リチウムイオン二次電池における精密塗布・乾燥技術
リチウムイオン二次電池における精密塗布・乾燥技術が、従来の精密塗布・乾燥技術と違う点があるとすれば、それは塗布・乾燥後の電極が、電解液に浸漬された状態で電極として動作しなければならないという極めて当たり前の点である。言い換えれば、いかに安定な塗料を作り、いかに均一で堅牢な塗膜を作ろうとも電解液に浸漬された状態で電極として動作しなければまったく意味をなさないし、逆に塗布・乾燥の工程で少々技術上の難があったとしても、電極として素晴らしい機能を発現すれば、それは十分評価に値する技術なのである。実際の現場では工程と電極性能との兼ね合いで妥協点を模索することになろうが、ここでは特にリチウムイオン二次電池の正極について電極動作発現の視点から精密塗布・乾燥技術を論じてゆきたいと思う。
集電体と精密塗布・乾燥技術1)
合材スラリーと精密塗布・乾燥技術
乾燥
乾燥・硬化過程において活物質や導電助材などの分散質が偏析しないようにするというのも特にリチウムイオン二次電池に限った話ではない。合材スラリー中の溶剤(分散媒)は乾燥・硬化過程において電極から完全に分離・除去されるべきであるが、分散質粒子表面に吸着した溶剤(分散媒)まで分離・除去されたことを保証するのは現実的ではない。ここでリチウムイオン二次電池における乾燥過程としては、残留した溶剤(分散媒)が電池性能にどのような影響を及ぼすかを予め把握し、電池設計に反映させることが大切である。
分散安定性を与えるには一般に粒子表面を溶剤(分散媒)と親和性のある状態とし、かつ粒子同士が近接しないようにする必要がある。しかし乾燥後の電極においては粒子同士がしっかりと電子ネットワークを構成する必要があり、分散安定性の向上が電子ネットワークの形成を阻害しないように工夫しなければならない。あまり粉体濃度が低い段階から電子ネットワークの形成を意識しすぎると構造粘性を生じてレオロジーや塗布適性に支障を与えることになる。またイオン化合物である活物質は極性固体であり、共有化合物である炭素材料は非極性固体であり、異なる性質を有する二種類の固体粒子に分散安定性を与える点も忘れてはならない。
集電箔
前処理 脱脂 アンカーコート
スラリー
活物質 炭素材料 バインダー ヒビクル 分散剤
乾燥
凝集 導電パス プレス
【関連講義】卒業研究(C1-電気化学2004~),エレクトロニクス分野における精密塗布・乾燥技術(2007)2)
【関連書籍】
エレクトロニクス分野における精密塗布・乾燥技術(目次)3)
リチウムイオン二次電池材料4);
リチウムイオン二次電池-材料と応用-(目次)5)
ここまできた接着技術 大きく変わる短時間硬化機能(目次)6)
エネルギー変換化学特論,高分子材料~リチウム電池のバインダーやセパレータの働き~7)
【関連書籍】よくわかる顔料分散(目次)8)
結果と考 > 論文・報 > 刊行物@ > エレクト > 集電体と精密塗布・乾燥技術,エレクトロニクス分野における精密塗布・乾燥技術(仮)(2011)
仁科 辰夫,卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, (2011).
結果と考 > 論文・報 > 刊行物@ > エレクトロニクス分野における精密塗布・乾燥技術(2007),刊行物@C1(2007◆H19)
仁科 辰夫,卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, (2007).
エネルギ > 【201 > 高分子材料~リチウム電池のバインダーやセパレータの働き~,【2011年(平成23)エネ変】
立花 和宏,エネルギー変換化学特論, 講義ノート, (2011).
(1) 結果と考 > 論文・報 > 刊行物@ > エレクト > 集電体と精密塗布・乾燥技術,エレクトロニクス分野における精密塗布・乾燥技術(仮)(2011)
仁科 辰夫,卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, (2011).
(2) 結果と考 > 論文・報 > 刊行物@ > エレクトロニクス分野における精密塗布・乾燥技術(2007),刊行物@C1(2007◆H19)
仁科 辰夫,卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, (2007).
(3) 純物質, キーワード.
(4)  > リチウムイオン二次電池材料
情報機構, 最新リチウムイオン二次電池~安全性向上および高機能化に向けた材料開発~, 情報機構, (2008).
(5)  > リチウムイオン二次電池-材料と応用-(目次)
芳尾真幸、小沢昭弥, リチウムイオン二次電池-材料と応用-第二版, 日刊工業新聞社, (1996).
(6)  > ここまできた接着技術 大きく変わる短時間硬化機能(目次)
柳原榮一, ここまできた接着技術 大きく変わる短時間硬化機能, 工業調査会, (2003).
(7) エネルギ > 【201 > 高分子材料~リチウム電池のバインダーやセパレータの働き~,【2011年(平成23)エネ変】
立花 和宏,エネルギー変換化学特論, 講義ノート, (2011).
(8)  > よくわかる顔料分散(目次)
中道敏彦, 図解入門 よくわかる顔料分散, 日刊工業新聞社, (2009).
仁科 辰夫,卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, (2011).
(2) 結果と考 > 論文・報 > 刊行物@ > エレクトロニクス分野における精密塗布・乾燥技術(2007),刊行物@C1(2007◆H19)
仁科 辰夫,卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, (2007).
(3) 純物質, キーワード.
(4)  > リチウムイオン二次電池材料
情報機構, 最新リチウムイオン二次電池~安全性向上および高機能化に向けた材料開発~, 情報機構, (2008).
(5)  > リチウムイオン二次電池-材料と応用-(目次)
芳尾真幸、小沢昭弥, リチウムイオン二次電池-材料と応用-第二版, 日刊工業新聞社, (1996).
(6)  > ここまできた接着技術 大きく変わる短時間硬化機能(目次)
柳原榮一, ここまできた接着技術 大きく変わる短時間硬化機能, 工業調査会, (2003).
(7) エネルギ > 【201 > 高分子材料~リチウム電池のバインダーやセパレータの働き~,【2011年(平成23)エネ変】
立花 和宏,エネルギー変換化学特論, 講義ノート, (2011).
(8)  > よくわかる顔料分散(目次)
中道敏彦, 図解入門 よくわかる顔料分散, 日刊工業新聞社, (2009).