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令和6年12月22日 (日)
機能界面設計工学特論

粘土分散液を使った分極による電極近傍の粘性制御

(山形大院理工1,山形大工2) ○田邉悠1 樋口和馬2, 伊藤智博1立花和宏1, 仁科辰夫1

キーワード[ 粘土分散液 ,分極,粘性,電極,層]

public auth はる 要旨 草案のぶ 要旨 草案ひろ 要旨 草案
主催 一般社団法人表面技術協会
会期 令和3年(2021年)9月16日(木)~ 17日(金)
会場 オンライン開催
講演申込締切 2021年06月10日(木) [厳守]
講演要旨締切 2021年07月23日(金) [厳守]
タイトル
  1 粘土分散液を使った分極による電極近傍の粘性制御

こんにちは!😄山形大学の田邉が、「粘土分散液を使った分極による電極近傍の粘性制御」について発表させて頂きます。

緒言


背景


粘土鉱物の種類

粘土鉱物には、カオリナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、サポナイトなどの種類があります。

  1 粘土鉱物の分類
化学式 製品名 製造方法 用途
カオリナイト (1:1層) カオリナイト 1:1層で、層間に水がないため、焼結可能。陶磁器などに使う()。
スメクタイト (2:1層) モンモリロナイト
Nax(Al2-xMgx)Si4O10(OH)2·4H2O(X<0.33)
クニピア-F 精製 ベントナイトの主成分。 1:2層で、高温でも固まらない。鋳鉄の鋳型などに使う。
Li+モンモリロナイト
Lix(Al2-xMgx)Si4O10(OH)2·4H2O(X<0.33)
クニピア-M 精製
サポナイト
NaxMg3(Si4-xAlx)O10(OH)2(X<0.33)
スメクトン-SA 水熱合成
スチーブンサイト Na0.3Mg3-xSi4O10(OH)2 スメクトン-ST 水熱合成
ヘクトライト Na0.3(Mg,Li)3-xSi4O10(OH)2 スメクトンSWN 水熱合成
ヘクトライト-F スメクトンSWF 水熱合成

粘土は、SiO4四面体が平面状に結合した 造岩鉱物です。


粘土鉱物の結晶構造

アルミニウムイオン マグネシウムイオン (-) ナトリウムイオン (+)
  2 粘土鉱物の結晶構造の模式図
クニミネ工業(株)のHPより転載・改変 https://www.kunimine.co.jp/bent/basic.html

粘土鉱物のスメクタイト族は、Al(アルミニウム)と6つのOH(水酸基)の八面体からなるシートと, 八面体シートを挟むようにSi(ケイ素)と四つのO(酸素)の四面体からなるシートにサンドイッチされた構造をとっています。

スメクタイト族は四面体が八面体を挟み込む2:1のサンドイッチ構造をとりますが,カオリナイト族は四面体と八面体が1:1になっています.

スメクタイト族の中でもヘクトライトは八面体のMg2+がLi+に置換されています.この置換によって構造内で電荷の不足を起こして負電荷を帯びることになります.それを補う形で層間や表面にNaイオンが配置されます.


粘土鉱物の分散

(-)マグネシウムイオン ナトリウムイオン(+) 50 nm 0.1 nm 1 nm 10 nm
  3 クニミネ工業(株)のHPより転載・改変 https://www.kunimine.co.jp/bent/basic.html

ヘクトライトは、層間に水が配位したカチオンが入り込むため、膨潤し、粘性の高い液体となります。

一方でカオリナイトは1:1型構造なので,層間に水が入り込みづらいので,膨潤せず分散があまりできません.

同型置換により負に帯電した粘土の単位層や水酸基に水和したカチオンがクーロン力によって結合することで固定点となります.

負に帯電した粘土の単位層とカチオンとで双極子をもつことになります.


粘土/水分散液の概念図

粘土シートが膨潤して連なり 粘土ファイバーとなる。

粘土ファイバーが配向し、ラメラ構造をとる。ラメラ構造のドメインが形成され、ドメインが成長してゲルとなる。

  4 粘土/水分散液の概念図
ひょうぎ144講演大会より

図に粘土/水分散液の概念図を示します.ヘクトライト粘土鉱物は厚さ1nm,幅50nmの粘土シートからなっています.シートの層間に水和したカチオンが入り込んでおり距離にして1nm以下(XRDのでーたから読むと0.5nmくらい)です.粘土鉱物を水に分散させると膨潤し層間の距離が広がります.粘土/水分散液の層間は10nm程度となっています.粘土/水分散液では粘土シートが連なっていきファイバーのようになっているので粘土ファイバーと名付けます.ファイバーが長くなっていくことで立体構造を作り,一般的なコロイド大きさから推定し,長さは数十から数百nmとなります.


ゲル形成のメカニズム

凝集 絡み合い 分子配向 (ラメラ構造) 共有結合  ゲル化のメカニズム
  5 ゲル形成のメカニズム
1 )

図にゲル形成のメカニズムを示します.共有結合,クーロン力,水素結合,配位結合などが固定点となることでゲル化が起こります.ゲル化には化学結合だけが要因ではなくそのほかにも,凝集や分子鎖同士の絡み合い,分子配向などでも三次元の網目が形成されます. 特に無機ナノシートによるゲルは、配向して液晶のラメラ構造をとることが知られています 。 2 )


粘土分散液を使った蓄電素子によるオルゴールの駆動

  6 Al|粘土/分散液|Alでオルゴールを鳴らした時の動画

オルゴールが鳴動したときの動画(音声つき)はありますか?

ひょうぎ144講演大会より

Al|乾燥粘土(分散液ではなく乾燥ですか?)/分散液|Al

ヘクトライト/水分散液でセル組んで、充電したら、電子オルゴールを鳴らせるぐらいの電気がたまりました。


粘土/分散液の偏光観察

  7 粘土/分散液の偏光観察

何が起きているのかと思って、偏光観察したら、光る部分があらわれました。


通電時における粘土/分散液の冷却効果

  8 通電時における粘土/分散液の冷却効果

粘土分散液に定電流を流したら、電極近傍で、吸熱が確認できました。


通電時における電極近傍の観察

  9 通電時における電極近傍の観察

アノードはゲル化,カソードはさらさらになりました.


なぜヘクトライトを使用したのか

  10 なぜヘクトライトを使用したのか

粘土/水分散液を偏光観察したところヘクトライト/水分散液は少しの応力で旋光が広がりました.

ヘクトライト/水分散液は偏光観察するのに適しているのではないかと考えました.


目的

目的

  • 本研究では,分極下のセルの電極近傍を,顕微鏡下で観察し,粘性制御の応用の可能性を調べることを目的とする.

電極近傍での様子をもっと詳しくしるため、顕微鏡下で観察を試みて,粘性制御の応用の可能性を調べることを目的としました。


1. 緒言

執筆中 ひょうぎメモ

文献