粘土材料の液晶化による電気的配向現象におけるエネルギーデバイスとしての可能性. 2019年電気化学秋季大会, 山梨大学甲府キャンパス. 2019.
分散媒 | ||||
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気体 | 液体 | 固体 | ||
分散質 | 気体 | 気泡、泡 | スポンジ | |
液体 | 【エーロゾル】霧、雲 | 【乳濁液・エマルション】 | 寒天、ゼラチン、 粘土分散液、【ゲル】 | |
固体 | 煙、PM2.5 | 【懸濁液・サスペンジョン】墨汁、絵の具、泥水、スラリー | ルビー、色ガラス |
物質は、 様々な状態を取ります。 混合物のうち、10-8m程度の分散質が分散媒に分散したものを、コロイド溶液と言います。 コロイド溶液中の分散質と分散媒の間には、真の溶液と違って 界面が存在します。 コロイド溶液を安定化するのに 界面活性剤が使われます。
族 | 種 | 化学式 | 製品名 | 製造方法 | 用途 |
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カオリナイト (1:1層) | カオリナイト | 1:1層で、層間に水がないため、焼結可能。陶磁器などに使う(※)。 | |||
スメクタイト (2:1層) | モンモリロナイト |
Nax(Al2-xMgx)Si4O10(OH)2·4H2O(X<0.33)
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クニピア-F | 精製 | ベントナイトの主成分。 1:2層で、高温でも固まらない。鋳鉄の鋳型などに使う。 |
Li+モンモリロナイト |
Lix(Al2-xMgx)Si4O10(OH)2·4H2O(X<0.33)
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クニピア-M | 精製 | ||
サポナイト |
NaxMg3(Si4-xAlx)O10(OH)2(X<0.33)
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スメクトン-SA | 水熱合成 | ||
スチーブンサイト | Na0.3Mg3-xSi4O10(OH)2 | スメクトン-ST | 水熱合成 | ||
ヘクトライト | Na0.3(Mg,Li)3-xSi4O10(OH)2 | スメクトンSWN | 水熱合成 | ||
ヘクトライト-F | スメクトンSWF | 水熱合成 |
粘土は、SiO4四面体が平面状に結合した 造岩鉱物です。
はるか Stevensite は Montmorillonite の八面体シートの 2Al を 3Mg で置換したもの 、幾つ か教科書を見ると少し記載が曖昧なところが有ります。層電荷が小さい、混合物ではないかなど。ベン トナイトは鉱物種名では有りません。米国ワイオミング州の Fort Benton 層中に産出する粘土に対して 命名されています。主として Montmorillonite を主体とする粘土をベントナイトと呼んでいます。スメ クタイトグループの鉱物にクリストバライト、石英、沸石などを含むことが一般的です。
単位質量の 粉体 の全表面積を、 粉体 の比表面積と言います。 一定量の固体を粉砕すると、 その表面積は粒径にほぼ反比例して増加します 2 ) 。
粘土分散液は、 粘土ではありません。粘土は鉱物です。 でも粘土分散液は、粘土粒子と分散媒からなる複合材料です。 粘土分散液は液晶です。
(鈴木,2007)
アルミニウムイオンと、同型置換されたマグネシウムイオンがあります。 そこは、電荷が足りない分、負の電荷を帯びます。 その電荷を補償するのが、層間のナトリウムイオンです。 こうして、離れたところにある負の電荷と正の電荷で、双極子モーメントが生じます。
ヘクトライトは、層間に水が配位したカチオンが入り込むため、膨潤し、粘性の高い液体となります。
一方でカオリナイトは1:1型構造なので,層間に水が入り込みづらいので,膨潤せず分散があまりできません.
同型置換により負に帯電した粘土の単位層や水酸基に水和したカチオンがクーロン力によって結合することで固定点となります.
負に帯電した粘土の単位層とカチオンとで双極子をもつことになります.
層間が水で膨潤した粘土分散液でも、 負の電荷と正の電荷で、双極子モーメントが生じます。 このような双極子モーメントを持つクラスターは、ダイレクタとなります。 ふだんは粘性力が支配ですが、振動を受けて流れが生じたり、電場がかかったりすると 慣性力が支配的になります。 このような現象は、粘土分散液の液晶性の発現に寄与します。
注目する原子を中心に、半径rの球を考え、 その球の内側に存在する電荷と距離から、双極子モーメントを計算したグラフである。
試料名 (製造元、型番) | 粒径/nm | 導電率/μS/cm | pH | 粘度/mPa·s |
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スチーブンサイト2wt%/水分散液
( クニミネ工業、 スメクトン-ST 2wt%/水分散液) | 30±10 | 2450 | ||
ヘクトライト2wt%/水分散液
( クニミネ工業、 スメクトン-SWN 2wt%/水分散液) | 50 | 1594 | ||
サポナイト2wt%/水分散液
( クニミネ工業、 スメクトン-SA 2wt%/水分散液) | 100 | 1114 | ||
モンモリロナイト2wt%/水分散液
(クニミネ工業、 クニピア-F 2wt%/水分散液) | 350±250 | 636 | ||
Li+置換モンモリロナイト2wt%/水分散液
(クニミネ工業、 クニピア-M 2wt%/水分散液) | >? | 410 | 9.9 | 534 |
図1に浸漬開始から6日後の各種金属板に対する粘土/水分散液浸漬実験中の写真を示す.アルミニウムはモンモリロナイト2wt%/水分散液とヘクトライト2wt%/水分散液で変化が起きた.図1(a)に示すようにモンモリロナイト2wt%/水分散液中では白色のゲルが発生した.スチーブンサイト2wt%/水分散液では変化が起こらなかった.ヘクトライト2wt%/水分散液中では多量の泡と白色のゲルが発生した.ヘクトライト2wt%/水分散液中で発生する泡は浸漬開始から20分で白色のゲルと共に発生した.
鉄は全ての粘土/水分散液中で変化が起きた.図1(b)に示すようにモンモリロナイト2wt%/水分散液中では浸漬させていた金属板の全面に茶褐色と緑色のゲルが発生した.スチーブンサイト2wt%/水分散液中では気-液界面の部分的に茶褐色ゲルが発生した.ヘクトライト2wt%/水分散液中では金属板下部に茶褐色と緑色のゲルが発生した.
亜鉛は全ての粘土/水分散液中で変化が起きた.図1(c)に示すようにモンモリロナイト2wt%/水分散液中では白色のゲルが金属板上前面に発生した.スチーブンサイト2wt%/水分散液とヘクトライト2wt%/水分散液中では,部分的に白色ゲルが発生した.
銅はいずれの粘土/水分散液中で変化が起きなかった.同様にニッケル,鉛でも変化は起きなかった.
表1に各種金属板に対する粘土/水分散液浸漬実験の目視観察の様子を示す.モンモリロナイト2wt%/水分散液ではゲルが発生する場合は金属板上の全面に発生し,金属板の面に垂直に成長した.アルミニウムは3種の粘土/水分散液中で変化の様子が異なる結果となった.ヘクトライト2wt%/水分散液でのみ多量の泡が発生した.標準電極電位でニッケルより貴の電位を持つものは反応が起こらなかった.
金属種 | SWN2wt%分散液 | ST2wt%分散液 | KPF2wt%分散液 |
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アルミニウム | 多量の泡 | 変化なし | 全面に白色ゲル |
亜鉛 | 部分的に白色ゲル | 部分的に白色ゲル | 全面白色ゲル |
鉄 | 部分的に茶褐色ゲル | 部分的に茶褐色ゲル | 全面に茶褐色ゲル |
ニッケル | 変化なし | 変化なし | 変化なし |
鉛 | 変化なし | 変化なし | 変化なし |
銅 | 変化なし | 変化なし | 変化なし |
表に各種金属板に対する粘土/水分散液浸漬実験の目視観察の様子を示す.
金属種 | SWN2wt%分散液 | ST2wt%分散液 | SA2wt%分散液 | KPF2wt%/水分散液 | pH10緩衝液 |
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アルミニウム | 気泡,白い斑点 | 変化なし | 全面こげ茶色,一部に白い粉付着 | 全面黒変,一部白い粉付着,KPF分散液がゲル化して表面に付着 | 全面こげ茶色,孔 |
亜鉛 | 部分的に白色ゲル,ゲルの下の地金に黒点 | 部分的に白色ゲル | 全面白色ゲル | 全面白色ゲル,KPFが沈殿 | 表面に垂れるように白色ゲル |
鉄 | 部分的に黒緑色ゲルとオレンジゲル | 変化なし | 黒緑色ゲルとオレンジゲル | 黒緑色ゲルとオレンジゲル,KPF分散液が沈殿 | 変化なし |
チタン | 変化なし | 変化なし | 変化なし | 変化なし | 変化なし |
銅 | 表面うっすら緑色 | 表面うっすら緑色 | 表面うっすら緑色 | 気液界面黒変,全体に白濁したゲル | 変化なし |
図にアルミニウムを浸漬実験をした際の電位の時間変化のグラフを示す.浸漬を開始すると電位が下がりだし,3分で電位が最も低くなった.その後は徐々に電位が高くなった.最終的にSWN2wt%分散液の電位が最も低くなり-1.32 Vだった.ST,KPF2wt%分散液は-1.27 Vだった.SA2wt%分散液は-1.22 Vであった.pH10の緩衝液では-1.12 Vで最も高い電位となった.
浸漬開始とともにアルミニウム表面の酸化皮膜がpHにより溶け地金が露出することで電位が一旦下がるが,再度皮膜ができることにより電位が上昇していると考えられる.pH10の緩衝液ではその傾向がみられているが,粘土分散液ではpH10緩衝液ほど電位が上昇せずに-1.2~-1.3 Vの電位を保持している.つまり皮膜の成長を阻害するようなものがアルミニウム表面で生成していると考えられ,粘土分散液中の電位変化の挙動はpHだけで説明がつかない.
図2に粘土/水分散液から金属板を引き抜いた際の様子を示す.成長したゲルは金属板にはり付いていた.
図3に浸漬実験後の金属板の写真を示す.図3(a)に示しているようにアルミニウムはモンモリロナイト2wt%/水分散液とヘクトライト2wt%/水分散液に浸漬することで変化が起きた.モンモリロナイト2wt%/水分散液に浸漬していたものは白色層が出来ており,厚みが初めより0.15 mm増加した.ヘクトライト2wt%/水分散液に浸漬していたものは白色層が出来ており,厚みが0.03 mm増加した.スチーブンサイト2wt%/水分散液に浸漬していたものは変化が見られなかった.
図3(b)に浸漬実験後の鉄板の様子を示す.鉄板では全ての粘土/水分散液中に浸漬することで変化が起きた.茶褐色のゲルが付着していた部分の金属光沢が焼失した.厚みに変化はなかった.
図3(c)に浸漬実験後の亜鉛板の様子を示す.亜鉛板では全ての粘土/水分散液中に浸漬することで変化が起きた.白色のゲルが付着していた部分が黒変していた.厚みに変化はなかった.
表2に浸漬実験後の金属板の様子を示す.スチーブンサイト2wt%/水分散液に浸漬したアルミニウムの変化が見られなかった.モンモリロナイト2wt%/水分散液とヘクトライト2wt%/水分散液中に浸漬したアルミニウムは,白色層が付着し厚みが増加した.亜鉛と鉄はゲル化したものが付着した部分の金属表面に変化が起きた.標準電極電位でニッケルより貴の電位をもつ金属では変化は起きなかった.
金属種 | SWN2wt%分散液 | ST2wt%分散液 | KPF2wt%分散液 |
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アルミニウム | 白色層付着厚み0.03mm増加 | 変化なし | 白色層付着.厚み0.15mm増加 |
亜鉛 | 白色ゲル付着部分が黒変 | 白色ゲル付着部分が黒変 | 白色ゲル付着部分が黒変 |
鉄 | 茶褐色ゲル付着部分の金属光沢消失 | 茶褐色ゲル付着部分の金属光沢消失 | 茶褐色ゲル付着部分の金属光沢消失 |
ニッケル | 変化なし | 変化なし | 変化なし |
鉛 | 変化なし | 変化なし | 変化なし |
銅 | 変化なし | 変化なし | 変化なし |
標準電極電位でニッケルより貴の電位をもつ金属では変化は起きなかった.スチーブンサイト2wt%/水分散液中のアルミニウムはpHによる腐食が起きずに酸化皮膜がある状態または金属の地金として保護されている可能性が高い.
モンモリロナイトの単位結晶は、Si(ケイ素)とO(酸素)の四面体がシート状に連なった四面体シートと、Al(アルミニウム)とOH(水酸基)の八面体がシート状に連なった八面体シートからなっており、1枚の八面体シートが2枚の四面体シートに挟まれた、サンドウィッチ構造をしています。これをケイ酸塩層(単位層)と呼びます。しかし、実際は八面体シート中の3価の陽イオンであるAlが、部分的に2価の陽イオンであるMg(マグネシウム)に置き換わっています。このことを同形置換と呼びます。その結果、単位層面では電荷が不足し、負(マイナス)電荷を帯びています。そのため、電荷のバランスをとるために、単位層間に正(プラス)電荷を持つイオンが取り込まれています。これを層間陽イオンと呼びます。
以下にCa型モンモリロナイトのUnit Cellに 含まれる原子の空間位置座標(3Dデータ)から構成した球棒モデルを示す.
粘土材料の液晶化による電気的配向現象におけるエネルギーデバイスとしての可能性. 2019年電気化学秋季大会, 山梨大学甲府キャンパス. 2019.
粘土分散液中の粘土粒子とその乾燥後の構造解析. 平成30年度 化学系学協会東北大会, 秋田大学手形キャンパス. 2018.
粘土鉱物の電気化学への応用. 山形大学 物質化学工学科 , 卒業論文 , 2016. https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/Academic/@Thesis.asp?nThesisID=593, (参照 ).
アルミニウムアノード酸化皮膜に粘土鉱物が接触したときの電気化学的挙動. 第33回金属のアノード酸化皮膜の機能化部会(ARS)熱海コンファレンス, 伊豆山研修センター. 2016.
粘土鉱物分散水溶性ゲルを使用した電池のアルミニウム酸化皮膜の抵抗低減メカニズム. 平成28年度 化学系学協会東北大会, いわき明星大学. 2016.
種類 | 財源 | 用途 |
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奨学寄附金 | ||
共同研究 | 備品 、消耗品、試薬 旅費など | |
学術指導 | ||
受託研究 | 科研費、助成金など | 備品 、消耗品、試薬 旅費など |
大学では、請求書ではなく、納品書で会計処理。検収。
コメリ、ムサシは専用カードで、売掛。
書籍は、図書館で処理。固定資産。