関口理希.
ぼくはメンディ
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山形大学理工学研究科 修士論文,2018.
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ようこそ音楽と理科のコラボの世界へ。 皆さん楽器を準備しましたか? 楽器を演奏できない方は、歌を歌いましょう。 では、「The star」英語で!
Twinkle, twinkle, little star,
How I wonder what you are!
Up above the world so high,
Like a diamond in the sky.
Twinkle, twinkle, little star,
How I wonder what you are!
ありがとうございました。 声が小さいようですね。 騒音計で測っていたら ___ホンしかありません。 英語だからかな。 英語も小学校でやることになって大変ですね。 せっかくだから音楽と英語もコラボしちゃいましょう。 でも、ここで英語にしたのには訳があるんです。 実は、このテキストをHPに公開しているんですけど、 音楽の曲や詩には著作権があります。 著作権法は、作った人と使う人の両方の権利が犯されないようにして 文化の発展を促すようされているんです。 そういう世の中の決まりを守ろうと思うと、古くて誰でも知っている曲なら良かろうと The starを選んだのですが、曲と英語の詩は時効なんですけど、日本語の訳詩にはまだ著作権が残っているんですね。
さて、小学校の先生もいますから楽譜はお読みになれることでしょう。
その楽譜。 なんと音楽が見れるんです!聞けるのではなくて見れるのですよ! はい、代表者、こちらに来て、演奏するか、歌うかしてくれます?
そこにいらっしゃる遠藤先生、和音の聞き分けができなくて音楽が音我苦になってしまったという・・・ 音楽だけにとどまらず、学や楽が我苦になってしまうのはなぜなんでしょうね? そう!先生が評価するからです。 本来、評価はモチベーションのためにあるはず! それが不健全になっているんですね。 評価なしってわけにもいかないでしょうけど、せめて苦手意識を埋め込むのだけは避けてほしいものですね。
まずは実験台にあるブレットボードのキットを見てみましょう。 そして中からブレッドボードとスピーカーを取り出します。
ここで紙コップ。これ遠藤さんのすばらしいアイディア。 なんと図工と理科のコラボ。なんでもクロス・カリキュラム。 マジックペンで紙コップにネコ、イヌ、ウシ、ニワトリの絵を描きましょう。 次に紙コップの底にスピーカーより少し小さめの穴をはさみで切り抜きます。 スピーカーをセロテープで紙コップに取り付けたら、スピーカーボックスのできあがり。
そしてそのスピーカーだけブレッドボード取り付けます。みの虫コードをつなぎやすいように、ゼムクリップを伸ばしてブレッドボードに取り付けます。 それでオシロスコープにつないだら何でも鳴らしてみてください。 音がカタチで見えますよ。
キーボードのヘッドフォン端子から出ている信号も見ることができますよ。
オシロスコープは電気信号を観察する装置です。 大日本図書と啓林館の中学校理科の教科書には、 株式会社ヤガミのオシロスコープが掲載されています。これの定価は29,800円です。 y軸の電圧レンジの切り替えと、x軸の掃引時間の切り替えと、波形の一時停止機能、パソコンに波形を転送する機能がついています。 専用のマイクが付属しています。 研究室で用意した、テクトロニクスの教育用オシロスコープは、51,800円です。機能はたくさんあります。 高速フーリエ変換もついているのでスペアナとしても使えます。 ヤガミのオシロスコープと同じくらいの大きさのものは、アマゾンでも売っています。組み立てキットが多いです。価格は2500円~3500円くらいです。
音は振動だ。空気が揺れている。その揺れを捕らえて電気信号に変えるのがマイクだ。音はマイクで電圧の揺れとなる。電圧が揺れるということは、その向きや大きさが時間とともに変わることだ。そういう電気を交流と呼ぶ。交流の大きさは最大値や実効値で表現される。その場合の単位はボルトだ。耳は極小さい音から大きな音まで聞き分ける。そのためにデシベルという単位も使われる。
リサージュ音は振動だ。音には高い低いがある。音楽では、特にこれを音程と言う。音の高い低いは時間あたりの振動数で決まる。同じ時間にたくさん振動するのが高い音で、あまり振動しないのが低い音だ。
16世紀にドイツの発明家グーテンベルグによって 印刷技術が発明される。たやすく聖書を手に入れるようになった庶民と支配階級の知識の格差はせばまり、16世紀の宗教改革、ルネサンスをつながる。
そしてガリレイからニュートンに至る自然科学の急速な進歩から科学革命の世紀と呼ばれる17世紀を迎える。
印刷技術に支えられた数学と音楽の表現であった。文字以外の情報を書き残す手段として楽譜や数式の記法が確立されていった。
https://www.naga…さて、この楽譜を見ると高い音を上に、低い音を下に記載してる。 音叉の音はラの音。440Hzだ。
オシロスコープ は振幅を読み取ったり、位相角を測定したりします。
音さで440Hzを確認しながら、 ギターで基本の音程を出します。 弦の整数分の位置のところでしか響かないですね。 音楽では1/2をオクターブといいます。 1/3、1/5の場所では音の高さが3倍、5倍になります。 一緒に弾いてみますね。 きれいな響きです。こうやって何倍かしたり何分の一かしたりして響きのいいところを探していったのが和音です。 だから和音の周波数は分数や数学、そして対数ととても関係深いのです。 倍音を直列目でみる方法もあります。それがフーリエ変換という方法です。 実際にみてみましょう。
楽器や肉声をマイクで拾ってオシロスコープで
波形
を観察する。
パソコンからの出力をオシロスコープで 波形 を観察する。
楽譜の縦軸と横軸の確認コストと音質のはざまでぎりぎりの設計をするデジタル音響技術。そんなテクノロジーにとってもっとも手ごわいのが自然音だ。自然を扱う番組でも、背景の自然音まで際立たせてくれる構成は少ない。ラジオにテレビにネットが普及した今となっては自然音の魅力を知っている大人はそこまで多くない。だからそうでない視聴者に向けて番組を面白くするためにやむをえずBGMやナレーションで誤魔化してしまう。
しかし、この自然音は一生聞き続けられるものではない。ヒトは年を取れば、耳が遠くなってゆく。育ててもらう側から育てる側に回る頃から、少しずつ高音域が聞こえなくなる。若いころに聞こえた音は、いつのまにか別な音になってしまっている。若いころに聞く機会に恵まれなかった音は、年をとって別な音になってしまっていても気づくことすらできない。
理科の基本は自然の観察だ。五感を研ぎ澄まして自然に触れることこそ、理科の原体験だ。ネットで配信される音楽を楽しむのも良い。歴史の中を生き残ってきた生楽器の音を楽しむのも良い。でもやはりヒトの手を介さない自然の音も楽しみたい。それが楽しめるときに楽しませたい。
雪解けの水が側溝を走るの音、桜の花びらをなびかせるそよ風の音、雷鳴とともに遠くからやってくる雨脚の音。色あせたもみじが地面に舞い落ちる音。積もりはじめた雪の上にそっと重なる天からの音。
たとえ年をとってかつて聞こえた音が聞こえなくなったとしても、しんしんと降る雪のことが、故郷からの季節の便りにしたためてあったとき、若かりしあのときのあの一瞬を呼び起こせるように、そのひとときの目の前の当たり前を大切にしよう。
それが自然科学たる理科の学ぶべきもっとも基本的な姿勢なのだから。
企画から準備、終わるまで 遠藤さん、奥山さん、ありがとう。部品の買出し、当日、白谷くん、赤間さん、ありがとう。楽譜の作成、著作権の調査などメンディ、ありがとう。 この企画を請け負うにあたって協力してくれた研究室のスタッフにありがとう。かかわった全ての皆様に、ありがとう。
関口理希.
ぼくはメンディ
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山形大学理工学研究科 修士論文,2018.
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