バッテリーマネジメントのためリチウムイオン電池のインピーダンス測定の考え方

1. インピーダンスと電池の基礎

石炭 石油 " 産業革命 " 太平洋戦争 " 現在 165017001750180018501900195020002050600500400300200 年代 y / year 二酸化炭素濃度 C / ppm
  1 二酸化炭素濃度
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2022年5月29日CO2濃度は、 推定438ppm。 この100年間で、地球大気中の二酸化炭素の濃度は1.4倍になった。 前史時代の二酸化炭素濃度は、280ppmでほぼ一定だった。 石炭 を使い始めた産業革命から指数的に増加を始めた。 石油を使い始めてからは指数項が加わった。

今、地球がヤバい。 脱炭素社会 には 再生可能エネルギー の活用が必須。そのためには、電気を 備蓄 する電池が必須なのだ。


電池の電圧は電流に比例せず、線形システムではありません。 一方、インピーダンスはシステムの線形性を仮定します。 まずは、電池の起電力や内部抵抗など基本的なところをおさらいして、 インピーダンス測定とどう折り合いをつけるかみてみましょう。

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1.1 電池の起電力と内部抵抗

電池は電気を流さなくても電圧があります。これを電池の起電力といいます。このときの内部抵抗は無限大とみなせます。電池から電流を取り出すと電圧が下がります。この見かけの抵抗を内部抵抗と呼びます。


コイン電池(人間電池)の起電力

  2 11円電池(人間電池)
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04, 07 エネルギー化学 01.化学・バイオ工学実験 電池の歴史 1210 1217 1224 0216

てのひらに、10円と1円をのせて、電圧を測ると、0ではありません。 これが 電池の起電力です。電流が流れていないにもかかわらず電圧があるのです。 電池では、電流と電圧が、そのまま比例しません。 電池は単なる電気抵抗ではないのです。


電流と電圧と電気抵抗の関係

103
電流と電圧と電気抵抗の関係
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  1  電池の内部抵抗の原因
サイト 抵抗の種類 細分 原因
バルク 溶液抵抗 溶液の導電率 ( 抵抗過電圧
集電体 の抵抗 金属の抵抗率 (抵抗過電圧)
拡散抵抗 拡散過電圧(濃度過電圧) イオン移動
界面 接触抵抗 集中抵抗 オーミック界面 点接触による電流の集中
皮膜抵抗 ショットキー界面 トンネル電流
反応抵抗 ショットキー界面 反応過電圧 (活性化過電圧)

電池 の劣化は、形状変化による 接触抵抗の増大です。

電池の発熱は、電流の二乗×内部抵抗。 発熱は、無駄な発電負荷であり、無駄な二酸化炭素の排出。 大型電池ほど、放熱が不利になり、熱暴走のリスクが高まります 電池の内部抵抗を下げることが、脱炭素社会への道。

電圧降下=活性化過電圧+濃度過電圧+抵抗過電圧(溶液抵抗+接触抵抗


電気量と電圧と静電容量の関係

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電気量と電圧と静電容量の関係
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回路計で測れる物理量

  2 回路計で測れる物理量
物理量 単位 備考
電圧 V V 乾電池の開回路電圧は1.65V。 乾電池の公称電圧は1.5Vダニエル電池起電力は、1.1V 水の理論分解電圧は1.23V。
電流 I A 豆電球の電流は 0.5A。 ぽちっと光ったLEDの電流は1mA。
I= Q t
時間 t s
電気量 Q C Q = I t
電気抵抗 R Ω R = V I , V = R I
静電容量 C F C = Q V , V = 1 C I t
インダクタンス L H L = V I t , V = L I t
数式 電気にまつわる量

電位プロファイル

74
電位プロファイル
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均一固相反応(S字)と二相(L字)反応

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均一固相反応(S字)と二相(L字)反応
©

1.2 電池の構造とインピーダンス


EVのバッテリーシステム

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EVのバッテリー
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バッテリー、セル、電極

158
バッテリー、セル、電極
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セルの種類

  3 電池・電解槽の種類
分類 種類 備考
セル(単電池) 二極式 フルセル 実用電池(コインセル、円筒型電池)、メッキ試験(ハルセル)、電解槽など。 アノード カソードのみ
三極式 ハーフセル 作用極 、対極、 参照極
バッテリー(組電池)
電解槽
単極式(モノポーラ)
複極式(バイポーラ) 液を通しての短絡電流を防ぐなどの工夫が必要となる。 トヨタ 古河電池
  3 電極の接続様式

水電解


セルとセル定数

  4 102 セルとセル定数
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セル定数と物性

  4   セル定数に関わる物理量と 物性
物理量 単位 凡例
電極間距離 d mメートル 電界の強さ=電圧÷電極間距離
セル断面積 S へいほうメートル 拡面倍率1で、平板モデルのとき電極面積≒セル断面積
電極面積 A へいほうメートル 実験室でよく使う旗型電極の電極面積は 1cm²
セル定数 a 1/mまいメートル セル定数a=電極間距離d÷セル断面積S
コンダクタンス G 導電率 σ ÷セル定数
電気抵抗=抵抗率ρ×セル定数a
バルク電流密度j A/m2 バルク 電流密度 j 電流I÷セル断面積
界面電流密度j A/m2 界面 電流密度 j 電流I÷電極面積
電界の強さe V/m 電界の強さe電圧V÷電極間距離
🖱セルとセル定数

電池の表記と特性(電池式)

Fig 電池の表記と特性(電池式)
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電池と電池式

電池と電池式
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ダニエル電池の模式図

ダニエル電池の模式図
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ダニエル電池の動作

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ダニエル電池
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乾電池の模式図

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乾電池の模式図
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https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/Lecture/@LectureView.asp?nLectureID=4012

リチウム電池の模式図

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リチウム電池の模式図
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リチウムイオン二次電池

165
リチウムイオン二次電池
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リチウムイオン電池の正極と負極

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リチウムイオン電池の正極と負極
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電池を動物に例えるなら

  5 電池を動物に例えるなら
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電池を動物に例えるなら

  5 電池を動物に例えるなら
ダニエル電池 乾電池
動物 ブラナリア 脊椎動物
呼吸 体表呼吸 肺呼吸
集電体 なし 分離
循環系 なし 閉鎖血管系
電極 電極表面 複合電極
排出器 体表 腎臓
等価回路 単純 分布定数回路
05.エネルギー変換特論 1210

リチウムイオン二次電池の正極

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リチウムイオン二次電池の正極
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リチウムイオン二次電池の負極

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リチウムイオン二次電池の負極
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https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/56307/56307_07.asp

1.3 材料物性値とインピーダンス


インピーダンスから物性値へ(バッテリー、セル、界面とバルク)

160
インピーダンスから物性値へ
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電池、界面特性、物性値

  6 インピーダンス と物性との 関係
計測可能 物理量 セル 界面 の特性値
面積
バルク 物性値
セル定数
電気抵抗R=電圧÷電流 反応抵抗Rct〔Ωm-2〕=電圧÷ 表面 電流密度
接触抵抗 * =電圧÷表面電流密度
抵抗率ρ=電場強度÷ 断面 電流密度
抵抗率ρ〔Ωm〕=電気抵抗R〔Ω〕÷ セル定数 a〔1/m〕
抵抗率ρ=1÷導電率
コンダクタンスG=1÷電気抵抗R 導電率 σ〔Sm-1〕 、電気伝導度
静電容量 (キャパシタンス)C 電気二重層容量Cd〔Fm-2 誘電率 ε
インダクタンスL 透磁率 μ
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電池の内部抵抗は、 バルク抵抗だけでなく、界面抵抗に左右されます。 溶液に金属を浸しただけのダニエル電池のような単純な電池では、バルク抵抗が支配的ですが、 合材電極や固体電解質を使うリチウムイオン電池のような複雑な電池では、界面抵抗が支配的です。 電池の内部抵抗の評価には、 交流評価と直流評価を組み合わせが必要です。


界面とバルク―等価回路―

界面を表す特性とバルクを表す物性があります。等価回路ではときどき不明瞭なものがありますので、単位で確認しましょう。

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バルクと界面
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電池のモデル

界面の特性

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内部抵抗と電圧降下
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電解液の溶液抵抗

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電解液の溶液抵抗
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種々の界面

  7  接触界面
固体 液体 気体(真空)
固体 固固接触
面接触(例: pn接合
線接触(三相界面)(例:正極合材)
点接触(三相界面)(例:固体電解質)
固液界面 表面
液体 固液界面 (例:電極と電解液) 液液界面 (例:水と油) 気液界面 (表面)
気体(真空) 表面 気液界面 (表面) (混合)
14.エネルギー変換特論 🖱 界面 05機能特論 1210 1224 0216

粒界界面の存在

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粒界界面の存在
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粒子界面(点接触)の存在

175
粒子界面(点接触)の存在
©K.Tachibana

固体粒子の接触は、点接触です。面積を見積もるのがとても大変です。界面の電流密度がわかりません。 接触抵抗は電流集中を伴うので、圧縮などの影響を受けやすいのです。活物質や炭素材料、固体電解質などの取り扱いが難しいのはそのためです。


電極内部の界面の数

実用電池のほとんどは電極内部に複雑な構造を持ち、多種の材料からなる。 たとえば活物質、導電助剤、バインダー、電解液、集電体としただけで その界面の組み合わせは5C2=20通りに達するのである。 このような電極に単純な等価回路を当てはめて議論するのは無理があり、 かといって等価回路を複雑にしたところで意味がない。

回路
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電極内部の界面の数
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バルクの物性値-導電率、誘電率-

101
電位プロファイルと導電率
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https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/52255/_03/Conductivity.asp

1.4 ボーデプロットとコールコールプロット

コールコールプロット(ナイキストプロット)とボードプロットはインピーダンス測定結果の主要な表現です。とボードプロットにはしばしば両対数プロットが使われます。

コールコールプロットとナイキストプロット
  6 83
コールコールプロット(ナイキストプロット)とボードプロット
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  7 リサージュ図形

インピーダンスに出てくる諸元

インピーダンスは数式1で示されます。

Z =R+ j X
数式-1)
  8   インピーダンスに出てくる諸元
物理量 数式 備考
周期 Ts 🖱山のてっぺんからてっぺんまでの時間です。
周波数 fHz f = 1/T 周波数と振幅で交流を表現します。
角周波数 ω ω=2πf
電圧 振幅Ep0 交流の大きさの表現には、振幅のほかにピークトゥピークや実効値があります ()。
電流 振幅Ip0 I= Q t
インピーダンス Z〔Ω〕 Z = R + j X *
絶対値 |Z| Z = R 2 + X 2
位相角 φ tan(φ)=X/R
アドミタンス Y〔S〕 Y = G + j B *
インダクタンス L L= V I t
静電容量C C= Q V
電気抵抗 R R= V I インピーダンス Z の実部
リアクタンス X インピーダンス Z の虚部、 X=ωL-1/ωC
コンダクタンスG アドミタンス Y の実部
サセプタンス B アドミタンス Y の虚部
09.エネルギー化学 14.エネルギー変換化学特論 1210 1217
交流インピーダンス法による電池やキャパシタの評価

複素平面にプロットしたインピーダンスZの周波数fによる軌跡を コールコールプロットまたは ナイキストプロットと呼びます。


jpg形式をimgタグ参照した場合 (ナイキストプロット,©Suzuki)


バッテリーマネジメントのためリチウムイオン電池のインピーダンス測定の考え方
山形大学 米沢キャンパスに設置された インターネット百葉箱 ®