🏠
令和6年12月4日 (水)

IoTを用いた子育て支援 -ベッドメリーの電池がなくなる前に教えてくる-

卒業研究 54299 Files C1 IoTと子育て

はじめに

図1に示すベッドメリーは,電池を交換するときにドライバーを必要する玩具である. 乳児*の子育ては3時間毎にミルクを飲ませたり,30分ぐらいでおむつの交換など目まぐるしいほど時間におわれる. その合間の使って,洗濯などの家事や食事を行うわけなので待ったなしにジョブが入ってくる. 乳児は毎日のように生活リズムが若り,昨日まではミルクがほしいのかなと思うと違ったりと計画的に物事が進むことがすくない. このようなことから,子供の玩具の電池交換は日中家にはいない父親の仕事になることがおおいだろう. とはいっても,平成18年版少子化社会白書によると,核家族世帯が増加しているわけでない. どちからというと,夫婦共働きの世帯は,1980年では614万世帯が共働きだったのが,2005年には988万世帯へと増加した. 女性も働き,子育てに男性も参加する時代へと子育てのライフスタイルが変化したのである. おそらくであるが,予防接種や乳児検診では母親に積極的に医師は話を聞くし,公共施設の授乳室(ベビールーム)によって女性に限定しているところがある. このようなことから,社会ではどうしても母親が子育ての中心になっている. 筆者の経験からではあるが,母乳を提供できるのは女性だけだからであろう. 子育てで一番大変な乳児のおもちゃの電池交換の負担を軽減するできないと考え,IoTによるベビー用おもちゃの電池監視を思いついた.

一方で乳児を育てていると気になるのは部屋の温度管理である. 乳児は体温調整が未熟なため,室温や布団のかけ具合,寝汗の状況には気遣って育てているものである. 特に,子供も親も寝ている深夜の室温の管理を監視・管理することは面倒だし,大変である. IoT補助デバイスの1つであるキノマクリエイトには複数のアナログ入力ピンを有している. このアナログ入力を利用して,温度センサーを取り付け,温度のモニタリング・記録することも可能であろう.

電池を交換するときに新しい電池がなかったり,充電式の電池が未充電で交換できない経験をすることもあるだう. この問題を解決するために,本研究ではIoTの補助デバイスであるキノマクリエイトを使用して電池の電圧監視と電池交換を家にはいない父親にメールで知らせるシステムの開発を目的とする. また,部屋の温度の記録できるシステムを開発する.

図1.ベッドメリーの写真

実験

準備するもの

  • キノマクリエイト
  • 導線
  • 温度センサー(LM61BIZ)
  • 半田ごて
  • はんだ
  • ケーブル接続コネクター(HIROSE DF1Eシリーズ;代替品OK)
  • ピンヘッダー
  • 温度・湿度計(EMPEX TD-8311,デジタルmidi 温度・湿度計)

組み立て手順

キノマクリエイトソースコード

結果

図2にキノマクリエイトに電圧モニタリング用コードを接続したセンサーユニットを示す. キノマクリエイトの背面ピンにモニタリング用のコードを接続した.もう一方はコードの被覆を1cmほど剥き,より線を撚り,半田を流し込んだ. コードの途中には中継のコネクターを取り付け,電池交換時の取り外しやセンサーの設置時の利便性を確保した.

図2.電池モニタリング用センサーユニット

図3にベッドメリーの電池ボックスに電圧モニタリングコードを接続した写真を示す. テスターで電圧を確認すると,ベッドメリーの電池は単二電池を三本直列つなぎで接続されている. 写真のように二本の電池の-極側をモニターすることで,真ん中の電池一本の電圧をモニターできた.

図4にベビーベッドの下に設置したキノマクリエイトの写真を示す. 左側に伸びている白と黒の導線を撚ったコードがベッドメリーの電池を監視しているケーブルである. 右側に見えるTO-92 パッケージの部品が温度センサーのLM61BIZである.

図3.電圧モニタリングコードとベッドメリーの接続写真
図4.キノマクリエイトの設置写真

図5に電池モニタリング用センサーユニットした現在のベッドメリーの電圧を示す. 横軸は経過時間を表し,単位は時間である. 縦軸はベッドメリーの電池の電圧であり,単位はVである. 横軸の経過時間の原点は現在時刻を示している. モニタリングの結果,ニッケル水素電池を電池として使用した場合,ベッドメリーの電池の電圧が0.9V未満になるとおもちゃとして正常に動作しないようである. また,ベッドメリーの電池として,充電式の電池を使用しないように説明書に書いてあるので,よい子はマネしないでください.

図5.ベッドメリーの電圧(最新数値データ)

図6にベッドメリーの周辺の温度を示す. 横軸は経過時間を表し,単位は時間である. 縦軸はベッドメリーの周辺の温度,単位は°Cである. 具体的には,キノマクリエイトを置いたベビーベッドの下の物置スペースの温度を測定した. 乳児の寝ているベッド布団の上においた温度・湿度計のほうが,キノマクリエイトで測定した温度センサーの値より1~2°Cほど高い傾向があった. 別の温度計でそれぞれの周辺の温度を測定しても同様であった.キノマクリエイトの温度センサーが床から20cm,温度・湿度計が90cmの位置に設置してあるので,その高さが影響している. キノマクリエイトにノイズが入ることがある. ベッドの上で乳児のおむつ交換や遊ばせたときに発生しているので,振動の影響による接触不良を疑っている. 原因調査およびノイズ対策は,今後,実施を予定している.

図6.ベッドメリーの周辺の温度(最新数値データ)

電池の電圧が0.9V未満になると自動的に下記のようなメールが送信された.

件名:【子供見守り】電池交換情報
本文
おもちゃの電池の電圧が0.883 V になりました.
電池を交換してください.
ref: https://a.yamagata-u.ac.jp/amenity/Laboratory/@LaboNote.asp?nLaboNoteID=2181
一度,電池の電圧が0.9V未満になると30秒間隔でメールが送信された. 瞬く間にメールの件数は100件を越してしまった. このままでは迷惑メールに等しい.メールの送信を1日,最大2回程度する必要がある. また,通知メールを送信する時刻も,12時~13時と17時~18時が妥当であろう. なぜなら,赤ちゃんが寝ている夜にメールが届いても,逆に赤ちゃんを起こす可能性が高い. さらに,父親も自宅にいる可能性が高い夜から朝の時間帯では目の前にベッドメリーがあるので,メールでの通知は不要である.

改良・改善1

2016年1月4日19時に,ノイズ対策として配線の接触疑われたので,別のセンサーユニットを試作して取り付けた. 図7に示すように,温度センサーユニットをコネクターを付けて,ハンドリングしやすいように改良したものである. ノイズの発生は軽減できなかった. センサーユニットを取り換えたら,温度が全体的に上昇した.このLM61BIZの精度は,25°Cで±3°Cである. この許容範囲であり,実測したら1.4~1.7°Cほど高めに温度が出力されていた(記録).

図7.温度センサーユニットの改良

改良・改善2

2016年3月16日に,仁科らによる電流遮断後のIRドロップによる過渡応答による電池の劣化分析のアルゴリズムに従って測定できるようにキノマクリエイトのコードを修正した. 具体的には,5mV以上の電圧が変化すると自動的にルートtのサンプリング間隔で測定結果をデータベースに送信するようにした. 改善したソースコードは,20160319ITOManager3.1b-1.1b6-kosodate.zipである.

図7.キノマクリエイト改造後の測定結果

結論

キノマクリエイトを使用してベッドメリーの電池を監視することで,電池の交換時期を知らせられる.

あとがき

子育てをしながらの冬休みの自由研究はこの辺までですね. ものとデータの紐づきはできたので,今度は,マルチユーザにしたときの認証(認証連携)とコントロールを進めよう. Google Appsも外部へのSAML利用が可能になったようだし,学認もあるし,OpenIDコネクト(oAuth 2.0)もあるね. 引き続きバージョンアップをしていきます.

小児区分の定義(引用1)

新生児(Neonate, Newborn infant)
生後28日以内(引用2)
乳児(Infant)
生後1年未満,新生児を含む(引用3)
幼児(preschool children)
生後1~6年

でら キノマクリエイト
デラさんのM2MとIoT
菅野の電卓
菅野の電卓2
菅野のクラウドポテンショスタット
ハマツのグラフ
旧米沢高等工業学校の設立
リチウム電池とLEDによるイネの室内水耕栽培
伊藤の冬休みの自由研究 紙おむつの吸水性高分子を培地で稲の苗は育つか?

学会発表

エコ研究のすすめ


QRコード
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/public/54299/2015/everyone/IoT_Child/Default.asp
名称: 教育用公開ウェブサービス
URL: 🔗 https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/
管理運用 山形大学 学術情報基盤センター

🎄🎂🌃🕯🎉
名称: サイバーキャンパス「鷹山」
URL: 🔗 http://amenity.yz.yamagata-u.ac.jp/
管理運用 山形大学 データベースアメニティ研究会
〒992-8510 山形県米沢市城南4丁目3-16

Copyright ©1996- 2024 Databese Amenity Laboratory of Virtual Research Institute,  Yamagata University All Rights Reserved.