立花和宏,○佐藤幸裕,遠藤孝志,仁科辰夫,松木健三,
平成11年度化学系7学協連合東北地方大会
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石巻,
【学会】リチウム二次電池集電体としてのアルミニウムに含まれる不純物金属元素と酸化皮膜生成反応の電気化学的検討⇒#59@学会;
リチウム二次電池集電体としてのアルミニウムに含まれる不純物金属元素と酸化皮膜生成反応の電気化学的検討
立花和宏,○佐藤幸裕,遠藤孝志,仁科辰夫,松木健三,平成11年度化学系7学協連合東北地方大会講演予稿集, p.180 (1999).
リチウム二次電池集電体としてのアルミニウムに含まれる不純物金属元素と酸化皮膜生成反応の電気化学的検討(銀、銅、コバルト、モリブデン)
【目的】
アルミニウムは卑な金属であるが、リチウム二次電池の正極集電体として用いられており、不働態皮膜が貴な電位でのアルミニウムの使用を可能にしているのである。しかし、不働態皮膜を通してどのように活物質へ電流が供給されるのか、リチウム二次電池が動作する非水環境下での不働態皮膜の安定性等については不明な点が多い1)。特に不働態皮膜はアルミニウムに含まれる不純物金属元素による影響を受けると考えられ、電池特性に大きく影響すると推測される。そこでLiBF4/PC+DME溶液中における不純物金属の不働態皮膜への影響を検討した。
【方法】
正極活物質としてLiMn2O4(三井金属)、導電助材として炭素(アセチレンブラック)、集電体として、99.999+%の高純度アルミニウムおよび種々の不純物(Cu 99ppm、Co 55ppm、Mo 47 ppm、Ag 52 ppm)をそれぞれ含んだアルミニウムを用い(日本軽金属)、1M LiBF4/PC+DME溶液中での充放電曲線を測定した。対極、参照極はLiである。またAl集電体のみを電極としてLiBF4溶液中で電位掃引速度 1V s-1でサイクリックボルタンメトリーを行い、ブレークダウン電位を評価した。対極はPt、参照極はAg擬似参照電極(+3.0V vs Li/Li+)である。Al集電体の耐圧は、予め5Vまで電位掃引(0.83V s-1)を2回行った試料をLiBF4中およびアジピン酸アンモニウム(AA)水溶液中で、電流規制により4A m-2通電した時の電位と自然電位(-1.2V)の差から評価した。AA水溶液中の測定では、対極にPt、参照極にAg/AgClを用い、参照極は二重塩橋で接続した。電極として用いたAl集電体は、測定直前に前処理として1M NaOH(60s)、H2O(2s)、0.65M HNO3(10s)、H2O(2s)、に浸漬してアルカリ脱脂を行い、さらにMeOH中に浸漬して乾燥した。LiBF4溶液は、加熱処理したモレキュラーシーブス(4A)で予め乾燥し、LiBF4溶液を用いたセルの組み立ておよび電気化学的測定はAr置換グローブボックス中で行った。
【結果と考察】
表1はAA水溶液中、LiBF4溶液中でそれぞれ不働態皮膜を化成させた時の耐圧を示す。LiBF4溶液中で化成した不働態皮膜はAA溶液中で測定すると耐圧が1.1Vと小さくなった。これからLiBF4溶液中で化成した不働態皮膜はAA溶液中で破壊されると考えられる。水分の極端に少ない有機電解液中では、通常のバリア型の酸化皮膜が得られないことが知られており2)、ここで得られたLiBF4溶液中で生成している不働態皮膜はAlF3等ではないかと考えられる1)。図1は種々のAl集電体におけるLiMn2O4の充電容量とサイクル数を示す。高純度Alに比べて、Co、Ag、Cu、Moを添加すると容量が大きくなった。Co、Moを添加すると容量は大きくなるが、サイクル特性は低下した。表2は、不純物を添加した場合のブレークダウン電位を示す。Cu、Moを添加した場合でブレークダウン電位が上がった。図1と表2の結果の相関性は見られないが、不純物金属がAl集電体の不働態皮膜と導電助材である炭素の接触界面へ影響を与えていることは確かであろう。しかし、現状では不明な点が多々あり、現在詳細に検討中である。
表1 種々の条件下における不働態皮膜の耐圧 表2 種々の条件下における不働態皮膜の耐圧
条件 耐圧/V 不純物 ブレークダウン電位 vs. Ag/V
AA中で化成、AA中で測定 6.3
- 48
LiBF4中で化成、LiBF4中で測定 6.4 Cu 51
Mo 56
LiBF4中で化成、AA中で測定 1.1 Ag 48
Co 48
[参考文献]
1) 金村聖志、電池技術、10、85 (1998).
2) M. Ue、F. Mizutani、S. Takeuchi、N. Sato、電気化学および工業物理化学、65、1070(1997).
佐藤 幸裕は、2002年に、それまでの研究をリチウム二次電池正極劣化の機構解明と抑制というテーマで修士論文としてまとめ、山形大学を卒業した1)。
アルミニウム|酸化皮膜|炭素導電助材2)
学会発表1999@C13)
1999年9月4)
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立花和宏,○佐藤幸裕,遠藤孝志,仁科辰夫,松木健三.
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リチウム二次電池集電体としてのアルミニウムに含まれる不純物金属元素と酸化皮膜生成反応の電気化学的検討
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平成11年度化学系7学協連合東北地方大会, 石巻.
1999.
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