語釈1.
単体金属アルミニウム(Al)は、優れた耐食性を示すバルブメタルです。アノード酸化処理を施した材料はアルマイトとして知られます。自然環境下においてはほとんど腐食されません。特にAl、Al-Mg、A-lMn系の合金が優れています。ただし、アルカリ性には著しく弱く、pH12以上のコンクリート、セメント、モルタル等の環境中ではカソード腐食を引き起こします。
密度が小さく、導電率が大きい。またアノード酸化処理でできたバリヤ皮膜はアルミニウム電解コンデンサの誘電体として使われます1)。
合金としてはジュラルミンなどが有名です。金属間化合物はアルミニウム化合物が多い。
アルミニウムが有機電解液中でも不働態化しやすいことを利用して、リチウムイオン二次電池や非水溶液系の電気二重層キャパシタでほとんど唯一の正極集電体として使います#719。またリチウムと合金化してデンドライトを抑制した金属負極活物質にも使います。
導電率が大きいので基板や各種ディスプレイの配線材料にも多く使われる。またその軽さからハードディスク基板にも使われます。軽くて反射率が高いのでCDやDVDの反射層として使われます。光やガスを通しにくいのでアルミホイルやラミネートフィルムとして食品包装用にも使われます2)。アルミニウムを溶接するときは、アルゴン雰囲気下で行います。
アルミニムは電池の負極として可能性を秘めているにもかかわらず、実用電池としては用いられていません。というのは表面に不働態皮膜を生じるために部分的に放電した電池や長期保存された電池では、電池電圧が理論値より低くなり電圧の遅れが起きるからです。不働態皮膜は適当な電解液を使うかアマルガム化することでのぞく事ができますが、こんどは腐食を加速して保存特性が悪くなってしまいます。アルミニウム/空気電池としては利用できます。
【関連書籍】
- (1) 永田伊佐也.
電解液陰極アルミニウム電解コンデンサ
. 日本蓄電器工業株式会社, 1997. . - (2) 小林藤次郎.
アルミニウムのおはなし
. 日本規格協会, 1985. . - (3) 荻野博・飛田博実・岡崎雅明.
基本無機化学
. 東京化学同人, 2000. . - (4) .
. , 1. .
- (5) 実教出版.
サイエンスビュー化学総合資料
. 実教出版, 2005. . - (6) 竹内敬人ほか.
ダイナミックワイド図説化学
. 東京書籍, 2003. . - (7) 数研出版編集部.
視覚でとらえるフォトサイエンス化学図録
. 数研出版, 1998. . - (8) 佐野博敏、花房昭静.
総合図説化学
. 第一学習社, 1995. .
語釈2.
非鉄金属のうち軽金属です1)。p-ブロック元素で、優れた耐食性を示すバルブメタルです。ボーキサイトを乾燥・粉砕し、水酸化ナトリウム溶液と混合し、アルミン酸ナトリウムとします。不純物を沈殿させ、アルミン酸ナトリウムを冷却・析出すると水酸化アルミニウムになります。これを高温に加熱しアルミナを得ます(バイヤー法)。アノード酸化処理を施した材料はアルマイトとして知られますアルミニウムの陽極酸化(アルマイト加工) 2)3)。
またアルミニウムのアノード酸化皮膜を誘電体として電解コンデンサを作ります。アルミニウムが有機電解液中でも不働態化しやすいことを利用して、リチウムイオン二次電池のほとんど唯一の正極集電体として使います。またリチウムと合金化してデンドライトを抑制した金属負極活物質にも使います。電気二重層コンデンサの集電体にも使います。金属バットにも使います4)。
アルミニウムは酸と塩基の両方に反応して塩を作るので亜鉛と同様に両性金属として知られています。しかし、このことはアルカリでも腐食することを意味します。
アルミダイキャストやジュラルミンなどの優れた合金を作れます。新幹線や航空機の構造材料として使います。
樹脂にラミネートや蒸着して食品包装用のフィルムにも使います非鉄金属製錬と電線、航空機(2007)5)。
【関連書籍】6)
【関連講義】お散歩の中にサイエンスを探し求めて♪,国産アルミニウム電解槽第一号@大町エネルギー博物館国産アルミニウム電解槽第一号@大町エネルギー博物館@長野県大町市7)
- (1) 田中和明.
図解入門 よくわかる最新金属の基本と仕組み
. 秀和システム, 2007. . - (2) 遠藤 昌敏.
無機・分析化学応用実験:アルミニウムの陽極酸化(アルマイト加工)
. https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/@Lecture.asp?nLectureID=1295. (参照2007-04-04). - (3) 小林藤次郎.
アルミニウムのおはなし
. 日本規格協会, 1985. . - (4) 田中和明.
図解入門 よくわかる最新金属の基本と仕組み
. 秀和システム, 2007. . - (5) 立花和宏.
無機工業化学:非鉄金属製錬と電線、航空機(2007)
. https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/@Lecture.asp?nLectureID=1678. (参照2007-11-01). - (6) 松田治和 足立吟也.
工業化学2
. 実教出版, 2002. p.101. - (7) 立花 和宏.
お散歩の中にサイエンスを探し求めて♪:国産アルミニウム電解槽第一号@大町エネルギー博物館@長野県大町市
. https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/@Lecture.asp?nLectureID=3172. (参照2009-07-05).