佐藤幸裕,○坂本裕輔,立花和宏,仁科辰夫,遠藤孝志,尾形健明,
第42回電池討論会
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慶應義塾大学日吉キャンパス (横浜市港北区日吉4-1-1) ,
【学会】5V級リチウムイオン二次電池用正極集電体のアノード皮膜特性⇒#85@学会;
5V級リチウムイオン二次電池用正極集電体のアノード皮膜特性
佐藤幸裕,○坂本裕輔,立花和宏,仁科辰夫,遠藤孝志,尾形健明,第42回電池討論会講演要旨集 (2001).
種々のバルブメタルについてリチウムイオン二次電池用正極集電体としての皮膜特性を評価した。
集電体表面上に生成する皮膜は電解液の耐酸化性の向上や集電体自身の耐食性の向上に重要な役割があり、電池性能に密接な関係がある。
また、現在、高エネルギー化のために5V級のリチウムイオン電池用正極活物質が盛んに検討されているが、その電位領域での正極集電体の皮膜特性について検討している例はほとんどない。そこで、リチウム二次電池駆動用電解液中における高電位側でのバルブメタルのアノード皮膜特性を検討した。
LiBF4有機電解液中のチタン1)
5V級リチウムイオン二次電池用正極集電体のアノード皮膜特性
(山形大工)佐藤幸裕、○坂本裕輔、立花和宏、遠藤孝志、仁科辰夫、尾形健明
Anodic Passivation of Valve Metals as a Cathode Current Collector
for 5 V Class Lithium Secondary Batteries
Y. Sato, Y. Sakamoto, K. Tachibana, T. Endo, T. Nishina and T. Ogata
Department of Chemistry and Chemical Engineering,
Faculty of Engineering, Yamagata University,
Jonan 4-3-16, Yonezawa, Yamagata, 992-8510, JAPAN
Research on cathode materials for 5 V class lithium secondary batteries is a trend in recent researches. However, the passivation film characteristic of a cathode current collector is still not well known. We investigated the anodic passivation behavior of some valve metals at such high anodic potentials in organic electrolytes for lithium secondary batteries. As a conclusion, we should use aluminum as a cathode current collector for 5 V class lithium secondary batteries since it formed a high insulating film with high tolerant voltage at the metal surface.
(緒言)
集電体表面上に生成する皮膜は、電解液の分解や集電体自身の腐食などの副反応を抑制していることから、電池性能に密接な関係があると考えられる。また現在、高エネルギー化のために5V級のリチウムイオン電池用正極活物質の研究が盛んに行われている。それに伴い、より高耐電圧、高絶縁性の正極集電体が必要となる。しかしながら、5V級の正極電位領域における集電体上に生成する不働態皮膜特性について検討している例はほとんどない。
そこで、リチウム二次電池駆動用電解液中における高電位側でのバルブメタルのアノード皮膜特性を検討した。
(実験方法)
有機電解液として、1M LiBF4/PC+DME(50:50)、1M LiPF6/PC+DME(50:50)及び1M LiClO4/PC+DME(50:50)(キシダ化学)を用いた。有機電解液は水分濃度を50ppm以下に保った。対極としてPt、参照極にAg擬似参照電極(+3.0V vs Li/Li+)を用いた。有機電解液系のセルの組み立ておよび電気化学測定は全てアルゴン置換グローブボックス中で行った。電気化学測定として、サイクリックボルタンメトリーにより耐電圧性を、クロノアンペロメトリーにより耐食性を評価した。また皮膜をSEM、XPSなどによって分析した。
(結果および考察)
Table 1にサイクリックボルタンメトリーによって測定した各電解液中における種々のバルブメタル(Al, Ta, Nb, Ti)の耐電圧(vs Li/Li+)を示す。アルミニウムはすべての電解液において、タンタルはLiClO4/PC+DME溶液中でのみ5Vを超える耐電圧を有する皮膜が生成した。
Fig.1に種々の電解液中(1M LiBF4/PC+DME、1M LiPF6/PC+DME、及び1M LiClO4/PC+DME)における定電位保持時のアルミニウム電極の漏れ電流の経時変化を示す。 LiClO4/PC+DME溶液中では他の二つの電解液に比べ、最終的な漏れ電流が大きくなった。これはアルミニウムを用いた場合に他の二つの電解液中に比べ、 LiClO4/PC+DME溶液中の方が電解液の分解や集電体自身の腐食などが起き易いことを示唆している。
Fig.2に1M LiClO4/PC+DME溶液中における定電位保持時のアルミニウム及びタンタル電極の漏れ電流の経時変化を示す。アルミニウムに比べ、タンタルの方が最終的な漏れ電流が小さくなった。これはLiClO4/PC+DME溶液中ではアルミニウムに比べ、タンタルの方が電解液の分解や集電体自身の腐食などが起き難いことを示唆している。
以上の結果より、5V級リチウムイオン二次電池正極集電体には、表面に高耐電圧、高絶縁性の皮膜生成がされることからLiBF4/PC+DME及びLiPF6/PC+DME溶液中ではアルミニウムを、LiClO4/PC+DME溶液中ではタンタルを用いた方が電解液の分解や集電体自身の腐食などの副反応を抑制できると考えられる。これに対して、Nb、Tiは正極集電体としては適さないと考えられる。
2001年度2)第42回電池討論会3)
さかもとは、2002年に、それまでの研究を有機電解液中におけるバルブメタルのアノード皮膜特性というテーマで卒業論文としてまとめ、山形大学を卒業した4)。
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佐藤幸裕,○坂本裕輔,立花和宏,仁科辰夫,遠藤孝志,尾形健明.
<a href='https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/Academic/@Meeting.asp?nMeetingID=85'>
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5V級リチウムイオン二次電池用正極集電体のアノード皮膜特性
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第42回電池討論会, 慶應義塾大学日吉キャンパス (横浜市港北区日吉4-1-1) .
2001.
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