数値データをグラフに書くときは縦軸と横軸を書き、目盛りをふります。縦軸と横軸には量名、量記号と単位を明記します。それからデータを示す点(マーカー)を打ち、必要であれば理論上の線を引きます。
実測データを含むグラフを描くとき注意して欲しいことは、実測データに点(マーカー)を打ち、モデルとなる滑らかな曲線を描くことです。こうすることで、研究者が理解した傾向を読者に伝えることができます。また、比較対象となるデータを選んで対比させることで、研究者が発見した違いがあったのか読者に伝えることができます。
方眼紙に手でプロットしていた時代では、このようなことは当たり前とされていたのですが、表計算ソフトなどの普及により、「滑らかにつなぐ」の意味が伝わらない学生が増えてきています。
滑らかにつなげ、と言われたら、実測データに点(マーカー)を打ち、モデルとなる滑らかな曲線を描くことが求められていると思ってください。
表計算ソフトを使って「滑らかにつなぐ」場合、「滑らかな曲線」の数学的表現をコンピュータに入力する必要があり、数学の力が要求されます。数学に自信がない場合、実測データだけ表計算ソフトでグラフ化し印刷してから「滑らかな曲線」をフリーハンドで書き加えるのもいいでしょう。
理想的には「滑らかな曲線」は最小自乗法で求めるのが好ましいのですが、ソルバーやらプログラミングやらのスキルが必要になる上、実験データの再現精度以上に、計算精度だけあげてもあまり意味をなさないので、無理する必要はありません。
また、「滑らかな曲線」のために仮定した数学モデルの妥当性も議論の対象となり得ます。ひとりで抱え込んでしまうとデータの共有ができなくなってしまうので、自分だけで完成度の高いグラフを書くのではなく、たくさんの人に見てもらい、数学の得意な人や理論の得意な人の力を借りましょう。
- (1) 伊藤智博、立花和宏、仁科辰夫.
電気化学の庵:物理量と単位
. /amenity/Syllabus/@Lecture.asp?nLectureID=367. (参照2005-09-21). - (2) 伊藤 智博、仁科 辰夫.
卒業研究(C1-電気化学2004~):報告書(レポート)の書き方
. /amenity/Syllabus/@Lecture.asp?nLectureID=5077. (参照2021-03-25).