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B-03 ESR法による炭素材料の特性評価
尾形研究室 02512053 佐藤英人
【緒言】
炭素材料の特性は外観,形状,性質等多岐にわたり,それに伴い人造黒鉛電極,自動車のタイヤゴム用材,核燃料皮覆材や人工心臓弁,人口関節等の生体材料,環境浄化のための活性炭素など炭素材料には広い用途がある.そして製品の性能は各炭素材料の特性に左右されるため,様々な角度からの特性評価が重要になる.特性評価の方法として,X線回析やSEM等の粒系分析,導電率などの電気特性の研究がなされていが,炭素材料に含まれているフリーラジカルに着目した特性評価研究はあまりされていない.
本研究では,このフリーラジカルに着目し,ESRスペクトル信号から各炭素材料に固有の値であるg値の算出と,様々な気体の炭素材料吸着などの特性評価を目的とした.
【実験】
1 炭素材料の粉末をヘマトクリット毛細管に取り精密電子天秤で重さを測定しこれを試料とした.測定試料はアセチレンブラック(以下AB) SFG-6 SFG-10 SFG-15 SFG-44 Super 
2 試料をX-bandESR装置(日本電子製 
3 試料をX-bandESR測定用試料管へ挿入し真空ポンプ(PHIL 
4 同様の脱気操作を行い試料管にAr, 
5 測定から得られたESRスペクトルより,各g値,線幅を算出した.g値はマーカーとサンプルの比較から算出した.さらに,各種条件下での線幅の値を算出した. 
【結果・考察】
ESRスペクトルより算出した空気中,真空下での各g値と各条件で得られた線幅の値を 
表1 
試料名 g値〔-〕 真空下g値 空気中/ 
AB 2.0028 2.0031 1.389 1.133 1.556
KS-6 2.0072 2.0073 1.016 1.000 1.117
KS-15 2.0069 2.0068 1.000 1.013 1.192
表1の線幅の比の値は,数値が大きいほどその気体との吸着の度合いが高いことを意味する.原理は,空気中や酸素置換状態では常磁性の分子(酸素等)が炭素材料のもつラジカルに吸着するために信号がプローブし線幅が広がる.これと真空下での線幅を比較し吸着の度合いを見た.
炭素材料別に見るとABの酸素吸着が高くなっている.また,KSなどのグラファイト類は線幅にあまり変化が見られなかった.このABとKSの違いは炭素材料の粒子構造の違いの影響と考えられる.
気体別に見ると常磁性物質であるO2はどの炭素材料にもある程度吸着していることがわかる.反磁性であるAr, 条件下の線幅の値は真空下の値と大きな変化は無かった.
g値について,空気中,真空下,での値が概ね一定であった.研究される炭素材料の種類が増えれば,このg値と信号の形状から物質の同定が可能ではないかと思われる.
【今後の研究方針】
置換させる気体の種類を変えてみる.(二酸化炭素,窒素を予定している)
炭素材料の特性評価の応用として,アルコール中における炭素材料のラジカル量変化を測定する
西暦 | 令和 | 🔷 平成 | 🔷 昭和 | 🔷 大正 | 🔷 明治 |
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2001 | R-17 | H13 | S76 | T90 | M134 |
2002 | R-16 | H14 | S77 | T91 | M135 |
2003 | R-15 | H15 | S78 | T92 | M136 |
2004 | R-14 | H16 | S79 | T93 | M137 |
2005 | R-13 | H17 | S80 | T94 | M138 |
2006 | R-12 | H18 | S81 | T95 | M139 |
2007 | R-11 | H19 | S82 | T96 | M140 |
2008 | R-10 | H20 | S83 | T97 | M141 |
2009 | R-9 | H21 | S84 | T98 | M142 |
2010 | R-8 | H22 | S85 | T99 | M143 |
2011 | R-7 | H23 | S86 | T100 | M144 |