K. Tachibana, T. Nishina, T. Endo and K. Matuki,
196th Meeting of the ECS
,
ハワイ,
リチウムイオン二次電池の充放電特性に及ぼすアルミニウムカソード集電体の不純物の影響
Impurity Effect in Aluminum Cathode Current Collector on Charging/Discharging Performance of Lithium Secondary Battery
リチウム二次電池の正極集電体アルミニウム中の不純物が電池性能に及ぼす影響1)
●1999年度(平成11)卒業研究2)
196th Meeting of the ECS3)
バインダ4)
これは今広く用いられているリチウム電池を図式的に示したものです。
この電池は基本的に正・負の活物質と電解液から成り立っています。
しかし、正極を見ると、活物質のほかにカーボンやAl集電体があり、それぞれ界面が存在する複雑な系です。
この界面を通してLi脱挿入反応が起こりますから、界面は大きく電池性能を支配すると考えられます。
それぞれの物質界面で電子やイオンの移動が起こり、電池反応は進行します。
ここで我々は Surface film を一つの界面として取り上げている点に注目してください。
この皮膜は集電体としての機能に重要な働きをするからです。
これは、アルミニウムとアルミニウム酸化物、および活物質と導電助剤の接触の様子を模式的に示した図です。
アルミニウムは、電流供給と耐腐食性の両機能を備えていなければなりません。この機能は、Alの不純物の存在によって影響されることが考えられます。従って、これからこのアルミニウム皮膜について検討した結果を述べます。
これは、本研究で用いた3極セルです。組み立てが容易で、非常に再現性が良く、正確な結果を与えます。
組み立てはアルゴン雰囲気で、測定はインキュベータ中で行いました。
試料極の作成方法を示します。
同じロットのLiMn2O4とアセチレンブラクをよく混合しました。これにテフロン分散液数滴加えました。それを混練りしゴム状にしました。
集電体アルミニウムはワイヤとディスクをスポット溶接して正極としました。集電体はアリカリ脱脂処理を行いました。
この集電体に活物質を圧着し、真空乾燥したものを試料極としました。
これらは、集電耐と導電助剤を変えたときの充放電曲線を示します。
電池の構成はこの表のようになっていまして、活物質LiMn2O4に我々のStandard品を用いています。
曲線(d)は、良好な充放電曲線を与えます。
これは我々のベストの組み合わせの正極です。
(a)のAl集電体をSUS304に変えても同じ挙動を示します。
ところが、導電助剤を(b),(c),(g)のように変えると、急激に充放電特性が悪くなります。
導電助剤がAl粉末である(b)は、導電助剤のない(a)と同じく電池として機能しません。
これはアルミニウム上の酸化皮膜の影響と考えられます。
す。
ここでは、アルミニウムを予め、陽極酸化し、酸化皮膜厚さ約280nmの集電体を用います。
電池の構成はこの電池式のようにしています。アルミニウムのみでは電流は流れません。
LiMn2O4を圧着すると、このように電流は流れますが、電池動作電位範囲では電流は僅かです。
ところがカーボンを圧着するとこのようにアルミニウムの絶縁皮膜を通して電流が流れます。
これは、LiBF4溶液中で陽極酸化したAlのSEM像をAl、O、Fの面分析の結果です。
Fが一様に分布しているのが注目されます。
Bはほとんど検出されませんでした。
AlF3は誘電体的性質を有することが知られていますので、分極に影響を与えそうです。
無論、電池の充放電曲線にも影響を与えるでしょう。
集電体アルミニウムの不純物の影響について調べました。
不純物は皮膜の生成と密接な関係があると考えられるからです。
使用した試料を表に示します。
ここでAl-Cuは主な不純物はCu で99 ppmである試料を示します。
以下、同様です。
なお、このbreak down potential は不純物の存在に関係ありませんでした。
これは、先に述べた集電体の不純物と電解質を変えたときの充放電曲線です。
バインダーとしてはPVDFを用いています。
活物質はLiMn2O4スピネルです。
Al-ACは我々の標準の充放電曲線です。
これと比較すると、Ag以外は容量が向上しています。
特にAl-MoでLiPF6のときbestな結果を与えています。
Al-Co では電解質に関係なく比較的良好です。
これは前と同じで、バインダーをTEFLONに変えたときの結果です。
バインダーがPVDFの場合に較べて、全体的に容量が増加しています。
しかし、MoやCoでは容量劣化(Capacity fade)が大きく現れています。
バインダーに充放電特性に影響を与えることがわかりました。
TEFLONの場合はTEFLON分散水溶液を用いているので、水分が影響した可能性があります。
これらは集電体にAl-Agを用い、PVDFに水分を添加して充放電への影響を調べた結果です。
容量およびサイクル特性も良くなっていることがわかります。
純アルミは表面にAlF3を生成するが、微量の水分がその皮膜を変性するために、容量特性が改善された可能性があります。
以上の結果から考えたアルミニウム集電体と活物質、導電助剤の接触の模式図を示します。
電池南濃の電流経路は皮膜の欠陥部やアルミニウム金属と接触した炭素を経由することが考えられます。
同じ個所にLiMn2O4が接触すると自己修復が起こり、絶縁性が保たれます。
接触界面がどのようになっているかは今後の課題です。
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K. Tachibana, T. Nishina, T. Endo and K. Matuki.
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Impurity Effect in Aluminum Cathode Current Collector on Charging/Discharging Performance of Lithium Secondary Battery
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196th Meeting of the ECS, ハワイ.
1999.
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