10.エネルギー変換化学特論
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10. 有機材料~リチウム電池の電解液~

山形大学  工学部  化学・バイオ工学科  仁科辰夫

前回

金属材料~負極活物質と集電体の働き~

リチウム電池の電解液はフルーツの香り

高校で習った通り、極性物質は極性溶媒によく溶けて、非極性物質は非極性溶媒によく溶けます。 電池の電解液は電子を通さず、電気を流す都合、イオンが溶けていることが求められます。 よって極性物質の代表格である塩が溶けていなくてはなりません。 したがって、溶媒は極性溶媒ということになります。 しかしながら、リチウムは水と反応しますから、有機溶媒でなくてはなりません。 しかも、水というよりプロトンと反応しますから、非プロトン性溶媒でなくてはなりません。 極性をもって非プロトン性となると、やはりエステルですよね。 高校で習った通り、エステルはフルーツの香りがします。 だからリチウム電池の電解液はフルーツの香りがするのです。

非プロトン性溶媒

極性と溶解度

電解液の導電率が大きいほど、 電池の内部抵抗 は下がる。 導電率は電離した電解質の濃度と電解液の粘度に支配される。 イオン半径の大きなアニオンは電離しやすい。 誘電率の大きな溶媒は電解質をよく溶かす。 濃度が大きく、誘電率の大きな電解液は粘度も増すので、電解液はそれらのトレードオフとなる。

粘性と極性-混合溶媒-

添加剤

野村正勝・鈴鹿輝男, 最新工業化学―持続的社会に向けて― ,講談社サイエンティフィク

電解液。 電解液の中の電気の担い手はイオンと呼ばれる荷電粒子だ。 イオンの重さは一番軽い水素イオンでも電子の重さの1800倍。 この重さの違いはゾウとモルモットの体重差に匹敵する。 だから、電池から電流を取り出せているとき、電気の重たさは気にせずともよい。 電気の動く向きを変えようとしたときに、電気の重たさからくるリアクタンスをインダクタンスと言い、 電気のたまりからくるリアクタンスをキャパシタンスと言う。 電池から電流を取り出せているときは、電気の重たさは気にせずともよいのだから、リアクタンスはキャパシタンスだけで表現すればよい。 すなわちX=1/wC。

次回

高分子材料 ~リチウム電池のバインダーやセパレータの働き~ http://c1.yz.yamagata-u.ac.jp/Education/Energy.html
エネルギー化学特論
  1. エネルギーの種類と物質
  2. 電解工業と電気化学
  3. 電池の起電力と分解電圧
  4. 電気エネルギーと物質~電池の系譜~
  5. 電池の内部抵抗と過電圧
  6. 二次電池とキャパシタ
  7. リチウムイオン二次電池の構造
  8. セラミックス材料~正極活物質と導電助材の働き~
  9. 金属材料~負極活物質と集電体の働き~
  10. 有機材料~リチウム電池の電解液~
  11. 高分子材料~リチウム電池のバインダーやセパレータの働き~
  12. 化学工学とリチウム電池~分散・スラリーの作成と塗布乾燥~
  13. サイクリックボルタンメトリーによる電池やキャパシタの評価
  14. 交流インピーダンス法による電池やキャパシタの評価
  15. 電池やキャパシタのマネジメント~BMSやスマートグリッド~


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