心臓のペースペーカーに使われるリチウムヨウ素電池の現物です。一般に電池のプラスとマイナスはセパレータで仕切られています。万一セパレータが破れたりして電池のプラスとマイナスが接触すると内部短絡という状態となり、電池の発熱や発火、ひいては破裂、爆発という深刻な事故につながりかねません。体内に埋め込まれて使われる電池が爆発したりしたら大変なことになります。リチウムヨウ素電池ではプラスとマイナスを仕切るセパレータがありません。プラスとマイナスが接触することで化学反応によってセパレータの機能を兼ね備えた固体電解質と呼ばれる物質が生じるからです。セパレータがないのですからセパレータが破れる心配はまったくありません。心臓のペースペーカーという命をつなぐ目的で使われるもっとも安全な電池のひとつです。ものによってはひとつ数百万円もしますが、それで約5年ぐらい使えます。まさに電池の寿命が患者の寿命を決めているわけです。その都度手術をするのは患者に負担ですから、電池の交換時期の診断は外部から電波通信によって行われます。優先席付近で携帯機器の電源を切るよう書かれているのは混信による誤動作を防ぐためです。本展示品は90周年の折に本学の松木健三名誉教授が入手されて供与したものです。 リチウムヨウ素電池1) 心臓ペースメーカー用ヨウ素リチウム電池 リチウムヨウ素電池(1) 緒言(C > 製品調査 > エネルギ > 電池 > 一次電池 > リチウムヨウ素電池,一次電池―乾電池など仁科 辰夫,卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, (2007).