⇒#227@講義;
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000.
強磁性体の磁化過程
無機固体化学
では、
「
磁性と磁性体
」
の中で、
「強磁性体の磁化過程」について
述べられています
⇒#227@講義;。
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初版
☆ 鉄は強磁性体であるが、買ってきたばかりの鉄クギは
磁石になっていない。なぜか?
→ 鉄クギ全体が、磁気モーメントの揃った微小部分
(磁区)に分かれており、隣り合った磁区では磁気
モーメントが90°または180°の角度をなしている。
従ってクギ全体としては磁化されていないから。
→ しかし、クギに外部磁場をかけると(右図)、
磁区の境目が移動し(原子は移動しない)、
やがて全体が飽和まで磁化される。
→ 外部磁場をゼロにしても、磁化は完全には
なくならない(残留磁化)。
→ 磁化をゼロにするには、逆方向の磁場を
かけなくてはならない(保磁力)。
・外部磁場の強さと向きに対する磁化を表わした曲線
を磁化曲線という(右図)。曲線の形によって大まかに
強磁性の「硬さ」の分類をすることがある。
軟磁性(右図(a)、飽和磁化大、保磁力小)
→ 磁気ヘッドとして応用。
硬磁性(右図(c)、残留磁化と保磁力が大)
→ 永久磁石として応用。
半硬磁性(右図(b)、残留磁化、保磁力は中間)
→ 磁気記録媒体として応用。
10-4 強磁性無機固体
☆ 主として鉄の酸化物を主成分とする物質が広く用いられている。ここでは軟磁性体~半硬磁性体と
して重要な「スピネル型フェライト」を取り上げる。ちなみに、スピネルフェライトを発見し、工業的応用を切り開いたのは日本人(加藤与五郎、武井武という東工大電気化学教室の教授)であり、
TDKという会社名は東京、電気、化学の頭文字をとったもの)
例:Fe3O4(通称マグネタイト。スピネル型構造。)
スピネル型構造は非常に複雑なので覚える必要はない。
一般にはAB2O4と表わされ、O2-の立方最密充填
構造の4配位サイトの1/8に陽イオンA、6配位
サイトの1/2に陽イオンBが入っている。
マグネタイトの場合、4配位サイトにFe3+の半分、
6配位サイトにFe3+の残り半分とFe2+が入る。
☆ 磁気的性質を考える場合には、磁気モーメントが
互いに反平行な「B - A - B」だけを考えれば良い。
この講義では、マグネタイトと関連化合物の化学組成
と磁気モーメントとの関係を理解すれば良い。
<マグネタイトの単位式量あたりの磁気モーメントの大きさ>
(単位式量とはFe3O4、Fe原子3個あたりの意味)>
考え方:①Fe2+とFe3+の磁気モーメントはそれぞれ4μBと5μB。
②B - A - Bのイオンの並びは、Fe2+ - Fe3+ - Fe3+である。
③磁気モーメントは互いに反平行だから、4↑ - 5↓ - 5↑、結局「4↑」となり、磁気モーメ
ントの大きさは「4μB」と予想される。実測値は4.1μB。
④磁気モーメントの大きさは、飽和磁化の大きさと比例する(どれだけたくさん磁化できるか)。
<マグネタイト関連化合物の磁気モーメントの大きさ>
(a) NiFe2O4(通称ニッケルフェライト)、Niは6配位サイトに入る(陽イオンB)。従って、B - A - B
の並びはNi2+ - Fe3+ - Fe3+。Ni2+の磁気モーメントの大きさは2μBなので、上と同様に考える
と磁気モーメントの大きさは2μBと予想される。実測値2.3μB。
(b) MnFe2O4(通称マンガンフェライト)、Mnは4配位サイトに入る(陽イオンA)。従ってB - A - B
の並びはFe3+ - Mn2+ - Fe3+。Mn2+の磁気モーメントの大きさは5μBなので、上と同様に考える
と磁気モーメントの大きさは5μBとなる。実測値4.8μB。
(c) Mn0.6Zn0.4Fe2O4(通称マンガンジンクフェライト)、MnもZnも4配位サイトに入る(陽イオンA)。
ところでZn2+の磁気モーメントはゼロだから、陽イオンAの平均磁気モーメントは5.0×0.6=3.0
μB。すると、5↑ - 3↓ - 5↑となり、磁気モーメントの大きさは7μBと予想される。実測値6.8
μB。これがスピネル型フェライトで達成できる最大値。(Znをこれ以上増やしすぎると、交換相互作
用の様式が変化して、磁気モーメントが減ってしまう。詳細は省略)
☆ 前ページに記したように、磁性体はその用途によって飽和磁化(≒磁気モーメントの大きさ)、残留磁化、保磁力などが最適になるように組成設計される。磁気モーメントが小さいからといって工業的意味
が小さいというわけではない。一見磁性体と化学とは無関係に思えるかもしれないが、金属イオンの種類と組成比、それらの結晶構造中の位置などを理解することによって、様々な特性を持つ磁性体を設計し、作り上げることが可能になる。このような知識や作製操作は化学以外のなにものでもない。
<h3 >
<a id='yznl227' href='https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/@Lecture.asp?nLectureID=227'>
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<a href=''>
強磁性体の磁化過程
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<!-- 講義ノート 講義ノート 講義ノート -->
<li>
<article>
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<a href='https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/@Lecture.asp?nLectureID=227'>
<q><cite>
強磁性体の磁化過程
</q></cite>
</a>.
山形大学,
<a href='https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/@Syllabus.asp?nSyllabusID=11058'>
無機固体化学
<a/a>
講義ノート, 2005.
<a href='https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/@Lecture.asp?nLectureID=227'>
https://edu.yz.yamagata-u.ac.jp/developer/Asp/Youzan/@Lecture.asp?nLectureID=227
</a>
,
(参照 <time datetime="2024-4-25">2024-4-25</time>).
</article>
</li>
</article>
<!-- 講義ノート 講義ノート 講義ノート -->
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