古漬け、日本酒、ビール、ワイン、みそ、しょうゆ、酢、こういった発酵食品に欠かせないのが、保存容器と保存環境です。 冷蔵庫だって、食品の保存容器とみなすことができます。
好きな発酵食品をひとつ選び、その醗酵容器としての保存容器と、その保存環境に無機工業化学が、どう役立てられてきたか議論してみましょう。
例) 食品としてヤマロク醤油を選んだ。
木造平屋で床は土間、壁は土壁。見た感じボロボロですが、そこがポイント。実は桶以上に、梁や土壁、土間の中には100種類という酵母菌や乳酸菌たちが暮らしているのです。つまり蔵は昔からずっとここで暮らしている菌たちの家。「生きてる蔵」なのです。
ヤマロク醤油HPより。
ヤマロク醤油では、木造平屋の土間を保存環境としている。 酵母菌や乳酸菌が安定して生存するために、保存環境として、温度や湿度が安定していることが必須である。 そのために、土壁、土間などが大切な役割を果たしていることがわかる。 しかも、冷蔵庫とちがって、人為的なエネルギー消費がほとんどない。 もともと環境先進国ドイツで発展してきたパッシブデザインだが、 日本では、江戸時代からパッシブデザインが取り入れられていたことになる。
ヤマロク醤油では、杉を使った「木桶」を保存容器に使っている。 桶は、大航海の時代に開発された樽の技術をベースに、日本が戦国時代に開発した保存容器だ。 それまでの発酵は、桶ではなく、窯業による甕(かめ)を保存容器にしていた。 米沢市にある、酒造資料館・東光の酒蔵には、貴重な戦国時代の甕(かめ)が残されている。大きな甕(かめ)は、焼成時にひび割れてしまう上、 重いため、大量生産には向かない。そのため、醤油の普及には、軽くて大容量の木桶が必須だったのだ。
木桶が、普及するには、鉋(かんな)や鋸(のこぎり)の鉄鋼を使った刃物の技術が必要であった。また刃物には、砥石を使った研削加工の技術が必要だった。
日本が江戸300年かけて育んだ和食は、すでに世界遺産となり、保護の対象となってしまった。 その和食をいろどる醤油の製造にも、窯業、鉄鋼、研削加工と言った無機工業化学の知恵が役立てられている。
分類 | 成分 | 特徴 |
---|---|---|
醸造 | 酒、 ビール、 ワイン 1 ) | |
発酵食品 | みそ、醤油、酢、古漬け、チーズ、ヨーグルト | |
アミノ酸 | グルタミン酸 | |
核酸 | イノシン酸 | |
有機酸 2 ) | クエン酸、乳酸 | |
生理活性物質 | ビタミン、ホルモン | |
抗生物質 | ペニシリン |
発酵工業は、温度や圧力が常温常圧に近く、使用エネルギーが少なく、 設備も簡単です。 反面、生成物に微生物や副生物が混入するので、分離や精製に手間がかかり、反応時間が長くなります 3 ) 。
平常演習の配点は、授業1回ごとに、一律加点です。 平常演習には、ワークショップ、意見交換、発表、質疑応答など授業時間内の学習活動を含みます。 そのほかに授業時間外の0.5時間の学習活動を含みます。 平常点は、学期末に WebClass の 成績評価申請書 に申告していただき集計します。
授業時間外の活動の一助としてWebClassへの提出を推奨します。〆切は講義後1週間です。 ただし平常点の加点は、授業時間内の学習活動も含みます。 WebClass への提出のみでの、平常点の申告はご遠慮ください。
WebClass への平常演習提出は、推奨しますが、必須ではありません。 提出されていなくとも、 成績評価申請書 に、各回の授業時間以外の0.5時間の取り組みが申告されれば十分です。未提出だからと心配することはありません。
成績評価申請書 では、それぞれの授業で何を学び身につけたかを申告してもらいます。 WebClass に提出したかどうかより、身につけることを優先してください。 授業で取り上げたトピックや、グループワークの意見交換の内容は、期末までノート 4 ) などに記録しておくことを推奨します。 逆に授業に参加していないのに、WebClassの出席や提出だけの場合は不正行為として扱うことがあります。 平常の取り組みだけで、「到達目標を最低限達成している。成績区分:C」となります。 評点が60点に満たない場合は、不合格となります。 欠席した場合、課外報告書へ取り組むことで挽回してください。 出席が60%に満たない場合、課外報告書を提出しても、単位認定できません。
2024年1月21日 松木健三名誉教授がご逝去されました。