電池電極スラリーの調整、分散、塗工技術が電池性能に及ぼす影響

電池性能


電池と内部抵抗と等価回路

  1 電池と 内部抵抗 と 等価回路
©K.Tachibana
r Q = η t Q Q t I

電池は、化学エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスです。 その変換効率は高いほど良いです。 変換損失は熱エネルギーとなって放出されます。 この発熱は変換効率を悪化させるだけでなく、電池の温度を上昇させ、電池の安全な動作を妨げます。 電池の発熱は、内部抵抗rという 等価回路で表現されます。 電池の端子間電圧Vは、電池の起電力Ve.m.f.より電圧降下Irを差し引いた電圧です。


アセチレンブラック

  2 188
アセチレンブラックの構造
© K.Tachibana * , C1 Lab.

1 )

アセチレンブラックは、リチウムイオン電池の正極導電助剤としてよく使われます。粒径が小さく、充填効率が良いのでエネルギー密度の向上が期待されるからです。ABの導電機構は、基本的にはグラファイトと同じです。六角網面が球状に重なったオニオン構造をとり、それがクラスターを作り、ABの一次粒子となっています。

カーボン材料の表面はほとんど水素です。 官能基は、解放型とラクトン型に分類されます。 官能基の分析は、熱分析などによりますが、精度を上げることは困難です 2 )

🏞アセチレンブラック

SOC-OCV曲線

  3 SOC-OCV曲線
python (colab)→ pngsvghtml

電池の起電力は、充電率(State of charge、SOC) 3 ) によって変化します。 電池の過電圧も、充電率で変化します。また過電圧は、放電か、充電か、その方向でも変化します。

組電池 の電圧も、同様です。


ファラデー定数

  1 ファラデー定数
数値(概数) 単位 説明
96485.332 C/mol
26.801 Ah/mol
26801.481 mAh/mol
0.027 kAh/mol

96485.332 C/mol 〕 は、アボガドロ数×電気素量で、それらはSIで定められた 定義定数 です。

工業的には、 26.801 Ah/mol 〕をよく使います。

、 爆鳴気などで、電気量を較正します。

ファラデー定数は、 エネルギー密度や理論容量の計算にも使います。


リチウムイオン電池

  2 リチウムイオン電池 実用電池
電池式 組み立て後:Cu|C|LiPF6 EC+DEC|LiCoO2 ,C|Al
充電後:Cu|C6Lix|LiPF6 EC+DEC|Li1-xCoO2 ,C|Al
負極 反応 6C+xLi++xe-=C6Lix Eº  = -3V
正極 反応 LiCoO2=xLi++xe-+Li1-xCoO2 Eº = 0.7V
全反応
起電力/V 3.7 (公称電圧) 18650リチウムイオン電池は1セルの公称電圧が3.6Vまたは3.7V
最低放電終了電圧/V 2.5~2.75V
実用電池容量/mAh 1200~3300mAh
理論電池容量/mAh
サイクル寿命/回
理論重量容量密度
理論容量 電力原単位
/mAh/g
157.7mAh/g
理論重量エネルギー密度
/mWh/g
583.5
実用 重量エネルギー密度 200~250Wh/kg 程度 *
形状・寸法 円筒型 (18650の例 18は直径18mm、65は長さ65mm、0は円筒形) 2170や4680も * * 、 ラミネート型
重量
用途 住宅自動車スマホ

4 ) https://led-outdoorgear.biz/wp/18650-pse/ F=96485.33212331


実用電池の種類

  3 実用電池
電池の種類 サイズ 重量 公称容量 公称電圧 エネルギー 重量エネルギー密度 体積エネルギー密度 形状
リチウムイオン電池 Φ 18.3mm × 65mm 44g 2.4Ah 3.7V 8.88Wh 201Wh/kg 21000000Wh/L 18650
アルカリマンガン電池 336.0mWh/g
* *

電極合材スラリー中の成分

  4 電極スラリーの構成材料と相互作用
©2024 K.Tachibana * , C1 Lab.

合材スラリーは、 活物質導電助剤 といった 電極材料 を、バインダーを溶解した分散媒に 分散して調整します。


分散・解砕のイメージ

  5 分散と解砕のイメージ
© 2023 K.Tachibana * , C1 Lab.

5 )


石炭 石油 " 産業革命 " 太平洋戦争 " 現在 165017001750180018501900195020002050600500400300200 年代 y / year 二酸化炭素濃度 C / ppm
  6 二酸化炭素濃度の推移
©2020 K.Tachibana * , C1 Lab. ,SST

2024年11月21日CO2 濃度は、 推定447ppm。 この100年間で、地球大気中の二酸化炭素濃度は1.4倍になった。 前史時代の二酸化炭素濃度は、280ppmでほぼ一定だった。 石炭 を使い始めた産業革命から指数的に増加を始めた。 石油を使い始めてからは指数項が加わった。

今、地球がヤバい。 脱炭素社会 には 再生可能エネルギー の活用が必須。そのためには、 電気エネルギー 備蓄 する電池が必須なのだ。


季節 イベント
👨‍🏫 👨‍🏫 前期 第1ターム(4/10頃から 🔷 6/10ごろ) 研究計画書
🔷 5月 🔷 講演申込 表面技術講演申込
👨‍🏫
👨‍🏫 芒種
第2ターム( 🔷 6/10頃から 8/2ごろ) ✅ 表面技術【〆切】 講演申込
👨‍🏫 7月 表面技術【〆切】 要旨
👨‍🏫 👨‍🏫 8月
👨‍🏫立秋
講演申込 電池討論会 大学院入試
👨‍🏫 9月 👨‍🏫 表面技術講演大会
👨‍🏫 10月 後期 👀 論文題目提出 (B4) 👨‍🏫 中間発表 (B4)
👨‍🏫 👨‍🏫 11月 👨‍🏫 219 電池討論会
🔷 12月 🔷 講演申込 中間発表(M1) 論文題目提出 (M2) 支部講演会
🔷 冬至 🔷 小寒
🔷 1月 共通テスト
👨‍🏫 🔷 2月 🔷 立春 講演要旨 🔷 卒業論文 提出、 🔷 卒業研究発表会、 修士論文 提出、 公聴会
🔷 3月 🔷 春分 卒業式 電気化学会
6 ) 7 ) 8 ) 9 )

参考文献


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名称: 教育用公開ウェブサービス
URL: 🔗 https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/
管理運用 山形大学 学術情報基盤センター

2024年1月21日 松木健三名誉教授がご逝去されました。

名称:C1ラボラトリー
URL:🔗 https://c1.yz.yamagata-u.ac.jp/
管理運用
山形大学 工学部 化学・バイオ工学科 応用化学・化学工学コース
C1ラボラトリー ( 伊藤智博立花和宏 ) @ 米沢

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