1キロワットアワーで作れるモノ

身近な工業製品を紹介しあいましょう。 そのなかから、ひとつ選んで、それにどんな材料が使われているか調べましょう。 使われる材料をひとつ選んで、その材料が 1キロワットアワーのエネルギーで、どれくらい作れるか調べてみましょう。 そして、その計算結果について議論してみましょう。

例えば、身近な工業製品としてアルミホイルを選んだとします。 それに使われる材料はアルミニウムです。

「現代の電気化学」の表5.4によれば 1 ) 、アルミニウム1トン製造するのに13400キロワットアワーと書いてあります。 ということは、1キロワットアワーでは、75gということになります。75gは、アルミ缶にして5本分、一円玉にして75枚です。 焼肉にして半人前です。 つまり、1キロワットアワーのエネルギーは、アルミニウム換算にして焼肉半人前ということです。

アルミニウムは電気エネルギーの塊ですね!

もちろん、エネルギーには、電気エネルギーのほかにも、熱エネルギーや光エネルギーがあります。 電気が苦手と言う人は、電気エネルギー以外で計算してもかまいません。 でも、光エネルギーで生産される材料なんてあるのかな・・・?

ちなみに1キロワットアワーで、環境に排出される二酸化炭素は、電力だけで500g。 くわえて ホールエルー法では、 アルミニウム1gに対して、2.5gの二酸化炭素が排出されるから さらに190gが上乗せされて690g。75gのアルミニウムで690gの二酸化炭素を排出するなんて、 これはもう環境破壊の権化。

脱炭素社会へ向けて、 アルミニウムで作られる飛行機やめますか?新幹線やめますか?送電線もやめますか? さあ、議論してみましょう。


1キロワットアワーの電力量で、できるモノ

  1   1キロワットアワー( kWh ) の電力量 で、できるモノ
モノ 価値 /円 質量 / g 体積 / cm3
電気 31 - -
二酸化炭素 廃棄物 (大気放出) 500 254545
アルミニウム ( 溶融塩電解 ) 24 75 27

固体は重量(トン)で価格を決めます。そのまま重量を測ることが多いです。 液体は体積(リットル)で価格を決めますが、液位を測ると便利です。 気体は体積( ノルマル立米)で価格を決めますが、ボンベの残量などは圧力(気圧)を測ると便利です。

電気は目にも見えず触れることもできないので計器で測るしかありません。 電力量(キロワットアワー)を、モノや価格と紐づけてイメージしましょう。

ファラデー定数は、電気量とモノの架け橋。96500C/molまたは、27kAh/molです。


電気エネルギー

  1 電気エネルギー
©2022 K.Tachibana

エネルギー〔 Wh(ワットアワー) 〕=示強変数×示量変数

電気エネルギー(電力量)〔Wh〕=電圧〔V〕× 電気量〔 Ah(アンペアアワー)

電気エネルギー〔Wh〕=電圧〔V〕× 電流〔 A(アンペア) 〕×時間〔h〕

電気エネルギー〔Wh〕=電力〔 W(ワット) 〕×時間〔h〕


工業電解プロセスのエネルギー効率

  2 工業電解プロセス のエネルギー効率
プロセス アルミ
ニウム
溶融塩電解
食塩電解
電解精錬
亜鉛 電解採取
🏞 原料 食塩(岩塩)
製品 亜鉛
理論電気量 /kAh/t 2980 670 844 820
理論分解電圧 /V 4.17 2.2 0.1×10-3 2.0
アノード 電流密度/A/m2
単槽 電圧/V
電気量原単位 /kAh/t 3350 910
電解電力 電力原単位 ) /kWh/t 13400 2200 284 3000
電流効率
電圧効率
エネルギー効率 2 )
山下正通、小沢昭弥, 現代の電気化学, 丸善 , 工業電解プロセス p.125 , (2012). genden

理論分解電圧とは、アノードとカソードの平衡電位の差であって、槽電圧(浴電圧)をこれ以下に切り下げることはできません 。

3 )


ワークショップについて

ワークショップを楽しみましょう 4 ) 。 グループ人数は、5〜6名とします。 7名を超えないようにしてください。

初対面の場合は、自己紹介をしましょう。 雑談をして、アイスブレイクしましょう。

リーダー(司会進行)を決めてください。 そのほかのメンバーの 役割(記録係、資料作成係、プレゼンター( 登壇者))を決めてください。

グループ名を決めてください。

記録係は、試験答案用紙表面の最上部に、授業科目名、グループ名を記入してください。 メンバーは、記録係に従い、学籍番号、氏名、役割を直筆署名してください。 その際、 筆頭著者を登壇者の氏名の前に〇をつけてください。

討論を開始したら、記録係は討論の内容を裏面に記録してください。

討論がまとまったら、資料作成係は、試験答案用紙表面グラフィカルアブストラクト に表現してください。

グラフィカルアブストラクトを撮影し、WebClassにアップロードしておくと復習に便利です。

登壇者は、プレゼンテーションのイメージをしましょう 5 ) メラビアンの法則を意識して、 非言語表現も工夫しましょう 6 )

グループ名が指名された後で、じゃんけんなどで登壇者を決めるのは、授業進行の妨げとなりますので、 必ず、討論前に 登壇者を決めてください。

記名だけして、討論に参加しない場合、不正行為として扱うことがありますので、必ず討論に参加してください。 自分から参加できなそうな人には、積極的に声がけをお願いします。 期末の成績評価申請時に、グループ名やメンバー、討論の内容を思い出せるよう、答案用紙を撮影することを推奨します。

ランダムにグループを指名し、壇上で、 プレゼンテーションしてもらいます 7 ) 。 質疑応答の際も、グループを指名しますので、指名されたグループのプレゼンターが質問、コメント、アドバイスをしてください。 ディベートとしての反対意見は、大歓迎です。

資料作成係は、討論の内容をポスターとして、試験答案用紙の裏面にまとめてください。 資料作成係に従って、他のメンバーが代筆してもかまいません。

*


✍ 平常演習

平常演習の配点と取り扱いについて

平常演習の配点は、授業1回ごとに、一律加点です。 平常演習には、ワークショップ、意見交換、発表、質疑応答など授業時間内の学習活動を含みます。 そのほかに授業時間外の0.5時間の学習活動を含みます。 平常点は、期末にWebClassの成績評価申請書に申告していただき集計します。

授業時間外の活動の一助としてWebClassへの提出を推奨します。〆切は講義後1週間です。 ただし平常点の加点は、授業時間内の学習活動も含みますので、 WebClassへの提出のみでの、平常点の申告はご遠慮ください。

WebClassへの平常演習提出は、推奨しますが、必須ではありません。 提出されていなくとも、成績評価申請書に、各回の授業時間以外の0.5時間の取り組みが申告されれば十分です。未提出だからと心配することはありません。

成績評価申請書では、それぞれの授業で何を学び身につけたかを申告してもらいます。 WebClassに提出したかどうかより、身につけることを優先してください。 授業で取り上げたトピックや、グループワークの意見交換の内容は、期末までノート 8 ) などに記録しておくことを推奨します。 逆に授業に参加していないのに、WebClassの出席や提出だけの場合は不正行為として扱うことがあります。 平常の取り組みだけで、「到達目標を最低限達成している。成績区分:C」となります。 評点が60点に満たない場合は、不合格となります。 欠席した場合、課外報告書へ取り組むことで挽回してください。 出席が60%に満たない場合、課外報告書を提出しても、単位認定できません。


参考文献