現代の電気化学( ペーパーラインド方式乾電池、 円筒型アルカリマンガン電池、 ボタン型アルカリマンガン電池、 コイン型二酸化マンガンリチウム電池、 円筒型型二酸化マンガンリチウム電池、 密閉式鉛蓄電池、 円筒型ニッケルカドウミム蓄電池 最新工業化学( 円筒型リチウムイオン電池 ) からひとつ選び、市販されている具体的な形式を調べ、そのおおよその重量エネルギー密度と体積エネルギー密度の上限を見積もりましょう。
そして重量エネルギー密度と体積エネルギー密度が指標となる局面において、 どのように電池設計がなされているか、議論してみましょう。
例) ボタン型アルカリマンガン電池のLR44を選んだ。
panasonicの https://panasonic.jp/battery/lithium/p-db/LR44.html のサイトには、電圧1.5V、寸法約Φ11.6×5.4mm、質量約2g(1個あたり)とある。
反応式より、正極活物質は、酸化マンガン(Ⅳ)、負極活物質は亜鉛である。 ここで、酸化マンガン(Ⅳ)の式量は、86.94であり、 亜鉛の式量は、65.39である。
おおよその重量エネルギー密度の上限を求める。 まず、理論容量を求める。 ファラデー定数は、26801.5mAh/molである。 反応式より、1モルの電子を出すのに必要な酸化マンガン(Ⅳ)重量は、86.94gであり、 亜鉛の式量は、32.695である。 1モルの電子を出すのに必要な活物質の総重量は、119.635gである。 よって理論容量は、 224mAh/gとなる。これに平均稼働電圧1.5Vをかければ、 おおよその重量エネルギー密度336mWh/gが得られる。
体積エネルギー密度の上限を求める。 酸化マンガン(Ⅳ)の密度は5.026 g/cm3 亜鉛の密度は7.133 g/cm3である。 よって酸化マンガン(Ⅳ)のモル体積は、17.29cm3/mol 亜鉛のモル体積は、9.16cm3/molである。 1モルの電子を出すのに必要な活物質の総体積は、21.87cm3である。 よって体積理論容量は、 1225mAh/cm3となる。 これに平均稼働電圧1.5Vをかければ、 おおよその体積エネルギー密度1837.5mWh/cm3が得られる。
LR44の重量は、2gである。 LR44の重量を、すべて活物質と仮定すれば 672mWhである。 LR44の体積は、3.14×(Φ11.6mm/2)2×5.4mm=0.57cm3である。 LR44の体積を、すべて活物質と仮定すれば 1047.375mWhである。
以上の議論より、LR44の仕様は、 重量エネルギー密度より、体積エネルギー密度を重要視する設計の方が、より多くのエネルギーを詰め込めることがわかる。逆に最大体積エネルギー密度から計算される重量より、2gと軽いのは、水や炭素など密度の小さな部材を、それなりに使う必要があることを意味している。
なお、この演習は、応用化学・化学工学コースの化学実験Ⅰ(エネルギー分野) 「酸化マンガン(Ⅳ)の還元(アルカリ乾電池)」 のテーマに対応しています。 実験テキストは、ホームページに公開されていますので、バイオ化学工学コースの方も閲覧できます。
固体の酸化剤の 二酸化マンガンと導電助剤の炭素で、 合材を作り、 電解液をほとんど感じさせない程度に、ぱさぱさした電池。 ダニエル電池 と違って、横にしても電解液がこぼれません!
水溶液系の電池の 燃料 負極活物質 は、自己放電しないように 水素過電圧の大きな 亜鉛が使われます。 亜鉛を缶( 容器)にし、 セパレータに紙を敷いて、正極合材を充填し、集電体として炭素棒を突き刺します。
1950年ごろには、より導電率の大きなアルカリ溶液を電解液に使った アルカリ乾電池が発明されます。 水溶液系の電池は、ほとんどがアルカリ溶液の電解液と亜鉛の負極活物質の組み合わせです。
1 )| 電池式 | Zn | KOH | MnO2 , C | Ni |
| カソード 反応(正極) | 2MnO2+ 2H2O+ 2e- → 2MnOOH+2OH- Eº = 0.215V |
| アノード 反応(負極) | Zn(OH4)2- +2e- ← Zn+4OH- Eº = -1.285V |
| 全反応 | 2MnO2+ Zn+ 2H2O+ 2OH- → 2MnOOH+ Zn(OH4)2- |
| 起電力/V | Eº = 1.5V (公称電圧) |
| 理論容量 ( 電力原単位 ) | 224.0mAh/g |
| 理論重量エネルギー密度 2 ) | 336.0mWh/g |
| 形状・寸法 | 円筒(AM3、AM4)、ボタン(LR44) |
| 用途 | リモコン、電動ハブラシ、玩具、懐中電灯、時計 |
1950ぐらいから。
乾電池の模式図 電池の性能指標| 項目 | 単位 | |
|---|---|---|
| 公称電圧 | V | 電池の起電力と想定される負荷とで定めた、想定される閉回路電圧。 放電深さや負荷電流で電圧が変わります。 |
| 公称容量 | Ah,C | 二次電池の場合は、カットオフ条件を設定します。 メモリー効果などがあると容量が減っていきます。 |
| 内部抵抗 | Ω | 短絡電流 Cレート(放電レート、充電レート) 内部抵抗が小さくても発熱に耐えられなければ危険です。 鉛電池では、CCAで表現することも。 |
| エネルギー | Wh,J | 容量と電圧の積。内部抵抗が大きいと、閉回路電圧が下がります。 |
| 出力( パワー) | W | 最大出力電流に閉回路電圧をかけた値 |
| 重量エネルギー密度 | Wh/g | |
| 体積エネルギー密度 | Wh/m3 | |
| 体積出力密度 | W/g | |
| 重量出力密度 | W/m3 | |
| 重量容量密度 | Ah/g | 支配活物質の容量を電池の重量で割った値。 活物質の理論容量と言うときは、活物質の容量を式量で割った値。 活物質の容量は、ファラデーの法則より、 活物質の物質量で決まる。 |
| 体積容量密度 | Ah/m3 | |
| ストレージ | year | 保存(カレンダー)寿命 |
| サイクル寿命 | 二次電池の性能指標で、スマホ用のリチウムイオン電池だと500サイクルがひとつの目安です。 不可逆な副反応や不可逆な形状変化などによります。 |
96485.332 〔 C/mol 〕 は、アボガドロ数×電気素量で、それらはSIで定められた 定義定数 です。
工業的には、 26.801 〔 Ah/mol 〕をよく使います。
ファラデー定数は、 エネルギー密度や理論容量の計算にも使います。
| 電池式 | Zn | ZnSO4aq || CuSO4aq | Cu |
| 負極 反応 | Zn2+ + 2e-  ←    Zn Eº = -0.7626V |
| 正極 反応 | Cu2+ + 2e-  →   Cu Eº = 0.34V |
| 全反応 | Zn +Cu2+ → Zn2+ + Cu |
| 起電力 | e.m.f. = 1.1026V |
| 理論容量 ( 電力原単位 ) | 415.7mAh/g |
| 理論重量エネルギー密度 3 ) | 458.4mWh/g |
起電力は、 電解液中の亜鉛イオンと銅イオンの活量が1であるとしたときの 起電力です。 関与する化学種の活量を全て1としたとき、起電力は、酸化還元電位の差になります。
*ワークショップを楽しみましょう 4 ) 。 グループ人数は、5〜6名とします。 4名以下にならず、7名を超えないようにしてください。
初対面の場合は、自己紹介をしましょう。 雑談をして、アイスブレイクしましょう。
リーダー(司会進行)を決めてください。 そのほかのメンバーの 役割(記録係、資料作成係、プレゼンター( 登壇者))を決めてください。
グループ名を決めてください。グループ名は任意です。メンバーの所属する組織の名前になります。 発表は、単著ではなく、共著となります。リーダーは、筆頭著者(ファーストオーサー)となります。
記録係は、試験答案用紙表面の最上部に、日付、授業科目名、グループ名を記入してください。 メンバーは、記録係に従い、役割、学籍番号、氏名を直筆署名してください。 その際、 筆頭著者を先頭に書き、登壇者の氏名の前には〇をつけてください。
討論を開始したら、記録係は討論の内容(議事)を試験答案用紙裏面に記録してください。
討論がまとまったら、資料作成係は、試験答案用紙表面に グラフィカルアブストラクト に表現してください。グラフィカルアブストラクトは文章ではなく、 図版で表現した内容の概要図です。 グラフィカルアブストラクトは、板書しやすいように作図してください。 図は独立した著作物とみなされます。 図を描いた人は、図の下部に著作権のクレジット表示(©2026,氏名)を直筆署名してください。
学生証を配置し、役割、学籍番号、氏名を直筆署名して 答案用紙全体をを撮影してください。 撮影の際は、図の著作者の許諾をとってください。 撮影した画像は平常の学習成果物として、期末の 成績評価申請書の 平常点の申請に使います。 画像がない場合、平常点の申請はできません。 演題、グループ名、共著者名がわかるように撮影し、各回ごとの復習として画像をWebClassにアップロードしておくと便利です。
登壇者は、プレゼンテーションのイメージをしましょう 5 ) 。 メラビアンの法則を意識して、 非言語表現も工夫しましょう 6 ) 。
グループ名が指名された後で、じゃんけんなどで登壇者を決めるのは、授業進行の妨げとなりますので、 必ず、討論前に 登壇者を決めてください。
記名だけして、討論に参加しない場合、不正行為として扱うことがありますので、必ず討論に参加してください。 自分から参加できなそうな人には、積極的に声がけをお願いします。
無作為抽出で指名します。 指名された方が所属するグループで決めた登壇者に、 プレゼンテーションしてもらいます 7 ) 。
プレゼンテーションは、必ずグラフィカルアブストラクトを板書しながら、行ってください。 無言でお尻を聴衆に向けたまま、板書だけする時間をとることは避けてください。
質疑応答の際も、無作為抽出で指名しますので、指名された方が所属するグループのプレゼンターが質問、コメント、アドバイスをしてください。 ディベートとしての反対意見は、大歓迎です。
*平常演習の配点は、授業1回ごとに、一律加点です。 平常演習には、ワークショップ、意見交換、発表、質疑応答など授業時間内の学習活動を含みます。 そのほかに授業時間外の0.5時間の学習活動を含みます。 平常点は、学期末に WebClass の 成績評価申請書 に申告していただき集計します。
授業時間外の活動の一助としてWebClassへの提出を推奨します。〆切は講義後1週間です。 ただし平常点の加点は、授業時間内の学習活動も含みます。 WebClass への提出のみでの、平常点の申告はご遠慮ください。
WebClass への平常演習提出は、推奨しますが、必須ではありません。 提出されていなくとも、 成績評価申請書 に、各回の授業時間以外の0.5時間の取り組みが申告されれば十分です。未提出だからと心配することはありません。
成績評価申請書 では、それぞれの授業で何を学び身につけたかを申告してもらいます。 WebClass に提出したかどうかより、身につけることを優先してください。 授業で取り上げたトピックや、グループワークの意見交換の内容は、期末までノート 8 ) などに記録しておくことを推奨します。 逆に授業に参加していないのに、WebClassの出席や提出だけの場合は不正行為として扱うことがあります。 平常の取り組みだけで、「到達目標を最低限達成している。成績区分:C」となります。 評点が60点に満たない場合は、不合格となります。 欠席した場合、課外報告書へ取り組むことで挽回してください。 出席が60%に満たない場合、課外報告書を提出しても、単位認定できません。