写真製版による印刷は、紙にとどまらなかった。記録媒体は半導体となった。記録される図形は、電気回路となった。集積回路、IC、だ。書き込まれる回路は、次第に複雑になり、小さなチップに、大規模な回路が作られた。電気回路に流れる信号も、白黒つけた方が、すっきりする。デジタル回路だ。
デジタル回路は、ついにCPUとメモリとなった。デジタルコンピュータが、小さなチップにおさめられ、マイクロコンピュータと呼ばれるようになった。それは、事務所の算盤を電卓に変えた。喫茶店のガラステーブルの下には、ブラウン管ディスプレイがあって、スペースインベーダーゲームが楽しめた。ピキューン、ピキューンという音が鳴り響いていた。そのゲーム機には、Z80という8ビットCPUが搭載されていた。そしてついに漢字が表示できる国産パーソナルコンピュータPC9801が登頂した。
大規模な回路におさめられたのは、デジタル回路ばかりではない。演算増幅器というアナログ回路もICチップになった。そして、きわめつけは、アナログデジタル変換回路が、ICチップにのったことだった。マイクで電気信号になった音声は、アナログデジタル変換回路でデジタル符号となった。それを微細な凹凸として、ポリカーボネート版に刻み込んだ。音楽CDだ。音声の記録は、デジタル記録になったのだ。
電気化学の庵 では、 「 高校歴史 」 の中で、 「第三次産業革命(デジタルコンピュータとAD変換)」について 述べられています 1)。
- (1) 伊藤智博、立花和宏、仁科辰夫.
電気化学の庵:第三次産業革命(デジタルコンピュータとAD変換)
. /amenity/Syllabus/@Lecture.asp?nLectureID=5065. (参照2021-02-09).