スキャナを用いたポリフェノール含有試料の多検体同時比色分析法の検討.平成24年度 化学系学協会東北大会,秋田大学,(2012/09/15).
【卒論】Folin-Ciocalteu法による食品中の総ポリフェノール含量決定のための多検体迅速分析⇒#524@卒論;
Folin-Ciocalteu法による食品中の総ポリフェノール含量決定のための多検体迅速分析
日塔 優太, 山形大学 物質化学工学科, 修士論文 (2014).
Folin-Ciocalteu法による食品中の総ポリフェノール含量決定のための多検体迅速分析
【材料】フェノール試薬1)
【手法】フォーリン-チオカルト法
【測定装置】
・XバンドESR装置(JEOL FR-30,日本電子株式会社)XバンドESR装置2)。
・マイクロプレートリーダー (chromate-4300)(ChroMate 4300,Awareness Technology)マイクロプレートリーダー (chromate-4300)3)。
【研究データ】
・学内ネットワークから閲覧:可
【後輩】
・植物ストレス&ポリフェノール(仮)フォーリン・チオカルト法とデジタル画像処理を用いた総ポリフェノール量の比色分析4)
・うこぎ&ポリフェノール(仮)うこぎ葉中の総ポリフェノール量に及ぼす調理加工の影響5)
・電解生成スーパーオキシドを用いるポリフェノール類の抗酸化能評価6)
【先輩】
高~大は、2012年に、それまでの研究をスキャナを用いる多検体同時比色分析法の研究 ―総ポリフェノール量の定量―というテーマで卒業論文としてまとめ、山形大学を卒業したスキャナを用いる多検体同時比色分析法の研究 ―総ポリフェノール量の定量―7)。
さやえんどうは、2007年に、それまでの研究をESR法によるヒメウコギの抗酸化能評価の研究というテーマで卒業論文としてまとめ、山形大学を卒業したESR法によるヒメウコギの抗酸化能評価の研究8)。
豊~朗は、2010年に、それまでの研究をスキャナによる多検体同時比色分析法の検討(仮)というテーマで卒業論文としてまとめ、山形大学を卒業したスキャナによる多検体同時比色分析法の検討(仮)9)。
【文献・資料】
・http://jglobal.j…
・特開2011-33347
【関連キーワード】
加法混色,減法混色,RGB
【公聴会概要】
[緒言]
近年の健康ブームにより,社会の関心は健康食品に向けられている.特筆すべき点として,生活習慣病,老化防止に有効であるポリフェノール関連化合物に関する情報は非常に多い.ポリフェノールは,人間に対し活性酸素の働きを抑える抗酸化成分として注目されている.個々のポリフェノールを定性定量することも重要であるが,総ポリフェノール量(TP)として定量することも最初の分析としては重要である.このTPの定量は,これまで多くの時間と手間を必要としていた。
本研究ではFolin-Ciocalteu(FC)法による食品中の総ポリフェノール含量決定のための多検体迅速分析を検討する.とくに,カメラやスキャナのデジタル機器による簡易吸光光度法の有用性を示すことを主たる目的とした.
[実験]
1) デジタル機器による簡易吸光光度法 デジタル画像としてRGB値に変換し出力することのできるスキャナ,カメラなどの機器を用いる手法である(図1).対照セル,試料セルをデジタル機器で取り込み,PCの画像処理ソフトによって取得したR値をそれぞれIR0, IRとすると,吸光度ARは以下のようになる.なお,比較のために,マイクロプレートリーダーを用いて,吸光度を求める方法も用いた.
図1 デジタル機器による測定の流れ
2) Folin-Ciocalteu法 フェノール性水酸基(OH)がアルカリ性でFC試薬中のタングステン酸,モリブデン酸を還元して生ずる青色を700~770 nmで測定する方法である.本法では,試料1.0 mLに50 vol% FC試薬1.0 mLを加えて3分後,20 %(w/v) Na2CO3溶液1.0 mLを加え10分後に測定した.
3) 電解生成スーパーオキシド(O2-)消去能評価法 O2-消去能評価には,柳澤1)らが用いた三電極方式電解により生成したO2-を使用したスピントラップESR法を用いた.消去能は,スピントラップ剤(DMPO)と試料に対する競争反応(図2)より求められる.
図2 O2-に対するDMPOと試料の競争反応機構
4) デジタル機器による多検体迅速分析の検討 対照(ブランク)セル(水)を10回スキャナで取り込み,画像のR値から算出したARからSDを求め,検出限界を平均値(Ave)+3 SD,定量限界をAve + 10 SDとした.また,スキャナ,カメラ,マイクロプレートリーダー,分光光度計でクロロゲン酸(CA)検量線を作成し比較を行った.
5) ポリフェノール類のFC分析とO2-消去能評価 ポリフェノール試料に対して,FC法,O2-消去能評価法によりそれぞれ検量線を作成し,FC法による検量線の傾き,O2-消去能から二次反応速度定数kAを求めた.
6) 実試料のFC分析とO2-消去能評価 山菜試料10 gを80 vol%エタノール50 mLと共に1分間ミルで粉砕し,80 vol%エタノール50 mLでスクリュー管に洗い移してマグネチックスターラーで10分間攪拌抽出した.抽出溶液の上澄みを適宜希釈し,マイクロプレート/FC法によりTPを求め,TPの多い試料に対してO2-消去能をカテキン換算で評価した.
[結果および考察]
1) スキャナ測定の検出限界値はAR=0.0472(CA換算2.8 μM),定量限界値AR=0.157(CA換算9.3 μM)であった.カメラの場合は,およそ2倍であった。また,機器別に作成した検量線パラメータを表1に示す.このようにそれぞれR2>0.99と直線性の高い検量線を作成することができた.
図3 機器別CA検量線
表 1 機器別CA検量線パラメータのまとめ
2) ポリフェノール類のFC法による検量線の傾きの常用対数とフェノール性OH基の数の関係を図4に示した.OH基が多くなるにつれて,検量線の傾きが大きくなった.Denisらも述べているように,FC法ではフェノール性OH基により呈色するためである.一方,kAとフェノール性OHの数の間に直線的な相関は確認できなかった.
図4 フェノール性OHとFC法による検量線の傾き(-スキャナ,…マイクロプレートリーダー)
3) 山菜試料のTPとO2-消去能の関係を図5に示す.TP量が多いほどO2-消去能も増加していることから,山菜に限定して言えば,FC法はO2-消去能の推定に使用できると考えられる.
図5 山菜試料のTPとO2-の消去能
[総括]
以上より,スキャナやカメラを用いた簡易吸光光度法は多検体迅速分析に適した方法であるが,検出限界を考慮すると,スキャナ法が優位である.また,表2に各種分析機器の性能の比較を示したが,スキャナ法は装置類の価格が安価であるため,広く汎用されると期待される.
さらに本研究では,FC法についても検討し,ポリフェノール類の検量線の傾きとOH基の数との関係や,実試料の総ポリフェノール量とO2-消去能の関係について有用な知見を得た.
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スキャナを用いたポリフェノール含有試料の多検体同時比色分析法の検討.平成24年度 化学系学協会東北大会,秋田大学,(2012/09/15).
Folin-Ciocalteu法による食品中の総ポリフェノール含量決定のための多検体迅速分析. 山形大学 物質化学工学科 ,修士論文, 2014. https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/Academic/@Thesis.asp?nThesisID=325, (参照 ).
<li>
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日塔 優太.
<q><cite>
Folin-Ciocalteu法による食品中の総ポリフェノール含量決定のための多検体迅速分析
</q></cite>.
山形大学 物質化学工学科 ,
<a href='https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/Academic/Thesis_Index.asp'>
修士論文</a>
, 2014.
<a href='https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/Academic/@Thesis.asp?nThesisID=524'>
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/Academic/@Thesis.asp?nThesisID=524</a>,
(参照 <time datetime="2025-03-03">2025-03-03</time>).
</article>
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<h1>
Folin-Ciocalteu法による食品中の総ポリフェノール含量決定のための多検体迅速分析
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<a href='https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/Academic/@Thesis.asp?nThesisID=524'>
日塔 優太
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