ポテンショスタットは、 参照電極に対する作用電極の電位を一定に保つ装置です。そのときの電流を測定することで分極曲線を測定します。 3極式セルでは、 作用極、対極、参照電極の電極があります。
ポテンショスタットの参照電極につなぐ端子を対極につなぎ、 二極式セルとして、分極曲線を測定すると、分解電圧を求めることができます。
分解電圧を調べるときは、電圧を掃引して、電流を測定します。 これを LSV (リニアスイープボルタンメトリー)ということもあります。 電流電圧曲線から、溶液抵抗の傾きを外挿して、分解電圧を求めます。 理論分解電圧から分解電圧を引いて、 過電圧を求めます。 過電圧を電流密度の対数の関係をターフェルプロットと言います。
電池では、電流を掃引して、電圧を測定します。 求めた電流電圧曲線は、電池の放電の 内部抵抗 を求めるのに使われます。
平衡電位から電位をずらす(分極)すると、活性化過電圧のみの場合は、ある電位から指数関数的に電流が増加します。電流は反応速度を表します。 実際には溶液抵抗が存在するので、電流はあるところから直線的に増加するようになります。 分解電圧は、その直線を外挿して求めます。
ポテンショスタットについて調べ、どのような場面で活用されるのかを書きなさい。
ボルタンメトリーは電位を変化させてそのときの電流を観察する測定法です。 電流は反応速度を表します。 したがってボルタンメトリーを測定するときには、 どの電位でどんな反応が起きるかをイメージすることが大切です。
サイクリックボルタンメトリーは反応の可逆性を調べる測定法です。
なんとかメトリーは、測定法、なんとかグラムは、結果を表します。 「サイクリックボルタンメトリーで酸化電流を評価した。」は、用例的に正しいですが、「サイクリックボルタモグラムで酸化電流を評価した。」は用例的に誤りです。おなじように「サイクリックボルタモグラムを図に示す。」は、用例的に正しいですが、「サイクリックボルタモグラムを図に示す。」は用例的に誤りです。ちなみに、文法的にはぜんぶ正しいです。文法的に正しくて、用例的に誤りだと、言語明瞭意味不明となってしまいます。
名称 | 概略 | 装置 |
---|---|---|
クロノポテンショメトリー (CP) | 電圧電気量曲線 電池 の 充放電曲線 過渡応答 など | 🚂 ガルバノスタット、データロガー |
クロノアンペロメトリー | 電流絞り込み曲線など | 🚂 ポテンショスタット 2 ) 、データロガー |
リニアスイープボルタンメトリー (LSV) | 分解電圧の測定など | 🚂 ファンクションジェネレータ、 🚂 ポテンショスタット、データロガー |
サイクリックボルタンメトリー ( CV) 3 ) | 反応種の特定など | |
電圧電流曲線 | 電池の内部抵抗 | |
コンダクトメトリー | 導電率 誘電率 の測定など | 🚂 ファンクションジェネレータ 4 ) 、 🚂 ポテンショスタット、データロガー |
交流インピーダンス法 | 導電率 の測定など | ファンクションジェネレータ、ポテンショスタット、データロガー、 オシロスコープ、LCRメータ * * |
サイクリックボルタンメトリーについて調べ、何に応用されるのかを書きなさい。
水は極性があるため脂肪より電気をよく溜めます。だから電気の溜まり具合から脂肪と水分の比率が推定できます。たまっている電気を測るのに、たまっている電気を全部絞り出すより、入れ物を揺さぶって調べる方が簡単です。これが交流を印加する交流インピーダンス測定です。
インピーダンスの測定がもっとも効を奏するのは電解液の導電率測定であろう。導電率を測定する方法をコンダクトメトリーと言う。導電率計として身近な市販品として塩分計などがある。インピーダンスを測定しているという感覚は薄れているかもしれない。また体脂肪計のように誘電率を測定する方法もある。導電率や誘電率のように界面ではなくバルクをターゲットにして測定する方法をバルクメトリーと言う。
導電率計の原理について調べ、どのような場面で活用されるのかを書きなさい。
交流を印加してインピーダンスを測定する方法です。
物理量 | 数式 | 備考 | |
---|---|---|---|
周期 T〔s〕 | 🖱山のてっぺんからてっぺんまでの時間です。 | ||
周波数 f〔Hz〕 | f = 1/T | 周波数と振幅で交流を表現します。 | |
角周波数
|
ω=2πf | ||
電圧 振幅Ep0 | 交流の大きさの表現には、振幅のほかにピークトゥピークや実効値があります (※)。 | ||
電流 振幅Ip0 | |||
インピーダンス Z〔Ω〕 | * | ||
絶対値 |Z| | |||
位相角
|
|||
アドミタンス Y〔S〕 | * | ||
インダクタンス L | |||
静電容量C | |||
電気抵抗 R | インピーダンス Z の実部 | ||
リアクタンス X | インピーダンス Z の虚部、 X=ωL-1/ωC | ||
コンダクタンスG | アドミタンス Y の実部 | ||
サセプタンス B | アドミタンス Y の虚部 |
インピーダンスは複素数なので、実部と虚部があります。 実部をリアクタンスと言い、虚部をレジスタンスと言います。 各周波数でのインピーダンスを複素平面上にプロットしたものを コールコールプロットあるいはナイキストプロットと言います。
python では、複素数が使えるので、短いプログラムでコールコールプロットのシミュレーションができます。
# ■■■ コールコールプロット import numpy as np import matplotlib.pyplot as plt import cmath import math R= 2000 C = 0.1e-6 Rs = 500 t = np.arange(start = 0, stop = 5, step = 0.05) f = [pow(10,p) for p in t] z = [1/(1/R+1j*2*np.pi*p*C) + Rs for p in f] x = [ p.conjugate().real for p in z] y = [ p.conjugate().imag for p in z] r = [ abs(p.conjugate()) for p in z] ph = [ cmath.phase(p.conjugate()) for p in z] ax = plt.subplot2grid((2, 2), (0, 0), rowspan=2) ax.set_aspect('equal') plt.plot(x, y) plt.subplot2grid((2, 2), (0, 1)) plt.xscale('log') plt.plot(f, ph) plt.subplot2grid((2, 2), (1, 1)) plt.xscale('log') plt.plot(f, r) # ■■■ コールコールプロット
電気化学での交流インピーダンス法ついて調べ、何に応用されるのかを書きなさい。
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