アルミニウムは不働化してバリア型の絶縁性皮膜を生成するが、電解液の自己修復機能によってその絶縁性を維持していると考えられている。諸説があるもののアルミニウムの酸化物にはアニオン空孔があり、このアニオン空孔が表面に露出している表面欠陥サイトに電解液のアニオンが吸着して見かけ上の絶縁体となっていると言われている。ここでいう表面欠陥サイトとは電子的な欠陥であって、花びら上の形状欠陥とは異なる。このような表面欠陥サイトに電池活物質や炭素導電助材が接触することでオーミック接触が成立し、集電体の本来の機能が発現する。
アルミニウムのような集電体に活物質を接触させても電気は流れません。導電助材にアルミニウム粉末を使った場合も電池として動作しません。
金に集電体に活物質を接触させても電気は流れます。導電助材に金粉末を使った場合も電池として動作します。
このことから、アルミニウム集電体は活物質と直接電子をやりとりできず、活物質はアルミニウムの酸化皮膜の電気抵抗を増大させる性質を有することがわかります。
四フッ化ホウ酸イオン1)/六フッ化リン酸イオン2)/過塩素酸イオン3)
【修士論文・卒業論文】
たかぎ異種接触界面の導入によるアルミニウム陽極酸化皮膜の導電性発現機構-超高速イオン導電性-4)けいこ炭素接触による金属陽極酸化皮膜修復の阻害機構5)
まさのり薄膜LiMx(M=Co,Ni,Mn)Oy電極の作成及び高速電位掃引時の反応可逆性6)
【関連講義】
アルミニウム集電体7)|正極活物質8)
- (1) 四フッ化ホウ酸イオン, , BF4-, = 86.8036 g/mol, (化学種).
- (2) 六フッ化リン酸イオン, , PF6-, = 144.9642 g/mol, (化学種).
- (3) 過塩素酸イオン, , ClO4-, = 99.4506 g/mol, (化学種).
- (4) 異種接触界面の導入によるアルミニウム陽極酸化皮膜の導電性発現機構-超高速イオン導電性-
高木泰彦, 山形大学 物質化学工学科, 修士論文 (1999). - (5) 炭素接触による金属陽極酸化皮膜修復の阻害機構
庄司 恵子, 山形大学 物質化学工学科, 卒業論文 (1999). - (6) 薄膜LiMx(M=Co,Ni,Mn)Oy電極の作成及び高速電位掃引時の反応可逆性
佐藤 昌則, 山形大学 物質化学工学科, 卒業論文 (2000). - (7) 実験方法 > 材料&試 > 集電体( > アルミニウム集電体,集電体(集電子)
仁科 辰夫,卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, (2009). - (8) 実験方法 > 材料&試 > 活物質 > 正極活物質,活物質
仁科 辰夫,卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, (2006).