電極材料は固体の粉体だ。これを集電体に固着するのにいったんスラリーとして塗布乾燥する。このとき活物質への電子導電経路と電解液が染み込む多孔質形状を同時に作りこむ必要がある。
合材スラリーは、活物質、導電助材、結着材混ぜて、集電体に塗布、乾燥して電極とする。
正極合材は、正極活物質、導電助材、結着材を正極集電体に塗布乾燥して正極とする。
導電助材の必要量は、活物質の比表面積 S 〔m2/kg〕に比例します。どこがどう接触しているかどうかを無視すれば、導電助材の比表面積 S 〔m2/kg〕は、活物質の比表面積 S 〔m2/kg〕に比例すると言ってもいいでしょう。
粒子一粒の体積は粒径 r 〔m〕の3乗に比例し、表面積は粒径 r 〔m〕の2乗に比例するので、活物質の粒径 r 〔m〕に対する導電助材の粒径 r 〔m〕比nが小さいほど、導電助剤の総体積は少なくてすみ、活物質の総体積と導電助剤の総体積のnとなります。例えば、3.5ミクロンの活物質に35nmの導電助剤を使う場合、その体積比は100:1程度になります。実際には導電助剤の偏在や形状の影響で、導電助剤はもう少し余計目に配合することになります。
結着材の必要量は、導電助材の比表面積 S 〔m2/kg〕と活物質の比表面積 S 〔m2/kg〕の和に比例します。よって電極の厚み t 〔m〕を薄くするため活物質の粒径 r 〔m〕を小さくすると、より少量で機能する導電助材と結着材が求められます。
比表面積 S 〔m2/kg〕=(6÷粒径 r 〔m〕×密度 d 〔kg/m³〕)
3-1 水系バインダーによる電極スラリーのアルカリ化と集電体の耐食性
3-2 溶剤系バインダーの極性官能基と集電体と炭素導電助材の密着性
3-3 誘電率の異なるバインダー樹脂と電解液の分解電圧の関係
3-4 過充電時におけるバインダー樹脂と炭素粒子界面破壊
3-5 分散剤や界面活性剤の残存が電池性能に与える影響
3-6 二重結合を含むバインダー樹脂と電流リークの関係
3-7 炭素表面官能基が与える集電体との接触抵抗に与える影響
3-8 溶媒の種類が炭素導電助剤表面に生成する正極SEIに与える影響
3-9 活物質の表面誘電率と分散剤の誘電率の組み合わせが正極SEIに与える影響
3-10 乾燥における電極スラリー中の導電ネットワーク形成
【関連講義】エネルギー変換化学特論,化学工学とリチウム電池~分散・スラリーの作成と塗布乾燥~(2011_H23)1)
リチウム二次電池における電極スラリーの調製と塗布技術2)
リチウム二次電池用電極材料の微細化・分散技術とスラリーの調整・塗布・乾燥3)
電極構造の理解とスラリーの調整/インピーダンス測定の基礎4)
5)を混練する。
LiMn2O4系に対する導電付与材、集電体&電解液の効果6)
リチウムイオン二次電池電極の調整・塗布乾燥条件と電池性能の関係7)
リチウムイオン二次電池合材スラリー中炭素粒子分散剤の違いが分解電圧に及ぼす影響8)
- (1) 立花和宏.
エネルギー化学特論:化学工学とリチウム電池~分散・スラリーの作成と塗布乾燥~(2011_H23)
. /amenity/Syllabus/@Lecture.asp?nLectureID=3271. (参照2011-07-20). - (2)
リチウム二次電池における電極スラリーの調製と塗布技術
,,etc,,
立花 和宏,シラバス-, (2011). - (3)
リチウム二次電池用電極材料の微細化・分散技術とスラリーの調整・塗布・乾燥
,,etc,,
立花 和宏,シラバス-, (2017). - (4)
電極構造の理解とスラリーの調整/インピーダンス測定の基礎
,,etc,,
立花 和宏,シラバス-, (2010). - (5) 立花和宏, 仁科辰夫.
エネルギー化学特論:正極活物質とセラミックス
. /amenity/Syllabus/@Lecture.asp?nLectureID=3583. (参照2011-04-11). - (6) LiMn2O4系に対する導電付与材、集電体&電解液の効果
松木 健三, 立花 和宏, マテリアルインテグレーション, Vol.12, N. pp.35-42, Vol.12, p.35, (1999). - (7) リチウムイオン二次電池電極の調整・塗布乾燥条件と電池性能の関係
立花 和宏, 化学工業社, Vol.57, p.38, (2012). - (8) リチウムイオン二次電池合材スラリー中炭素粒子分散剤の違いが分解電圧に及ぼす影響
○佐藤史人,柳沼雅章,立花和宏,仁科辰夫,平成21年度 化学系学協会東北大会講演要旨集, p.99 (2009).