HOME 教育状況公表 令和3年9月25日

二次電池とキャパシタ

山形大学  工学部  化学・バイオ工学科  仁科辰夫

前回

電池の内部抵抗と過電圧

二次電池もキャパシタも電気をためるデバイスには違いありませんが、大きな違いがひとつあります。 それは化学反応が起きるか否かです。 電池では電気の放電や充電に伴って化学反応が進行し、もとからあった物質が別の物質へ変化します。 それに対してキャパシタでは、化学反応は起きません。電池では、電気エネルギーと化学エネルギーの変換が行われるのです。

 29  エネルギーの種類
示強変数示量変数物質量あたり粒子あたり
化学エネルギーGJ 化学ポテンシャル 物質量〔mol アボガドロ数
熱エネルギー Q 〔J 温度 T 〔Kエントロピー S 〔J/K気体定数 R 〔J/K・mol

ボルツマン定数 kB 〔J/K

力学的エネルギー E 〔J圧力 p 〔Pa体積 V 〔m3理想気体のモル体積 x 〔L/mol
電気エネルギー E 〔J電圧 V 〔V電気量 Q 〔Cファラデー定数 F 〔C/mol電気素量 e 〔C
光エネルギー E 〔J 振動数 ν 〔Hzプランク定数 h 〔J・s
エネルギー化学 エネルギー化学特論
100
電気量と電圧と静電容量の関係
©K.Tachibana
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/52255/_02/VoltageElectricity.asp

電池の内部抵抗


二次電池

交流電源が普及する前は一次電池で充電したので二次電池といいました。 充電式電池の方が現実的ですが、慣例的に二次電池と呼ぶことも多いです。

化学反応の種類も濃度もずっと同じなら、酸化還元電位は変化しませんから、 どんなに化学反応が進んでも電位は変化しません。 正極も負極もこのタイプの電池は電圧の変化が極めて平坦になります。 実際には反応が進行するにつれて濃度が変化します。 ネルンストの式で示される通り、濃度が変化すれば平衡電位も変化します。 このように電池でも実際には電位は変化しますが、キャパシタに比べればその電圧の変化の意味はまったくちがいます。

鉛電池は、二次電池のもっとも歴史ある電池です。 添加剤もさまざま。

鉛電池の構造 (出典:日立化成

電池がなくなったら―生活に役立つ工業製品を作ろう―


充電式電池に求められる材料と形状の可逆性


キャパシタ

誘電体の電位プロファイル (©赤間未行

英語ではキャパシタといいますが、部品としてはアルミ電解コンデンサのようにコンデンサという方が一般的です。 ただ電気二重層を利用したものはコンデンサと呼ばずにキャパシタという方が一般的です。 キャパシタの充放電では化学反応が起きません。 単に電圧を上げれば上げた分だけ電気がたまるという、ただそれだけのことです。 電圧と電気量の比例係数のことを静電容量といいます。 静電容量はキャパシタンスともいい、 インピーダンス測定によって求められます。 もちろん、実在のデバイスでは比例関係からずれることもよくあります。

導電性高分子を使ったコンデンサが使われています。

アルミニウム|酸化皮膜|導電性高分子

アルミ電解コンデンサの耐電圧は、アルミニウムの化成電圧とほぼ等しい。 なぜなら、アルミニウム表面にキャリア注入される界面電位差が耐電圧を支配していて、 かつ注入されるキャリアが化成溶液の場合も駆動溶液の場合も金属空孔だからです。

導電性高分子を使った電解コンデンサの耐電圧は、アルミニウムの化成電圧より大幅に小さくなります。 なぜなら、アルミニウム表面にキャリア注入される界面電位差が耐電圧を支配しているのは同じだが、 かつ注入されるキャリアが電子となります。

アルミニウム酸化皮膜の導電率は注入されたキャリアの量に比例する。 キャリアが金属空孔だった場合は、そこに水溶液中のアニオンが反応して、皮膜の成長が進行する。 一方、キャリアが電子だった場合は、皮膜の成長は停止したままである。

溶液中でもアルミニム表面のアノード酸化時の体積膨張に伴い、微小な凹凸が増えると電流の集中が起こり、 多数キャリアが金属空孔から電子への遷移する。 これが火花電圧である。 一旦、火花電圧に到達し、電子が注入されると、そのことでさらに皮膜の導電率が増大する。 そうやってなだれ式に導電率が増大して、電流が流れるようになる現象を電子なだれと呼ぶ。 電子なだれと休止を周期的に繰り返す現象もしばしば見られる。 なお、キャリアが電子であるので、皮膜の成長は停止したままである。

ポリチオフェン という導電性高分子 を水に分散させて 電解コンデンサに応用すると100キロヘルツ以上の領域でESRが改善されます。

ハイブリッド

正極では化学反応を起こさせ、負極は単なるキャパシタという使い方もあり得ます。 もちろんその逆もありえます。 このようなデバイスやアシンクロナスキャパシタとかハイブリッドキャパシタとか言います。


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回答

次回

リチウムイオン二次電池の構造
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エネルギー化学特論
  1. エネルギーの種類と物質
  2. 電解工業と電気化学
  3. 電池の起電力と分解電圧
  4. 電気エネルギーと物質~電池の系譜~
  5. 電池の内部抵抗と過電圧
  6. 二次電池とキャパシタ
  7. リチウムイオン二次電池の構造
  8. セラミックス材料~正極活物質と導電助材の働き~
  9. 金属材料~負極活物質と集電体の働き~
  10. 有機材料~リチウム電池の電解液~
  11. 高分子材料~リチウム電池のバインダーやセパレータの働き~
  12. 化学工学とリチウム電池~分散・スラリーの作成と塗布乾燥~
  13. サイクリックボルタンメトリーによる電池やキャパシタの評価
  14. 交流インピーダンス法による電池やキャパシタの評価
  15. 電池やキャパシタのマネジメント~BMSやスマートグリッド~


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