✍ プロセス制御と自動化(オートメーション)

化学のプロセスでは、製品の品質安定のために、 タンク内やパイプ内の 温度・圧力・液面・流量・組成(濃度)などのプロセス変量を、自動制御することがあります 1 ) プロセス制御 と言います。 PID制御 (比例積分微分制御)は、もっともよくつかわれるフィードバック制御です。

フィードバック制御では、 過渡応答 の入力として ステップ入力、インパルス入力、ランプ入力が、よく使われます。 また系のモデルとしては、1次遅れ系2次遅れ系が、よく疲れます。

それらの系は、時定数、減衰係数(ダンピングファクター)などで特徴づけられます。 とくに1次遅れ系時定数は、非常によく使われます。

PID制御された 系が 2次遅れ系と仮定できるとき、 ステップ入力、インパルス入力、ランプ入力からひとつ選んで、 その入力波形と、 その過渡応答 の応答波形(出力波形)を図示(板書)してみましょう。

エアコン(温度)、給湯器(温度)冷蔵庫(温度)、扇風機(流量)など、日常生活で、自動制御が応用されている例をあげ、 過渡応答がどのようになっているか調べてみましょう。 たとえばエアコンなら、温度設定から室温が安定するまで、どれぐらいの時間か、安定性はどうか、誤差はどれくらなどかを調べてみましょう。

また温度・圧力・液面・流量・組成などを、自動制御することについて、人が手作業で制御することと比べて メリット、コスト、リスクなどの視点から、製品の品質にどうつながるか議論しましょう。


  1 生産方式とオートメーション
種類 分野 計測と制御
プロセスオートメーション 石油精製、化学、 製紙製鉄、冶金 温度圧力、 流量、 液位( 液面)、 成分濃度
メカニカルオートメーション 物品( 自動車、 半導体など)の加工、組み立て、ハンドリング、輸送、包装、貯蔵 位置、形状、寸法、姿勢、 画像
オフィスオートメーション 会計、簿記、統計、伝票処理 文字数字

工場ではさまざまな自動化が行われています 2 )

温度圧力 、 流量 、液位 ( 液面)、 組成 (成分、濃度) は、プロセス変量(プロセス変数)と呼ばれ、計測したり、目標値を設定して、 制御したりします。


  2 手動制御と自動制御(温度の例)
装置 手動制御 自動制御
アナログ制御 デジタル制御
制御 コントローラ 頭脳。 温度計 を見て操作を判断。 電子回路、オペアンプ コンピュータ
判断ミス 制御不能(暴走) 論理ミス(バグ)
計測 センサー 温度計 を見る。 温度センサー AD変換
誤差 個人的誤差、読み取りミス 精確さ 分解能
操作 アクチュエータ ヒーターのつまみやスイッチを手で操作。 ヒーター DA変換 IoT
誤差 個人的誤差、操作ミス 精確さ 分解能
安定性と外乱 人間の反射神経 制御系の過渡応答 計算速度
原価 3 ) 人件費 設備費(固定費)光熱費(変動費) 通信費(変動費)
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  3 代表的プロセス制御
名称 特徴
PID制御 * 1次遅れ系とステップ応答 エアコンの温度制御や自動車の速度制御(クルージング)に使われます。
ON-OFF制御 オンオフ動作とも言います。 電気ポット、低温調理器、冷蔵庫など家電製品にもよく使われます。
P制御 比例動作とも言います。 偏差(オフセット)が残る欠点があります。
I制御 積分動作とも言います。 偏差が残りません。 P制御とI制御を組み合わせた制御をPI制御と言います。
D制御 微分動作とも言います。単独で使われることはないが、制御動作を早めるので P制御やPI制御と組み合わせてPD制御やPID制御として使います。 PID制御は、もっとも使われる制御です。
スイッチング制御 デジタル制御です。オンオフ制御とも言えますが、パルスのデューティを変える PWMDA変換とすることで、PID制御をデジタル的に実現できます。 トランジスタやサイリスタ、パワーMOSFET、IGBTなどの半導体スイッチで急速に普及しました。

温度、圧力、流量、液位、濃度などをプロセス変量と言います。 4 )

設定値(目標値)と計測値の偏差をもとに、プラントを操作することを、制御と言います。 目標の値に保ちたいプロセス変量を制御量といい、それを支配する量を操作量と言います 5 )

制御信号を表現した図をブロック図(ブロックダイアグラム)と言います。センサーの出力を、比較に戻すことを フィードバック 6 ) と言います。フィードバックに基づく制御をフィードバック制御と言います。これに対してフィードバックを行わない制御は、 シーケンス制御と言います。 コンピュータを使った高度な制御は、現代制御(多変数制御)と言います。

アナログ制御ではなく、 センサーの出力をAD変換し、マイコンで比較計算して、パルスでデジタル制御します。

*

ステップ関数

  4 ステップ関数
名称 グラフ ラプラス変換 * 説明
インパルス関数 1 ステップ関数の微分
ステップ関数 1/s *
ランプ関数 1/s2 ステップ関数の積分

RC並列+R直列(ランドルス)回路の定電流過渡応答

  1 🖱 RC並列+R直列(ランドルス)回路の定電流過渡応答


👨‍🏫 ワークショップについて

ワークショップを楽しみましょう 7 ) 。 グループ人数は、5〜6名とします。 7名を超えないようにしてください。

初対面の場合は、自己紹介をしましょう。 雑談をして、アイスブレイクしましょう。

リーダー(司会進行)を決めてください。 そのほかのメンバーの 役割(記録係、資料作成係、プレゼンター( 登壇者))を決めてください。

グループ名を決めてください。

記録係は、試験答案用紙表面の最上部に、授業科目名、グループ名を記入してください。 メンバーは、記録係に従い、学籍番号、氏名、役割を直筆署名してください。 その際、 筆頭著者を登壇者の氏名の前に〇をつけてください。

討論を開始したら、記録係は討論の内容を裏面に記録してください。

討論がまとまったら、資料作成係は、試験答案用紙表面グラフィカルアブストラクト に表現してください。

グラフィカルアブストラクトを撮影し、WebClassにアップロードしておくと復習に便利です。

登壇者は、プレゼンテーションのイメージをしましょう 8 ) メラビアンの法則を意識して、 非言語表現も工夫しましょう 9 )

グループ名が指名された後で、じゃんけんなどで登壇者を決めるのは、授業進行の妨げとなりますので、 必ず、討論前に 登壇者を決めてください。

記名だけして、討論に参加しない場合、不正行為として扱うことがありますので、必ず討論に参加してください。 自分から参加できなそうな人には、積極的に声がけをお願いします。 期末の 成績評価申請 時に、グループ名やメンバー、討論の内容を思い出せるよう、答案用紙を撮影することを推奨します。

ランダムにグループを指名し、壇上で、 プレゼンテーションしてもらいます 10 ) 。 質疑応答の際も、グループを指名しますので、指名されたグループのプレゼンターが質問、コメント、アドバイスをしてください。 ディベートとしての反対意見は、大歓迎です。

資料作成係は、討論の内容をポスターとして、試験答案用紙の裏面にまとめてください。 資料作成係に従って、他のメンバーが代筆してもかまいません。

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✍ 平常演習

平常演習の配点と取り扱いについて

平常演習の配点は、授業1回ごとに、一律加点です。 平常演習には、ワークショップ、意見交換、発表、質疑応答など授業時間内の学習活動を含みます。 そのほかに授業時間外の0.5時間の学習活動を含みます。 平常点は、学期末に WebClass成績評価申請書 に申告していただき集計します。

授業時間外の活動の一助としてWebClassへの提出を推奨します。〆切は講義後1週間です。 ただし平常点の加点は、授業時間内の学習活動も含みます。 WebClass への提出のみでの、平常点の申告はご遠慮ください。

WebClass への平常演習提出は、推奨しますが、必須ではありません。 提出されていなくとも、 成績評価申請書 に、各回の授業時間以外の0.5時間の取り組みが申告されれば十分です。未提出だからと心配することはありません。

成績評価申請書 では、それぞれの授業で何を学び身につけたかを申告してもらいます。 WebClass に提出したかどうかより、身につけることを優先してください。 授業で取り上げたトピックや、グループワークの意見交換の内容は、期末までノート 11 ) などに記録しておくことを推奨します。 逆に授業に参加していないのに、WebClassの出席や提出だけの場合は不正行為として扱うことがあります。 平常の取り組みだけで、「到達目標を最低限達成している。成績区分:C」となります。 評点が60点に満たない場合は、不合格となります。 欠席した場合、課外報告書へ取り組むことで挽回してください。 出席が60%に満たない場合、課外報告書を提出しても、単位認定できません。


参考文献


QRコード
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/Public/53225/_99/q_152_QC_03.asp
名称: 教育用公開ウェブサービス
URL: 🔗 https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/
管理運用 山形大学 学術情報基盤センター

2024年1月21日 松木健三名誉教授がご逝去されました。

名称:C1ラボラトリー
URL:🔗 https://c1.yz.yamagata-u.ac.jp/
管理運用
山形大学 工学部 化学・バイオ工学科 応用化学・化学工学コース
C1ラボラトリー ( 伊藤智博立花和宏 ) @ 米沢

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