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🌡️ 📆 令和6年4月27日
リチウムイオン二次電池の基礎とバインダーの役割

2. 電池(セル)の性能



2.1 バッテリーを構成する材料


電池材料

  1   電池材料 1 )
分類 材料 特徴
電極材料 正極材料 活物質 極性固体、 酸化物、 イオン結合絶縁体
負極材料 (活物質) 極性固体(金属やグラファイト)/非極性固体(酸化物)
導電材 非極性固体 炭素材料
分散剤 界面活性剤
バインダー 界面活性剤
CMC・増粘剤 極性材料
集電体 (金属) 非極性固体
電解質 電解液、添加剤*
セパレータ
その他 外包材・リードタブ

界面は、 極性どうし、あるいは非極性どうし、だとなじみがいい。 異なる界面では、なじみが悪いので、界面活性剤などを検討する。


2.2 活物質―反応場となる界面、その極性―


ファラデー定数

  2 ファラデー定数
数値(概数) 単位 説明
96485.332 C/mol
26.801 Ah/mol
26801.481 mAh/mol
0.027 kAh/mol

96485.33212331は、アボガドロ数×電気素量で、それらはSIで定められた 定義定数 です。

、爆鳴気などで、電気量を較正します。

ファラデー定数は、 エネルギー密度や理論容量の計算にも使います。


均一固相反応(S字)と二相(L字)反応

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均一固相反応(S字)と二相(L字)反応
© K.Tachibana

正極活物質の反応は、 大きく均一固相反応と二相反応に分類されます。 MnO2やLCOは、均一固相反応と言えます。NiOOHやLFOは二相反応と言えます。 均一固相反応の放電曲線はS字型を描き、二相反応の放電曲線はL字型を描きます。 放電深さにおける起電力はネルンストの式で議論でいます。 バッテリーマネジメント の立場から言うと、S字型の放電曲線は、電圧だけで 残量管理ができるメリットがあります。 しかし負荷からすれば電池の電圧が変動してしまうデメリットもあります。


活物質表面での電子パスとリチウムイオンパス

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活物質表面での電子パスとリチウムイオンパス
© K.Tachibana

2.3 電解液―電子絶縁体、液回り―


電位プロファイルと導電率

  3 101
電位プロファイルと導電率
©K.Tachibana

導電率は、 物性値です。 ベクトル量なので、導電異方性があれば、方向依存性があります。

導電率は、電流密度を電界の強さの比です。 電界の強さは電位勾配であり、電位勾配を見るには位置に対して電位を示した電位プロファイルが便利です。

また 導電率は、 移動度 と電荷密度の積です。 移動度は粘度に反比例し、 電荷密度は、イオンの濃度に比例します。


導電率の大きな電解液

  3 導電率 の大きな 電解液
材料 導電率 / S/m 抵抗率 / Ω・m
1M KCl aq 11.00 0.09
0.1M NaOH aq 2 ) 2.20 0.45
1M LiPF6/PC+DME(1:1mol) 3 ) 1.59 0.63
35wt%食塩水( 🏞 海水) 4 ) 4.00 0.25
水道水 5 ) 0.01 100.00

電解液( 電解質) はイオン電導です。自由電子による 金属の電子伝導に較べて導電率は8桁ほど小さくなります。 電池の内部抵抗を減らすには、 電極面積を増やし、電極間距離を縮め、導電率の高い電解液を使います。

導電率は 物性値なので、材料の形状によりません。 かたや形状のない材料などありません。


2.4 導電助剤―電子パス、その極性―

アセチレンブラック

  4 188
アセチレンブラック
©K.Tachibana

6 )

カーボン材料の表面はほとんど水素です。 官能基は、解放型とラクトン型に分類されます。 官能基の分析は、熱分析などによりますが、精度を上げることは困難です 7 )

🏞アセチレンブラック

2.5 集電体―固体と固体の接触抵抗―

電気二重層( 金属 |電解液 界面)

  5 集電体 電解液 界面
09 エネルギー化学特論 gome1025 20110830
8 )

導体(金属)・半導体・不導体(絶縁体)の抵抗率

Example fillrule-evenodd - demonstrates fill-rule:evenodd 10-810-610-410-21001021041061081010101210141016 Al Cu Ge Si
  6 導体(金属)・半導体・不導体(絶縁体) の 抵抗率 ρ(ロー)/ Ω·m
© K.Tachibana , C1 Lab.

抵抗率は、 物性値です。 金属は、電流を流す用途で使うので、電気抵抗から損失を計算しやすいように抵抗率で表現し、 半導体や電解液は、キャリア濃度との関係から 導電率で表現することが多いです。


伝導性のある金属

  4 導電率 の大きな 金属 材料
金属 元素 導電率 /108S/m 抵抗率 /10-8Ω・m
🜛 Ag [5s1] 0.63 1.59
🜠 Cu[4s1] 0.60 1.68
🜚 Au [6s1] 0.41 2.44
🜀 アルミニウム Al[3p1] 0.38 2.65
亜鉛 Zn [4s2] 0.17 6.02
真鍮 (黄銅) Cu,Zn 0.14 7.00

電線ばかりでなく、 電池集電体にも使われます。 リチウムイオン電池の集電体には、銅とアルミニウムが使われます。

金属は、 電解液 に較べると8桁ほど導電率が大きいです。

https://www.hata-cu.com/blog/post-309/

2.6 セパレータ―電子短絡を防ぐ―

電池と電池式

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電池と電池式
©K.Tachibana

セパレータを貫通した析出物


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セパレータを貫通した析出物
©T.Ito

2.7 外装材―ガスバリア性―

腐食の形式と様式

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腐食の形式と様式
© 2016 K.Tachibana

2.8 バインダー―固体同士をを結着させる―


電解液の溶液抵抗

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©K.Tachibana

粒界界面の存在

  11 173 粒界界面の存在
©K.Tachibana

粒界界面の存在

  12 175 粒界界面の存在
©K.Tachibana

リチウムイオン二次電池の基礎とバインダーの役割