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機能界面設計工学特論

粘土分散液を使った分極による電極近傍の粘性制御

(山形大院理工1,山形大工2) ○田邉悠1 樋口和馬2, 伊藤智博1立花和宏1, 仁科辰夫1

キーワード[ 粘土分散液 ,分極,粘性,電極,層]

public auth はる 要旨 草案のぶ 要旨 草案ひろ 要旨 草案
主催 一般社団法人表面技術協会
会期 令和3年(2021年)9月16日(木)~ 17日(金)
会場 オンライン開催
講演申込締切 2021年06月10日(木) [厳守]
講演要旨締切 2021年07月23日(金) [厳守]
タイトル
  1 粘土分散液を使った分極による電極近傍の粘性制御

こんにちは!😄山形大学の田邉が、「粘土分散液を使った分極による電極近傍の粘性制御」について発表させて頂きます。

緒言


背景


粘土鉱物の種類

粘土鉱物には、カオリナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、サポナイトなどの種類があります。

  1 粘土鉱物の分類
化学式 製品名 製造方法 用途
カオリナイト (1:1層) カオリナイト 1:1層で、層間に水がないため、焼結可能。陶磁器などに使う()。
スメクタイト (2:1層) モンモリロナイト
Nax(Al2-xMgx)Si4O10(OH)2·4H2O(X<0.33)
クニピア-F 精製 ベントナイトの主成分。 1:2層で、高温でも固まらない。鋳鉄の鋳型などに使う。
Li+モンモリロナイト
Lix(Al2-xMgx)Si4O10(OH)2·4H2O(X<0.33)
クニピア-M 精製
サポナイト
NaxMg3(Si4-xAlx)O10(OH)2(X<0.33)
スメクトン-SA 水熱合成
スチーブンサイト Na0.3Mg3-xSi4O10(OH)2 スメクトン-ST 水熱合成
ヘクトライト Na0.3(Mg,Li)3-xSi4O10(OH)2 スメクトン 水熱合成

粘土鉱物の結晶構造

アルミニウムイオン マグネシウムイオン (-) ナトリウムイオン (+)
  2 粘土鉱物の結晶構造の模式図
クニミネ工業(株)のHPより転載・改変 https://www.kunimine.co.jp/bent/basic.html

粘土鉱物のスメクタイト族は、Al(アルミニウム)と6つのOH(水酸基)の八面体からなるシートと, 八面体シートを挟むようにSi(ケイ素)と四つのO(酸素)の四面体からなるシートにサンドイッチされた構造をとっています。

スメクタイト族は四面体が八面体を挟み込む2:1のサンドイッチ構造をとりますが,カオリナイト族は四面体と八面体が1:1になっています.

スメクタイト族の中でもヘクトライトは八面体のMg2+がLi+に置換されています.この置換によって構造内で電荷の不足を起こして負電荷を帯びることになります.それを補う形で層間や表面にNaイオンが配置されます.


粘土鉱物の分散

(-)マグネシウムイオン ナトリウムイオン(+) 50 nm 0.1 nm 1 nm 10 nm
  3 クニミネ工業(株)のHPより転載・改変 https://www.kunimine.co.jp/bent/basic.html

ヘクトライトは、層間に水が配位したカチオンが入り込むため、膨潤し、粘性の高い液体となります。

一方でカオリナイトは1:1型構造なので,層間に水が入り込みづらいので,膨潤せず分散があまりできません.

同型置換により負に帯電した粘土の単位層や水酸基に水和したカチオンがクーロン力によって結合することで固定点となります.

負に帯電した粘土の単位層とカチオンとで双極子をもつことになります.


粘土/水分散液の概念図

粘土シートが膨潤して連なり 粘土ファイバーとなる。

粘土ファイバーが配向し、ラメラ構造をとる。ラメラ構造のドメインが形成され、ドメインが成長してゲルとなる。

  4 粘土/水分散液の概念図
ひょうぎ144講演大会より

図に粘土/水分散液の概念図を示します.ヘクトライト粘土鉱物は厚さ1nm,幅50nmの粘土シートからなっています.シートの層間に水和したカチオンが入り込んでおり距離にして1nm以下(XRDのでーたから読むと0.5nmくらい)です.粘土鉱物を水に分散させると膨潤し層間の距離が広がります.粘土/水分散液の層間は10nm程度となっています.粘土/水分散液では粘土シートが連なっていきファイバーのようになっているので粘土ファイバーと名付けます.ファイバーが長くなっていくことで立体構造を作り,一般的なコロイド大きさから推定し,長さは数十から数百nmとなります.


ゲル形成のメカニズム

凝集 絡み合い 分子配向 (ラメラ構造) 共有結合  ゲル化のメカニズム
  5 ゲル形成のメカニズム 1 )

図にゲル形成のメカニズムを示します.共有結合,クーロン力,水素結合,配位結合などが固定点となることでゲル化が起こります.ゲル化には化学結合だけが要因ではなくそのほかにも,凝集や分子鎖同士の絡み合い,分子配向などでも三次元の網目が形成されます. 特に無機ナノシートによるゲルは、配向して液晶のラメラ構造をとることが知られています 。 2 )


粘土分散液を使った蓄電素子によるオルゴールの駆動

  6 Al|粘土/分散液|Alでオルゴールを鳴らした時の動画

オルゴールが鳴動したときの動画(音声つき)はありますか?

ひょうぎ144講演大会より

Al|乾燥粘土(分散液ではなく乾燥ですか?)/分散液|Al

ヘクトライト/水分散液でセル組んで、充電したら、電子オルゴールを鳴らせるぐらいの電気がたまりました。


粘土/分散液の偏光観察

  7 粘土/分散液の偏光観察

何が起きているのかと思って、偏光観察したら、光る部分があらわれました。


通電時における粘土/分散液の冷却効果

  8 通電時における粘土/分散液の冷却効果

粘土分散液に定電流を流したら、電極近傍で、吸熱が確認できました。


通電時における電極近傍の観察

  9 通電時における電極近傍の観察

アノードはゲル化,カソードはさらさらになりました.


なぜヘクトライトを使用したのか

  10 なぜヘクトライトを使用したのか

粘土/水分散液を偏光観察したところヘクトライト/水分散液は少しの応力で旋光が広がりました.

ヘクトライト/水分散液は偏光観察するのに適しているのではないかと考えました.


目的

目的

  • 本研究では,分極下のセルの電極近傍を,顕微鏡下で観察し,粘性制御の応用の可能性を調べることを目的とする.

電極近傍での様子をもっと詳しくしるため、顕微鏡下で観察を試みて,粘性制御の応用の可能性を調べることを目的としました。


実験


評価項目お品書き

  • 準備
    • 使用試薬
    • 使用電極
    • セル組
  • 評価
    • 顕微鏡観察の可能性
    • クロノポテンショメトリー
    • 電極近傍の顕微鏡観察
    • 粘性評価

  • 使用薬品

      2 使用試薬
    名称 略称 組成 注釈
    ヘクトライト2wt%/水分散液 粘土/水分散液 - -
    スチーブンサイト2wt%/水分散液 - - -
    NaHCO3+NaOH水溶液 pH10緩衝液 - -
      3 使用試薬
    名称 略称 組成 注釈
    硫酸銅添加ヘクトライト2wt%/水分散液 硫酸銅添加粘土/水分散液 ヘクトライト3wt%/水分散液+0.05M硫酸銅水溶液 1M水酸化ナトリウムでpH11に調整
    0.05M硫酸銅水溶液 硫酸銅水溶液 - -

    表2にスライドガラスセルを使用した実験で使用した試薬を示します.

    粘土分散液として、 ヘクトライト2wt%/水分散液pH10のスチーブンサイト2wt%/水分散液, pH10の炭酸水素ナトリウム+水酸化ナトリウム緩衝溶液を使用しました.

    表3にめっきの実験で使用した試薬を示します.

    粘土/水分散液に 硫酸銅水溶液を添加したもの を用意しました. 硫酸銅水溶液を使用しました.


    使用した電極

      4 電極に使用した金属
    名称 注釈
    金線 φ0.3
    亜鉛線 φ0.2
    銅線 φ2
    ニッケル線 φ2

    電極には金,銅,ニッケル,亜鉛を使用しました.


    スライドガラスセル組

      11 スライドガラスセル組
    ひょうぎ144講演大会より

    顕微鏡の対物レンズとステージとの間に収まるセルを試作した.セルはスライドガラスに Au の作用極と対極を,電極間距離 10mm で配置した.作用極と対極の間に擬似参照極としてZnを置いた.各電極に粘土/水分散液を一滴ずつ垂らしたものをスライドガラスセルとした.


    ガルバノスタット

      12 ガルバノスタット
    ひょうぎ144講演大会より

    スライドガラスセルの通電には,ガルバノスタット(HA151,北斗電工製)を使用しました.


    顕微鏡観察

      13 顕微鏡観察
    ひょうぎ144講演大会より

    粘土分散液中での電極近傍の旋光性を観察しました。スライドガラスセルに入れた粘土分散液を、光学顕微鏡のステージにセットし、二枚の偏光板で挟んで、明るさの変化を撮影しました。

    通電しながらセルの作用極近傍をクロスニコルとオープンニコルで観察した.電流の極性を切り替えて,光学顕微鏡観察を繰り返し行った.


    クロノポテンショメトリー

    電流制御

    時間 t / s電流密度 J / µA/cm² L 23.1481481481481 145 L 27.5462962962963 48.3333333333333 L 175.694444444444 48.3333333333333 L 174.190393518519 243.646707882153 L 271.384259259259 241.666666666667 L 279.675925925926 48.3333333333333 L 409.212962962963 48.3333333333333 L 435.694444444444 241.666666666667 L 518.888888888889 241.666666666667 L 531.805555555556 145 L 573.37962962963 145 L 23.1481481481481 145 L 27.5462962962963 48.3333333333333 L 175.694444444444 48.3333333333333 L 174.190393518519 243.646707882153 L 271.384259259259 241.666666666667 L 279.675925925926 48.3333333333333 L 409.212962962963 48.3333333333333 L 435.694444444444 241.666666666667 L 518.888888888889 241.666666666667 L 531.805555555556 145 L 573.37962962963 145
    電流制御
      14 クロノポテンショメトリー
    ひょうぎ144講演大会より

    最初電流密度 +100µA/cm2でアノード電流を通電した.330秒経過後,カソード反転し,電流密度-100µA/cm2でカソード電流を通電しました.さらに240秒経過後,再アノード反転し,電流密度+100µA/cm2で再びアノード電流を通電しました.


    ゲル化の観察

      15 ゲル化の観察
    ひょうぎ144講演大会より

    電極近傍の粘土/分散液をピンセットで突っつき,ゲル化の状態を観察しました.


    結果


    セルの使用感

      16 セルの使用感
    ひょうぎ144講演大会より

    作成したスライドガラスセルは、粘度が高く、透明な溶液の観察に適していた。特に、ヘクトライト2wt%/水分散液は、よく観察できた。

    pH10の緩衝液ではスライドガラスからこぼれてしまい観察はできなかった.


    クロノポテンショグラムと顕微鏡観察

      17 クロノポテンショグラムと顕微鏡観察
    ひょうぎ144講演大会より

    左の縦軸は擬似参照極の亜鉛に対する電位Eで単位はVです.右の縦軸は電流密度j単位はµA/cm2です.横軸は時間t単位は秒となっています.

    通電前の亜鉛に対する自然電位は1.0Vでした。通電開始10秒で 2.1V,30秒で2.5Vまで電位が上昇しました.

    図17.(a)クロスニコル

    図の(a)に電極近傍の顕微鏡観察結果を示します.金電極表面から沖合500µm付近の粘土/水分散液が旋光し明視野が観察されました.金電極表面に粘土/水分散液がはり付いていました.

    図17. クロノポテンショグラムと顕微鏡観察
    ひょうぎ144講演大会より

    カソード反転後,330 秒で電位が1.6Vになり340秒で0.8V,350秒で0Vとなりました.430秒で電位は-0.3Vになりました.

    図17.(b)クロスニコル

    図の(b)に電極近傍の顕微鏡観察結果を示します.カソード反転前に旋光し明視野が観察されていたところが一部暗視野になりました.

    図17.(b)オープンニコル

    また金電極表面にオープンニコルでも観察できる,厚み50µmの層が観察されました.

    図17. クロノポテンショグラムと顕微鏡観察
    ひょうぎ144講演大会より

    再アノード反転後,540 秒で電位が2Vとなり,550 秒で2.3V,590秒で2.5Vとなりました.640秒で電位が2.6Vでした.再アノード反転前に観察された金電極表面の厚み50µmの層が消えました.図の (a)同様に金電極表面から沖合500µmで旋光し明視野が観察されました.


    電極近傍ゲル化の観察結果

      18 電極近傍ゲル化の観察結果
    ひょうぎ144講演大会より

    アノード分極後,ゲル化したヘクトライト2wt%/水分散液が電極にはり付いていました.ピンセットを上下しても固さは周りの分散液との違いが分かりませんでした.

    カソード分極した際にできる層は固かったです.ピンセットを上下することで層が崩れました.崩れた層はピンセットでつまめるくらいゲル化していました.固まったヨーグルトぐらいのかたさでした.


    めっきの可能性

      19 めっきの可能性
    ひょうぎ144講演大会より

    ヘクトライト2wt%/水分散液に硫酸銅を添加すると色がついてしまうため今回作成したセルで顕微鏡観察できなかった.

    NiはCuでめっきされた.

    考察



    分極時の電極近傍における粘土/水分散液の層構造についての考察

    図20.粘土/水分散液中のゲル網目構造の固定点の仮説
    (a)カチオンを介して粘土シートエッジ水酸基が固定
      20 粘土/水分散液中のゲル網目構造の固定点の仮説
    (b)粘土シートで形成されたファーバー(一次構造)が、トポロジカルに絡み合って固定
    ひょうぎ144講演大会より

    カソード分極時に生成する電極近傍のゲル層は,単一の粘土ファイバーからなるとすれば、 自己組織化単分子膜のようになっており,電極から離れた沖合のゲルのバルクは,凝集,絡み合い,分子配向によるものと考えられます.


    ゲル網目構造の固定点について

    共有結合 クローン力 水素結合 配位結合
      21 ゲル網目構造の要因

    田中ら3) によると,ゲルの形成には高分子鎖間の橋架けによる三次元的な網目の形成によって起こると述べられています.図に高分子鎖が作る橋架け形成の例を示します.共有結合やクーロン力,水素結合,配位結合によって高分子鎖が固定されることで三次元的な網目が形成されます.この網目の形成によってゾルからゲルへと転移し液体としての流動性を失い,固体状になります.


    界面における固定点

      22 ITO基板界面におけるホスホン酸SAM形成の模式図4)
    ひょうぎ144講演大会より

    図にITO基板界面におけるホスホン酸SAM形成の模式図4)を示します.ホスホン酸誘導体はITOなどの金属酸化物の表面処理・改質剤として用いられています.ここではホスホン酸がITO基板界面でどのようにして自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer,SAM)を形成するのかを概略します.TiO2の結合の端面にある水酸基とホスホン酸が反応しすることで固定点となります.ホスホン酸のプロトンが移動することで連続的に反応し膜が形成されます.


    結言


    結言

    • 通電によって,電極近傍 50µm の狭い範囲のヘクトライト 2wt%/水分散液の粘性を制御できる.
    • ヘクトライト 2wt%/水分散液はメッキに使われる水溶性ポリマーの代替になる可能性がある.

    以上で講演を終わります。ご清聴ありがとうございました。

    凝集によって、旋光性の観察が説明できるでしょうか? もし凝集モデルで結論づけるなら、凝集のイメージCGをしっかり作り込みましょう。

    質問

    Q.50 µmの層はどのように形成されているのか.垂直,カードハウス,平行,ランダム?
    A.???できればイメージ図で
    Q.まんべんなく層が形成されているのか?
    A.まんべんなくできない
    Q.層ができる反応が違う可能性があるのか?
    A.それはある.pH分布?
    Q.層の生成はレベリングなのかぼこぼこにできるのか?
    A.レベリング
    Q.表面がレベリングにすべて覆われるまでの時間は?
    A.1時間くらい
    Q.層の抵抗はどうなっている?
    A.でかくなる.レベリングで進むので矛盾なし.
    Q.結言の2個目カチオン濃度が増加~と言っていたがどういうこと?イメージ図とか欲しい.
    A.アノード分極したさい層間のナトリウムイオンがプロトンに置き換わることから.
    Q.温度かえたらどうなる?
    A.未実施
    Q.実験系,電流密度なぜこの条件?
    A.いろいろ試して観察にちょうどいい時間がこの方法だった.
    Q.参照極に亜鉛?なぜ
    A.参照極ではなく疑似参照極(純参照極極)というのが正しいので,表記ミスです.セルに銀塩化銀電極などの参照極を組み込めなかったため使用した.
    Q.時間ごとの電極近傍の変化を知りたい.
    A.はい
    Q.カソード側にできる層の化学式を作りたい.
    A.はい
    Q.反応はカチオンとかプロトンがどうのより双極子,相変化なのでは?可逆ナノ?
    A.

    1. 緒言

    執筆中 ひょうぎメモ

    文献