二重盲検法とか、実験計画法とかいろいろありますが、まずは対照実験。
工学部の研究は、いわばどう作れば一番いいのかを調べるわけです。
小麦粉からラーメンを打って手揉みするところから初めてもいいのですが、まあ、麺は出来合いのものを準備することにしましょう。
タレとか、具も全部いっしょにしなければ、細麺の米沢ラーメンと太麺の喜多方ラーメンの違いかどうかははっきりしませんね。もちろん茹で時間も同じにします。
そして、出来上がった米沢ラーメンと太麺の喜多方ラーメンをみんなで試食して、うまいのまずいのと意見を出し合う。
まあ、ざっくり言えば、これが対照実験に基づく研究です。
ある日、米沢ラーメンを作って、ひとりで食べて、忘れたころに喜多方ラメーンを作って、ひとりで食べてでは、研究にならないのですね。まして完食したかどうかはあまり重要視しなくてもいいのです。
米沢ラーメンの塩加減を研究するときも同じです。一度に塩加減の違うラーメンを作って、みんなで試食する。試食会の人数分だけ一度に作るというのがポイントです。
アセチレンブラックの濃度を変えたスラリーの研究をするのもいっしょです。まずは濃度の違うスラリーを一度に作って、みんなで評価しましょう。
ひとりで一種類のスラリーを作って、ひとりで黙々と測定している風景を目にすることがあります。これでは、まるで「ぜんぶひとりで食べたの!えらいでしょ?」と言っている小さな子供のようです。
作ったものを評価するのは、顧客です。研究室の学友であり、教職員であり、共同研究の相手先であり、学会発表の聴講者であり、国民の全ての皆さまです。提供された貴重なサンプルで作ったものを全部自分で食べないで、試作品としてお返ししましょう。当社比とするために、基準となる試作品、たとえば以前の試作品といっしょにお出しするのを忘れずに。