新日本製鐵株式会社
1)君津市の海を埋め立てた土地にあります。
鉄(Fe)を作ります。
かつての海岸線沿いにマッチ箱のように立ち並ぶ建物はぜんぶ社宅だと言います。かつては、現場オペレータの採用に金棒を抱えて走ったり、米俵を担ぐことが試験項目にあったようです。
広い埋め立ての敷地には高炉、転炉、コークス炉2)、熱延、冷延などの工程がひしめいています。
集められた廃プラスチックは手作業で選別されたあと、異物をとりのぞきスクリューから押し出しのダイへ。せん断応力によって低融点のプラスチックが溶けて、それがバインダーとなり、ペレット状に固まります。それを石炭とともにコークス炉に入れて、コークスとします。コークス炉からのラインはさながら石油化学コンビーナートのミニチュア版。脱硫、脱窒素、脱塩素には自信があるということでした。コークス炉からのガスは火力発電の燃料として使われ100万キロワットのうち半分の50万キロワットは売電しているとのことでした。
フォークリフトや踏み切りで貨車が通るときの警告音は童謡「村の鍛冶屋」。製鉄にぴったりのセンスです。高炉は上からコークス、鉄鉱石などの固体を投入、下からガスを吹き込み、溶けた銑鉄とスラグを取り出すまさに、固気液3相のコントロール。なんでも高炉の中の界面部分を釣鐘型に保つのがコツで、それがむずかしいのだとか。
圧延工程では赤熱したスラブを圧延ロールでニップして徐々に薄くしてゆきます。赤熱したスラブからの放射熱でじっと見ていると顔が厚くなります。表面につく酸化物を除去するために噴射するジェット水流の音はどどーん、どどーんと建屋全体に反響し、岩礁にぶつかる荒波を思い起こさせます。今でこそセンサーで測りますが、熟練したエンジニアはスラブの赤熱の色を見て±5℃ぐらいの精度でいいあてるとか。温度によってどのくらいまでつぶせるかが決まっていて、狙いの寸法にするのに色を見て指示したとか。今でも製品の品質を決定付ける仕上げ圧延担当の給料は一番高いだろうと言っていました。
亜鉛の溶融めっきでは余分な亜鉛を吹き飛ばす窒素がノズルから出るときの音が印象的でした。アルカリ脱脂から温風乾燥、そして溶融亜鉛へのディップ。巻き取られたコイルがところせましと並んでいました。
1メートルの過剰積載で石炭ヤードの地盤がひっくりかえった話、高炉の火入れに遅刻しないように徹夜マージャンしたらうっかり全員で遅刻してしたった話など、大変勉強になりました。
貴重な見学をさせていただいた新日本製鐵君津製鐵所
の皆様と、このような機会を設けていただきましたディレクトフォースの皆様に御礼申し上げます2007-01-24 ディレクトフォース。
http://www.direc…
【見学場所】
北緯35度20分47秒,東経139度52分8秒
http://watchizu.…
三鬼隆は岩手県出身。
【見学日】
2007-11-01 2007年11月
2007-11-05 【DF】【工場見学】新日鉄君津工場
【関連講義】
3)
鉄鋼精錬と建材、造船、鉄道4)
無機工業化学,鉄鋼精錬と建材、造船、鉄道、石炭 (2009)5)
6)
【関連書籍】
7)