|
|
静電容量
(キャパシタンス)C
,
|
電気二重層容量Cd〔Fm-2〕 |
誘電率
=電荷密度÷ 電場強度e |
インダクタンスL
,
|
透磁率 μ |
電池の内部抵抗は、 バルク抵抗だけでなく、界面抵抗に左右されます。 溶液に金属を浸しただけの ダニエル電池 のような単純な電池では、バルク抵抗が支配的ですが、 合材電極や固体電解質を使う リチウムイオン電池 のような複雑な電池では、界面抵抗が支配的です。 電池の内部抵抗の評価には、 交流評価と直流評価を組み合わせが必要です。
横軸に周波数の対数、縦軸にゲインと 位相角 φ のプロットしたものがボーデプロットです。 フランス語読みしてボードプロットとも言います。 下記のデータをボーデプロットしてみましょう。
横軸に インピーダンス Z の実部、 縦軸に インピーダンス Z の虚部をプロットしたものをコールコールプロットまたはナイキストプロットと言います。 極座標表示なので、横軸と縦軸の比を変えてはいけません。 インピーダンスは複素数なので、複素平面上にインピーダンスをプロットしたことになりますね。 正しくプロットされていれば、動径が インピーダンス の絶対値|Z|、偏角が 位相角 φ を表すことになります。 パラメトリック表示なので、解析しやすいように周波数を書き込んでおきましょう。
電気抵抗R〔F〕は電圧Vと電流Iの比例定数。
静電容量C〔F〕は電圧と電気量の比例定数。 電気量は電流の積分。誘電率は電界電界の強さE〔V/m〕と電荷密度の比例定数。 誘電率はベクトル。 等方性物質ではすべてのベクトルは等しいが、異方性物質では誘電異方性を持ちます。 バルクの分極には静電誘導と誘電分極、界面の分極には二重層容量と配向分極があります。静電誘導は金属、誘電分極は主にイオン化合物、二重層容量は電極と主に電解液中のイオン、配向分極は主に界面での極性分子によって起こります。
蓄電・蓄エネをインフラに頼らない自エネ組。エネルギーマネジメントも自分たちで。 02. データ通信技術からスマートグリッドまで~ライフラインとしてのインターネット~
「椅子を高く持ち上げたときに消費するエネルギーは、椅子の位置エネルギーに時間をかけて求めることができる」はほんとうか?? 問
銅の電解精錬に使う電力は何のためか?それを節電するにはどうしたらいいか?注意すべき点は何か?? 問
2024年1月21日 松木健三名誉教授がご逝去されました。