価値 を数値で見積もり、どの行動(戦略)が、もっとも得かを 合理的に計算する数学を、ゲーム理論と言います。
ところがプレーヤー同士がお互いに得になるように行動すると、お互いに損になってしまうことがあります。 こういうことをジレンマと言います。 ゲーム理論では、このジレンマに対して合理的な解を与えます。
「囚人のジレンマ( 共有地の悲劇)」に該当する例を、 資源問題、環境問題、社会問題、あるいは身近なことからひとつ選びましょう。 そして、どうやったらジレンマが解決できるか話し合いましょう。
例) 囚人のジレンマを選んだ。 対応させる、身近な実際の例として、報告書のコピペの例を選んだ。
囚人のジレンマは、二人プレーヤーの1回ゲームである。
得られる報告書の点数と、費やした時間を合計して、利得とした。
すると伊藤が自分で報告書を書いた場合、立花は、120分かけて報告書を書くと利得が-20、伊藤の報告書をコピペすると利得が100となり、 伊藤の報告書をコピペした方がお得だとわかった。
また伊藤は立花の報告書をコピペした場合でも、立花は、120分かけて報告書を書くと利得が-60、伊藤の報告書をコピペすると利得が0となり、 伊藤の報告書をコピペした方がお得だとわかった。
このように、いずれの場合でも、伊藤の報告書をコピペした方がお得なので、立花にとっての支配戦略は、伊藤の報告書をコピペすることとなった。
提出〆切ぎりぎりまで、コピペしようと伊藤の報告書の出来上がりを待っていたが、 伊藤も同じことを考えていたらしく、最後は、伊藤も立花も0点となってしまい、ふたりとも学力も評価も得られない結果となった。
囚人のジレンマは、有限回繰り返し回ゲームでも、同じナッシュ均衡になることが知られている。 またn人プレーヤーの場合は、共有地の悲劇(コモンズの悲劇) として知られている。 無限回ゲームの場合は、協調戦略となる。
立花\伊藤 | 【A】.伊藤は120分かけて報告書を書く | 【B】.伊藤は立花の報告書をコピペする |
【1】.立花は120分かけて報告書を書く | 【A-1】.
立花:100点-120分=-20 伊藤:100点-120分=-20 |
【B-1】. 立花:100点-120分=-60 伊藤:100点-0分=100 |
【2】.立花は伊藤の報告書をコピペする | 【A-2】.
立花:100点-0分=100 伊藤:100点-120分=-20 |
【B-2】.
立花:0点-0分=0 伊藤:0点-0分=0 |
例2) 囚人のジレンマを選んだ。 対応させる、身近な実際の例として、円安に伴うお店の値上げとお客の関係を選んだ。
お客\お店 | 【A】.値上げする | 【B】.値上げしない |
【1】.そのお店に行く | 【A-1】.
お客:50 お店:20(客足が遠のく) |
【B-1】. お客:80 お店:50 |
【2】.そのお店に行かない | 【A-2】.
お客:100 お店:0 |
【B-2】.
お客:100 お店:0 |
円安が長く続き、原材料や光熱費が高騰し、さらにコロナが続くと、お店は倒産し、お客もお店を失うことになる。
発展) 人命も宇宙船も失う大事故が起こる リスクについて、技術者は1%と見積もり、NASAの幹部は0.001%と見積もりました。最終的にリスクは無視できる些細なものとされ、打ち上げは実行され、悲劇が起きました。左遷され、村八分にされ、神経病を患って、ユタ州に逃れたモートン・サイコオール社のロジャー・ボジョリー氏が不利益にならないように、利得表を書き換えるペナルティあるいはインセンティブを与えるルールがあったとしたらそれはどんなものでしょうか?
「そろそろ、技術者の帽子を脱いで、経営者の帽子にかぶりかえたまえ」
- s.181. チャレンジャー事故, p.68 1 )
近畿化学協会・工学倫理研究会. 技術者による実践的工学倫理第4版 . 化学同人,2006-4-20 ( 参照 2011-2-9 ) .
技術者ボジョリー氏は、打ち上げ延期に伴う 損失から、4人の幹部の判断に屈した。
ところが、フォード車の技術幹部は予想される事故件数と、事故1件あたりの予想額をもとに、総補償金支払額を試算し、これを販売予定の全台数に必要な安全対策費用の総額と比べた。そのうえで、起きる事故に補償金を払ったほうが、ガソリンタンクを補強するよりも何倍も 得だと結論した。
- cs.3. 事例ファイル03:フォード・ピント事件
近畿化学協会・工学倫理研究会. 技術者による実践的工学倫理第4版 . 化学同人,2006-4-20 ( 参照 2024-10-9 ) .
技術幹部は、 利益を優先し、 安全対策をしなかった。
ワークショップを楽しみましょう 2 ) 。 グループ人数は、5〜6名とします。 7名を超えないようにしてください。
初対面の場合は、自己紹介をしましょう。 雑談をして、アイスブレイクしましょう。
リーダー(司会進行)を決めてください。 そのほかのメンバーの 役割(記録係、資料作成係、プレゼンター( 登壇者))を決めてください。
グループ名を決めてください。
記録係は、試験答案用紙表面の最上部に、授業科目名、グループ名を記入してください。 メンバーは、記録係に従い、学籍番号、氏名、役割を直筆署名してください。 その際、 筆頭著者を登壇者の氏名の前に〇をつけてください。
討論を開始したら、記録係は討論の内容を裏面に記録してください。
討論がまとまったら、資料作成係は、試験答案用紙表面に グラフィカルアブストラクト に表現してください。
グラフィカルアブストラクトを撮影し、WebClassにアップロードしておくと復習に便利です。
登壇者は、プレゼンテーションのイメージをしましょう 3 ) 。 メラビアンの法則を意識して、 非言語表現も工夫しましょう 4 ) 。
グループ名が指名された後で、じゃんけんなどで登壇者を決めるのは、授業進行の妨げとなりますので、 必ず、討論前に 登壇者を決めてください。
記名だけして、討論に参加しない場合、不正行為として扱うことがありますので、必ず討論に参加してください。 自分から参加できなそうな人には、積極的に声がけをお願いします。 期末の 成績評価申請 時に、グループ名やメンバー、討論の内容を思い出せるよう、答案用紙を撮影することを推奨します。
ランダムにグループを指名し、壇上で、 プレゼンテーションしてもらいます 5 ) 。 質疑応答の際も、グループを指名しますので、指名されたグループのプレゼンターが質問、コメント、アドバイスをしてください。 ディベートとしての反対意見は、大歓迎です。
資料作成係は、討論の内容をポスターとして、試験答案用紙の裏面にまとめてください。 資料作成係に従って、他のメンバーが代筆してもかまいません。
*平常演習の配点は、授業1回ごとに、一律加点です。 平常演習には、ワークショップ、意見交換、発表、質疑応答など授業時間内の学習活動を含みます。 そのほかに授業時間外の0.5時間の学習活動を含みます。 平常点は、学期末に WebClass の 成績評価申請書 に申告していただき集計します。
授業時間外の活動の一助としてWebClassへの提出を推奨します。〆切は講義後1週間です。 ただし平常点の加点は、授業時間内の学習活動も含みます。 WebClass への提出のみでの、平常点の申告はご遠慮ください。
WebClass への平常演習提出は、推奨しますが、必須ではありません。 提出されていなくとも、 成績評価申請書 に、各回の授業時間以外の0.5時間の取り組みが申告されれば十分です。未提出だからと心配することはありません。
成績評価申請書 では、それぞれの授業で何を学び身につけたかを申告してもらいます。 WebClass に提出したかどうかより、身につけることを優先してください。 授業で取り上げたトピックや、グループワークの意見交換の内容は、期末までノート 6 ) などに記録しておくことを推奨します。 逆に授業に参加していないのに、WebClassの出席や提出だけの場合は不正行為として扱うことがあります。 平常の取り組みだけで、「到達目標を最低限達成している。成績区分:C」となります。 評点が60点に満たない場合は、不合格となります。 欠席した場合、課外報告書へ取り組むことで挽回してください。 出席が60%に満たない場合、課外報告書を提出しても、単位認定できません。
2024年1月21日 松木健三名誉教授がご逝去されました。